ソードアート・オンライン 狂戦士の求める物   作:幻在

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ソラが殺した数、そしてこの小説初のあの人が遂に登場!
そして、ルキナとの決着の行く末は・・・

ではどうぞ!


ずっと傍に

「だぁぁぁぁぁ!!」

『狂戦士の鎧』を装備したソラは、手に持った大剣を振り下ろす。

それをかわすルキナは持っている短剣で鎧の隙間を攻撃する。

脇腹が熱い。

「ぐぅ・・・!?」

「アハハ、やっぱり痛いんだ」

痛い?何故?

シノンはそれを疑問に思っていた。

「ぐう・・・何故こんなに・・!?」

「あら?毒が効かない代わりに痛みが倍増するんだ?良い事聞いたな」

ソラがまた斬りかかる。

横に薙ぐも、ルキナは飛んでかわす。

だが、ルキナは反撃といわんばかりに四連撃のソードスキルを鎧の隙間を縫って叩き込む。

「ガアッア!?」

余りにも痛い。

いつもの数倍はダメージが増している。

慣れない痛みに苦悶するソラ。

「あははは・・・!?」

だが、それでもルキナの長い髪を掴み、地面に叩き着ける。

「ぐあ!?」

「おおおお!!」

そのまま大剣を振り下ろす。

だが、いきなり足に先ほどの数倍の痛みが襲ってくる。

「ナァ!?」

「アハハハハ!!」

それは新たに取り出した短剣。

「ダメージ毒か・・!?」

「ふふふ、毒の種類で痛みの度合いが変わるのね」

狂戦士スキルはペインアブソーバをカットされ、ダメージを受ける度にそれに応じた痛みが体を貫く。

普通の攻撃なら耐えられるのだが、何故かこの刃だけは痛みが数倍にも増して耐えられる物じゃない。

膝を着く。

「アハハ!膝を着いたわねぇ~」

いつもは痛みは一瞬で終わるのだが、毒なのか、痛みが続いている。

「ぐ・・・この・・・」

痛みに耐えながら立ち上がるソラ。

「あはは!」

ルキナが突撃してくる。

それを武器を構えて迎撃の準備をするソラ。

「死ねぇ!!」

華麗なステップでソラを翻弄し、後ろに回り込むルキナ。

だが、ソラはそれを読んでいたかの様に素早く回転して剣を盾にして防ぐ。

さらに態勢を限界まで低くし、地面すれすれを剣が滑空、振り上げる。

それをなんとか防ぐルキナ。

だがパワーがとてつもなく、宙に吹き飛ばされるルキナ。

このまま落下すれば、落下ダメージでHPがかなり持っていかれる。

「アハハハ!!」

だが、それでも笑うルキナ。

(あいつ、なんで・・・!?)

いきなりルキナが何かを投げる。

それは反応出来ず、かわす事が出来ず、足に突き刺さる。

その痛みはダメージ毒による痛み。

「ガァ!?」

その痛みに跪く(ひざまず)ソラ。

「しまった!?」

「死ねぇぇぇ!!」

頭にクリティカルヒットする。

あくまで相討ち狙いだ。

それは真っ直ぐソラの眉間に吸い込まれるように・・・ならなかった。

いきなりルキナが吹き飛ぶ。

「な!?」

誰かがソードスキルを放った。そうとしか思えない。

だが、ここには、ソラとルキナ以外・・・いや、戦いに集中しすぎて忘れていた。

シノンだ。

シノンは麻痺が解けたのか、弓を携え、ルキナにソードスキルを放ったのだ。

「シノン!」

「待っててソラ、こいつは私が・・・」

「だめだ!お前が人を・・・!」

「もう殺してるよ」

「!?」

シノンの言葉に絶句するソラ。

「まだ断片的にだけど、思い出した事があるの・・・私は人を殺したんだ。なら、今更やっても・・・」

「良い訳ないだろ!!」

ソラが痛みを無視して、立ち上がる。

「お前はそれ以上罪を背負うな!そんな事俺が許さない!絶対に・・・」

「じゃあ、貴方は、私の為なら、人を殺せる?」

「そ、それは・・・」

「やっぱり・・・誰も、私を助けてくれない。きっとこれからも・・・」

シノンが弓を構える。

「やめ・・」

「やってみろよぉぉぉぉ!その弓をおぉぉぉ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()

シノンの体がビクンと跳ねる。

やはり、あの顔をどこかで見た事があると思ったら・・・あの男が絶命する時に見せた笑みそのものだ。

シノンの足が震えている。

やはり、怖いんだ。

「出来る訳ないわよねぇぇ!!なら、さっさと死になさいよぉぉぉぉ!」

ルキナがシノンに向かって走り出す。

「ひッ!」

シノンが後ずさる。

その瞬間、ソラの体は動いていた。

『狂化』が発動し、このアバターのあらゆる身体機能が向上する。

それによりスピードが増し、ルキナが短剣をシノンに突き立てる瞬間、シノンを突き飛ばし、その剣はソラの鎖骨の根元に突き刺さる。

熱い。これまでに無い痛みだ。

焼ける、精神が引き千切られそうだ。

だが、ここで終わる訳にはいかない。

零距離、ここで外さない。

ルキナの右腕を左手で掴み、更に右手で手刀を作る。

赤い光が拳を包む。

「おおおおおお!!」

「いやぁぁぁあ!!」

ルキナは悲鳴を上げ、その攻撃から逃れようとする。だが、もう遅い。

 

体術単発スキル《エンブレイサー》

 

それがルキナの胸に直撃し、ルキナのHPを全て持っていく。

「あ、ああ・・・」

「地獄で、お前がいままで殺した奴らに謝って来い」

「い、いや・・」

 

バリィン!!

 

ルキナがポリゴンとなって消滅した。

「・・・・シノン」

シノンの方を見ると、震えていた。

両腕は両方の二の腕を掴み、体は小刻みに震えていた。

唇は半開きになり、眼は焦点があってない。

こうなったのは、全部、自分のせいなのか・・・?

なら・・・もう・・・でも、今は・・・・

ソラはシノンを抱きしめる。

シノンの体が一瞬、ビクンと跳ねるが、構わない。拒絶されるなら、それでいい。彼女を守れるなら、自分はどうなってもいい。

「・・・あ」

「シノン?」

「・・・そら」

シノンが、ソラの鎧を握りしめる。

「・・・一緒にいて・・・お願い・・・私を、一人にしないで・・・一人にしないで・・・」

その言葉がいけなかった。

もう、戻れない。

「ああ、いつまでも一緒にいる。お前が世界の裏側にいようと、もう手の届かない場所にいようと、俺はずっとお前の傍に居続ける。守り続ける。ずっと、一生、いや、永遠に」

ソラは、抱きしめた手をより一層抱きしめた。

 

 

シノンは、ソラの事と、あの事件の事だけを思い出した。

ただ、ソラが自分を守ってやるといった事と、シノンと一緒に引き金を引いた事だけだった。

 

そして、シノンは、あらたなスキル、《弓兵》を手に入れた。

これをアスナに報告すると、血盟騎士団の団長に話したらしく、会議室に招かれた。

そこには、血盟騎士団団長、『ヒースクリフ』がいた。

ソラと同じ、ユニークスキルの持ち主で、『神聖剣』という、攻防自在のスキル操るアインクラッド最強のプレイヤーだ。

「あんたが・・・ヒースクリフか?」

「そうだ。ようこそ、血盟騎士団本部へ」

ヒースクリフはさぞ親しそうに笑う。

だが、かなりの実力者だというのは知っている。

「こうして話し合うのは初めてだったな」

「そうですね・・・ってシノン。お前はいつまで俺の後ろに隠れている」

「だ、だって、なんかここの人たちなんかいやらしい目で見てくるし・・・なんか私なんかがここにいていいのかと思って・・・」

「お前・・・あの一件以来かなり臆病になったんじゃねぇの?」

「う、うるさいわね!」

ふん!っとそっぽを向くシノン。

とにかく、ヒースクリフに向き直り、ソラは本題に切り出した。

「それで、ここに呼ばれたって事は、今回のボス戦の事でいいんだよな?」

「無論だ。君やキリト君の話だと、ボスは全部で五体いるようだね」

「ああ、しっかりと確かめてきた。リーダー格と思われる玉座の奴は、空を飛んで、高見の見物、さらに援護と言わんばかりか、羽を飛ばしてくる。更に他の四体は連携がうまい。これは今までになかった事だ。分断する必要がある」

「そうか・・・ちなみに強さは?」

「パーティニ個分、レイドニ個いれば、問題は無いと思うが、上空の奴はどうする?」

「アスナ君の話を聞く限り、そこのシノン君は弓が使えるようだね」

「なるほどな、上空の奴の迎撃をシノンに任せるって訳か。出来るか?」

「当然。やらなきゃ出られないんでしょ?」

「だ、そうだが・・・」

「感謝する」

その後、少し打ち合わせをし、溜まった金をヒースクリフに渡し、二十四層のマイホーム帰った。時間はもう九時だ。

「ふう・・・」

装備を外し、ベッドに寝転がるソラ。

「・・・」

「シノン?」

シノンがその傍に装備を外さす、寝てくる。

「どうした?」

「ねえ、ソラ。貴方は、何人殺したの?」

「!?」

突然、予想外の事に驚くが、すぐ平静を取り戻し、数えて、答えた。

「百五人は殺した・・・」

「そう・・」

「驚かないんだな。こんな大量殺人鬼が傍にいるのによ」

「貴方は、理由も無しに人を殺さない。そう、覚えてる。あの時だって、私に全てを背負わせない為に一緒に引き金を引いたんでしょ?」

「どうかな・・・まあ、きっとそうなんだろう」

ソラは天井を見る。

「ねえ、ソラ・・・」

「なんだ?」

「どうして、貴方は私ばかり気に掛けるの?」

「・・・」

「これだけは、答えて。私が人を殺したから?それとも、哀れだから?ねえ、答えて」

ソラはしばし考え、こう言った。

「お前だから」

「え?」

「お前だから、単純にシノン、朝田 詩乃だから、それだけだ」

「・・・ぷ」

「なんだよ」

「本当に単純な理由ね」

シノンは少し笑い、やがて、真剣な顔でに戻ると、ソラの肩に顔をうずめる。

「しの・・・」

「貴方が人殺しでも構わない。例え、貴方が私を突き離そうとしても、私は、貴方から離れない。ずっと一緒にいる。貴方の苦しみを半分、いえ、全部一緒に背負うから、お願いだから、貴方もずっと傍にいて、お願い・・だか・・ら・・」

いつの間にか、シノンは泣いていた。

ソラはシノンに向き直り、そして抱きしめる。

「ああ、ずっと一緒にいる。お前を一人になんてさせない。もう二度と」

「うん・・・うん・・・」

二人は、そのまま寝た。

二人の距離が完全に近づくまで、まだ先の事だが、この日、シノンの心は満たされていた。

 

 

 

ボス攻略

パーティ

上空ボス迎撃パーティ

ソラ

シノン

第二ボス(医者服)

キリト

アスナ

血盟騎士団パーティ一つ

第三ボス(鉄球)

風鈴火山

エギル

ほかパワー系プレイヤー

第四ボス(盾)

聖竜連合パーティ三つ

第五ボス(小柄)

機動型ビルドのプレイヤーパーティ

 

 

ボス戦開始まで、後、十二時間。


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