この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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初めまして! Bashiです! ハーメルンで小説を書くのは初めてですが、面白い作品を作れるように頑張るので、よろしくお願いします!

この作品はこのすばと俺ガイルのクロスです。


1話 「女神と共に、比企谷八幡は異世界へと向かう。」

「比企谷 八幡さん。 あなたは不幸にも先程亡くなってしまいました。 辛いでしょうが、あなたの人生は終わったのです」

 

唐突に言われた言葉。

 

周りを見ると、そこには何も無く、ただ白い空間が広がっていた。

 

そして俺の目の前で椅子に座り、まっすぐ俺を見る存在が居る。

 

「あ、あー……お、おみゃえ…じゃない。 お前、誰だ?」

 

噛んでしまった、だってしょうがなくない? ボッチが初対面の人と普通に話せる訳無くない?

ハチマンワルクナイ。

 

「ぷっ…あっ、すみません」

 

笑ったか? 今笑ったのかこいつ。

 

ちょっと、いやかなり可愛いからって調子に乗りやがって……

 

「あなたの言う通り、自己紹介がまだでしたね。 私はエリス。 幸運の女神 エリスです」

 

「女神?」

 

「はい、信じられないでしょうが、本当に私は女神です」

 

「いや、信じるぞ。 俺はもう2人の女神を知ってるからな」

 

小町とか戸塚とか……あと戸塚もいたな。

 

小町と戸塚マジ天使! いや女神‼︎

 

「そ、そうですか。 信じてくれますか」

 

「あぁ、んで、なんだっけ? 俺が死んだ〜だっけ?」

 

「あ、はい。 そうです、あなたは先程、お亡くなりになりました」

 

「だろうな」

 

あれで死ななかったら俺は選ばれし英雄か何かだろう。

 

あれは総武高校からの帰り道だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ひきが……ヒキタニガヤ君、もう部活の時間は終わりよ。 鍵を閉めるから早く部室からでなさい」

 

「ヒッキー早くするし!」

 

「ちょっと待ってくれんかのぉ…今本を鞄にしまってますのでねぇ」

 

もう外は夕方、今俺が居るのは奉仕部の部室だ。

 

俺以外の2人の女子は、黒髪の見た目は美少女、中身は毒舌女王の雪ノ下雪乃と、見た目はビッチ、中身はバカの由比ヶ浜結衣だ。

 

その2人に見られながら、現在俺は帰りの準備をしている。

 

「なんでおじいちゃんみたいな口調で話してるのヒッキー!」

 

「そんないやらしい本を学校で読むなんて……エロ谷君の思考回路は異常ね」

 

「この表紙を見ていやらしいって言えるお前が凄いよ」

 

俺が読んでいたのは少年漫画だ、いつもは小説だが、今日は漫画を読みたい気分だったから漫画を持ってきた。

バリバリのバトルもので、表紙を見れば1発でバトル漫画だと分かるはずなんだがなぁ…

 

「よっし、待たせたな」

 

「本当だよ! これから予定あるんだからね!」

 

「へいへい、すまんのぉ」

 

「またおじいちゃん口調⁉︎」

 

「老人は敬うのが当たり前だけれど、コレは敬う気になれないわね」

 

ついにコレ呼ばわりだ、相変わらず雪ノ下は毒舌だな。

俺以外の奴だったら吐くレベルだろこれ。

 

「なんとか谷君のせいで鍵を閉めるのが3分も遅れてしまったわ、この男はいくら他人に迷惑をかければ気がすむのかしら」

 

「3分くらいいいだろ…」

 

「あら、3分あればいろいろできるわよ? 例えば本を1ページ読み終えることが出来たり、料理の下ごしらえをしたり、あとは…」

 

「あー分かった分かった、俺が悪かったよ。 今日なんか1つ奢ってやるから許せ」

 

このままでは雪ノ下先生の3分で出来ること講座が始まってしまう。

ここは早めに謝っておいたほうがいいだろ、謝る事は大事だ。

 

「えっ! ヒッキー何か買ってくれるの⁉︎」

 

「物で許して貰おうだなんて浅はかね、貢ぎ谷君」

 

「お前の講座を聞かなくて済むんならいくらでも貢いでやるよ」

 

「あら、聞いた? 由比ヶ浜さん、今のが将来ヒモになるヒモ谷君の言葉よ」

 

「うん、ちょっとドン引きだよ」

 

ちょっとドン引きってなんだ。

 

ちょっとなのかドンなのかはっきりしてもらいたいもんだ。

 

「あーもういいだろ、行くなら早く行こうぜ」

 

「ひ、ヒッキーが珍しく乗り気だ!」

 

「うるせぇ」

 

「では私は職員室に鍵を返してくるわ、谷君、くれぐれも由比ヶ浜さんにいかがわしい事は…」

 

「しねぇよ」

 

俺がバッサリ言うと、雪ノ下は職員室へと歩いて行った。

 

「ヒッキー早く行こ!」

 

「そんな急いでもどうせ雪ノ下が来るまで帰れないんだ、ゆっくりでいいだろ」

 

「え、それってヒッキー、まさかあたしと長く歩きたいって事?」

 

「よし早く行こう! ほらキビキビ歩け、置いてくぞ」

 

「あー待ってよヒッキー‼︎」

 

今日、俺達奉仕部は放課後にデパートへ行く事になっている。

俺はこいつらと”本物”の関係になり、1度は崩れかけたが、徐々に元通りに戻りつつある。

 

懐かしいこの何気ない会話、やっぱりこの部活が1番居心地がいい。

 

下駄箱について少し待つと、雪ノ下が歩いてきた。

 

「ゆきのん遅かったね、何かあったの?」

 

「えぇ、平塚先生に捕まってしまってね」

 

「なんか言われたのか?」

 

「奉仕部に依頼よ、明日一色さん以外の生徒会の人が用事があるから残れないらしいの」

 

「なるほど、だから俺たちが手伝えと」

 

「ならいろはちゃんが直接来ればいいのにね」

 

「いえ…今日1度は来たらしいわ」

 

「え、そうなの⁉︎」

 

「でもその…入りずらかったらしいわ」

 

「なんでー?」

 

察しろよ由比ヶ浜さん!

 

雪ノ下が顔真っ赤ですよ、きっと雪ノ下は平塚先生からこう言われたのだろう。

「一色は1度は行ったらしいが、お前達が楽しそうに話してるもんだから入りずらかったらしいぞ」

 

とな、やべぇ、考えたら俺まで顔が赤くなってきた。

 

「ま、まぁその事はもういいだろ。 はやく行こうぜ」

 

「そ、そうね。 あなたに従うのは癪だけれど、行きましょう」

 

「なんで2人共顔が赤いし!」

 

アホの子由比ヶ浜には分からないだろう、きっと分かっても「えへへ〜、あたし達仲良いもんね!」などと言ってくるに違いない。

そんなの八幡耐えられない!

 

ーーデパートへの道ーー

 

俺たちはあれから適当に話しながらデパートへ向かっている。

 

雪ノ下と由比ヶ浜が前で話しながら歩き、俺がその後ろで適当に相槌を打ちながら歩く。

いつも通りの日常だ。

 

「ねぇねぇ、ゆきのんは今日何買う予定なの?」

 

「そうね…新しいカップが欲しいと思っていたから、カップを買おうと思うわ。 由比ヶ浜さんは?」

 

「あたしはねー、髪どめとかかなー。 ヒッキーは?」

 

え? 何? 急に俺に聞く?

 

デパートで買う物なんか無いぞ……

 

「ヒッキー?」

 

「あ、あぁ買う物ね、買う物……ま、漫画とか…かな」

 

「デパートで漫画⁉︎」

 

「この男はデパートで買う物が分からないのよ、察してあげなさい?」

 

「あ、うん」

 

合ってるけど、雪ノ下に言われると罵倒されてる感が凄いな。

流石女王様。

 

「今、何か失礼な事考えたわね?」

 

「えっ、イヤナニモ」

 

「そう、私が女王なら、あなたは貧民ね」

 

「⁉︎」

 

なぜ分かった⁉︎ 口に出てたのか⁉︎

 

「ゆきのん、信号青だよ!」

 

「えぇ、行くわよ貧民谷君」

 

雪ノ下と由比ヶ浜が横断歩道を渡る、俺も渡ろうと思って、気づいた。

 

俺は2人より離れた場所にいたから気づくことが出来たが、雪ノ下と由比ヶ浜は話し中だ、気づいてない。

 

ーーーートラックが、猛スピードで走ってきている事に。

 

「ちっ、雪ノ下ぁっ! 由比ヶ浜ぁっ!」

 

「きゃっ!」

 

「わっ!」

 

俺は2人の背中を思い切り押した、2人は道路に倒れ、次の瞬間、俺の身体に凄まじい痛みが走った。

 

そこで俺の意識は途絶えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「俺はトラックに轢かれて即死、これであってるか?」

 

「は、はい。 あってますが…随分冷静ですね? 普通は泣いたり現実逃避したりと、もっと取り乱すものですが……」

 

場面は先程の白い空間に戻る。

 

「まぁ、死ぬだろうなとは思ってたしな」

 

「悲しくは、ないんですか?」

 

は? 何を言ってるんだこいつは。

 

「何言ってんだ、悲しくないわけないだろ。 もうあいつらには会えないんだぞ? やっと…やっと戻れたのに…」

 

ポタ…ポタ…とズボンに何かが落ちる。

 

これは…涙だ、俺は泣いているのだ。

 

今更、泣いたところでどうにかなる訳じゃない。

 

俺の人生は…あいつらとの関係は、終わったんだ。

 

「あ、そうだ…おい女神!」

 

「は、はい!」

 

今まで悲痛な表情で俺を見ていた女神が、ビックリしたように返事をする。

 

「雪ノ下と由比ヶ浜は…? あいつらはどうなった⁉︎」

 

「あ、えと…」

 

「あいつらは生きてるのか⁉︎ 俺は、ちゃんと助けられたのか⁉︎」

 

これだけは、これだけは聞かなければいけない。

 

「大丈夫です。 あなたと一緒にいた女性2人は無事です。 ちゃんと生きてますよ」

 

「そ、そうか…良かった…」

 

「ですが…」

 

女神が言いにくそうに顔を逸らす。

 

なんだ?

 

「あなたが目の前で亡くなった事を見て、あの2人の精神は不安定になってしまいました」

 

「………は?」

 

「長い髪の女性は不登校になり。 短い髪の女性はいつも独り言を呟いています。 まるで、誰かに話しかけているように」

 

「……ま、マジかよ…」

 

「よっぽどショックだったのでしょう」

 

「なぁ、頼みがある」

 

俺はある事を思いついた、女神は日本の事を見る事が出来る。

なら、話しかける事も出来るのではないか? と……

 

俺は地面に膝をつく。

 

「あの2人に一言だけ、言いたい事がある。 伝えさせてくれ。 ………お願いします」

 

俺は土下座をする。

 

女神は俺の土下座を見て椅子から立ち上がり、オロオロしだす。

 

「ちょちょ! やめて下さい!」

 

「頼む、一言だけでいい。 伝えさせてくれ」

 

「………ハッキリ言いますね」

 

女神の声音が変わり、俺は女神を見る。

 

「天界から下界に何かを伝える事は…出来ません」

 

「…………」

 

そりゃそうか、死んだはずの人間が何かを言えるはずがない。

 

分かってた事だろ。

 

「ですが、1つだけ。 手段があります」

 

「なに…?」

 

「天界では、亡くなった人達に3つの選択肢を与えています」

 

「選択肢?」

 

「はい、1つ目は、記憶を消して、また1から日本で新しい人生を歩む事」

 

「却下だ」

 

「でしょうね、2つ目は、天国へ行き、なにもない場所で何もしないで過ごすか」

 

「き……………却下だ」

 

「なんでちょっと迷ったんですか…、そして3つ目。 異世界に転生して、魔王を倒す事です」

 

「異世界?」

 

「はい、日本とは別の世界です。 その世界には魔王が居て、様々な悪さをしています。

だから私達はより多くの人たちを異世界に送り、魔王を倒してもらおうと思っているのです」

 

異世界か、ラノベの中だけかと思ってたが、本当にあるんだな。

 

「で、その手段ってのは?」

 

「はい、見事魔王を倒して頂いた暁には、なんでも1つだけ、願いを叶える権利を与えます」

 

「! 何⁉︎ 本当か⁉︎」

 

「はい、嘘はつきません」

 

って事は、またあいつらと一緒に過ごせるって事か。

 

「では比企谷八幡さん。 1から新しい人生を始めるか、天国で暮らすか、異世界で魔王を倒すか、どれがいいですか?」

 

女神は両手を広げ、微笑みながら言った。

 

そんなの、決まってるだろ。

 

「もちろん、異世界だ。 魔王を倒してやるよ」

 

「では、こちらから特典をお選びください」

 

「と、特典?」

 

そう言って女神は俺の前に分厚い本を置く。

 

本をめくると色々な言葉が書いてあった。

 

聖剣エクスカリバーやら、魔剣グラムやら、いろいろな名前が書いてある。

 

やめろ…俺の黒歴史を思い出してしまう…

 

「転生者がすぐに死なないように、特典を1つ渡すことになっています、強力な武器だったり、防具だったり、道具だったりと、なんでもありますよ」

 

「ようするに、チートを1つあげますよって事か」

 

俺は真剣に選ぶ、この選択は大事だ、ここで間違えれば魔王を討伐できないだろう。

 

「オススメってあるのか?」

 

「はい! やっぱり武器や防具ですね、武器は持ってるだけで効果を発揮しますし、防具は命を守るものですから」

 

「なるほどな」

 

なら却下だ、一体何人の日本人が異世界に送られてるかは知らんが、初見なら絶対に武器を選ぶはずだ。

 

それで今も魔王が討伐されてないって事は、武器を貰っても意味が無かったからではないだろうか。

 

武器はダメ、防具もダメ、ならどうする……

 

「ん? なんだこれ?」

 

俺は《幸運の加護》というのを見つけた。

 

「なぁ女神、幸運の加護ってなんだ?」

 

「あぁ、それはですね、私が作った加護でして。 相手の致命傷になる攻撃が致命傷にならなかったり。 こっちの攻撃が致命傷になったりするという加護ですね」

 

「え、強すぎない?」

 

「えぇ、運が良ければ一撃で相手を倒す事も可能です」

 

「そういえばお前、幸運の女神だったな」

 

「はい、私の事はエリスと呼んでくれて構いませんよ」

 

「決まったぞ、エリス」

 

俺は決めた、俺が選ぶのは……

 

「俺が選ぶのは、この…「かしこまりました」 ……は?」

 

え? まだ何も言ってないんだけど……

 

俺の言葉を遮った声の方を見ると、エリスの横に魔法陣が出来ており、そこから羽根が生えた少女が出てきた。

 

「え? どうしたんですか? なんであなたが…」

 

「エリスさん、比企谷八幡さんの願いにより、あなたを特典として異世界に送ります」

 

「えぇ⁉︎ 私を⁉︎」

 

「は⁉︎」

 

ちょ、ちょっと待て! 俺はエリスなんて一言も……あ…

 

「決まったぞ、エリス」

 

言ってた。

 

「待て待て待て! 変更! 変更だ! 第一女神を連れてくなんて普通は禁止だろ!」

 

「いいえ、以前にも特典に女神を選んだ方が居ました。 なので大丈夫ですよ」

 

「待って! 八幡さんも変更って言ってるし…」

 

「天界規定により、特典の変更はできません」

 

「うぐっ…」

 

エリスが悲しそうな表情になる。

 

諦めないでエリスさん!

 

「ご安心くださいエリスさん、魔王が倒されれば戻ってこれますから」

 

「ええぇぇ……」

 

もう1人の女神がエリスの肩を叩くと、俺とエリスの足元に魔法陣ができる。

 

「ではあなた方を異世界に送ります。 ご武運を!」

 

「マジかよ……」

 

「そんなぁ……」

 

こうして、俺とエリスは異世界へと送られた。




どうでしたでしょうか?

なにかアドバイスや直した方がいい箇所がありましたら教えてくれるとありがたいです!

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