えぇと前回で。
カタストロフと・・・“
だと思われた方がいたみたいで。僕自身もそっちにいくのか!と思いましてw全く頭になかった・・・。与謝野ばっかり頭にあった。
誤字報告もあり、この作品は愛されてるなぁと思うと同時に自分の身が引き締まる思いです。
では第二章 十七話 どうぞ!
PM15:00《武装探偵社》
「小僧が
「は…………はい」
現在、武装探偵社は『省庁幕僚の護衛』と云う危急の依頼で上から下へと人が流れていた。調査員から事務員まで目の回る思いだ。
そんな中、軍警より武装探偵社に一報が入った。其の捜査に携わったのは谷崎だった。谷崎は目撃者に状況を聞くなどして裏付け捜査を行い、国木田に報告した。
「く、
「目撃者に拠ると白昼の路上で襲われ、
「
「何とか助けないと此の儘では……」
「助ける? なんで?」
谷崎と国木田の会話を遮ったのは乱歩だった。
乱歩は片手にソフトクリームを持っている。其れが乱歩の通常運転なのだから誰も気にしないが、此の緊迫した状況には似合わない。
「彼が
「でも! 敦君は探偵社の一員で……」
「……乱歩さんの云う通りだ。俺たちが動くのは筋が違う」
乱歩に加え国木田からも敦の捜査を拒否された谷崎は口籠った。
敦は“人虎”や“懸賞”と云う個人的な問題以外にも、区から“災害指定猛獣”として手配されている為、警察には頼れないのだ。
論破された
「あの、こんな時、“八幡さん”なら
「ナ、ナオミ……」
「八さんなら…………」
「其の問いが何の意味を持つか知らないけど…………恐らく八なら理屈をこねくり回した捻くれた考え方で、筋は通っていなくても説得力のある論で僕達を説き伏して、敦君を助けに行くだろうね」
「では……」
谷崎兄妹の問いに乱歩は何時までも冷静な返答をする。
八幡ならば、其の回答が出来るのは探偵社に於いても限られていた。
「でも────其の肝心な八が居ない。電話も繋がらなければ携帯に備わっているGPSも機能していない。だったよね? 国木田」
「は、はい。何かしらの
「だとさ。其れに居ない人の考えを幾ら論じた処で所詮他人の考えだよ。其れに八の云い分なんて本人にしか判らないさ。理解したかい? 谷崎兄妹」
「「…………」」
至極真っ当な意見に二人は黙り込んでしまう。国木田さえも口を開きかけたが理に反するので口を閉ざした。乱歩の意見に意義を唱える者は居ない─────事務員と調査員を除けば、の話だが。
「恐らくこう云うだろう。『自身の心を押し殺して上辺を取り繕う関係は“本物”ではない』…………と」
「「「社長ッ!?」」」
探偵社社長“福沢諭吉”は乱歩の理屈を遠まわしに否定した。
社長の威厳のある態度と重い言葉に探偵社員は一度作業を止め、福沢に視線を集める。
「全員聞け!! 新人が
『凍結ッ!?!?』
探偵社に驚愕が伝播していく。思いもよらぬ言葉に探偵社の社員は開いた口が塞がらない。
「小役人共を待たせる程度の貸しはある。
「社長〜善いの? ほんとに?」
「…………何がだ乱歩」
「何ってその……理屈でいけば」
「仲間が窮地、助けねばならん。其れ以上に重い理屈が此の世に有るのか?」
「むぐ………………」
福沢の有無を云わせない迫力は乱歩を黙らせた。
其の様子を見た社員たちは敦の捜索に重点を置き本腰を入れた。
────
同時刻《ポートマフィア 地下監獄》
「…………頃合いかな」
「相変わらず悪巧みかァ太宰!!」
「最悪、うわぁ最悪」
「こりゃ最高の眺めだ。百億の名画にも
囚われた太宰の目の前に現れた男は幸甚の至りの如く笑みを浮かべた。
男の名は“中原中也”
座右の銘《之で太宰さえいなければ》
ポートマフィアの幹部にしてポートマフィア時代の太宰の相棒である。中也は漆黒に茶の線が入った
笑みを浮かべる中也とは打って代わり、太宰は怪訝な表情を見せる。
「良い反応してくれるじゃねぇか。嬉しくて
「プッ。わぁ黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる」
「なっ!」
太宰の身長は百八十を超えているのに対して、中也は百六十ぴったりである。齢は二十二と同じなのだが。
「前から疑問だったのだけれど、其の恥ずかしい帽子は何処で購うの?」
「ケッ! 云ってろよ
「うん」
「否定する気配くらい見せろよ…………」
ケロッとした表情の太宰に対して呆れた表情を見せる中也。相反する二人の温度と表情は見る人が見れば犬猿の仲だろう。
「だが今や
「…………」
「────少し怪しいぜ。
「何って…………処刑待ちだよ」
「
皮肉にも元相棒だからこそ感じ取れる違和感。
考え無しに捕まる様な阿呆であればポートマフィア時代に殺してきたと中也は心でごちる。
「ふふ。考えすぎだよ。其れで中也は何しに来たのさ?」
「嫌がらせ」
「…………!」
「あの頃の
ドゴォッ!! と鈍い音を伴い中也の裏廻し蹴りは太宰を繋いでいた鎖と背後の壁を粉砕した。
太宰は両手が自由になる。中也は其の様子の太宰を見て再度笑みを浮かべ、太宰を指差す。
「
「へぇ……」
「俺と戦え太宰。
「…………中也」
「あァ?」
太宰は指を鳴らした。すると太宰を捕らえていた手錠が音を立てて下に落ちる。
中也は驚愕に目を見開くが其れも一瞬。直後に浮かんだ口元の笑みは弱者を狩る獰猛な獣、其の物だった。
「君が私の計画を阻止? ……冗談だろ?」
「何時でも逃げられたって訳か……良い展開になって来たじゃねえか!」
PM16:00《武装探偵社 会議室》
「誘拐を目撃した観光客が偶々撮影したものです」
会議進行の国木田の発言から会議が始まった。
会議室に集まっている調査員は国木田、与謝野、賢治、乱歩、そして社長の福沢である。
会議室のホワイトボートに貼り付けてある写真は敦を乗せた
「ありふれた
「はい。
「……」
「
「其奴らに聞けば輸送先は判る……か」
「はい。マフィア外で誘拐の全容を知るのは此奴らしかいません。現在、谷崎が調査中です」
プルルル………………ピッ、現場を訪れていた谷崎からの着信だ。
「
『やられました!! 口封じに全員殺されてます!!』
「────ッ!?」
『湖の底みたいに静かで人の気配がありませんっ!! 生存者は恐らくゼロです!』
「芥川か! 糞ッ!!」
「…………」
「どうすンだい? 唯一の手掛かりが」
状況から推測するに“カルマ・トランジット”はポートマフィアに利用されるだけ利用され芥川によって消された。
打つ手無しの最低最悪の状況に“絶望”と云う二文字が国木田らの頭をよぎる。
そんな状況の最中、福沢は写真を数枚手に取り、或る青年の元へ歩き出した。
「乱歩、出番だ」
「……やんないと駄目?」
「乱歩さん、此処はどうか……」
「乱歩。若し
「特別
最後の綱である乱歩は乗り気ではない。国木田や与謝野が頼んだところで其の様子は変わらなかった。
そして福沢はゆっくり口を開いた。
「────褒めてやる。「」
「そ────」
たった一言。
周囲と協調しない乱歩は福沢の声には耳を傾ける。
福沢が放った一言は周囲にはほんの一語だが乱歩にとって其れは最上級の一語で……やる気を出させるには十分だった。
「そこまで云われちゃしょーがないなあー!!」
乱歩は懐から福沢から貰った眼鏡を取り出し掛ける。
────『異能力』“超推理”
此の世の
乱歩は横浜の地図の或る場所を指さした。
「敦君の居場所は此処だ」
「「「海ッ!?」」」
「速度は東南東に二十
「輸送先は
「船か……
「港に社の小型高速艇がある。今出せば間に合う」
福沢は懐から小型高速艇の鍵を取り出し国木田に投げた。
受け取った国木田は脇目も振らずに港に向け駆け出した。
同時刻《裏路地 とある
「此処よ」
「…………」
幼女に付いて来た八幡は裏路地に入り、ある
八幡の背後にはポートマフィアの巨漢の男が十名ほど付いて来ている。だが此処までの様で男達は
「リンタロウ、連れて来た」
「有難うエリスちゃん」
「………………」
其の客は漆黒の
「久しぶりだね。
「…………今日は
「あぁ。此処にはポートマフィアの
「………………はい」
八幡は男と真反対に座る。カウンター席に座ると
因みにエリスは
「折角だから呑むといい。私の奢りだ」
「ではMAX珈琲を」
「畏まりました」
「……相変わらずだね君は。医者としては君の健康が気になる所だねェ」
「………………要件を教えて下さい」
「そんなに急かなくても良いだろう? まぁ善い」
「幹部になる気はないかね?」
第二章 十七話終わりました。どうでしたか?
えっと最後に出てきた男と八幡の関係性について
第二章 14話『八幡』にあります。
其の話の中にポツンと大事な単語があります。傍点を打っているので分かり易いと思いますが。
付け加えるなら大過去編の中にあります。探してみてください。
もう一つだけ
最後に出てきた男は“
ここまでにしておきましょう。
前回の話で運営対応のコメントがあり、かなり凹みました。僕が報告する前に読者の誰かが報告してくれたみたいです。
然し、其れを吹き飛ばしてくれるが如く・・・
1月20日 デイリーランキング14位に入りました!!
有難うございます!!これからもランキングに乗れるよう頑張っていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします!!
毎度恒例謝辞。
たむマロンさん最高評価有難うございます!!励みになってます!!
えぇとワタクシ事ですがハーメルン専用のTwitterを始めました。執筆状況やいつ投稿するなどの情報から作品関係のツイートもしていきたいと考えています。
@TouA_ss
です。もし良ければフォローをよろしくお願いします。
ではまた次回。感想評価お待ちしてます!!