ソードアート・オンライン 狂戦士の求める物   作:幻在

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六十九層ボス戦

朝、起きるとシノンの姿が無かった。

「何処だ?」

とりあえず、寝室を出た。

朝の日差しの強さについ手をかざす。

次第に目が慣れ手を下ろすとそこには・・・・

「ふぁ?」

「ふぇ?」

そこには下着姿のシノンが・・・・

 

ドゴォン!!

 

 

 

 

「お前・・・いつの間に体術を・・・」

「うるさい黙りなさい射抜くわよ」

「やったら飯食えんぞ」

「変態」

「飯抜き・・」

「ごめんなさい!!」

と、シノンはカットソーとジーンズを履いている。

一方、ソラはYシャツとチノパンを着ている。

その頬には赤い手跡がある。

そしてソラはシノンの冷たい眼差しを言葉で制した。

「っというか、着替えるなら早く着替えろよ。下着とか試着してないでなぁ」

「べ、別にいいでしょ!」

「てか、なんで下着を・・・」

「うるさい!」

「弦月!?」

と、朝はこんなにも賑やか(ある意味緊迫した)になった。

 

 

 

 

五十五層グランザム

そこには攻略組の面々が。

「ん?ああ、エギル」

「お、ソラじゃねぇか」

そこには知り合いの戦える商人、エギルがいた。

「誰?」

「知り合いのエギルだよ。商人で、モットーは安く仕入れて安く提供するだ」

「よ、よろしく」

「おうよろしく」

バリトンの声とその体躯に圧倒されビビるシノン。

「お前・・・絶対臆病になっただろ?」

 

ガス!

 

「いってぇ!?」

「ふん!」

「おーおー仲の良い事で」

「そんなんじゃ・・・」

「それは否定しない」

「いやそこは否定しなさいよ!」

「一緒に住んでるのに?」

「またやられたいの?」

「当てられるものなら当てて見ろ!」

と、鬼ごっこを始めるソラとシノン。

「なんか、変わったな」

「おーキリト」

「よ、エギル」

後ろからキリトが声をかける。

「変わったってどういう意味だ?」

「あいつが、狂戦士とバレる前まではなんか堅苦しい雰囲気だったけど、今じゃあんなに砕けた喋り方するんだなって思ってさ」

「ああ、そうだな。あいつ、初めて俺の店に来た時は、『攻略組にこの金渡してくれ』って言われてさ、そんときゃ驚いたぜ」

「え!?あの金、ソラ君のだったの!?」

キリトの後ろからアスナが現れる。

「え?」

「実は、四十層を過ぎた辺りから突然、どこからかお金がつぎ込まれて・・」

「まて、じゃあその時からか?何故か攻略のペースが上がったのって・・・」

「うん、お金が沢山入ってきたから」

「あいつ・・・金に困ってないのか?」

「一日一万は稼いでるぞ~!」

「聞いてたのかよ!?」

「凄い数だな!?」

と、鬼ごっこをしているソラの声に、二つの意味で驚く三人。

「さて、そろそろ行きましょ」

「そうだな。お~い、そろそろ行くぞ!」

「ああ、わかった!」

「待ちなさ~い!」

 

 

 

 

六十九層ボス部屋前。

「シノン、矢の数は?」

「六筒ほど持ってきたわ、そこまで困らないと思う」

「そうか・・・シノンが狙われないという可能性は無い。その時は、俺が守ってやる」

その言葉に赤面するシノン。

「そろそろ、ボス戦に挑みたいと思います!皆さん!武器を用意して下さい!」

「そろそろだな」

「そうね」

ソラは『狂戦士の鎧』を装備し、背中の『竜殺しの剣』を抜く。

シノンも、弓を手に取り、矢を持つ。

そして、アスナの手によって扉が開かれる。

「突撃ーーー!」

『おおおおおおお!!!』

一斉に部屋に突入!

そして、その先には五体の天使。

その中央の玉座に座っている巨漢が空中へ逃げる。

「シノン!!」

「ええ!」

シノンが四本の矢を弓の糸にかける。

そして、その矢が青い光に包まれ、矢がアトラスの形を描きながら放たれる。

 

弓兵スキル《アトラススター》

 

その必中の加護が付与された矢が巨漢の体を貫く。

確実なダメージとなって。

「よし!」

「おおおお!!」

キリトがヴォーパルストライクを放つ。

医者服の天使はそれを持っていた鉄棒で防ぐ。

だが・・・

「スイッチ!」

「はぁぁぁあ!!」

そこへアスナのスタースプラッシュが殺到!

そこへKobのプレイヤーのアバランシュが炸裂する。

一方鉄球の天使を請け負っているキリトの友人、クライン率いる風林火山のメンバーとエギルを加えたパワー型ビルドのプレイヤー達は、

「鉄球さえかわしてしまえば隙だらけ。あとは鉄球が戻ってくる前に攻撃すればいいんだろ」と余裕の顔。

盾の天使を請け負っている聖竜連合(ドラゴン・ナイツ・ブリケード)はまずパワーのある奴が盾を弾き飛ばし、その隙を逃さず、ソードスキルを叩き込んでいる。

小柄に対しては、ひたすらその動きにかく乱されないように立ち回るしかない。

そして、上空のボスは、シノンがひたすら矢を射るだけ。

「なかなか落ちないわね・・・!? ソラ!」

「応!」

上空のボスが羽を飛ばしてくる。

それをソラが大剣を盾にする事で防ぐ。

そして、シノンが再度、矢を放つ。

 

 

 

そうして、三時間が経過した頃・・・

上空のボスが落ちた。

「よし!」

シノンがガッツポーズを取る。

他のボスのHPはあと二本。

そして、落ちた巨漢も残り二本。

「後は・・・!?」

そしてソラが巨漢に突撃しようとした瞬間、地面が大きく揺れた。

『な!?』

それは周りも同じく、全員がよろけた。

それと同時に、全員がそれぞれのボスによって吹き飛ばされる。

『ぐあああああ!?』

『ぎゃああああ!?』

色々な叫び声が聞こえ、全員がボス部屋の壁に叩き着けられる。

否、二人だけは。

「な、なんで!?」

見ると、全員HPがデッド(レッド)ゾーンに突入していた。

どうにか生きているといったところだ。

「どうやら、俺たちを即刻排除したいらしい」

「え?」

見ると、他のボス全員がソラやシノンに向かって歩き出していた。

「ど、どうするのよ・・・」

「最悪な状況だな・・・やるしかないか・・」

「やるって何を・・・?」

「俺一人でやる」

「!? そんなの無茶よ!」

シノンがソラの腕にしがみ付く。

「お願いだから死にに行くような事はしないで!お願いだから!」

「違うさ、シノン。生きる為に、ここから出る為に行くんだ。それに、俺にはお前の弓がある」

「え?」

「まだわかんねぇか?俺がお前を守るように、お前はそんな俺を守ってくれって言ってんだよ。その弓で、援護してくれないか?」

その言葉でキョトンとするシノン。だけど・・・

「いいわ。貴方が死なないように私も頑張る。だから、私の援護ありで勝手に死なないでよね」

「ああ、わかった」

ソラが、ボス達に向かって歩き出す。

そして、ソラは、『狂化』を発動させる。

鎧に赤いラインが走り、展開する。

それは禍々しくも、黒いボディが、光に反射され、輝いて見える。

そして走り出す。

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉお!!」

走り出すソラ。それに応えるように五体のボスが加速する。

そして、激突する!


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