ソードアート・オンライン Dragon Fang《リメイク版》   作:グレイブブレイド

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大変長らくお待たせいたしました。1か月ぶりの投稿になります。

つい先日、アリシゼーション編の前半が終了しましたね。そしてユージオが……(涙)。原作知っていましたけど、やはり自分の中でユージオショックが起こってしまいました。SAOの男性キャラで一番好きなのはユージオなので(ちなみに女性キャラはリーファです)。
見てて、この作品ではユージオは生存させたいという気持ちがより強くなってきました。ユージオがキリト以外の原作キャラと絡むのはもちろん、オリキャラのリュウ君たちとも絡むのも見てみたいですし。

仮面ライダーシリーズも方も目が離せないものばかりで。ジオウの最新話はブレイドの剣崎やカリスの始、ディエンドの海東さんが登場しましたし、龍騎とシノビのスペシャルビデオも面白そうなので、楽しみでいっぱいです。

無駄話はこの辺りにして置き、今回の話になります。念のためにブラックコーヒーを用意しておくことをお勧めします。


第7話 ビーチのカップル

2025年7月31日

 

現実世界では夏の暑さは相変わらず続いており、最高気温が30度を超える日はざらにある。そして、ここALOも現実世界と季節がリンクし、真夏日となっている。

 

こんな状況の中、俺が今いるのはシルフ領とケットシー領との中立域にあるビーチだ。ビーチには領地が近いシルフとケットシーはもちろん、インプやウンディーネといった領地が離れている種族もいて、大勢のプレイヤーで賑わっていた。更には、海の家をはじめ、店を経営しているところがいくつもある。1週間前に行った《トゥーレ島》はプライベートビーチ状態だったから、新鮮な感じがあった。

 

トゥーレ島の時は皆で行ったが、ここにはリーファと2人だけで来ている。そのきっかけというのは、リーファが「今度は2人きりで海に行ってみたい」と言ってきたからだ。俺もせっかくの夏休みだからリーファと2人で夏の海に行ってみたいなと思っていたため、すぐに承諾してここへとやって来た。

 

俺はトランクス型の水着へと着替えて、強い日差しが降り注ぐ砂浜で立ってリーファが来るのを待っていた。

 

「リュウ君、お待たせ―」

 

聞き覚えのある女性の声がする。声がした方を見ると、緑色のパーカーを羽織ったリーファがこちらにやって来た。

 

「今日はパーカーも着てきたんだ」

 

「うん。この前トゥーレ島に行ったときはあたしたちしかいなかったけど、今日は大勢のプレイヤーがいるからね。リュウ君にあたしの水着姿を一番最初に見せたくて」

 

「じゃあ、早く見てみたいな」

 

「ちょ、ちょっと待ってね」

 

リーファはパーカーを脱ぎ、頬を少し赤く染めて恥ずかしそうに俺に聞いてきた。

 

「ど、どうかな……?」

 

今回のリーファの水着は前回と違うものだ。ビキニタイプだという点は変わりないが、薄緑をベースに白のボーダーラインが縦に引いてある白いフリルが付いたものとなっている。

 

この前の水着もそうだったが、スタイルのいいリーファにはとても似合っており、俺は彼女に見とれてしまう。

 

「ぜ、前回の水着もよかったけど、今回のもすごく似合っているよ……」

 

「リュウ君にそう言ってもらえたなら、別の水着も買っておいてよかったよ……」

 

俺にそう言われたリーファは顔を赤くして照れてしまっていた。

 

完全にトゥーレ島の時と同じパターンだ。

 

あれから2日ほどで同じようなことを経験するなんて思ってもいなかった。

 

それから数分ほどして何とか平常心になった俺たちは、地面に突き刺したパラソルの下にシートを敷いて座った。

 

すると、リーファは再び頬を少し赤く染めて恥ずかしそうに話しかけてきた。

 

「ねえ、リュウ君。お願いがあるんだけどいいかな……?」

 

「何だ?」

 

「えっと、背中に日焼け止め、塗ってもらえない……?」

 

「ぶふっ!」

 

リーファがお願いしてきた内容を聞いた瞬間、思わず吹き出してしまう。

 

カップルで海やプールに行くと、彼女の方から背中に日焼け止めを塗って欲しいとお願いされるというのは、漫画やドラマで見たことがある。何でも、横になって無防備な自分の背中に触れさせて彼氏をドキドキさせるのが目的らしい。

 

しかし、草食系男子の俺にとってこれは高難易度のクエストと同じくらい難易度が高いものだ。

 

「あの、リーファ。ALOだと現実世界と違って日焼けはしないから……しなくても大丈夫なんじゃないかなぁ……」

 

「こういうのは気分の問題なの!」

 

戸惑っている俺に痺れを切らしたリーファは、強めに反論する。

 

「そういうものなのか?」

 

「そうだよ。だから、お願い!」

 

更には何処かのネットアイドルみたいにお願いしてくる。

 

これは反則だろ。リーファがそうお願いしてきたら、断れないじゃないか。

 

「わかった……。塗ってあげるから横になって……」

 

可愛さのあまり、俺は承諾する。まあ、カップルでスキンシップを取ることは大事なことだって聞くから、俺も覚悟を決めた方がいいかもしれない。

 

「じゃあ、お願いね」

 

リーファは俺に日焼け止めが入ったボトルを渡し、シートの上にうつ伏せになった。

 

そして、俺は日焼け止め手に取り、両手に伸ばしていく。手に馴染んだところで、リーファの背中に塗り始める。

 

「ひゃっ!」

 

手が触れた瞬間、リーファは変な声を出して身体をビクッとさせる。

 

「ど、どうしたんだっ!?もしかして、変なところ触っちゃったか……?」

 

「いきなりだったから、ちょっとビックリしちゃって……。このまま続けても大丈夫だから」

 

「あ、ああ……」

 

再びリーファの背中に日焼け止めを塗っていく。

 

リーファは、初めて触れた時みたいに身体がビクッと反応してしまうことはなかったが、数回ほど無意識に変な声が出てしまっていた。その度に、俺は変な気分になってしまいそうになり、なんか理性を保とうと心の中で葛藤していた。

 

日焼け止めを塗るのを終えた時には、俺は戦闘を終えた時みたいに体力を消耗し、少しぐだっとなったほどだった。

 

 

 

 

 

それから、俺たちは多くのプレイヤーが行き来しているビーチを進んでいた。

 

「それにしても凄い人だな」

 

「ここは観光地として有名だからね。この時期になると、アルヴヘイム中から大勢のプレイヤーが来るほどなんだよ」

 

「へぇ、それは凄いな。でも、こんなに大勢のプレイヤーが来ているってなると、知り合いに会ったりして」

 

「ふふ、何だかあり得そうだね」

 

談笑しながらビーチを歩いていると、前方の方に見覚えのある黄緑色のおかっぱ頭をした小柄のシルフの少年が、ビーチチェアの上に寝転んでくつろいでいる姿が目に入ってきた。水着姿でサングラスをかけているという恰好をしている。

 

 

隣にある1人用のビーチテーブルの上には、トロピカルジュースが入ったグラスと真夏のビーチに合うBGMが流れている小型ラジカセが置かれている。

 

明らかに、完全にバカンス気分を満喫しているという感じだ。

 

シルフの少年は、グラスを片手にトロピカルジュースを飲む。そして……。

 

「カアァァっ!僕の気分にふさわしい清々しい味わいだァ!」

 

脱獄した元ゲーム会社の社長みたいなことを言っているのは、レコンだ。

 

今、ここでレコンと出会ってしまったら、間違いなく何処かの物理学者みたいに「最悪だ」と言いたくなるほどのことになるだろう。

 

「リュウ君、あそこにだけは絶対に行かないようにしよう」

 

リーファもあの辺りは危険だと察知したのか、俺にそんなこと言ってきた。

 

「そうだな」

 

俺たちはレコンがいるところを避けて、進むことにした。

 

 

 

 

 

海の目の前まで来て、さっそく水の中へと足を踏み入れてみた。

 

「冷たくて気持ちいい」

 

「そうだな。特に今日みたいに暑い日は特にな」

 

ALOの今日の気温は30度を超えていることもあって普段より一段と暑い。そのため、冷えた海の水が余計に気持ちよく思えた。

 

「そういえば、リーファってまだ水中が苦手だって言っていたけど、大丈夫なのか?」

 

「泳いだりするのはダメだけど、こうやって海に入るだけだったら大丈夫だよ。でも、足が付かないところはちょっと……」

 

「わかった。あまり深いところには行かないようにするよ」

 

「そうしてもらえると助かるよ」

 

そして、俺たちは持ってきたビーチボールで遊び始める。

 

初めは軽くトスやレシーブをして相手にボールを送り返していたが、続けている内にリーファは熱が初め入ってしまったのか、高くジャンプして強力なアタックを叩き込む。俺も負けじと、レシーブで送り返す。これを皮切りにのんびりとした遊びから激しいスポーツへと変わった。白熱した戦いは10分ほど続き、結果は引き分けに終わった。

 

「普通に遊ぶつもりが、何かの勝負になっちゃったね」

 

「確かにな。リーファが先に熱が入ってしまったからな」

 

「どういうことよ。リュウ君だって熱が入ってたじゃん」

 

「怒っているぞ」とアピールしているかのように、ちょっと頬を膨らませるリーファだったが、その姿が可愛いだけであまり怖くはなかった。

 

するとリーファは悪巧みしている笑みを浮かべ、俺に手で海水を掬って俺にかけてきた。

 

「うわっ!いきなり何するんだよ!?」

 

「そんなこと言ってきたリュウ君に軽くお仕置きしただけだよ」

 

「なるほどな。そういうことだったら俺も」

 

俺も対抗して海水を掬ってリーファにかける。

 

「きゃっ!冷たっ!あたしだって負けないよ!」

 

それからはお互いに海水のかけ合いとなり、子供みたいに楽しんでいた。すると途中でリーファが突然走り出した。

 

「リュウ君、あたしを捕まえてごらん!」

 

「望むところだ」

 

俺もリーファを追いかけようと走り出した。強い日差しが降り注いでいる元で、俺とリーファは浅瀬で楽しく追いかけっこをしている。好きな人とこうしているのは凄く楽しく思い、自然に笑顔になる。

 

追いかけている内に、リーファに手が届くところまで近づいた時だった。

 

「よし、捕まえたぞ。って、うわっ!?」

 

「きゃっ!」

 

あと一歩のところで俺は滑ってしまい、リーファを押し倒してしまう。俺たちは浅瀬に倒れて海水がバチャッと跳ねた。

 

「リーファ、大丈夫か?んっ?」

 

何故か右手に地面とは異なる不思議な感触が伝わってきた。柔らかいけど弾力もあるものだ。何なのか確認しようと右手に2,3回ほど軽く力を込めて掴んでみた。

 

「リュウ君っ!手っ!手ぇっ!!」

 

慌てた様子でリーファが叫ぶ。しかも、何故か頬を赤く染めていた。

 

凄く嫌な予感がし、恐る恐る右手へと視線を下ろしていく。そこで見たものは、右手でリーファの胸を鷲掴みにしている光景だった。

 

これを見た瞬間、俺は顔が熱くなり、背中に冷や汗をかくのを感じた。

 

「ごごごごごご、ごめん!!あの、これは……その……」

 

慌ててリーファに謝り、どう言い訳をすればいいのか困ってしまう。このことに気を取られ、俺は手を退かすのを忘れていた。

 

「リュ、リュウ君の…エッチー!!」

 

直後、バシーンッ!!という音とともに左側の頬に強い衝撃が伝わった。

 

「グハッ!」

 

 

 

 

 

リーファから強烈なビンタを喰らった俺は、左側の頬に手を当てていた。いくらALOには痛覚がないとはいえ、衝撃は伝わる。恐らく、左側の頬にはリーファからビンタを喰らった跡があるだろう。

 

そして、リーファはご立腹な様子で俺の方を見ていた。

 

「リュウ君、これで何回目かわかる?」

 

「えっと、4回目……?」

 

「5回目だよ」

 

思ったよりも1回多かった…

 

実はリーファの胸を触ったのは今回が初めてではない。過去にちょっとしたハプニングで今回みたいなことが何回かあった。リーファが着替えている最中に間違って部屋に入ってしまい、下着姿を見たこともある。完全にラッキースケベの常習犯になってしまったと言ってもいい。唯一の幸いなのが、ラッキースケベをやりかしてしまったのがリーファだけだということだ。それでも十分問題はあるが。

 

「本当にゴメン。何でもしますので、どうかお許しを……」

 

すると、リーファは俺の言葉に食いつき、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「へぇ、今()()()()()って言ったよね」

 

リーファの言葉に少し嫌な予感がして再び背中に冷や汗をかく。

 

「ま、まあ……。だけど、俺ができる範囲で勘弁して……」

 

「リュウ君ができる範囲だし、危険なことでもないから大丈夫だよ」

 

「なら、よかった……。ところで、俺は何をすればいいんだ?」

 

「ここのビーチにある海の家に、前から飲んでみたかった限定のトロピカルジュースがあるんだけど、リュウ君が奢ってくれるってことでいいよ」

 

思ったよりハードルが低い内容だったため、一瞬キョトンとしてしまう。

 

「それだけでいいのか?」

 

「いいよ。もしかして、他のことの方がよかった?」

 

 

「いや、それでお願いします」

 

他のこととなると何かヤバい感じがし、俺がジュースを奢るということにした。

 

これは俺だからこそ、これで済んだのだと思う。仮にキリさんやレコンだった場合は、本当にただでは済まされなかっただろう。

 

 

 

 

 

リーファの案内の元、やって来たのは、南国のリゾート地にあるカフェテリアみたいな造りをした海の家だった。

 

さっそく店内に入ると、多くのプレイヤーたちで賑わっており、俺たちはその中にある2人用のテーブル席へと案内されて腰を下ろした。

 

しかし、店内を見ているとちょっと気になることがあった。

 

それは、ここに来ているプレイヤーが俺たちみたいに男女のペアで来ているプレイヤーばかりいるということだ。女性プレイヤー同士で来ているプレイヤーも少なからずいるが、男性プレイヤー同士で来ているプレイヤーは1組もいない。

 

ここは、前にリーファと一緒に行ったシャルモンというケーキ屋みたいに、女性プレイヤーに人気があるところなのかもしれない。特に気にすることもなく、リーファが飲みたいと言っていたトロピカルジュースを近くにいた店員さんにオーダーした。

 

数分後、店員さんが注文したものをトレーに乗せて俺たちのテーブルへと持って来た。

 

「お待たせしました。《南国フルーツの特性トロピカルジュース》お二人前様分になります」

 

しかし、テーブルに置かれたものを見て俺は目を疑った。

 

「あの、2人前頼んだはずなんですけど、1つしか来てないんですけど……」

 

店員さんはお二人前様分だと言ったが、実際に運ばれてきたのは果物がてんこ盛りのトロピカルジュース1つだけだった。

 

「こちらのドリンクはお一つでお二人前様分になっているんですよ」

 

話を聞いてよく見てみると、ストローが2本あることに気が付く。

 

この時、今初めて俺たちが頼んだものはカップルドリンクだったということを知った。店内に男女のペアが多かったのも十分納得がいく。

 

目の前に座るリーファの方を見る。リーファは、頬を少し赤く染めてはいるが俺みたいに驚いているような様子ではなかった。

 

「なあ、もしかして、リーファってこのこと知っていたのか?」

 

「う、うん……」

 

俺がそう聞くと、リーファは恥ずかしそうにして答える。

 

ーー何かデジャブを感じるな……。

 

「一応、女性プレイヤー同士とかでも注文できるらしいけど、どうせならリュウ君と一緒の方がいいかなって……。でも、やっぱり迷惑だった?」

 

「いや、そんなことないよ。前にもカップル専用のパフェを頼んで一緒にあったし、一緒に飲もう?」

 

「リュウ君……」

 

そして、俺たちはストローをくわえてトロピカルジュースをゆっくりと飲み始める。

 

口の中にフルーツの濃厚な甘みと柑橘系フルーツの程よい酸味が広がる。それに、喉を通る時は爽やかさがある。リーファが飲んでみたいって言っていたのがわかるほど、美味さだ。

 

途中、ふとリーファと間近で目が合ってしまい、俺たちは頬を赤く染めてしまう。それから俺たちはトロピカルジュースを飲み終えるまで、ずっと無言のままだった。

 

これは余談だが、店内にいたプレイヤーたちが「ジュースがメイプルシロップみたいに甘くなった」など訳のわからないことを言っていた。

 

 

トロピカルジュースを飲み終えて会計を済ませた俺たちは、海の家から出た。

 

俺は未だに頬に衝撃を感じていたため、リーファにすぐに戻ると言って海の家のわきにある蛇口へと向かった。蛇口から水を出し、火照った顔を冷やす。もうこれぐらいでいいなとなり、蛇口を閉めてリーファの元へと戻る。

 

すると、リーファが2人の男性プレイヤーに絡まれている光景が目に入ってきた。

 

「君もしかして1人?」

 

「よかったら俺たちと一緒に遊ばない?何でも奢ってあげるよ」

 

これは明らかにリーファをナンパしているな。まあ、リーファは可愛いし、スタイルもいいから、男性プレイヤーたちが目を奪われても仕方がないと思うが。

 

「ごめんなさい。あたし、今彼氏と来ているんで結構です」

 

「彼氏と一緒にいるより、俺たちと一緒の方が楽しいぜ」

 

リーファは断ろうとするが、相手の男たちはしつこくて中々諦めようとはせずにいた。

 

「そうそう」

 

「もしかすると君の彼氏は、君が可愛くてスタイルがいいから付き合っているだけだと思うぜ」

 

「俺たちはそんなことないからさ」

 

ーーリーファの外見目当てで来たのはお前たちの方だろうが……。

 

流石に俺も腹が立ってきて、いつでも抜刀できるように準備をし、リーファを助けに行こうとしたその時だった。

 

リーファは突然、メニューウインドウを開いて糸切りバサミを取り出して左手に持つ。

 

「これ以上しつこいと、本当に刻むよ?」

 

何処かのネットアイドルのように殺気を出して言い、糸切りバサミを数回開閉させてゆっくりと男性プレイヤーたちに近づく。これには男性プレイヤーたちは一気に顔を青ざめる。

 

「「さ、サーセン……」」

 

そして、男性プレイヤーたちは逃げるように急いでリーファの元から去っていく。

 

リーファの「刻むよ」はよくレコンにやっているのを見るけど、該当者でない俺でさえも恐ろしいと思えるほどのものだ。これは見なかったことにしておこう。

 

「あれ?リーファ、どうかしたのか?」

 

「ううん、何でもないよ」

 

先ほど男性プレイヤーたちに見せた時の殺気に溢れた表情ではなく、笑顔を見せるリーファ。左手に持っていた糸切りバサミもいつの間にかしまっていた。

 

 

 

 

それからも俺たちはビーチで砂の城を作ったり、釣りをしたり、行われていたスイカ割りのイベントに参加したりと遊び続けた。

 

いつの間にか何時間も経って、ALOもすっかり夕方となった。数時間ほど前まで青かった海と空も今は夕日でオレンジ色に染まっていた。

 

俺たちは人があまりいないビーチまで行き、座って海を眺めていた。

 

「青い海と空もよかったけど、オレンジ色の方もいいよな」

 

「うん。この景色を見ていると何だか空を飛んで見たくなっちゃんだよね」

 

「ハハ、リーファは本当にALOで空を飛ぶのが好きなんだな。《スピードホリック》って言われているのが納得がいくよ」

 

「もう、リュウ君まで……」

 

ポカポカと何度か軽く叩いてくるが、特に痛くもなかった。

 

「悪い悪い……」

 

でも、こうしてリーファと2人きりで過ごすのは本当に楽しい。何処かの物理学者みたいに「最高だ」と言いたいくらいだ。

 

「リュウ君」

 

「どうしたんだ……んっ!?」

 

リーファに呼ばれて振り向いた途端、リーファの顔が目の前に来て唇に柔らかい柔らかい感触が伝わる。すぐにリーファにキスされたのだとわかり、頬が熱くなる。

 

軽いキスだったため、俺たちの唇はすぐに離れた。

 

「リュウ君、ボーっとしてたから隙だらけだったよ」

 

「だからっていきなりは反則だろ……」

 

こうして俺の高校生活1回目の夏休みに、新たな思い出が加わった。




今回は、アリシゼーション編前半の終了記念ということで、特別にユージオとアリスをスペシャルゲストとして呼んでみました。

リュウ「スペシャルゲストのユージオさんとアリスさん、この作品はいかがだったでしょうか?」

ユージオ「うん。原作にはいない人たちがいたり、展開も違っているけど、僕も早く登場してみたいなと思ったよ。リュウとは気が合いそうな感じもするしね」

アリス「私もユージオと同じく早く登場したいです。この作品だと何だか違う感じになりそうなので楽しみです。特に恋愛面の方が……」

リュウ「ありがとうございます。アリシゼーション編に行くためにも俺も頑張らないといけませんね」

ユージオ「この作品見てて思ったけど、何だかブラックコーヒーが物凄く欲しくなる時があるんだよね」

アリス「私もそれは不思議に思いました。それに、今回の話と関係ありませんが、この作品のキリトってシスコンなんですね。同じく妹がいる身として、ちょっとドン引きしました」

キリト「だから俺はシスコンじゃない!!」

リュウ「えっと、なんかカオスな感じになりそうなので、この辺りで終了します」

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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