ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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お待たせしました。最新話になります。ここ最近、急に忙しくなってひと段落着いたと思ったら、昨日は台風で大変な思いをしました。皆さんは大丈夫だったでしょうか?

昨日と言えば、ついにアリシゼーション編のアニメの後編が始まりましたね。OPとEDどちらもいい曲でしたし、アリスの表情が穏やかになっていて可愛かったです。ですけど、ユージオが死んでキリトが廃人に。アニメを見てて改めてユージオ生存を目指そうという目標を持ちました。ただ、あのジジイとその取り巻き共は、あのクソ貴族たちと同様にクローズマグマナックルかグリスブリザードナックルで殴ってやりたくなりました。

そして今朝のゼロワンで、ヒューマギアに自我が芽生えたというところを聞いた瞬間、SAOと共通点あるなと思ってしまいました。


第6話 武器選びと特訓とバイクレース

カイトさんの案内の元、複雑な構造をした都市の中を歩き続けること数分。連れられてきたのは、コンビニと同じくらいの規模の店だった。カイトさん曰く、初心者向けの総合ショップと比べると規模はかなり小さいが、この店には掘り出し物があっていいらしい。

 

店内には様々な拳銃や機関銃がショーケースに入って売られていた。

 

「武器を買う前に一応確認しておくが、お前のステータスはどんなタイプだ?」

 

「素早さ優先で、その次が筋力ですね」

 

「やはりAGI型か。となると、連射能力が高いアサルトライフルをメインアームにして、サブにハンドガンを持つ中距離戦闘タイプがいいか…….。いや待てよ。リュウ、お前って確か《軽業》と《疾走》のスキル取ってたよな?」

 

「あ、はい。SAO時代のアバターを引き継いでいるやつですので……」

 

そう言うとカイトさんは何か思いついたかのような表情となる。

 

「それなら二丁拳銃を使った白兵戦に忍者プレイを組み合わせた戦闘スタイルがいいか。前回のBoBでも二丁拳銃使いのプレイヤーでベスト5に入った奴もいるからな」

 

「二丁拳銃に忍者プレイですか……。俺の普段の戦闘スタイルに向いていそうでいいですね。それでいきます。あ……でも、コンバートしたばかりだからお金が……」

 

コンバート機能にはキャラクターの能力値は引き継がれても、アイテムや所持金の移動までは出来ない。キリさんと一緒にアスナさんを助けにALOに初めてログインした時みたいに所持金も引き継がれてはいないかと僅かな希望を持って確認する。だが……。

 

「せ、千クレジットしかない……」

 

「千クレジットだと小型のレイガンしか買えないな。実弾系だと、中古のリボルバーが……どうなかというレベルだな。こうなったら、俺が全額出すしかないか」

 

「で、でも、 それだとカイトさんに悪いですよ……」

 

死銃(デス・ガン)のことがあるだろ。呑気なこと言っている場合か。金ならツケでいい。その代わり、死銃(デス・ガン)事件の真相を絶対説くぞ」

 

「は、はい……」

 

GGOでカイトさんへの借金を作ってしまうことになるとは……。こうなった以上、早く死銃(デス・ガン)の真相を明らかにしないとな。

 

早速、店内にあるハンドガンのコーナーへと足を進める。どの銃がいいのかカイトさんと一緒に探している中、あるハンドガンに目に止まった。

 

それは黒をベースにシアンの配色をしている特撮番組に出てきそうなデザインをした銃だった。

 

「《ディエンドライバー》か」

 

「ディエンドライバー?」

 

聞いたことのない銃の名前に首を傾げる。

 

「コイツはとある怪盗がかつて使っていたっていうハンドガンだ。これにはワイヤーフックの射出・巻き取り機能が備え付けられていて、ある程度高い位置に移動することもできる。使いこなせば、機動性も飛躍的に上がるだろう」

 

「だったら忍者プレイには相性抜群じゃないですか」

 

「まあな。だけど、これには欠点がある」

 

「欠点?」

 

「ワイヤー機能は建造物や木があるところでは十分に活かせる。だが、何もない平地だとそれを活かすことは難しい。それに扱うには練習も必要だ。まあ、お前の戦闘スタイルを活かすにはいいと思うが、どうする?」

 

メリットだけじゃなくてデメリットもあるのか。まあ、下手に扱いやすいただのハンドガンを使っても銃の腕があまり高くない俺が、GGOのプレイヤーたちと戦える保障もないしな。

 

「あの、1つ目の銃はこれにします」

 

「お前がそれにするっていうなら1つ目はそれに決まりだな。もう1つの銃はオススメのタイプがあるからその中から選ぶか」

 

「それってどんな銃なんですか?」

 

「見ればわかる。こっちだ」

 

カイトさんはメニューウインドウを操作して《ディエンドライバー》を『カートに入れる』を選択し終えると、俺を店内の奥へと連れて行く。

 

そこにあったのは、先ほどのディエンドライバーみたいに特撮番組に出てきそうなデザインをした武器だった。

 

「ここら辺にあるやつは普通の銃火器とはデザインが大きく異なりますね」

 

「まあな。このコーナーにあるのは制作者の中に特撮ヒーローものが好きな奴がいて導入したっていう噂があるからな」

 

「なるほど……」

 

これには俺も思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 

カイトさんはケースの中を見て、その中にあった1つを指さした。

 

「俺がさっき言ったオススメなのはこの《イクサカリバー》というガンブレードだ」

 

カイトさんの指先には、一見するとマガジンの部分が長いちょっと変わったデザインをしたハンドガンが鎮座していた。彼の説明によると、この《イクサカリバー》は弾丸を高速連射できるガンモード、マガジン部をグリップ部に収納することで赤い刀身が伸びて接近戦が可能となるカリバーモードという2つの形態で戦うものらしい。

 

「本当は軽量の《カイザブレイガン》か《ドラグバイザーツバイ》の方がよかったが、光学銃は《対光学銃防護フィールド発生器》を持つ対人戦には不利だからな。SAOとALOでずっと剣を使ってきたなら、接近戦の武器もあった方がいいだろ」

 

「そうですね。けど、銃がメインのこのゲームで剣なんて通用するんですか?」

 

「一般的には無理だと言われている。だが、第1回BoBの優勝者《サトライザー》というプレイヤーはハンドガンとナイフで戦っていたから100%通用しないということはない。俺もこの《無双セイバー》っていうガンブレードで戦っているくらいだしな」

 

それってカイトさんとその《サトライザー》というプレイヤーだからできることじゃないのかと一瞬思ったが心の中に留めておいた。

 

武器は最終的に《イクサカリバー》と《ディエンドライバー》に決まり、他に予備弾倉、薄手の青い防弾ジャケット、そして防弾と隠密効果がある紺色のフード付きマント《バッグワーム》をカイトさんに購入してもらった。その後、カイトさんからベルト型の《対光学銃防護フィールド発生器》やいくつかの小物装備も貰った。

 

最終的に購入したものは合計で20万を超え、カイトさんには本当に感謝でいっぱいだった。もしも彼がいなかったらここまで整った装備を入手することはできなかっただろう。

 

「これで必要なものは全てそろったな。まだ少し時間があるから戦闘の練習でもしていくか?」

 

「はい」

 

「ちょっと待ってな。店長、ちょっとトレーニングルーム借りるぞ」

 

「構わないぞ」

 

カイトさんが店長さんに料金を払うと、彼と一緒にトレーニングルームがある方へと向かう。

 

更衣室に入り、先ほど購入したものを装備する。メインアームの《イクサカリバー》は左腰のホルスターに、サブウェポンの《ディエンドライバー》は右腰のホルスターにセットする。最後に《バッグワーム》を羽織って準備は全て完了した。

 

トレーニングルームに入ると目の前に、銃剣を持った灰色と黒のボディをした人型ロボットが5体現れる。

 

すると、カイトさんから無線が届く。

 

『ソイツらは《ガーディアン》。通常は街の防衛用の機械兵だが、他にもトレーニング用の相手としても登場する』

 

「なるほど」

 

そして、カウントダウンが始まり、0になった瞬間戦闘が開始する。

 

開始と同時に腰のホルスターから《イクサカリバー》と《ディエンドライバー》を抜き取り、ガーディアンたちに向けて連射。だが、弾丸は2つしか当たらず、他は全部奴らから外れて近くにあるオブジェクトに命中する。

 

「そんな!ちゃんと狙ったはずなのに……」

 

狼狽えている間に、ガーディアンたちは銃口を俺に向けて連射してきた。

 

「ヤバっ!」

 

俺は急いで銃弾の雨から逃れようと、急いで《ディエンドライバー》のワイヤー射出用のトリガーを引く。すると、射出からアンカーが出て壁に突き刺さった。

 

「えっと、確かもう一度トリガーを……ってうわっ!!」

 

トリガーを引いた瞬間、ワイヤーが高速で巻き取り、俺の身体は勢いよく壁に向かっていく。

 

「ヤバい!ぶつかる!うわあぁぁぁっ!!」

 

ドガッと勢いよくコンテナに激突。そして地面へと落ちる。

 

「銃がほとんど当たらないどころか、ワイヤー機能を上手く使いこなせないなんて……。ALOで初めて着地した時は上手くいったのに……」

 

すると、カイトさんから再び無線が入った。

 

『リュウ、大丈夫か?』

 

「な、なんとか……」

 

『銃もワイヤー機能も使いこなせるようにするにはALOの随意飛行と同じく感覚を覚えることが必要だ」

 

「感覚ですか……」

 

『ああ。まずは相手に当てられるように専念。それからワイヤー機能を使った回避や移動だ。いくぞ』

 

「はい!」

 

それからカイトさんのアドバイスの元、トレーニングは30分続いた。

 

最初は物陰に隠れつつ銃を撃つだけだったが、少しずつ相手に当てられるようになっていった。ワイヤー機能の方は、ワイヤーが絡まってしまったり、アンカーが上手く刺さらないなどとこちらは思ったより苦戦してしまった。しかし、ALOの随意飛行や空中戦闘を思い出しながら感覚を掴み、扱えるようになっていった。

 

『この世界の戦いに慣れてきたようだな。最後にコイツの相手でも試してみるか』

 

すると、先ほどまで戦っていたガーディアンとは異なる相手が目の前に姿を現す。登場したのは金色の身体に長い2本の腕を持ったSF作品に出てきそうなモンスターだった。

 

「ガーディアンとは違うみたいですけど、アイツは何なんですか?」

 

『奴の名は《ルナ・ドーパント》。長い両腕を自在に伸ばすという変幻自在な能力を持つモンスターだ』

 

「腕を変幻自在に伸ばせるなんてちょっと厄介な相手ですね……」

 

『他にもちょっと厄介なところがあるけどな……』

 

最後の辺りはちょっとげんなりした様子で説明するカイトさん。それは何なのかと聞こうとした時だった。

 

「誰、このイケメン?誰このイケメン?」

 

何故かおっさんの声でオネエ口調で話しかけてきたルナ・ドーパント。別の意味の怖さで思わずゾッとしてしまう。

 

「ちょっとカイトさん。なんかコイツ、凄く気持ち悪いんですけど……」

 

「コイツは一部の男性プレイヤーに対してこんなこと言ってくるような奴なんだ。俺も以前コイツの相手をしたことがあるが、あまりのウザさですぐに倒してやったほどだ……」

 

この様子からしてカイトさんもこんなこと言われたんだな。俺も早く倒してしまった方がよさそうだな。

 

先手必勝と言わんばかりに、ルナ・ドーパントが腕を伸ばして鞭のように振るって攻撃してきた。

 

俺は《ディエンドライバー》をコンテナが積まれて方へと向け、ワイヤー射出用のトリガーを引く。もう一度トリガーを引き、ワイヤーが巻き取られる時の勢いを利用し、一番上に積まれたコンテナの上へと回避。更にお返しにと両手に持つ《イクサカリバー》と《ディエンドライバー》の銃口をルナ・ドーパントを向け、銃を連射。弾丸はガーディアンたちに初めて発砲した時と比べ、多く命中させることができた。

 

「ふう、大分当てられるようになったな」

 

「イケメンで強いのねッ!嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!」

 

ルナ・ドーパントは訳の分からないことを言いながら長い両手を使って攻撃してくる。しかし、俺は《スパイダー》のワイヤー機能で回避しながら、《イクサカリバー》による銃弾を何度も浴びせる。

 

「イケメンで強い、嫌いじゃないわッ!」

 

流石にルナ・ドーパントもこのまま簡単にやられるわけにはいかないと、長い両腕を伸ばして俺の身体に巻き付けてきた。

 

「しまった!」

 

そのまま、奴は俺を自分の方へと引き寄せようとする。

 

「私が抱き締めてあげる」

 

「それだけは絶対に嫌だぁぁぁぁぁっ!!」

 

拘束されている中、なんとか右手を動かして《イクサカリバー》のマガジン部をグリップ部に収納させる。すると、赤い刀身が伸び、ガンモードからカリバーモードへと変形。そのまま奴の両腕を切り落とし、間一髪のところで抜け出す。

 

「あーっ!切れちゃった!」

 

続けざまに《イクサカリバー》でルナ・ドーパントも切りつけていく。

 

「セイヤーっ!」

 

最後に何処かのメダルで変身するヒーローと同じ掛け声を上げ、強烈な水平切りを喰らわせす。見事にクリティカルヒットし、ルナ・ドーパントは地面に転がる。

 

「やったわね!」

 

「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

「おっしゃるとおりだわああああっ!!」

 

ルナ・ドーパントはそんなことを叫びながら、こちらに走ってやってくる。俺は、SAO時代から何度も使用している片手剣重単発攻撃ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》のように、強力な突きを繰り出す。

 

「アァッー!!」

 

これが決定打となり、ルナ・ドーパントは爆炎に包まれて消滅する。

 

 

 

 

 

 

「まさか戦闘に慣れるまであんなにかかってしまうとは……」

 

「いや、あのくらいの時間であそこまで使いこなせるようになる奴は中々いないぞ」

 

特訓を終えた俺はカイトさんとそんなことを話しながら店を出た。

 

「よし、次は総督府に……っ!?」

 

言葉を切り、カイトさんは何かに気が付いた表情を見せる。

 

「どうしたんですか?」

 

「しまった、15時でエントリーの受付が終了だったんだ……」

 

俺も近くにあった時計の方を見る。表示されていたのは14時45分だった。

 

「ここから総督府までどのくらいあるんですか!?」

 

「3、4キロくらいだ。オマケにエントリー操作に5分くらいかかるから遅くても55分までに着いておかないといけない」

 

「そんな!3、4キロってALOみたいに飛んでいかないと間に合わないですよ!」

 

「それまでに着く方法はあるから落ち着け。こっちだ!」

 

カイトさんはそう言い大通りに向かってダッシュする。俺も慌ててその後を追う。

 

30秒ほど走ったところで急にカイトさんが左へと行く先を変える。総督府があるのは真っ直ぐのはずなのに何処に行くんだと思いながらも付いていくと、やって来たのはレンタルバイクのショップ前だった。

 

「ここにあるバイクで一気に総督府まで行くぞ!」

 

「は、はい!」

 

カイトさんはすぐ近くにあった《オートバジン》という銀と赤のバイクに、俺はその隣にあった《ビートチェイサー2000》という青と銀のバイクに乗った。メーターパネル下部に右手を叩きつけると精算が完了し、エンジンがかかる。

 

「行くぞ!」

 

2台のバイクの高いエンジン音が鳴り、地面にタイヤの跡ができるほどの勢いでUターンし、車道へと出た。

 

俺もカイトさんもアクセルを全開にしていることもあってあっという間にメーターには100キロを超えるスピードが表示されていた。現実世界でこのくらいのスピードとなると高速道路を走る時と同じくらいの速度だ。俺はまだバイクで高速道路には乗ったことがなかったため、ここまでスピードを出すのはこれが初めてだ。それ以前に現実世界だと怖くてここまでスピードは中々出せないが……。

 

カイトさんは猛スピードのまま、前を走る自動車を次々かわしていき、俺もカイトさんを追うように猛スピードで追い越していく。

 

これはもう完全にレースゲームと変わりないと言ってもいいくらいのものだ。だけど、ALOで飛んでいるときと同じく凄く楽しい。

 

前を走るカイトさんは俺が付いて来ていることを確認すると、更にスピードをあげる。俺も負けじとスピードをあげていき、スピードは200キロを超えた。

 

驚異的なスピードで走行したことで、あっという間に総督府が見えてきた。




今回も基本的に旧版のものを修正したものとなりました。

リュウ君の武器はリメイク版では、ドラゴン繋がりで青いドラグバイザーツバイをメイン武器にしようかなと思いましたが、あれを実弾設定にするのは無理があるかなと思い、結局止めました(涙)。もう1つのスパイダーもGGOのゲームでワイヤーアクションがあるということでどうしようかと思いましたが、こちらも旧版と同様に採用しました。しかし、ゲーム版の方でGGOをやる時は本編とは違うものにしたいなと思っています。

トレーニング用の相手としてルナ・ドーパントの他に、世界観が合うということでビルドのガーディアンを追加してみました。最初はルナ・ドーパントはどうしようかなと思いましたが、リュウ君は映司を元にしているため結局出しました(笑)。リュウ君には申し訳ございませんが(笑)

そして、ライダーマシンでクウガの《ビートチェイサー2000》とファイズの《オートバジン》が登場。今回だけでもライダーネタが多くなりましたが、この章では色々とやっていきたいなと思っています。あとリュウ君の不幸は更に続くかと思います(笑)

次回もよろしくお願いします。

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