ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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大変長らくお待たせいたしました。約2カ月ぶりの最新話になります。
久しぶりの投稿ですので、文章がおかしいところがあるかもしれないです。
※前にTwitterの方でもお知らせしましたが、リュウ君がSAOやALOで使用する武器名を変更しました。以前の話も時間を見つけて修正していきたいと思います。


番外編3 妖精界への帰還

死銃事件を解決してから既に数日が経過した。死銃事件関連以外にもちょっとトラブルがあったがひと段落し、俺とキリさんは無事にALOに再コンバートして戻ることができた。

 

そして、ALOに戻った俺は今、アルンの北側のテラスへ向かって飛翔をしている。

 

そこに向かっているのはリーファから呼び出しのメッセージを受けたからだ。理由はついてから話すと書かれていて、俺の中ではどうして呼び出しを受けたのか若干の不安もあった。

 

勝手にALOからいなくなって説教を喰らうのか、それともG()G()O()()()()()()()()()()()()のことを知って事情聴取を受けるのか。最悪、この2つが原因で別れ話を切り出して来ることだってある。もしも、そんなことになったら、俺はしばらくの間は絶望して寝込んでしまう気しかしない。

 

そんな不安を抱いて飛翔を続けている内に目的地であるアルンの北側のテラスまでやって来た。時々フリーマーケットやギルドイベントに利用されているが、今日は特にイベントもなく閑散としていた。アルンの北側は大した建築物もないため、観光しているプレイヤーの姿もない。

 

プレイヤーが1人もいないその場所の中央に、金髪の長い髪をポニーテールにした緑と白をベースとした服に身を纏っている少女が1人でぽつんと立っていた。

 

俺はその少女の前に降り立った。

 

「リーファ、お待たせ。ちょっと遅くなっちゃったかな」

 

「あたしとの待ち合わせの時はいつもあたしより早く来るのに、今日は遅れて来るなんて珍しいね、リュウ君」

 

俺たちはデートの待ち合わせの時みたいな会話を交わす。しかし、明らかにいつもとはリーファの様子が違うのがわかる。

 

この場は沈黙した空気に包まれ、風の音だけがする。やがてリーファが口を開いた。

 

「リュウ君、今ここであたしと戦って」

 

そう言いながら左腰の鞘に収めている長刀を抜き取る。

 

「え?どうして……?」

 

「勝手にあたしの前からいなくなったんだから、これくらいのお願いを聞いてくれたっていいでしょ」

 

ジッと俺を見つめる緑色の瞳からはリーファの決意が伝わってくる。これは断るわけにはいかないな。

 

「わかった。だけど、いつも通り手加減はしないからな」

 

俺は右腰の鞘から愛剣《ドラグニティ・レイ》を抜き取る。

 

リーファとは手合わせで普段からよくデュエルをしている。戦績は俺の方が勝ち越しているが、 剣技と飛翔能力はリーファの方が一枚上手だ。俺の方が勝ち越しているのは、彼女よりも長く仮想世界で戦ってきた経験の差だろう。だから、仮想世界では負けるわけにはいかない。

 

俺は剣を持つ左手を少し前に突き出し、右手を剣先の方に添えるようにして構える。そして、リーファは剣道のように長刀を中段に構え、まっすぐ俺を見つめる。

 

雲に隠れていた日差しが差し込んだ瞬間、俺たちは同時に地を蹴った。

 

リーファは高く振りかぶった剣を一直線に斬り下ろし、俺は身体を横にずらしてそれをかわす。直後、愛剣を振り上げるが、リーファは長刀で的確に受け止める。

 

武器が弾かれる勢いを利用し、俺はバックジャンプして一旦距離を取り、リーファに突進して剣を振るう。片手剣ソードスキル《ソニックリープ》。

 

すると、リーファは長刀を両手に持ち直して防御の構えを用い、重い一撃で反撃してきた。両手剣ソードスキル《ホロウ・シルエット》。

 

「まさか両手剣のソードスキルで反撃してくるなんてな……」

 

リーファの長刀は、片手半剣……バスタード・ソードに分類され、片手持ちの時は片手剣ソードスキルを、両手持ちの時は一部の両手剣スキルを使用できる。その代わり、片手剣としては重くて使いづらく、両手剣としては軽くて威力が足りないというデメリットも存在するが、リアルで剣道部員のリーファにとってはちょうど良いらしい。

 

「スピード重視のリュウ君が、両手剣や両手斧相手には力勝負で苦戦しやすいのは知っているからね。だってリュウ君の剣裁きは数えきれないくらい見てきたんだから」

 

「やっぱりリーファが相手だと一筋縄ではいかないか。でも、俺だって何度もリーファの剣裁きを見て来たから条件は一緒だぞ」

 

間合いを取る俺たち。だが、すぐに同時に地面を蹴り、間合いを詰めて剣を打ち合う。1合、2合と何度も剣をぶつけ合い、火花を散らす。両者共に一歩も譲らない状態だ。

 

リーファが片手剣スキル《スラント》を放ってきて、俺は軽々とジャンプして空中回転しながら攻撃をかわし、彼女の背後に回る。そして剣を逆手に持ち替えて攻撃する。リーファは多少慌てながらも長刀で俺の攻撃を防ぐ。

 

「リュウ君やるね。今のはちょっと危なかったよ」

 

「あの状態から俺の攻撃を防ぐなんて流石だな、リーファ」

 

「やっぱりリュウ君と剣を交えてる時が最高に楽しいよ!」

 

「ああ。俺もだよ!」

 

無駄の一切ない、舞踏のように美しい動作で攻防一体の技を次々に繰り出してくる。俺は彼女のリズムに同期して剣を振り続けていた。

 

戦いの最中、今戦っている相手が最愛の人だということに、俺は歓喜にも似た感情を味わっていた。SAOで命がけで戦っていた時は、俺の傍に最愛の人がいて、その人と剣と剣の交わりで楽しむ日が来るとは思いもしなかった。

 

激しく剣がぶつかり合い、大きく間合いをとった瞬間、リーファはシルフの特徴であるライトグリーンの翅を出し、空へ飛び立つ。俺も左手に握る剣を順手に持ち直し、インプの特徴であるコウモリの羽みたいな形をした黒い翅を出してリーファを追うように飛んだ。

 

剣を振り下ろし、リーファがそれを受け止めたことで鍔迫り合いになる。そして同時に後ろの方へ飛んでいき、一旦間合いを取って再び何度も剣をぶつけ合う。

 

何度目かの激しい剣同士のぶつかり合いで体が弾かれたとき、リーファはそのまま宙を後ろに跳ね飛んで大きく距離を取った。そして、宙に浮く小島に着地すると上段の構えを取る。

 

――なるほど、真っ向勝負か。面白い。

 

俺もリーファが着地した小島より下の方にある小島に着地し、構えて迎え撃とうとする。しかし……。

 

「っ!?」

 

リーファの方を見た時()()()()に気が付いた。まさか……。

 

直後、リーファは長刀を振り下ろそうと俺の方に向かって飛んできた。俺も左手に《ドラグニティ・レイ》を持ったまま、リーファの方へと飛んでいく。

 

リーファは長刀を上段で構えたところで手放し、両手を広げて眼を半ば閉じてこちらに向かってきた。

 

俺も愛剣を手放し、こっちに向かって来るリーファを受け止める。

 

手放された2本の愛剣は宙を舞って地上へと落ちていく。

 

俺たちの体は正面から衝突し、一つになって回転しながら空を舞う。

 

「良かった…リュウ君、戻ってきてくれたんだね……」

 

「えっ……?」

 

リーファの口から出た言葉に唖然とする。そんな中、リーファは眼尻に涙が浮かべながら口を開いた。

 

「あたし、実はすごく不安だったの。アビスと戦っていた時のリュウ君、前に世界樹の頂上でレデュエと戦った時みたいに命がけで戦っているように見えたから、もしもリュウ君が負けて戻ってこなかったらどうしようって……。あたし、皆と違ってSAOのこと知らなかったから、アスナさん達からラフコフの事やファーランさんとミラちゃんの事を聞いた時……あたし…怖かった…。リュウ君がいなくなる事を想像したら…怖くて…目の前が真っ暗になりそうで…震えが…止まらなかったよ…」

 

「リーファ……」

 

リーファ……スグはあの時、俺とキリさんが帰ってくることを信じて笑顔で送り出してくれた。でも、本当はすごく不安だったんだ。その上、アスナさんやザックさん達からSAOでのラフコフの概要やファーランさんとミラの死の真相、そして俺とアビスの因縁についても聞かされたらしい。それらを聞いて不安にならない筈がない。

 

俺はリーファ/スグの彼氏なのに、彼女の気持ちを理解してあげられずに何をやっていたんだ……。そう思うと、俺はリーファを受け止めている腕に力を入れて、リーファを強く抱きしめる。

 

「ゴメン、スグ。勝手にいなくなって。君を危険な事に巻き込みたくなかった、けど返って不安にさせて……。ゴメンな……」

 

今度は俺の眼から涙が零れる。

 

「リュウ君」

 

すると、リーファは抱き着きながら右手で俺の頭を撫でてくれた。

 

「謝らなくていいよ。リュウ君が無事に帰ってきてくれたんだから」

 

「けど…俺が無事に帰ってこれたのは全部スグのおかげなんだ。君のおかげで俺は逃げ出さずに最後まで戦えたし、君やキリさんがいたからアビスたちを倒すことも出来た。どっちみち、俺1人で戦う力は何もなかったんだよ…」

 

「リュウ君ったら『プレイヤーは助け合いだ』って言ったこと忘れたの?あの時も言ったけど、リュウ君が辛い時はあたしがリュウ君の手を掴んであげるから。もちろん、これからもね」

 

「そうだったな…ありがとう、スグ。君が俺の手を掴んでくれたから、俺は挫けずに戦う事ができたんだ」

 

リーファと会話を交わしている内に、俺達はふわりと草の上に着地した。

 

地上に降りてからも抱き合ったまま数分間が経過した後、俺は微笑んでリーファの顔を見ながら話し始めた。

 

「そういえば、まだ言ってなかったな。ただいま、リーファ」

 

「おかえり、リュウ君」

 

俺がそう言うとリーファは微笑んで返してくれた。そして、俺の背中に回していた両手を俺の頬に当て、目を閉じて自分の唇を俺の唇に重ねてきた。

 

「んっ!?」

 

いきなりキスされたことに少々驚いてしまうが、俺は黙ってそれを受け入れる。彼女と付き合い始めて半年以上も経ち、何度も唇を重ねてきたが、未だにドキドキが止まらなくなる。

 

「り、リーファ……いきなりどうしたんだ……?」

 

「おかえりのキスくらいいいでしょ。今度はリュウ君からして」

 

「お、俺からっ!?」

 

「うん」

 

「でも、恥ずかしいな……」

 

「あ、あたしだって恥ずかしかったんだよっ!」

 

頬を赤く染めて恥ずかしそうにしながら反論するリーファ。

 

―ーまあ、リーファには心配かけてしまったから、これくらいしてあげないと。

 

自分にそう言い聞かせて覚悟を決める。

 

「わかったよ。じゃあ、目閉じてくれるか?」

 

リーファはそれに応じて目を閉じ、今度は俺から自分の唇をリーファの唇に重ねた。

 

そして、キスを終えた俺たちは唇を離すが、恥ずかしさのあまり目を合わせられずにいた。

 

「「…………///」」

 

2人とも照れ笑いしている中、聞き覚えがある声がした。

 

「君たち、ちょっとベタベタし過ぎなんじゃないのか?」

 

その声に俺達はハッとなって離れて振り向く。

 

そこにいたのは少し不機嫌そうにしているキリさんだった。しかも、いたのは彼だけじゃない。

 

「まあまあキリト君。リーファちゃんもリュウ君のことが心配だったんだから大目に見てあげようよ」

 

妹が彼氏とイチャイチャしているのがあまり面白くないというキリさんを宥めるアスナさん。

 

「いや~、まさかリーファとリュウがイチャコラ……しかもキスしているところを見られるなんて。相変わらず甘いわね~」

 

「2人ともいいものを見させてもらったわ」

 

ニヤニヤして俺たちをからかうリズさんと微笑んでそうコメントするシノンさん。

 

「え、えっと……」

 

こういうのにまだ見慣れていなくて顔を赤くしているシリカ。

 

「クソォ!リュウだけ爆発しやがれ!」

 

悔しさのあまり地団駄を踏むクラインさん。

 

「まあまあ。クライン落ち着けって」

 

「…………」

 

そんなクラインさんをザックさんが宥め、カイトさんは憐れむように黙って見ていた。

 

苦笑いを浮かべてクラインさんたちを見ていると、何処からか殺気が伝わってきて反射的にその方向に振り向く。

 

そこにいたのは、手の血管をビキビキさせながら包丁を構え、俺に突進してくるレコンだった。

 

「えっ?」

 

レコンを見た瞬間、全身から血の気が引くのを感じた。

 

「キサマァァァァァッ!!」

 

「うわああっ!!」

 

俺は間一髪のところでかわし、体をガタガタ震わせながらレコンの方を見る。

 

「れ、レコン……?」

 

「よくもリーファちゃんの唇を……。よくもよくもォオオオオッ!!」

 

俺に対して怒りの炎を燃やすレコン。

 

「ちょ、ちょっと待てレコンっ!とりあえず落ち着いてっ!まずはその手に持っている包丁しまって、冷静に……」

 

「黙れぇえええええっ!!」

 

俺が最後まで言い終える前に、レコンはいつものように某ゲーム会社2代目社長のように逆ギレしてくるが、今回はあまりの威圧に俺はビビッてしまう。

 

「これはお前が悪いっ!全部お前が悪いっ!ちょっと顔がよくて強いからって調子に乗りやがってっ!」

 

怒りMaxのレコンは、マシンガンのように俺への一方的な文句を言いながら、俺の頬を左手の人差し指で何度も高速で突いてくる。

 

「俺、別に調子に乗っているつもりは……」

 

「殺してやる――ーー!!」

 

「うわぁあああああああっ!!」

 

「絶対に殺してやるっ!お前なんかっ!お前なんかっ!」

 

打った刀を折られて激怒するかの有名な某刀鍛冶さんのように包丁を振り回しながら追いかけてきて、俺はそんなレコンから必死に逃げる。

 

「レコン君落ち着いてっ!!」

 

オトヤが止めに入ろうとするが、怒りのあまり暴走するレコンを止めることはできなかった。

 

俺もこのままあの有名な鬼狩りの少年のように1時間追い回されるのではないかと半分諦めていた時だった。

 

突如、俺を追いかけるレコンの目の前を何かがビュン!と音を立てて飛んでいき、近くにあった木にダン!と音を立てて突き刺さった。

 

何なのかと思いながら、その方向に視線を向けると、そこにはノコギリが突き刺さっていた。

 

これを見たレコンは一気に顔を青ざめ、恐る恐るノコギリが飛んできた方を振り向く。するとそこには、どす黒いオーラを放って右手にハンカチを握りしめたリーファがいた。

 

「レコン、これ以上リュウ君を追いかけまわすと、刻むよ?」

 

リーファは何処かのネットアイドルみたいに、黒い笑みを浮かべて首を傾げながら手に持ったハンカチをねじる。

 

「す、すいません……」

 

これには流石のレコンもビビッて、すっかり大人しくなる。レコン以外のこの場にいた人たちはこのやり取りを何度も見ていることもあって、お約束のオチかというような感じで見ていた。

 

なんかいつもみたいにグダグダな雰囲気になってきたな。でも、皆とこうしているのは、数日前にGGOで因縁の敵たちと戦ったことを忘れさせてくれるくらい楽しいものだ。こんな日常がいつまでも続けばいいなと思う。

 

こんなことを思いながら、俺はリーファと手を繋いで自分たちの愛剣を探しに行く。

 

 

 

 

 

 

オマケコーナー

 

ALOの《イグドラシル・シティ》にあるキリさんとアスナさんが借りている部屋。そこで、俺とキリさんはリーファとアスナさんに床に正座させられて、あることを問い詰められていた。

 

「リュウ君、お兄ちゃん。これはどういうことなの?」

 

満面の笑みでそう聞いてくるリーファ。が、その笑みは明らかに怒っているというものだった。その隣にはアスナさんもいるが、彼女もリーファと同じ表情してキリさんを見ていた。2人ともメチャクチャ怖いです。

 

リーファとアスナさんが、俺達に見せてきたのは数日前に行われた第3回BoBに関する記事だった。見出しには同時優勝したカイトさんとシノンさんのことが大きく書かれていたが、2人が問い詰めているのはそこではない。その下にある『3位同時入賞したカップル』と書かれている癖のある長い黒髪をポニーテールにした少年に黒髪ロングヘアーの少女が抱きついている写真が載っているコーナーだった。

 

「この2人ってキリト君とリュウ君で間違いないよね?」

 

「「は、はい……」」

 

俺とキリさんは2人と目を合わせないようにし、ビクビクしながら答える。

 

アスナさんの言う通り、写真に載っている2人は俺とキリさんだ。

 

何故こうなったのかというと、GGOからALOに戻る少し前にこんなことがあったからだ。

 

GGOではキリさんは男の娘の姿をしたアバターだったこともあり、彼が男と知らずに言い寄ってくる男性プレイヤーは少なくなかった。キリさんもこれには困ってしまい、男性プレイヤー達から逃れるために「私にはこの人がいますので、ごめんなさい」と俺の左腕に抱き着いてきてきた。最終的にキリさんに言い寄ってくる男性プレイヤー達を撃退できたが、俺達はカップルと誤解されてしまうのだった。

 

「キリさん、だから言ったじゃないですかっ!あんな誤解を招くことはやめて下さいってっ!」

 

「し、仕方ないだろっ!あのプレイヤーたちしつこかったんだから、諦めてもらうにはああするしかなかったんだよっ!」

 

キリさんと言い争っていた時だった。

 

俺とキリさんの間を何かがヒュン!と音を立てて通り過ぎ、ダンッ!と音を立てて壁に突き刺さった。そちらに視線を向けると、壁に2本のハサミが突き刺さっていた。

 

これを目にした瞬間、俺とキリさんは顔を青ざめて、ハサミが飛んできた来た方を恐る恐る振り向く。そこには、満面の笑みを浮かべて先ほどより多くのドス黒いオーラを放っているリーファとアスナさんがいた。

 

「2人とも、今あたし達が話している最中なんだけど」

 

「今すぐ黙らないと……」

 

「「刻むよ?」」

 

「「す、すいません……」」

 

何処かのネットアイドルみたいなことを言う2人はもの凄く怖く、俺とキリさんは恐怖のあまりビビリながら謝る羽目になった。

 

彼女の兄とカップルと誤解され、他の男性プレイヤーからは妬まれ、しかも彼女にバレて問い詰められることになるなんて……。はっきり言って俺はこの件に関しては全く悪くない、むしろ被害者なのに……。

 

多分、日本中探しても彼女の兄とイチャイチャしていたと誤解を受けているのは俺だけだろう。俺は思わず何処かの天才物理学者のように「最悪だ」と口にしてしまった。

 

その時だった。

 

「まあまあ、2人とも。キリトはともかくこれ以上リュウを責めるのは可愛そうよ」

 

「その辺で許してやってもいいんじゃないのか?」

 

俺たちに助け舟を出してくれたのはテーブルで飲み物を飲んでいたシノンさんとカイトさんだった。

 

「確かにそういう風に見えてもおかしくないけど、少なくても2人にはそういう気はないって言ってもいいわよ」

 

「リュウもキリトもリーファやアスナの元に帰りたいことを言っていたからな」

 

シノンさんとカイトさんが誤解を解いてくれ、俺とキリさんは感謝のあまりに泣いてしまう。そんな俺をリーファが抱き締めてくれる。隣ではアスナさんもキリさんを抱き締めていた。

 

「ゴメンね、リュウ君。変な誤解しちゃって」

 

「わたしたちがどうかしてたよ」

 

「わかってくれて本当によかったよ」

 

「あれは元々、俺がリュウに抱きついたのが悪いんだ。だから謝らないでくれ」

 

「リュウ君……」

 

「キリト君……」

 

そしていつものように甘い空気に包まれる俺たち。キリさんとアスナさんの方もだ。

 

「全く、私たちがいるのにイチャイチャしちゃって……。いつもこうなの?」

 

「コイツらはこれが平常運転だ。大目に見てやってくれ」

 

カイトさんとシノンさんは黙って俺たちを見守ってくれていた。




旧版の方を見てくれた方は知っていたかもしれませんが、前半のリュウ君とリーファの戦いは原作4巻やアニメ一期第23話のキリトとリーファの決闘シーンを元にしました。
戦いの後はいつものようにイチャつく2人でしたが、シリアスな時はちゃんと決めてくれますのでご安心ください。

後半部分のギャグシーンには、鬼滅の刃がブームだということもあって鋼鐵塚さんが包丁を持って炭治郎を追いかけるシーンを入れてみました。そして、最後のオマケではアスナがリーファと一緒に美空の「刻むよ」を披露するという。執筆しててリュウ君が可哀想だなと思いました(笑)

次回はカイトとシノンの話になります。

前にTwitterの方で軽くネタバレしましたが、本作のアンダーワールド大戦には三女神と暗黒神の他にもオリジナルの神様アカウントが登場する予定です。敵味方どっちなのかなど詳しいことはまだ教えられません。
そして、リーファは仮面ライダーエボル(ドラゴンフォーム)や仮面ライダーブラッドや仮面ライダーアークゼロなどの要素が含まれている敵と戦う予定です。

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