ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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半年ぶりです、グレイブブレイドです。

こちらでは何の音沙汰もなく、心配かけてしまい申し訳ございません。

早速最新話といきたいところですが、まだ完成していない状況でして…。今回は以前Twitterの方で先行公開したリュウ君対ディーアイエル戦を本サイトでも期間限定で公開したいと思います。

ネタバレが嫌な方はバック推奨です。

挿入歌「Burning My Soul」


期間限定 特別公開シーン

「切り刻んで藁と混ぜて猪の餌にしてくれてやるっ!!」

 

怒り狂うディーは10本の触手を黒い刃へ変え、リルピリンへと振り下ろそうとする。

 

リルピリンを助けようとリーファが立ち上がろうとするが、ここからでは間に合わない。

 

――リュウ君助けてっ!!

 

そう願った時だった。

 

突如、赤紫のオーラがディーの身体を包み込み、宙へ浮かせる。

 

「な、何!?体が急に……ウァアアアアアアアア!!」

 

そのままディーは念動力のようなものに操られ、岩壁や地面に転がっている岩などに何度も勢いよくぶつけられてダメージを負っていく。赤紫のオーラが消えるとヒョイと投げ捨てられ、地面へと転がった。

 

「グハッ!な、何なんだって……いうの、この攻撃は……?」

 

いきなり何が起こったのか。

 

突然の出来事に唖然としていたリーファとリルピリンの前に、1人の若い男が上空からゆっくりと地へ降り立った。

 

若い男はリーファと同じ年頃の人界人だ。ハネッ毛の黒髪、黒い瞳をしている。少し女顔よりだが整っている顔立ちだ。

 

青と赤と黒の3色をベースとした装束と鎧を身に纏い、深い青色のフード付きマントを羽織っている。一見すると全体的に魔王のような姿をしているが、リーファには正義の勇者のようにも見えた。

 

――やっぱり来てくれたんだね、君は。

 

魔王にも勇者にも見える若い男……リュウを見て安堵するリーファ。

 

「さっきは随分と楽しそうだったな」

 

最愛の人を傷つけられ、怒りに満ちた眼差しをしたリュウはそう呟く。

 

ディーも先ほど自分を攻撃したのが目の前にいる男だと分かった途端、怒りを露わにしてリュウを睨みつける。

 

「何処の誰だかわからない奴が、よくも私に傷を!!」

 

再び10本の触手を黒い刃へと変える。

 

「豚の前にお前から始末してやるっ!!」

 

狂気にまみれたディーは地面を蹴り、リュウに襲い掛かる。

 

リュウは左手で右腰に吊るした鞘から、蒼い綺麗な装飾品が付いた青みがかった銀の刃の剣を抜き取った。そして、自身に振り下ろされた黒い刃を左手に持つ剣で防いだ。

 

金属音が響いて火花を散らす。

 

リュウは右手の黒い刃を弾き飛ばし、剣を水平に振るう。すると、銀の刃に蒼炎が纏い、弧を描いてディーのわき腹を切り裂く。続けざまに剣を振り下ろして切り裂こうとするが、左手の黒い刃で防がれてしまう。

 

だが、ここでリュウの連撃は終わらない。

 

次々と斬撃を繰り出し、黒い刃とぶつけ合い火花を散らしながら、ディーを斬りつけていく。

 

業を煮やしたディーは、右手の黒い刃でリュウの連撃を防ぎつつ、左手の刃を触手へと変える。そして、リュウの背後へと回り込ませ、攻撃を仕掛ける。

 

「危ない!」

 

そう口にするリーファだったが、リュウは瞬時に自身の背中に半透明のバリアを展開し、攻撃を防ぐ。更に黒い瞳を深紅に光らせてひと睨みしただけで、赤紫の衝撃波を発生させてディーを吹き飛ばす。

 

ディーはよろめきながらも立ち上がり、10本の刃を手にしてリュウに切りかかろうとする。

 

攻撃が当たる直前に、リュウはマントを翻し、赤紫の禍々しいオーラに包まれてディーの前から姿を消す。

 

「なっ!?消えたっ!?」

 

ディーがそう口にしながら辺りをキョロキョロしていると、後ろの方から殺気が伝わり、ハッとなって振り返る。しかし、気が付いた時には既に遅かった。

 

リュウは羽織っているマントを右腕に巻き付けてドリル状に伸ばし、一方的に連続攻撃を繰り出す。

 

続けて左手に持つ剣を上にかざすと、彼の前に紫色の剣の形をしたエネルギー体が10本出現する。そして、突きを放つ動作をした瞬間、剣状のエネルギー体がディーに目掛けて矢のように飛んでいく。

 

「ぐわっ!!」

 

ディーは剣の光弾を受けながらも今ある空間暗黒力を全て使い、無数の足を持つ醜悪な長虫たちが何匹も集まった黒いもやが凝縮したものを形成する。死詛蟲術だ。

 

先ほど三千ものオーク族達を生贄にして二千名の術死達と形成したものよりも規模は遥かに小さいが、この男1人を葬るには十分だろう。ディーはそう思い、リュウに目掛けて放った。

 

リュウは押し寄せてくる漆黒の大破に臆することなく、強く地面を蹴り高くジャンプする。。

 

直後、刃に纏っている蒼炎が一気に溢れ出し、リュウを包み込みように龍の頭部へと形作る。

 

「どりゃああああああああっ!!」

 

蒼炎の龍と共に放った渾身の突きは、忌々しい虫たちを焼き尽くし、粉砕。更には後ろにいたディーまで炸裂した。

 

「ぎゃあああああああっ!!」

 

忌々しい虫たちが花火のように飛び散り、爆炎が上がる。ディーは後方へと吹っ飛ばされて地面に転がる。なんとか身体を起こすも、既に全身は切り傷や火傷でボロボロとなり、最初に見せていた余裕はすっかりなくなっていた。

 

燃え盛る蒼炎をバックに、リュウは左手に剣を持ち立っていた。

 

「もう誰にも、止められねぇえええっ!!」

 

怒りと憎しみが籠った叫びを上げて突進。ディーに剣を振り下ろそうとする。だが、ディーが再び作り上げた10本の黒い刃で攻撃を防がれてしまう。それでもリュウは宣言通り止めることなく縦横無尽に斬撃を繰り出し、攻撃のギアをどんどん上げていく。

 

同時にリュウの猛攻撃に圧倒されて防戦一方となったディーの苛立ちが増していく。

 

蒼炎を纏った刃と黒い刃のぶつかり合いが何度も続いたところで、鍔迫り合いとなる。

「頭にくるわね!」

 

「本当の怒りがどういうものか…教えてやるよ!」

 

リュウはそう口にして剣を振い、ディーが操る10本の黒い刃を次々と叩き追っていく。10本全部折ると、ディーの右腕と左腕を続けざまに斬り落とし、最後に思いっきり水平切りを放ち、上半身を斬りつけた。

 

どうにか膝を付かなかったディーだったが、既に反撃する体力は少しも残っていなかった。

 

リュウが左手に持つ剣を上にかざすと、何処からか蒼い炎の龍のエネルギー体が現れる。

 

蒼い龍はリュウの周りを反時計回りに一回転し、咆える。そして、リュウが剣を構えて水平に振り払った瞬間、眼にも止まらない速さでディーに向かって突撃。鋭い牙で深く噛みつき、そのまま上空まで飛んでいく。

 

「ぐわあああああっ!」

 

い龍に噛みつかれたまま空を飛び回るディー。やがて蒼い龍から解放され、蒼炎に包まれてゆっくりと地上へ落ちていく。

 

この間にも、リュウがマントを翻し、赤紫の禍々しいオーラを放ちながら地上から上空へ瞬間移動する。そして、右手をかざして念動力で一気にディーを自身の方へ引き寄せて動きを拘束。赤い禍々しいオーラを纏った剣でディーに渾身の突きを放った。

 

「ぎゃああああああっ!!」

 

ディーは勢いよく地面へと叩きつけられ、巨大な爆音と土煙が上がった。

 

土煙が晴れると地面に巨大なクレーターができ、その中心に一段とボロボロになったディーが地面にめり込んで倒れていた。

 

この時ディーはただ後悔していた。自身の体力が回復したら、すぐにあの女を解放しておけばよかったのだと。だが、これに気が付いた時には既に遅かった。

 

そこへリュウが降り立ち、今すぐにディーにトドメを刺そうと剣を持ち、刃に蒼炎を纏わせて構える。

 

刃に蒼炎のエネルギーが限界まで溜まったところで高く飛び上がって剣を振う。すると、蒼炎を纏った刃から8体もの蒼炎の龍が放たれて飛んでいく。

 

8体のドラゴンがディーに炸裂する。

 

「ぎゃああああああああああああああっ!!」

 

究極の攻撃を受けたディーは絶叫を上げながら遥か後方まで吹っ飛ばされ、凄まじい爆音と爆炎に包まれた。

 

やがて爆炎が晴れ、そこには暗黒術師団の長ディーアイエルの姿は跡形もなかった。

 

リュウは何も言わずマントを振り払い、左手に持つ剣を右腰の鞘に収める。そして、振り返ってリーファ達の方へと歩き出す。

 

「ひっ!」

 

リルピリンは、近づいてくるリュウを見て、自分もあの女のように跡形もなく消されるのではないのかと恐怖した。

 

だが、リュウはリルピリンの目の前をただ通り過ぎていき、地面に座り込んでいるリーファのところまで来て地面に片膝を付いて彼女と向き合った。

 

「ゴメンね……。あたしの、あたしの……せいだね……。あたしのせいで……」

 

リーファは、悲痛な表情で震える声を絞り出した。やがて翡翠の瞳から涙が次々と溢れ出て、地面へと落ちていく。

 

自分が捕まってしまったせいで、斬ることを躊躇ったせいで、愛する人の手を血で染めてしまった。もう合わせる顔はないと俯いてリュウから顔を逸らす。その時だった。

 

リュウは、リーファを抱き寄せて左手で顎をクイっと顔を上げさせると、自分の唇を彼女の唇へと重ねた。

 

「んんっ!?」

 

リーファは突然キスされたことに驚いてリュウを押しのけようと抗う。だが、次第に彼のことを欲する気持ちが強まり、自分の舌をリュウの舌へと絡ませる。リュウもそれに応えるように自らも舌を絡ませてリーファを求めた。

 

リュウとリーファの濃厚なキスは1分近くも続いたところで2人は唇を離した。この時既に2人の頬は赤く染まっていた。

 

そしてリュウはリーファと間近で向き合い、呟いた。

 

「謝らなくていいよ。こんなの、君が傷ついたり苦しむのよりずっと平気だから」

 

リュウは普段ならキスを交わすと、顔を真っ赤にして顔を合わせられなくなってしまう。だが、今回はリーファを安心させるように軽く笑みを浮かべる。

 

リーファはドキッとし、恥ずかしくなってリュウの胸に顔を埋める。そして、リュウもリーファの背中に両手を回して抱きしめる。このまま2人だけの世界に入り込もうとした時だった。

 

「あの~。2人ともオデのこと忘れでないか?」

 

突如聞こえてきた声に2人はハッとなって声をした方を振り向く。そこにいたのは、右目から血を流しながらジト目を向けているリルピリンだった。

 

「「いやいや!そんなことないから!」」

 

慌てて全力で否定する2人だったが……。

 

((本当は忘れてたなんて絶対言えない……))




お読みいただきありがとうございます。

今回このシーンを先行公開しようとしたのは、リュウ君が原作以上にディーを叩きのめして欲しいということが予想以上に多く、その人たちのためにフライングになりますけど見せてあげようと思ったためです。

あとは、現段階で考えているこのシーンが実際に本編でやる時に大幅に変わっている可能性があるからです。実際に原作17巻が発売された頃と比べてかなり内容が変わっているといるという…。

何のライダーを元にしているのかバレてしまいましたが、後悔はしてないです。

次回はちゃんと最新話を投稿したいと思います。不甲斐ない作者ですが、これからもよろしくお願いします。

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