この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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15話 「このハイスペックなパーティーにお泊まりの誘いを!」

めぐみんのお願いを断る事が出来ず、結局カズマを尾行する事になってしまった。

 

「カズマは3日に一回のペースで朝帰りをします。 2日前に朝帰りをしたので、今日の夜、屋敷を出ていくはずです」

 

「なんか浮気調査を依頼する妻みたいだな」

 

「なっ…! た、ただ私は同じパーティーメンバーとして、仲間の事は把握しておきたいだけなのです! 断じて浮気調査などではありません!」

 

めぐみんが顔を赤くして否定する。

 

「はいはい。 じゃあカズマに見つからないようにこっそりと張り込みしとくわ」

 

あんまりイジると面倒くさくなるからイジらないようにしよう。

 

俺が立ち上がり、帰ろうとすると…

 

「何帰ろうとしてるんですか?」

 

「は…? まだ何かあるのか?」

 

めぐみんに止められた。

 

「ですから、カズマを尾行してほしいんです」

 

「分かってるよ。 夜にお前らの屋敷の前で張り込みしとけばいいんだろ?」

 

「なんでそんな面倒くさい事するんですか? 張り込みとか…最近夜寒いのに、悪いですよ」

 

「いや…お前が尾行してくれって言ったんだろ」

 

なんなんだ全く。

 

めぐみんは、はぁ……とため息を吐くと

 

「ハチマンは今日ウチに泊まってください。 そうすればカズマが出て行ってすぐに尾行出来るでしょう?」

 

「断る」

 

「なっ⁉︎」

 

女子と同じ家で寝るとかマジ無理。

 

エリスは…まぁ仕方ないとして、女子が3人もいる家に泊まるとか本当に無理だ。

 

「そうだ! この際ハチマンのパーティーメンバーも全員ウチに来て、お泊まりパーティーをしましょう!」

 

「お泊まりパーティー…? 絶対に嫌だが」

 

「ハチマンが嫌と言っても、ゆんゆんとクリスはどうでしょうね? 」

 

こいつ…的確に断りづらい状況を作り上げようとしてる…

 

めぐみんが悪い笑みを浮かべながら…

 

「クリスはノリが良いのできっとOKしてくれます。 ゆんゆんはチョロいので、テキトーに親友だの友達だの言っておけば断らないはずです」

 

「流石にゆんゆんが可哀想じゃないか?」

 

「良いんですよ。 さぁハチマン! 早速ゆんゆんとクリスを誘いに行きますよ‼︎」

 

「行ってらっしゃい」

 

「行ってきます! ……じゃない! ハチマンも来るんです!」

 

めぐみんに手を引っ張られながら、ギルドを後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「いました。 ゆんゆんです」

 

「そうだな」

 

アクセルの街を適当に歩いていると、目的のゆんゆんを見つけた。

 

めぐみんはゆんゆんの方に向かい…

 

「ゆんゆん、ちょっといいですか」

 

「めっ、めぐみん⁉︎ どどっ、どうしたの⁉︎」

 

ゆんゆん焦りすぎだろ。

 

「え、ハチマンさんも一緒⁉︎」

 

「ようゆんゆん、散歩か?」

 

「はい! 1人でやる事なくて暇なので!」

 

「…おう。 …ごめんな…」

 

そんな事を満面の笑顔で言わないでくれ。

 

もしかしてゆんゆんっていつも暇な時散歩してるのか?

 

……今度から街で見かけたら声かけてあげよう。

 

「そんな事より! めぐみん、なんでハチマンさんと一緒に居るの?」

 

「気になりますか? ゆんゆん」

 

「そりゃ同じパーティーメンバーだもの! 」

 

「そうですか、気になりますか…」

 

なんだ? 何かめぐみんの様子が…

 

「私とハチマンは…」

 

「めぐみんとハチマンさんは…?」

 

突然めぐみんが俺の腕に抱きついてきた。

 

えっ…なになに急に何すんのこの子…

 

「おい、離……」

 

「私とハチマンはこんな関係です」

 

「はぁ⁉︎ お前何言って…」

 

めぐみんが突然爆弾発言をしやがった。

 

からかうためとは言えこれは心臓に悪い。

 

現に今も俺の心臓がバクバクいってる。

 

「ま、冗談ですけどね。 ゆんゆん? あれ? ゆんゆん?」

 

めぐみんが俺から離れ、ゆんゆんを見ると…

 

見事に固まっていた。

 

「おいどうすんだよこれ、ゆんゆん動かないぞ」

 

「仕方がありませんね、動かないのならいっそゆんゆんの服を全て剥ぎ…」

 

「それやったら2度とお前と話さんからな」

 

「…仕方ないですね。 ゆんゆん、いい加減に戻ってください」

 

めぐみんがゆんゆんの頭を数回叩くと…

 

「はっ…! え、えっと…お幸せにっ‼︎」

 

「いや…ゆんゆんあのな…」

 

めぐみんがゆんゆんにさっきのは嘘だという事を伝えた。

 

全く…マジで心臓止まるかと思ったぞ。

 

「え…嘘なの⁉︎ は、ハチマンさんめぐみんと何もないの⁉︎」

 

「あるわけないだろ」

 

「な、なんだぁ…びっくりしました…あ、じゃあなんでハチマンさんとめぐみんが一緒にいるんですか?」

 

やっと本題に入れた。

 

「実はですね、今日カズマとハチマンのパーティーメンバー全員でウチでお泊まりパーティーをしようと思ってるんですが、来ますよね?」

 

頼むゆんゆん、断ってくれ…

 

「私としては、親友であるゆんゆんには是非是非来て欲しいのですが…」

 

「! 行く行く! もちろん行くよ! おじゃまします!」

 

ゆんゆん…お前本当にチョロいな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ゆんゆんが来る事は決定したので、後はクリスだけです」

 

「クリスは絶対に来ないと思うぞ」

 

クリスは寝る時はいつもエリスに戻ってたからな。

 

屋敷に行ったらエリスになれないし。

 

 

 

……と、思っていたら…

 

「お泊まり? 勿論行くよ!」

 

あっさりOKしてしまった。

 

俺はクリスだけに聞こえるように小声で

 

「おい本当にいいのか? 屋敷だとエリスになれないんだぞ」

 

「1日くらいなら別に大丈夫だよ」

 

マジかよ…クリスは絶対断ると思ってたのに…

 

「さぁハチマン! これであなたのパーティーメンバーは全員ウチに泊まる事が決定しました! どうしますか?」

 

ニヤニヤしながらめぐみんが聞いてくる。

 

俺は はぁ… と溜息を吐き

 

「…分かったよ、泊まればいいんだろ」

 

その瞬間めぐみんが笑顔になり

 

「では食料を買いに行きましょう! 新たに3人分の食材を買わなければ!」

 

なんだかんだ言って、実はめぐみんも楽しみにしてるのかもしれない。

 

 


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