この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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見てなかったからいつ超えたか分かりませんが…ありがとうございます!


14話 「この捻くれた男に相談を!」

「いいですかハチマンさん。 あまり無茶はしないで下さい。 今回は無事だったからいいですが、もしもの事があったら…」

 

俺は比企谷八幡。 ぼっちだ。

 

今俺は馬小屋でエリスにお説教されている。

因みに俺は今正座だ。

 

「は、反省してます」

 

「そもそも、どうして今回パーティー交換なんてしたんですか? ……もしかして、私達とのパーティーは嫌とか…」

 

「それはない。 断じてない。 神に…いや、戸塚に誓おう」

 

「とつか…とは分かりませんが…ならいいです」

 

どこか安心したように、エリスがホッと息を吐く。

 

本当にクリスの時とは雰囲気が違うな。 どっちが素なんだろうか。

 

「でも、本当に焦ったんですからね。 私とゆんゆんさん。 ハチマンさんの代わりにカズマさんが来て、もしかしたら…って…」

 

「……本当にごめんなさい」

 

確かに相談なしに勝手に決めたのは悪かったな。

エリスもこう言ってるし、今度からはちゃんと相談しよう。

 

「はぁ…今日はハチマンさんも疲れたでしょうし、明日はクエストに行かずにゆっくりしましょう」

 

「そうだな……で、そろそろ正座やめていいか? 流石にキツイんだが…」

 

「………あぁ、そうでした。 まだ聞きたい事があったんでした」

 

マジで? まだあるの? 本当にキツイから勘弁して欲しいんだけど…

 

「さっきめぐみんさんとその…いい雰囲気でしたけど、何があったんですか?」

 

「何って…何もな…」

 

「えいっ」

 

「うおおっ…⁉︎」

 

エリスが俺の後ろに回り、俺の足をツンツンする。

 

正座してる奴にそれはやめろ、マジでやめろ!

 

「もう一度聞きますね? 何があったんですか?」

 

「……エリスも聞いただろ…めぐみんをゴブリンから庇って気絶した。 それだけだ」

 

「ゴブリンから庇って…どうやって庇ったんですか?」

 

なんでこの人こんな詳しく聞いてくるの?

 

……まぁはぐらかしたらまたツンツンされるから、言うけどね。

 

やだ八幡ったら、女性に逆らえないわ。

 

「…めぐみんの頭上に、ゴブリンがハンマーを振り下ろしながら降って来たから、めぐみんを突き飛ばして俺が代わりに…」

 

…そういえば今回の事。 俺が雪ノ下と由比ヶ浜を突き飛ばして引かれた時と似てるな。

 

まぁ今回は生きてるんだがな。

 

俺がそう言うと、エリスはふむふむと頷き…

 

「…なるほど…それなら納得ですね」

 

「何がだ? ……それより、もういいだろ? 本当に勘弁してくれ…」

 

ヤバイヤバイ、足が…!

 

「あ、はい。 もう普通にしていいですよ」

 

「よし…! ……あぁっ…⁉︎」

 

足を崩そうと動かす寸前に、エリスがまた俺の足をツンツンした。

 

そのせいで俺は地面に倒れる。

 

……もう立ち上がりたくない。

 

「すみません。 最後にやってみたくて」

 

エリスは意地悪そうに笑いながら言った。

 

……エリスもイタズラとかするんだな。 以外とお茶目なのかもしれない。

 

「人にイタズラするって事は、自分もされる覚悟があるって事か」

 

「え…?」

 

「もし…もしだ、エリスが何かやらかした時……覚悟しとけよ?」

 

「え…」

 

エリスの顔がどんどん青くなる。

 

「す、すみません…! 謝るので…下着だけはどうか…!」

 

「は? 下着?」

 

何言ってんだエリスは。

 

「俺はエリスに正座させて足をツンツンしてやろうと思ったんだが」

 

「え? …あ、そっちですか、良かった…」

 

「……聞かない方がいいよな?」

 

「…お願いします…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ハチマンさん! 朝ですよ」

 

「…ん? あぁ、おやすみ」

 

「はい、おやすみなさい。 ……ん? 何言ってるんですか自然に寝ないで下さいよ! 朝ですよ⁉︎」

 

そう言ってエリスが俺の毛布を剥ぎ取る。

 

エリスは早起きだ。 早寝早起きがちゃんとできる。

 

流石は女神、真面目なんだな。

 

 

……アクア? 誰だそいつ。

 

「うぅ…寒い…今日は何もしないんだろ?」

 

「何もしないですけど、だからって怠けてちゃダメですよ。 ホラ起きる!」

 

「…へいへい」

 

俺はゆっくりと立ち上がる。

 

するとエリスが光りだす。 もう慣れたもんだ。

 

「じゃあハチマン君。 あたしは今日予定あるから、出掛けるね! あたしが居ないからって寝ちゃダメだよ!」

 

「分かってるよ、何しに行くんだ?」

 

そう言うと、クリスは頬の傷を触り…

 

「あー……女神の義務…? ってやつかな? とにかく、行ってくるね!」

 

「お、おう」

 

はぐらかしたなクリスの奴。

 

まぁ、隠したい事は誰でもあるもんな。

 

うん、パーティーメンバーとは言え隠し事があるのは当たり前だ。

 

うん。 別に悲しくないぞ。

 

「さて…寝るわけにもいかないし、散歩でもするか…」

 

とりあえず着替え、馬小屋から出た。

 

 

「そろそろ装備を新しくしてもいいかもな」

 

今俺が着ている服は安物の灰色の地味な服だ。 前に買ったんだが、こんな服に防御力なんて物は勿論ない。

 

だからこの機会に防御力のある装備に変えて、少しでも強くならないとな。

 

「あれ? ハチマンじゃないですか」

 

「ん? めぐみんか、なにしてんだ?」

 

俺が服を見て悩んでいると、袋を持っためぐみんが歩いてきた。

 

「私は食料の買い出しです。 ハチマンは?」

 

「俺は暇だから、この機会に防御力のある服を買おうと思ってな」

 

「服ですか…」

 

めぐみんは俺の着ている服をジロジロと見て…

 

「ハチマンは今の服の方が似合ってますよ。 なんだか”ハチマン!”って感じで」

 

「…俺の事地味って言いたいの? まぁ実際地味だけどさ」

 

地味な服が似合うってなんだよ。

 

まぁ…似合うならもう少しこの服のままでいいか。

 

「んじゃ買うのやめるわ。 じゃあな」

 

「え⁉︎ ちょっと待って下さいよ! 話しましょうよ!」

 

「嫌だよ。 俺は暇じゃないんだ」

 

「さっき暇って言いましたよね⁉︎」

 

ちっ…覚えてたか。

 

「で? なんだよ。 金は貸さないぞ」

 

「結構です。 ちょっと相談したい事があるのです」

 

「相談?」

 

「はい。 なのでギルドに行きましょう。 そこで話します」

 

相談とは何だろう。

 

とりあえずギルドに行くというなら付いて行こう。

 

「分かった。 ほら」

 

「…はい?」

 

俺はめぐみんの方に右手を出す。

 

めぐみんは俺の右手を見ると…

 

「はい」

 

「……なんで手を繋ぐんだ?」

 

「え? 手を繋ぎたいんじゃなかったんですか?」

 

なんで恋人でもないのに手を繋いで歩かなきゃいけないんだ。

 

どんな拷問だよ。

 

「違ぇよ。 荷物。 持つからよこせ」

 

「あぁ…荷物ですか」

 

めぐみんはそう言うと、持っていた食料の入った袋を俺に渡してきた。

 

「意外と気がきくんですね」

 

「まぁな。 俺は専業主夫になる男だ。 荷物持ち、買い物、料理、洗濯は俺の仕事だ」

 

「ダメ人間です。 ダメ人間がここにいます」

 

そんな話をしながら歩いていると、ギルドにつき、2人用の席に座った。

 

「で、相談ってなんだ」

 

「はい、実は、最近カズマが朝帰りをするのです」

 

「………今なんて?」

 

「最近カズマが朝帰りをするのです」

 

「…嘘だろ?」

 

「本当です。 最近夜な夜な屋敷を出て行って、朝に満足した様子で帰ってくるのです。 そして朝帰りをした日のカズマは、とても機嫌がいいのです」

 

え…朝帰りって…まさかカズマの奴…

 

「そこでハチマンにお願いがあるのです!」

 

「…なんだ?」

 

「カズマが屋敷を出た日、カズマを尾行して欲しいのです!」

 

………めんどくさ。

 

「嫌だよ。 なんで俺がそんな事…」

 

「お願いしますハチマン…」

 

めぐみんが下を向いて頼んでくる。

 

なにこれ…こんなこと言われて断れる奴いるのか?

 

「わ、分かっ……た…」

 

いるはずないよな。 うん。


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