この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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16話 「この男女比がおかしいメンバーでお泊まり会を!」

「はぁ……」

 

あれからめぐみんはお泊まり会の準備があると言って屋敷に帰り、夕方に屋敷に来るように言われた。

 

なので今俺とエリスは馬小屋でゆっくりしていた。

 

「また溜息ですかハチマンさん。 溜息は幸運が逃げるのでダメですよ? 」

 

「だってなぁ…お泊まり会だぞ? あんな騒がしい奴らと…」

 

「賑やかでいいじゃないですか」

 

賑やか過ぎるんだよなー……

 

「エリスは賑やかなのは好きなのか?」

 

「んー…好きな方ですよ? 」

 

「へぇ、なんか意外だわ」

 

エリスは祭りとかあまり好きじゃないイメージがあったが、やっぱり人は見た目で判断出来ないな。

 

「……というか、そろそろ馬小屋生活から脱出したいよな」

 

今改めて思ったが、毎日馬小屋で眠るのは流石にキツイ。

 

最近は夜も寒いし、俺はともかく、エリスは特に辛いだろう。

 

「そうですか? 私は別に構いませんよ?」

 

「いや、そんな訳にもいかんだろ。 俺はこれからはクエストの報酬を少しずつ貯金していく事にする」

 

あくまで俺の分の報酬だけだ。

 

流石にエリスとゆんゆんの報酬まで貯金する訳にはいかないからな。

 

「んー…そんなに無理しなくてもいいんですが…」

 

その後はこれからどんなクエストを受けていくかなどの話をしながら時間を潰した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そろそろ向かうか」

 

「そうですね」

 

エリスが発光し、クリスの姿になる。

 

「じゃあ行こうか!」

 

「はいよ」

 

馬小屋から出て、カズマの屋敷へ向かった。

 

因みに荷物は着替えだけだ。 最低限の物だけでいいと言われたからな。

 

 

屋敷の前に着くと…

 

「…何してんだゆんゆん」

 

「あっ! は、ハチマンさん! 」

 

ゆんゆんが門の前を行ったり来たりしていた。

 

…まぁ予想はつくけどな。

 

「ほら、早く行くぞ」

 

俺は門を開けて屋敷の方へ向かった。

 

そして屋敷の扉を開こうとしたら…

 

『嫌ああぁぁ! 返してよ! それは私の大事な物なの! 早く返してよー!』

 

『うるせぇ駄女神が! これは皆で飲む酒だろうが! お前の酒じゃねぇ!』

 

『だってだって! カズマもダクネスもお酒あまり飲まないじゃないのよ!』

 

『お前が飲みすぎなんだよ! いいから我慢してろ!』

 

屋敷の中から声が聞こえてきた。

 

あいつら…家の中でもこんな事してんのか…

 

「ははは…賑やかだねぇ」

 

クリスが苦笑いしながら言う。

 

俺が溜息を吐きながら扉を開くと。

 

「……お、ハチマン達か、いらっしゃい。 ちょっと騒がしいけど我慢してくれ」

 

誰が来たのかを見に来たダクネスが俺達を見てそう呟く。

 

ちょっと…? これでちょっとなの?

 

「あ、ハチマン! クリス! ようこそ! ……あ、ゆんゆん居たんですか、いらっしゃい」

 

「ね、ねぇめぐみん? 私今日泊まってもいいんだよね? 」

 

「……ご自由にどうぞ?」

 

「ねぇ! なんか冷たくない⁉︎ 私達し、し…しん…友達じゃないの?」

 

親友って言おうとしたんだな。 頑張った、お前は頑張ったよゆんゆん。

 

少なくとも俺よりは上だ。

 

「…はぁ、冗談ですよ。 皆さんいらっしゃい。 今日はゆっくりしていってくださいね」

 

「んじゃ…お邪魔します」

 

「お邪魔しまーす!」

 

「お、おじゃ…お邪魔します!」

 

クリスはどこでも元気だな。 ゆんゆんは言い慣れてない感が伝わってくる。

 

それにしても…

 

「初めて見たが、デカイな」

 

外から見た時も驚いたが、中も広かった。

 

こんな屋敷持ってるって…カズマが少し羨ましく感じるな。

 

「私も最初の頃は慣れませんでしたが、今はもう慣れました」

 

「今日はここを自分の家だと思ってくれて構わないからな。 さぁ、リビングに案内しよう」

 

ダクネスについて行き、リビングに向かう。

 

…いったい何部屋あるんだろうか。

 

「おいカズマ、アクア! ハチマン達が来たぞ」

 

「おぉ。 いらっしゃい」

 

「あら? 来たのね、いらっしゃい」

 

カズマとアクアが何事もなかったかのように座っていた。

 

あれ、さっきあんなに煩かったのにどうしたんだ…?

 

「さ、ハチマン達が来たんだから、もういいでしょ? カズマさん、早くお酒を飲みましょ?」

 

「いやいや、何言ってんの? まだ夕方だぞ? まだ酒は飲まない」

 

「なんでよ! なら私だけ先に飲んでるから頂戴? 安心して、皆の分はちゃんと残しておくから」

 

「お前酔うと面倒臭いんだよ! あと、お前が酒を残すなんて事は絶対に、絶っ対にありえないからダメだ」

 

また喧嘩が始まった。

 

…なるほど、俺達が来れば酒が飲めると思ったのか。

 

「なぁ、カズマって未成年じゃないのか?」

 

俺は取っ組み合いを始めそうなカズマに問いかける。

 

見た目的には年は近そうだが、酒を飲むって事はもしかしたらもう成人してるのか?

 

「…あぁ、ハチマンは知らないのか。 確かに俺は未成年だけど、この世界では未成年でも酒を飲めるんだ」

 

「なのにカズマはいつも私にお酒を飲ませてくれないのです」

 

めぐみんが拗ねたように言う。

 

「子供の内から酒を飲んでたらダメになるぞめぐみん」

 

「私はもう結婚出来る年齢なので大人ですよ!」

 

カズマの言葉にめぐみんは怒りながら言う。

 

……というか

 

「…え、めぐみんって16歳なのか…? …すまん、てっきり14歳くらいかと思ってたわ」

 

16歳って小町より年上じゃないか。 ……小町の方が大人のような気がするがなぁ…

 

俺がそう言うとめぐみんが

 

「14歳ですが? えぇ14歳ですとも」

 

「…え?」

 

って事はあれか? この世界では14歳から結婚出来るのか?

 

「なんだ、やっぱり14歳か」

 

やはり小町の方が年上だった。

 

そりゃそうだよな。

 

だってめぐみんって小町よりも胸が…

 

「おい、私の身体に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

なんで分かるんだよ。 何? 皆メンタリストか何かなの?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ハチマンはこの部屋を使ってくれよな」

 

「おう」

 

あれから色々あったが、今はカズマに俺が寝る部屋に案内してもらっていた。

 

客室は二階らしい。

これが客室か…デカイなぁ…

 

「んじゃ後はゆっくりしててくれ〜」

 

カズマはそう言うと一階へ降りていった。

 

「……さて、何して過ごすか…」

 

眠るわけにもいかず、どうやって時間を潰すか考えていると

 

コンコン…

 

と扉を叩く音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

「失礼するぞ」

 

めぐみんとダクネスが入ってきた。

 

「どうした? 何か用か?」

 

「めぐみんから話は聞いてるだろう?」

 

「あぁ、尾行の件だろ?」

 

「そうです。 その打ち合わせに来ました」

 

なるほど、どうやらめぐみんとダクネスは本当にカズマの事が気になっているらしい。

 

まぁ、俺も雪ノ下や由比ヶ浜が知らない男と歩いてたら…いい気持ちにはならないかもな。

 

「そこで! ハチマンには……ハチマン? どうしました?」

 

「え…? 何がだ?」

 

「いや…なんか…ぼーっとしてましたけど」

 

「あ、何か話してたか? すまん聞いてなかった」

 

ついあいつらの事を思い出してしまった。

 

ダメだな、極力あいつらの事は思い出さないようにしよう。

 


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