ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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お待たせしました!2か月ぶりの更新になります!
2か月ぶりのため、内容がおかしくなっているところも多いかもしれないです。もしそうでしたら、時間を見つけて修正したいと思います。


第19話 溶かされる氷

第3回BoBが終了し、一度待機空間に戻されてログアウトするまでのカウントダウンが表示される。それが0になった途端、私の意識は現実世界に戻って来た。

 

エアコンに電源は付いていて部屋の中は暖かかった。しかし、照明は付けていなかったため、部屋の中は真っ暗だ。

 

アミュスフィアを外してベッドから起き上がり、部屋の照明を付ける。念のために室内からキッチン、ユニットバスまで人が隠れられそうなところを隅々まで探したが、誰もいなかった。

 

窓や玄関のドアの鍵をチェックしたところ、鍵はしっかりかかっていて、部屋に侵入した形跡は特に見られなかった。

 

もちろん、玄関のドアにある電子ロックを破って入り込んで来た死銃の共犯者が、部屋の中で携帯端末機を使って大会の中継を見て、死銃とその仲間たちが全員負けたとわかると同時に逃亡したという可能性もある。その場合、現実世界にいる共犯者はこのアパート付近にいるに違いない。

 

カイト……神崎君、そしてキリトとリュウが呼んだ警察が来るまでまだ少し時間がかかる。

 

1人では心細く、警察……特に神崎君には早く来てもらいたかった。

 

その時、キンコーンと玄関のチャイムが鳴り響いた。

 

私は反射的にビクッと反応し、ドアを凝視した。

 

更に2回同じ音が鳴り響いた。

 

――もしかして死銃の共犯者が……。

 

「朝田さん、居る? 僕だよ、朝田さん!」

 

聞き覚えのある声。レンズを覗いてみると、ドアの前にいたのは新川君だった。

 

「新川君?」

 

「あの……、どうしても、優勝のお祝いが言いたくて……。コンビニでだけどケーキを買って来たんだ」

 

新川君はケーキが入っていると思われる小さな箱を掲げて見せた。

 

「で、でもずいぶん早かったね……」

 

「実は近所の公園で中継を見てて、決着が着くとすぐにコンビニに行って買ったんだ。シノン……朝田さんなら必ず優勝するって思っていたからさ」

 

待機空間での待ち時間を入れても、大会が終わって5分弱しか経ってないけど、それなら納得がいく。

 

「ちょっと待って、今開けるね」

 

ドアのチェーンを外し、電子ロックを解除すると、新川君を部屋の中へと入れた。もちろん、チェーンと電子ロックどちらもかけ直した。

 

部屋に戻ると新川君のためにクッションを用意する。新川君をそれに座らせ、私はベッドに腰を降ろした。

 

「あの……優勝、本当におめでとう。凄いよ、朝田さん……シノン。とうとうGGO最強ガンナーになっちゃったね。でも、僕にはわかってたよ。朝田さんならいつかそうなるって。朝田さんには、誰も持ってない、本当の強さがあるんだから」

 

「あ、ありがとう……。でも、優勝って言ってもカイトと同時優勝だったから……」

 

「そうだったね。後で彼にも優勝のお祝いをしないといけないね」

 

「うん。神崎君……カイトには色々助けられたから、今回の本当の優勝者はカイトかな」

 

「その……カイトのことで、ちょっと気になることがあるんだけど……。中継で、砂漠の、洞窟の中が映ってて……」

 

「あ、あれは……」

 

あの時は、カイトに抱きついて散々泣いたり喚いたりしていた。それを新川君に見られたと思うと恥ずかしい。なんて説明したらいいのか考えていると、新川君が言葉を発した。

 

「あれは……カイトとあの2人に脅されたんだよね? 何か弱みを握られて、仕方なくあんなことをしたんだよね?」

 

「え?」

 

神崎君/カイトとの関係を聞かれると思ったが、予想もしていなかったことで唖然としてしまう。

 

「脅迫されて、カイトの戦ってる相手の狙撃までさせられて……。 でも、最後はあの2人を相討ちにするように誘い込んで、カイトにあんなことして油断させて、グレネードに巻き込んで倒したよね?だけど、それだけじゃ足りないよ。もっと思い知らせてやらないと……」

 

「あ……ええと……」

 

絶句ししてから、懸命に言葉を探して誤解を解こうとする。

 

「あ、あれは脅されてたわけじゃないの。カイトは確かに無愛想で口も悪いけど、根はいい人なのは新川君も知っているでしょ。それに、あの2人はカイトの知り合いで悪い人じゃないから……。実は大会中に例の発作が起きそうになって、カイトに助けられたの。なのにカイトにきつく当たっちゃって……。酷いことをしたのは私の方。後で謝らないと……」

 

「そ、それで、朝田さんはカイトのことは特に何とも思ってないんだよね?」

 

突然そんなことを聞かれて答えられなかった。

 

「朝田さん、僕に言ったよね。『待ってて』って」

 

確かに大会前、近所の公園で新川君にそう言った。

 

しかし、それは『何時か自分を縛るものを乗り越えてみせる』、それができて『ようやく普通の女の子に戻れる』という意味で言った。

 

「言ったよね。 待ってれば、いつか僕のものになってくれるって。だから、だから僕……」

 

ここは正直に自分の本当の気持ちを伝えなければならない。私は神崎君/カイトが好きなんだ。これで新川君を傷付けてしまうことになってしまうかもしれない。それでも言おうとしたが……。

 

「言ってよ。カイト……()()のことは何でもないって。嫌いだって」

 

「ど、どうしたのよ。急に……」

 

「僕がずっと一緒にいてあげる。カイト、隼人に頼らなくても。僕がずっと、一生、君を守ってあげるから……。朝田さん、好きだよ、愛してる。僕の朝田さん、僕のシノン」

 

そう呟きながら新川君は立ち上がり、ゆっくりと私に歩み寄ってきた。

 

「や、やめてっ!」

 

何か悪霊に憑りつかれたような感じの新川君が怖くなって突き放す。新川君は尻もちをついた。その拍子に彼が買ってきたケーキが入った小さな箱ガテーブルから落ちる。

 

「だめだよ。朝田さんは僕を裏切っちゃだめだよ。僕だけが朝田さんを助けてあげられるのに……」

 

新川君は怖くて動けなくなっている私にゆっくり近づいてきて、ジャケットに右手を差し込み、何かを取って私の脇腹に付きつけてきた。

 

「し、しん……かわ……くん……?」

 

「動いちゃだめだよ、朝田さん。これは無針高圧注射器っていう注射器なんだ。これに入っているのは《サクシニルコリン》っていう薬で、これが身体に入ると筋肉が動かなくなってすぐに肺と心臓が止まるんだよ」

 

注射器に薬。それはキリト達が言っていたものだ。これらを使って3人のプレイヤーを現実世界で殺害したと……。

 

それに新川君の家は病院。何らかの方法でそれらを手に入れることも可能かもしれない。

 

「じゃ、じゃあ……、新川君……君が、現実世界にいる死銃の仲間なの……?」

 

「へえ、凄いね。 死銃の秘密を見破ったんだ。そうだよ、僕は死銃の1人だよ。今までは《ステルベン》を操って3人のプレイヤーを撃ってたんだよ。だけど、今日だけは僕の現実側の役をやらせてもらったんだ。だって朝田さんを、兄さんや兄さんの友達に触らせる訳にはいかないからね」

 

新川君に病弱のお兄さんがいるというのは前にちらりと聞いたことがある。

 

「もしかして、君の……お兄さんは、昔SAOで殺人ギルドに入って、カイトの仲間を殺したの?」

 

「へぇ、そんなことまで知ってるんだ。うん、そうだよ。昌一兄さんとカイトの間に因縁があったっていうから、今日のターゲットにカイトも入れて現実でも殺そうと考えたんだよね。でも、 アイツの幼馴染の父親が刑事だっていうから、現実で殺すのは諦めてGGOの中だけで殺すことになったんだ」

 

「ど、どうして、新川君はカイト……神崎君を殺そうとするの?いくら君のお兄さんと彼の間に因縁があるからって、友達を殺そうとするんておかしいよ」

 

「友達?最初はアイツのこと友達だと思っていたよ。でも、アイツはGGOで僕より強くなって、挙句の果てにシノンを……朝田さんまで奪っていった。そんな奴、もう友達じゃないよ」

 

新川君が神崎君/カイトのことをそんな風に思っていたなんて信じられなかった。

 

2人が出会ったのは、新川君が私に付き添ってアミュスフィアとGGOのソフトを買いに行った時だ。そこでGGOのソフトを買いに来た神崎君と知り合い、同性で同年代ということもあって2人はすぐに意気投合した。新川君も学校以外で共通の友達ができたことを喜んでいたのに……。。

 

きっと神崎君/カイトに嫉妬して、こんなことをしているだけに違いない。それに、まだ注射器のボタンを押さないってことは説得させることもできるかもしれない。

 

そっと極力穏やかに言葉を発した。

 

「まだ……まだ間に合うよ。やり直せるよ。神崎君と仲直りすることも、お医者様になることだって……」

 

「もうそんなのどうでもいい!親も学校の奴らもどうしようもない愚か者ばっかりだ!だから、僕はGGOで最強になれればそれでよかった。なのに、なのに……ゼクシードのクズが……AGI型最強なんて嘘をっ!GGOは僕の全てだったのにっ!現実を全て犠牲にしたのにっ!シュピーゲルもカイトより強くいられたハズなのにっ!畜生っ……!!」

 

それでゼクシードたちを……5人のプレイヤーを殺したっていうの……?

 

「これでもう、こんなくだらない現実に用はない。さあ、朝田さん。一緒に《次》に行こう。GGOみたいな…… ううん、ALOみたいなファンタジーっぽいやつでもいいや。そういう世界で生まれ変わってさ、結婚して一緒に暮らそうよ!一緒に冒険してさ、子供も作ってさ、きっと楽しいよ!」

 

怖くなって声も出すことも抵抗することもできない。私はここで死ぬのだと目を閉じて受け入れようとしたときだった。

 

―― あなたは1人で頑張ってきた。せめて最後にもう一度戦ってみようよ。

 

そう言ってきたのはGGOの私……シノンだった。

 

――私も一緒にいるから大丈夫だよ。そして彼にもう一度会って今度はちゃんと自分の想いを伝えよう。だから、さあ行こう。

 

シノンは暗闇の世界にいる私を連れて光に向かって上昇し始めた。

 

 

 

 

 

意識が現実世界へと戻る。

 

新川君は私が着ているトレーナーを上半身から引き抜こうとしていた。隙を見て身体を左に傾けると注射器の先端が滑り、体から離れる。すぐに注射器を抑え、顎に掌低を、更に左目にパンチを喰らわせる。

 

左目に強く攻撃を受けた新川君は怯む。

 

その隙に新川君を蹴って振り払い、玄関に向かって走る。急いでドアの鍵を全て開けてドアを開けようとしたのと同時に、右足を冷たい手がぐっと握って私を引っ張ろうとする。

 

振り向くと魂の抜け落ちた顔をした新川君が両手で私の足を捕えていた。幸いなことに、注射器は手に持っていない。

 

必死に抵抗するが今度は振り払うこともできなく、どんどん奥へと引き戻される。そして新川君の身体が圧し掛かってきた。

 

「アサダサン!アサダサン!アサダサン!アサダサン!」

 

怖くなって悲鳴をあげそうになった時だった。

 

ドアが開かれ、誰かが入ってきて新川君の顔面に膝蹴りを喰らわせた。

 

何が起こったのか後ろを振り向くと新川君を取り押さえている神崎君の姿があった。

 

「大丈夫か、朝田っ!?」

 

「か、神崎君っ!」

 

「ハヤトぉぉぉぉっ!」

 

新川君は怒り狂った獣のように神崎君に突進して殴りかかろうとし、神崎君は新川君が振るってきた拳を掴んで必死に抑え込む。

 

「 恭二、まさかお前が死銃の1人だったなんて!一体何の真似だ!?どうしてこんなことをするっ!?お前はそんなことをする奴じゃないだろっ!!」

 

「うるさい!隼人は知らないだろっ!朝田さんが本物のハンドガンで、悪人を射殺したことのある女の子だって!それを聞いてからずっと憧れていたんだ!」

 

「じゃあ、新川君はあの事件のことを知ったから私に声をかけてきたの……?」

 

新川君は狂ったように語り始めた。

 

「そうだよ。本物のハンドガンで、悪人を射殺したことのある女の子なんて、日本中探しても朝田さんしか居ないよ!本当に凄いよ!僕はそんな朝田さんを愛しているんだよ!」

 

「そ、そんな……」

 

家族以外で神崎君と同じくに唯一心を許せる存在だと信じていたのに……。

 

ショックを受けていると、神崎君が声をあげる。

 

「愛しているだと……?心にないことを!!」

 

「何だと!?」

 

怒りの声を上げ、殴り合う2人。

 

「お前はただ人形が欲しいだけだろっ!!」

 

「黙れっ!!」

 

「お前は結局誰も愛してなどいない!!」

 

「コイツ!昌一兄さんの代わりに僕がお前を殺してやる!死ねぇぇぇぇっ!!」

 

逆上した新川君は右手に注射器を持って神崎君に襲い掛かる。

 

「神崎くん!!」

 

私が声をあげた瞬間、神崎君は注射器を持つ新川君の右手を取り押さえ、 

 

「こっの、バカ野郎が!!!!」

 

「ぐはっ!」

 

彼の顔面に強烈な拳を叩き込んだ。

 

「がはっ!…っぁ…」

 

渾身の一撃を顔面に喰らった新川君は鼻血を出し、床に倒れて意識を失った。

 

神崎君は気絶している新川君に近づき、彼が持っていた注射器を取り上げた。

 

「恭二……。まさかお前がそこまで追い詰められてて、これほど俺のことを憎んでいたなんて……。何で気付いてやれなかったんだ……。俺がもっと早く気づいてやれば、こんなことにはならなかったかもしれなのに……」

 

拳を強く握りプルプル震えて俯いている神崎君の背中にそっと手を置き、声をかける。

 

「時間はかかるかもしれないけど、また新川君と前みたいに仲良くなれるよ」

 

「朝田……」

 

すると、ドアの外が少し騒がしくなる。

 

「おい、鍵が開いているぞ!」

 

「まさか……。隼人さん、シノンさん!」

 

玄関のドアが開いて2人の少年が入って来た。

 

1人はやや長めの黒い髪をした黒のライダージャケットを着た少年、もう1人はハネッ毛の黒髪をしたオレンジのパーカーの上に黒と白のスタジャンを着た少年だ。

 

「隼人さん、ケガしてますけど大丈夫ですかっ!?」

 

「犯人とやりあった時に、ちょっと口を切っただけだから安心しろ」

 

神崎君はハネッ毛の少年を落ち着かせると、黒のライダージャケットを着た少年に注射器を渡した。

 

「キリト、お前が言った通り、犯人は何かの薬品が入った注射器を持っていた。これに入っている薬品を警察が調べたらすぐにわかるだろ」

 

今、黒のライダージャケットを着た少年のことをキリトって……。もしかして、あの少女みたいなアバターを操っていたのが彼なんだ。ということは、ハネッ毛の少年がリュウなんだね。よく見てみると、私が知っているリュウとは髪型が違うだけでほとんど変わりない。

 

神崎君がキリトとリュウと話し終えると私の方に歩み寄ってきた。

 

「遅れて悪かった、朝田。お前に怖い思いをさせてしまって……」

 

「別にあなたが謝らなくてもいいわよ。それよりも助けに来てくれて、ありがとう……」

 

すると、神崎君たちは軽く笑みを浮かべる。

 

「言っただろ、お前を絶対に殺させないってな。もう忘れたのか?」

 

私は首を軽く振って答える。すると、何故か両目から涙が溢れ出す。

 

「あ、あれ……」

 

涙は止まることなく、神崎君がそっと抱きしめてくれた。

 

キリトとリュウがやって来てから数分後には、遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。サイレンの音がしなくなると、車のドアが開いて閉まる音がし、足音が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

あれから、部屋に4人の警官と1人の刑事がやってきた。やってきた刑事さんは、神崎君の知り合いのお父さんらしく、すぐに何が起きたのか理解して対応してくれた。キリトとリュウは事情聴取のために2人の警官と共に最寄りの警察署に行き、新川君は逮捕されて警察病院に運ばれた。そして、私と神崎君も念のためにと覆面パトカーで別の病院に送られた。

 

病院に着くと念のために検査され、私も神崎君も軽い切り傷や打撲で特に異常なしと診断結果が出た。その後、刑事さんによる事情聴取が行われ、午前2時過ぎに医師が精神的ストレスが限界と判断し、事情聴取の続きは明日となった。

 

病室から出て薄暗い病院の廊下を歩いていると、自動販売機のコーナーの前にあるベンチに誰かが腰掛けている姿があり、近づいてみる。そこにいたのは、神崎君だった。

 

「神崎君」

 

「朝田か。今日の事情聴取は終わったのか?」

 

「ええ」

 

そう答えて彼の隣に座る。だけど、この場には私たち2人しかいなく、何も話さず黙っていた。

 

私はGGOでシノンとして神崎君……カイトにキスをして自分の想いを告げた。そのことを思い出して無性に恥ずかしくなってしまう。いくらゲームの中だとはいえ、あれは私のファーストキスだった。もしも、あれが神崎君/カイトにとってもファーストキスだったら……。なんて説明したらいいのか必死に考えていると、神崎君の口が開く。

 

「朝田、お前が……いやシノンが用意したグレネードが爆発する前のことで言いたいことがある」

 

「な、何……?」

 

「俺は、朝田のことを……シノンのことをずっと気にかけていた。お前のことが心配だから、昔の俺を見ているみたいだからだろうって思っていた。だが、さっきシノンに告白されてからやっと自分の本当の想いに気が付くことができた。そんな鈍い奴を好きになっていいのか?それに自分で言うのもあれなんだが、俺は周りから無愛想で目つきや口が悪いと言われている奴だぞ。喧嘩っ早いし、あと恋愛ごとに関しての知識や経験もほとんど無い。後悔しても知らないぞ…」

 

何を言ってくるのかと思ったらそんなことだったのかと思い、笑ってしまう。

 

「もちろん全部知っているわよ。あなたって本当に不器用な男ね」

 

「フンッ……」

 

私にそう指摘され、神崎君はそっぽを向く。だけど、すぐに私の方に真剣な表情で顔を向けてきた。

 

「朝田……いや()()。詩乃がどんな過去を背負っていようが俺には関係ない。俺は詩乃のこともシノンのことも好きだ。だから、俺と恋人になってくれるか?」

 

不器用な彼らしい告白。人殺しと呼ばれた私なんかが彼のことを好きになる資格もなく、このことを彼に知られて嫌われるのが怖いと思っていたが、彼の想いを知り、そう言われて凄く嬉しかった。

 

「もちろん。カイトだけでなく神崎君……いえ()()としてもあなたのことが好きです。私を…隼人の恋人にしてください」 

 

「…ああ」

 

そう告げ、少し間が空く。沈黙した空気の中、

 

「詩乃、その眼鏡って確か度は入ってないんだったよな?」

 

「え?ええ…。どっちかというとお守りでつけてるから…」

 

「じゃあ…外しても問題ないな」

 

そう言うと隼人は片手で私をそっと抱き寄せて、私の眼鏡を外し、目を閉じて唇を重ねてきた。私は嫌がることもなく、黙って隼人からのキスを受け入れた。

 

「これからよろしく頼む、詩乃」

 

「ええ…こちらこそよろしくね、隼人」

 

私と隼人はそれからしばらくの間、2人の世界に入り浸っていた。




旧版でもそうでしたが、今回の前半部分は本当に胸糞悪くなりました。でも、仮にザザがいなかった場合カイトとシノンが付き合うことになっても本編みたいにならなかったのではないのかと思いました。
ちなみに、中の人繋がりで黄金の精神の持つジーク君や炭治郎を見習って欲しいなと思いました(笑)

そして、ついにリメイク版でもカイトとシノンがついに結ばれました。リュウ君とリーファだけでなく、この2人のイチャイチャも書いていきたいと思います(笑)

実はTwitterの方でリュウ君のディーアイエルへの処刑シーンを先行公開させていただきました。アンダーワールド大戦時のリュウ君に、クローズに加えて何の仮面ライダーの要素が多く含まれているのかネタバレになってしまいましたが、後悔はしてないです。ちなみに、当初の予定になかったアサルトウルフの要素も少しだけ含まれています。あと、クウガのジャラジ戦の要素が含まれていそうだという方々がいますが、その要素は一切含まれてないです。
個人的感想ですが、挿入歌にJ-CROWN&Taku from 1 FINGERさんの「Burning My Soul」を聞きながら読むと一味違うと思います。
https://twitter.com/glaiveblade/status/1323261687076585473

GGO編本編も次回で最終回となる予定です。

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