訂正報告
第4話でソラの妹が小学6年といいましたが、よく考えてみたら詩乃と同い年という事なので、本当なら中学一年という事なので訂正して中学一年に訂正しました。
っというわけで、本編をどうぞ。
七十五層迷宮区。
「ヤァァ!!」
シノンが珍しく近距離で戦闘をしていた。
黄色い閃光が迸り、オークの体に直撃する。
そしてポリゴンとなり爆散。
「ふぅ・・・」
「おつかれ」
その傍には白いマントを羽織ったソラ。
二人は、上司であるハクヤの命令で、迷宮区のマッピングをしていた。
「大分進んだわね」
「ああ、四分の三っていった所か」
マップを見ると、かなりの部分がマップに記されていた。
「ボス部屋に着いたらコリドーで座標を設定しておけと言われたが、肝心のボス部屋が見つからないんだよなぁ」
そう、悪態を吐きながら、探索をしている内に、時間は五時を過ぎていた。
「そろそろ戻るか」
「ええ」
そうして、血盟騎士団本部に戻った二人。シノンは入った訳じゃ無いが、特別に出入りを許可されているのだ。
「ただ今戻りました」
「あ、丁度良かった。頼みたい事があるのよ」
「ん?なんすか?」
ハクヤが頼み事を口にした。
「実は、黒鉄宮の地下に、謎のダンジョンが出現したって報告をライコウから受けたのよ」
「え?黒鉄宮って確か『軍』が拠点としている場所じゃ・・・」
軍とは、このアインクラッド最大のギルド『アインクラッド開放軍』の略称だ。
「その地下にダンジョンが出来たなら、もう特区に所有化されてるだろ?」
「そうでもないのよ。なんでも六十層クラスのモンスターが出てきて、とても私物化できるような所じゃないのよ」
「あのギルドって数はあるけど一人一人が弱すぎるわね」
シノンがフッと笑い、小馬鹿にする。
「それで、そこを攻略する理由は?」
「なんか引っかかるのよね。なんで、一番下の一層になんでそんなレベルのダンジョンがあるのか。なにか、その奥に隠しておきたい物があるのかしら?」
「隠すって、茅場晶彦の事?」
シノンが問いかける。
「そうとしか思えないな。よしわかった。行ってくるよ」
「すまない、休みも欲しいだろうに」
そうして自宅に帰る途中・・・
「ねえソラ、一旦キリト達の所に行かない?」
「え?別に良いが、なんで?」
「もしかしたら予想外の事が起きるかもしれないから、ちょっとダメ元で誘ってみようかと思って」
「そうか、確かに迷宮にイレギュラーは付き物だからな」
そうして、同じ二十四層にあるキリト&アスナ宅につく。
装備は鎧は全て外し、私服だ。
ドアを三回ノックする。
「はーい」
「あれ?いつもより元気が無いような・・・」
「あ、ソラ君にシノのん」
アスナが出てきた。
「どうしたの?」
「ああ、いや・・・何かあったのか?」
「あ、えっと・・・」
アスナが視線を下に泳がせる。
「あったのね」
「なんか、悪い」
「ああ、気にしないで、入って」
そうして入る。
「迷子?」
「そうなんだ。森で散歩していたら、この子が倒れててな」
ベッドには、キリトと同じ様な黒い髪のアスナの様にサラサラな髪の女の子が寝ていた。
「・・・お前らの子供じゃなくてか?」
「「違う(よ)!」」
「そこまで否定しなくても・・・」
「っというか、なんで俺らの子供って事になんだよ!?」
「だって、キリトの黒い髪にアスナの様なロングヘアでしょ?どう考えてもあんた達の子供でしょ?」
「シノのんまで!?」
悪ノリする二人だったが、やがて真剣な顔になり、尋ねる。
「それで、手がかりは?」
「ゼロだ。新聞を調べても、どこにもそんな事載ってなかった」
「そうか・・・」
空気が重くなる。
探している親がいないとなると、死んだか、ダイブしてないかのどちらか。
前者は全く持って考えたくないが、後者だと、この子はずっと一人だった事になる。
「仕方がない、俺らも協力するから、明日にしよう」
そうして、一旦打ち切り、家に戻ったソラとシノン。
「ソラ、あの子・・・」
「・・・」
「・・ソラ?」
「あ、悪い、少し考え事していた。ごめん」
あの子の事で、テンションが下がっている二人。
「とにかく、明日あいつらは午後から始まりの街にいくらしいから、俺らも着いていこう。もしかしたら、あの子の親が見つかるかも知れないからな」
「そうね・・・」
そう会話し、寝た。
翌日。
「起きたのか?」
「ああ」
昼辺りにキリト達の家に行くと、あの女の子が大きな椅子の上に座っていた。
「パパ、この人たち誰?」
「ん?パパ?」
シノンがキリトに視線を向けると、キリトは目を反らしながらも、女の子の方を向いた。
「この人たちはパパやママの友達なんだ」
「そうなの?」
女の子が可愛らしく首をかしげる。
((か、可愛いッ!?))
その可愛さに百のダメージを受ける二人。
「どうした?」
「い、いや、なんでも」
「パパ?」
「ああ、悪い。それで、お兄さんの方がソラで、お姉さんの方はシノンって言うんだ。ソラ、シノン、この子はユイっていうらしい、なかよくしてくれ」
「お、おう。よろしくな、ユイ」
「よろしくねユイちゃん」
と、謎の少女、ユイにあいさつをする二人。
「・・・・」
「ん?」
「そあ、しおん?」
やや不安定な口調でユイがオウム返しで声を発する。
「ああ、ソラだ、そ、ら」
「そ・・あ・・?」
「難しいか、じゃあお前が一番呼びやすい言い方で良いよ」
そこでやや間を置いたユイは、次にこう答えた。
「そあは、にぃに、しおんは、ねぇね」
「「!?」」
その言葉に、少なからずも衝撃を受ける二人。
そして、ユイは困った様な表情をする。
「ああ、にぃにだ、ユイ」
だがソラはそれを受け入れ、笑みを返してそう言う。
「わあ、にぃに!」
そして嬉しそうに抱き着いてくる。
「おーよしよし、にぃにと遊ぼうか」
「うん!」
そして、いきおいよく外に飛び出す二人。
「ったく、あいつはよ」
楽しそうに遊ぶ二人を見て、笑みを零すキリト。だが・・・
「う・・・」
不意にシノンから、短い嗚咽が漏れだした。
「シノのん・・・」
「アスナ、あの子・・・」
「うん、大丈夫、大丈夫だから・・・」
アスナは、今にも泣きだしそうなシノンをそっと抱きしめ、向こうで遊ぶ二人を眺めた。
第一層、始まりの街。
「おいおいおいおい。誰も居ねぇじゃねえか!?」
その街に、NPCはいるが、プレイヤーと思われる人影は見当たらない。
「なんでいないんだ・・・?」
「徴税っていうのは本当だったのかよ・・」
「徴税?」
キリトが首を傾げる。
その左手にはユイの右手がある。
「なんでも、軍のプレイヤーがこの街にいる人たちから税を巻き上げてるんだって」
「そうなのか、だからこの街には人が見当たらないのか・・・・」
そういわれると、確かに人っ子一人いない。
東七区に行ってみると、そこには教会があった。
教会というのはアンデットモンスターに対して効果が底上げされる祝福を武器に付与したり、モンスターの魔法攻撃、『
魔法要素の無いこのSAOにとっては、最も神秘的なところだろう。
「ちょっと待って」
「どうした?」
アスナが止める。
ユイはすっかり寝入ってキリトにおぶられている。
「あ、ううん・・・その・・・もし、あそこでユイちゃんの保護者が見つかったら、ユイちゃんを・・・おいてくるんだよね?」
それを聞いて、その場の空気が重くなる。
「俺も、別れたくないのは一緒さ。ユイがいるから、あの森の家が、本当の家になったんじゃないかって、そんな気がしたんだ。でも、会えなくなるわけじゃない。ユイが記憶を取り戻したら、きっとまた訪ねて来てくれるさ」
「そうよ、アスナ、きっと、また会えるわよ」
シノンが、アスナにそういう。
「ん・・・そうだね」
そうして、教会のドアをノックする。
だが、だれも出ない。
「・・・・あの、誰かいませんか~?」
それでも返事がない。
「誰もいないのかしら・・・?」
「いや、そういう訳じゃ無い。右の部屋に三人、左に四人、二階にも何人か」
「ソラ、本当?」
「ああ、いるぞ」
「索敵スキルって壁の向こう側にいるプレイヤーの人数までわかるの?」
「ああ、っていっても、熟練度九百八十からだけどな、アスナもあげたらそうだ?」
「いやよ、修行が地味すぎて発狂しちゃうわよ」
「確かに・・・」
ただ、相手は出てくる気は無いようだ。
「仕方がない・・・」
「え?何する気?」
そこでソラは・・・・
「俺は血盟騎士団!『狂戦士』のソラだ!人を探している!いるなら開けて欲しい!」
自ら名乗りを上げた。
「ちょ・・・」
すると、少ししてからドアが開かれる。
「ほ、本当に軍の人たちじゃ、ないんですよね?」
「ああ、少し強引な方法で呼び出して悪い。マジで人を探してるんだ」
出てきたのは眼鏡をかけた女性プレイヤーだった。
「ほんとに・・・軍の徴税隊じゃないんですね・・・?」
「血盟騎士団の名前をかたる軍のプレイヤーいないと思いますが?」
「ちょっとソラ」
ソラがシノンに小突かれる。
そしてアスナは女性を安心させるように微笑み、話しかける。
「ええ、私たちは人を探していて、今日上から来たばかりなんです。軍とは何の関係もないですよ」
その途端――
「上から!?ってことは本物の剣士なのかよ!?」
甲高い少年の声とともに女性の後ろにある扉が勢いよく開け放たれる。
「こら、あんたたち、隠れてなさいっていったじゃない!」
女性がその子供を叱る。
だがそう簡単に従う子供はいない。
そうして一人の子供がキリトを見てまるで落胆したように肩を落とす。
「なんだよ、剣士だったら剣の一本ぐらい持ってろよ」
「い、いや、持ってない事はないんだが・・・」
ソラは自分の大剣をオブジェクト化し、それを子供たちに渡す。
「ほら」
感想として、「おっきーい!」「おも!?」「すごい!」
など。
一方でキリトはいくつか武器をオブジェクト化し、それを子供たちが持ったり、振ったりしていた。
「すみません、ほんとに・・・」
「いえ、いいんですよ」
「あの、こちらへどうぞ。今お茶の準備をしますので・・・」
礼拝堂の右にある小部屋に案内された四人は振舞われたお茶を飲んで、息をついた。
「それで、人を探しているっていうのは・・・」
「ああ、そうです。俺はさっきいった通り、名前はソラです。それでこっちがシノン」
「よろしく」
「私はアスナです。この人はキリトと言います」
「あ、すみません。名前も言わずに。私はサーシャです」
女性、サーシャはぺこりと頭を下げ、お辞儀をする。
「それで、この子はユイ」
未だに眠っているユイを見て、そう紹介するアスナ。
それでこれまでのいきさつを話したところ、ここには小学生から中学生ぐらいの子供しかいないとの事で、大人はサーシャ一人のみだという。
食費などは年長の子がなんとかしてるらしい。
贅沢は出来ないみたいだが。
「ここにも金まわすべきだったか・・・」
「あ、いいんです!これでも十分やっていけてますし」
「そう、ですか・・・」
ソラは気難しい顔をし、黙る。
そんな時。
「先生!サーシャ先生!大変だ!」
子供が扉を蹴破ってきた。
「こら!お客様に失礼じゃないの!」
「それどころじゃないよ!」
先ほどの少年だった。
「ギン兄たちが軍の奴らに捕まったんだ!」
始まりの街、その一角。
ユイを抱え、街を全力疾走するサーシャ、キリト、アスナ、ソラ、シノンとその後ろを追随する子供たち。
路地裏を使っている事から、最短距離を駆け抜けるつもりなのだ。
そして、道を塞ぐようにある集団が見えた。
軍だ。
「お、保母さんの登場だぜ」
「・・・子供たちを返してください」
硬い声でサーシャがいう。
「そう硬い事いうなって、ちゃんと後で返すって。少し社会常識を教えてやるだけだからよ」
「そうそう、市民には徴税の義務があるからな」
と、甲高く笑う軍のプレイヤー達。十人はいるらしい。
五人ずつでサイドを押え、包囲する行為、ブロックに加え、多人数で包囲して、相手を一歩も動けなくするボックスというたちの悪い行為をしている。
「ギン!ケイン!ミナ!そこにいるの!?」
「先生、助けて・・!」
「お金なんていいから渡してしまいなさい!」
「先生、だめなんだ・・」
少年が絞り出すような声で答える。
「だめだめぇ。お前たちはしばらく税を納めていなかったからなぁ、金だけじゃだめなんだよ」
「何がいいたい?」
ソラが低い声で聞く。
「装備も全部おいて行って貰わないとなぁ。防具も全部、何から何までなぁ」
それを聞いたソラは自身の大剣に手をかける。
「ソラ」
「何?まさか止めるなんてことはないですよねシノンさん」
「いいえ、むしろ空の彼方まで吹っ飛ばしてあげなさい。こういう奴らにはそれぐらいの事は必要よ」
そこでサーシャが声を上げる。
「そこを・・・そこをどきなさい!さもないと・・」
「さもないと・・・どうなるんだ?」
「こうなるんだよ」
「へ?」
瞬間、
ズガァァァァンッ!!!
軍のプレイヤーの一人を下段から切り上げる単発のソードスキル、『バスターロケット』を食らわせ、
「ギャアアアァァァァアアァァァ・・・・」
キラリーン☆と、本当に空の彼方まで吹っ飛ばしてしまった。
『・・・・』
それを見て全員が絶句する。
「お前たち・・・」
そしてソラは・・・
「引いてくれるかな?」
それを聞いた軍のプレイヤーがソラ向けて後ろを向くまで、一秒とかからなかった。
「ふう・・・キリト」
「・・・」
「おーい、キリトさ~ん?」
「は、な、なんだ?」
「そこ右に一歩」
「え?」
と右に一歩移動したキリトがさっきまでたっていた場所に・・・・
「・・・・
ドォォォォン!!
先ほど吹っ飛ばした、軍のプレイヤーだった。
「あ、ああ、あ・・・」
既に泡を吹いて気絶していた。
「おい、起きろ」
ガスガスと踏みつけるソラ。
「ああ・・・・は、ヒィィィ!」
気絶から目覚めた男は、ソラを見るや腰を抜かしながら後ずさる。
「もう二度とこいつらに手を出すな。さもなくば、もう一度空の彼方まで吹っ飛ばすぞ」
「わ、分かりましたァァァァァァア!!」
そう言い残し、全力疾走で逃げていく男。
「ふう・・・・あ」
気付くと、完全絶句しているサーシャと教会の子供たち、そしてアスナとキリトだった。
「・・・やりすぎたか?」
「いいえ、あれくらい、やられて当然よ」
(怖ぇぇぇぇぇぇ!?この二人!?)
(絶対敵に回したくない)
と、内心全力で怖がるキリトとアスナ。
だが・・・
「すげぇ!」
『え”』
何故か少年たちにはバカ受けしたようだ。
「どうやったの!?」「いまあそこまでとんでいったよね?」「すごーい!」
「あ、いや・・・」
若干、混乱しているソラ。
「こ、これでいいのか・・・?」
「さ、さあ?」
「ふふ」
顔を引きつらせている二人と、それを微笑ましそうに眺めるシノン。
そんな光景に見惚れていると、不意にユイが空に向かって手を伸ばす。
「ああ、ユイ、起きたのか・・・」
「消える・・・」
「え?」
「消える・・・皆のこころが・・・ああ・・」
瞬間、いきなりノイズが走った様な音が響き、それに身を強張らせるユイ。
その音が収まると、ユイは一気に力が抜けたようにキリトの背中から落ちていく。
「ユイ!?」
「ユイちゃん!?」
咄嗟にアスナがユイを抱え、落下を防いだ。
「な、なんだ、今のは・・・?」
先ほどのユイの言動、聞こえたノイズ。
謎が深まるばかりだった。
翌日・・・
「こ、これは・・・」
「すごいな・・・」
教会にて、四人は感嘆していた。
何故なら・・・
「あ!?ギンが俺の目玉焼きとった!」「へっへーん!余所見してるからだ!」「落としちゃったぁ」「はいはい私のあげるから」「いてぇ!?」「あ、ごめん」「技とだろぉぉぉ!」「なんでさ!?」
その賑やかさにだ。
おそらくこのSAOの中で一番賑やかな光景だ。
「いつも、こうなんすか?」
「はい、そうなんです。それで。ユイちゃんの様子は・・・」
サーシャは、そう聞いてくる。
「はい、昨日しっかりと休ませてもらって、今じゃ、この通り」
見ると、昨日気絶していたユイは、元気に朝食を食べていた。
「前にも、こんな事が?」
「わからないんです」
アスナは、俯いて、そう答える。
「この子の事は、一切解っていないんです。ただわかるのは、二十四層の森にいた事だけでして・・・」
「そうですか・・・」
ソラは、それを聞きながら、出されたスープを飲む。
そんな中、ふと、玄関の方で、声がした。
「すみません!誰かいませんか!?」
「誰だ・・・?」
キリトがそう呟く。
「この声・・・」
だがソラはこの声に聞き覚えがあった。
「ユリエールさんか・・・」
「ユリエール?誰、その人?」
「ああ、昔、軍の横暴さにムカついたんで直接抗議にいったら、偶然あったんだ。大丈夫、話の分かる人だ」
「ならいいんだけど・・・」
そうして、玄関に向かった。
「おっす、ユリエールさん」
「やっぱり貴方でしたか、ソラさん」
そこには灰色の髪の女性だった。
「軍の方、ですよね?昨日の件で抗議にきたとか?」
アスナは警戒しながらそう尋ねる。
「まさか、むしろやってくれたと感謝したいぐらいです」
だが、その答えは予想とは違うものだった。
「実は、皆様のお力添えをお願いに参りました」
「・・・」
四人は顔を見合わせると、ユリエールを中に招き入れた。
そして、これまでの事を話した。
アインクラッド解放軍の長であるシンカーは、今のような状況を決して望んでいなかった。
そうなったのは、キバオウと呼ばれるプレイヤーだ。
キバオウ一派は、権力を強め、狩場の長時間の占拠のみならず調子に乗って徴税と名乗って恐喝まがいの行為までしているのだ。
攻略をないがしろにするキバオウを批判する声が強待ってきたので、配下のプレイヤーを最前線に送り出したが、そこで多大な被害が出た事で、キバオウの立場は一気に危うくなった。
そして、追い出す事も可能だった。
そこまでは良かった。
だが、ここでキバオウはシンカーと一対一で話し合おうと切り出した。
人が良すぎるシンカーはその言葉を信じてしまい、ダンジョンの奥へ着いて行ってしまい、あろうことか、一人置き去りにされてしまったのだ。
そして、最高権力者がキバオウとなった今、軍は思うがままにあれこれやっているのだ。
「キバオウの奴・・・」
ソラは拳をギリリと握りしめる。
「シンカーさんは、転移結晶を・・・」
「持っていません・・・しかし、まだ生きてはいるんです!しかし、とても高レベルなダンジョ
ンでして、私のレベルではどうにも・・・」
「よしわかった行こう今すぐ行こう絶対行こうハイ決定これ決定異論は許さん断じて許さん」
「そ、ソラ!?」
「そんな簡単に・・・」
いきなりソラが一息で決定事項をいってしまった。
しかも落ち着いていない。
「ソラさん」
「あの人には借りがあるんだ。その借りをここでかえしてやんよ。それにあんたはそう簡単に嘘を吐く奴じゃない。だろ?ユイ」
「うん!」
ユイが元気よく答える。
「ユイちゃん・・・」
「大丈夫だよママ。この人、嘘は言ってないよ」
ユイは曇り眼でそう言う。
そこで観念したように、キリトとアスナは笑い。
「わかりました。私たちで良ければ、力をかします」
そして、ユリエールは、さぞ安心した様に、感謝の言葉を紡いだ。
「ありがとうございます」
そして、その肝心の高レベルダンジョンとは・・・
「黒鉄宮の地下にあるダンジョンか・・・情報は本当だったんだな」
「え?何のこと?」
アスナは不思議そうに聞いてくる。
「ああ、俺たちの部隊の情報なんだがな、黒鉄宮の地下にレベルの高いダンジョンがあるって情報があるって聞いたんだけど、まさか本当だったとは・・・」
「私聞いてないんだけど」
「そりゃあ極秘事項だからな、そう簡単に喋れるかよ」
「む・・・」
全員、いつもの鎧やら装備を身に着けている。
キリトに限っては珍しく二刀流で赴いている。
「本当なら、ここを私物化して、ギルドの戦力の向上を図ったんですが、失敗に終わりまして」
「確かに、専用の狩場があれば、そりゃ儲かるよな」
「しかし、出てくるのはどれも六十層クラスのモンスターばかりで、とても私物化する事はできなかったんです」
「なるほど、そこで私たちって訳ね」
シノンが納得した様に頷く。
軍のレベルは最大でも四十層クラス。それが二十層も上の六十層クラスとなると、流石に被害を出さずにはいられない。
「ここが入口か」
「はい」
ユリエールはユイを見ると心配そうに見つめる。
「ユイ、怖くないよ」
それに気付いたのか、ユイは平気そうにそう答える。
「大丈夫です、この子、こう見えて強いんです」
「なら大丈夫なのですが・・・」
「まあまあ、ユリエール。さっさとシンカー見つけて、キバオウ追い出そうぜ」
そう言い、ソラは先に行く。
「そうですよ。彼、ああ見えて、せっかちなんです」
シノンも、彼の後を着いていく。
「そうですよユリエールさん、速くシンカーさんの所に行きましょう!」
そうして、先に進む。
「うおりゃぁぁぁ!!」
「せいやあぁぁぁ!!」
「やあぁぁぁぁあ!!」
キリトの双剣が瞬き、ソラの大剣が唸り、シノンの弓矢が咆える。
そのお陰で敵モンスターである四ツ目ガエルの集団が一瞬にして消滅する。
「・・・・」
その
ユイにいたっては「パパー、にぃにー、ねぇねー、がんばれー!」とはしゃぎながら応援している。
「いやぁ、戦った戦った」
「すみません。全てまかせてしまって」
「いいんですよ、シノのんはどうかと思うけど、キリト君やソラ君のバーサーカーっぷりは、こんなもんじゃありませんから」
「それにアイテムも結構手に入るからな」
「へえ、どんなのが手に入ったの?」
アスナが興味深そうに聞いてくる。
「おう!」
キリトがウィンドウを開いて、手に入れたアイテムを取り出す。
それは、余りにもグロテクスな物だった。
「な、何それ・・・?」
「スカベンジトードの肉っていうらしわよ」
シノンはさぞ平気そうにそう答える。
その手には先ほどのカエルの肉。
「ゲテモノほど美味いっていうだろ?帰ったら、これ料理してくれよ」
「絶・対・嫌!!」
アスナは断固拒否の意思表示をして、その手に握られているカエルの肉を彼方へほおり投げる。
「ああ!?何すんだよ!?」
「ふん!」
「な!?だったら・・・これでどうだ!!」
「ひ!?イヤァァァ!!」
「ああああああ!?」
キリトがもっていたスカベンジトードの肉を全てオブジェクト化した途端、全てを投げ飛ばすアスナ。
「シノン・・・」
「何?」
「お前はどうする?」
「さすがにカエルは食いたくないわ」
「わかった」
一方でソラとシノンはメニューウィンドウの中にあるスカベンジトードの肉を全て消去した。
「あ」
「どうしたの?」
「換金すりゃあよかった」
「あ」
その光景を茫然と見ていたユリエールだったが、その可笑しさについ笑ってしまう。
「笑った!」
「え?」
「お姉ちゃん、初めて笑った!」
ユイが、嬉しそうにそう言う。
ユイが、あの時発作を起こしたのは、少年たちが笑顔だった時だ。
どうやら、ユイは他人の笑顔にはかなり敏感らしい。それは記憶を失ったトラウマのせいなのか、それともただ単純の敏感なのか、それはわからない。
そんなユイをアスナはそっと抱きしめる。
「さて、そろそろ先に行こうか」
そうして、かなり進んだ。
「シンカーさんのいる位置は・・・」
「もうすぐだと思うのですが・・・」
「シンカーの奴・・・この場所からずっと移動してないな」
シンカーは、どうやら安全地帯と思われる場所から一歩も動いていない。
シンカーとフレンド登録しているソラも、場所を確認できるわけだが、シンカーは先ほど示した通り、その場所から一歩も動いていない。
「そういや、ここにボスはいるのか?」
「選抜隊の話だと、ボスと思われるモンスターが出てきたと言ってきたので、間違いないかと」
「ねえキリト君、六十層のボスってどんなのだったっけ?」
「確か・・・鎧武者みたいなやつだったな」
「ああ、あれねぇ。あまり苦労しなかったなぁ」
と、懐かしんでるのか、退屈そうなのか、分からない表情でそう答えた。
「そろそろ・・・あれか?」
ソラが指を指す方向、そこにはなにやら白い部屋が見えた。
「きっとそうね」
「シンカー!」
ユリエールが我慢できないように走り出す。
その後を追いかける五人。
だが・・・
(なんだ・・・妙な胸騒ぎがするぞ・・・)
ソラは、ここだけではなく、リアルで培った直感が、脳内に囁きかける。
そして、その予感は的中する。
視界に、ボスの名前と思われる表示が出現。
「ユリエール!来ちゃダメだァァァァ!!」
シンカーの絶叫。
だが、ユリエールには聞こえていない。
そして、道の角から何か光る物が見えた。
「ユリエールさん・・・!」
「間に合え!」
キリトがスピードを上げ、ユリエールを背後から押し倒す。
その上をギリギリでなにかが通り過ぎる。
「おおおお!」
ソラは背中に背負った大剣を引き抜き、その敵に向かって振り下ろす。
だが、敵が持っていた武器、鎌を反転させてその攻撃を迎撃した。
そして、ガキィィィン!!っという音が響き、鍔迫り合いが起きる。
「お、重い・・・!?」
ズリズリと下がっていくソラ。
「このぉ!!」
シノンが弓の弦を有らん限りの力で引き絞り、放つ。
それは鎌にあたり、ソラにかかる重圧を一瞬軽くする。
「ぉぉぉおおああああ!!」
そして弾く。
そして、改めて姿を認識する。
その姿はまさしく死神。
「ユリエールさん!ユイちゃんをお願いします」
アスナはユイをユリエールに転移結晶ごと預け、三人の加勢に行く。
「キリト君!」
「気を付けろアスナ!俺の識別スキルでも判明できない、おそらく九十層レベルだ!」
「だろうな、俺でさえ押し負けた」
「こんな奴相手にどうやって戦えって言うのよ・・・」
シノンは弓を引き絞りながら、そう皮肉たっぷりに言う。
「俺が、いや、俺とシノンで時間を稼ぐ、だからお前らはユイとあの二人と一緒に逃げろ!」
「な!?お前はどうするんだよ!?」
「後から行く!手数型のお前がこいつの攻撃を受け止めきれる訳ねぇだろ!?」
「だからって見捨てられる訳ないでしょ!」
死神が鎌を振り上げる。
標的はキリト。
キリトは剣を交差させ、更にアスナがそれに重ねる様に防御の態勢を取る。
だが死神は無慈悲にも軽々とキリトとアスナを吹き飛ばす。
「キリト!」
「アスナ!」
かなりキツイのか、なかなか立てない二人。
「くっそぉぉぉぉ!!」
死神に向かって、『狂化』を発動させ、最大の攻撃『ザ・ラグナロク』を叩き込む。
だが・・・
「ぜ、全然聞いてない・・・だと・・・?」
そのHPはたった二十五ドットしか減らなかった。
死神がまたしても鎌を振り上げる。
「やめてぇぇぇぇ!!」
シノンが前に出る。
「しの・・・」
そして二人まとめて吹っ飛ぶ。
壁に叩き着けられ、床に倒れ伏す。
「し・・のん・・・?」
ソラはシノンの姿を探す。
そして、見つけた。
HPはなんとか残っている。
どうやら、ぶつかる瞬間、短剣で鎌の攻撃を防いだらしい。
だが、ソラは吹っ飛ばされた衝撃に加え、壁に叩き着けられ、地面に落下した痛みで動けないでいる。
「し・・のん・・・!」
なんとか這いずり、シノンの元に辿り着くソラ。
キリトとアスナはHPがオレンジゾーンに入っており、ソラはまだグリーンだが、それでもほんの少しの攻撃でオレンジになる。シノンにいたってはレッドだ。
(やばい・・・これは・・・死ぬ・・・)
ソラは、この世界で初めて死を覚悟した。
だが・・・
「やめろ!行くな!」
「ユイちゃん!」
シンカーとユリエールの声。
その言葉を意味するは、ユイが目の前に立っている事。
「な、何してる・・・?」
「だめだ・・・ユイ・・・!」
このままではユイは死んでしまう。
レベルも高くない筈なのに、これでは・・・
だが、そんな思考は三十秒後の光景で突き崩された。
「大丈夫だよ、パパ、ママ、にぃに、ねぇね」
「ユイ・・・?」
ユイの頭上に、あるアルファベットの文字列が現れる。
《Immortal Object》―――破壊不能オブジェクト、と。
「え・・・」
それを見た瞬間、ソラの天才医者と天才情報処理技術者の遺伝子を引き継いだ頭脳であらゆる可能性が葛藤する。そして、一つの結論にいたる。
「
それを肯定するかのように、ユイの手に、まるで東○のレーヴァテインのような剣が出現。
それを死神に振り下ろす。すると、死神は一時は鎌で防ぐも、その鎌が消滅したと思ったら、死神がその炎に飲まれ、消滅する。
そして、ユイの火焔剣も消滅する。
「ユイ・・・」
「ユイちゃん」
ユイが振り向く。その顔は、笑ってはいたが、眼は、泣いていた。
「全部、思い出したよ。パパ、ママ、にぃに、ねぇね」
ユイは、
本来、このゲームでは、十人のGMスタッフ達がプレイヤーに接触して、その心をケアするはずだったのだが、それを全てプログラムに任せようとして、作られたのがユイだ。
SAOは、カーディナルと言われる、人の手を必要としない二つの
そして、ユイもそのプログラムの一部なのだが、ゲーム開始時、何故かカーディナルからある予定外の命令を受ける事になった。
プレイヤーに対する一切の干渉を禁止するな、と。
それによってユイはプレイヤーのメンタルを監視し続けたが、状況は最悪と言っていいほどだったという。
恐怖、絶望、怒り、あらゆる負の感情がユイに蓄積されていったのだ。
だが、そんな中、四人のプレイヤーだけは、別の感情が芽生えていた。
その四人は、喜びや安らぎを持ち、ただそれだけだったのに、とても興味を引くものだった。
それが、キリト、アスナ、ソラ、シノンなのだ。
ユイは隙を見ては、二十四層の四人の家に行き、そしてあの日、キリトとアスナに拾われたのだ。
「そうだったのか・・・」
「はい、キリトさん、アスナさん、ソラさん、シノンさん。私は、皆さんに会いたかった。森の中で、あの家で、皆さんに出会った時、とてもうれしかった。おかしいですよね、こんな事、思えるはずないのに、わたし、ただの、プログラムなのに・・・」
涙をあふれさせ、口を紡ぐユイ。
「ユイちゃんは、本当のAIなのね。本物の知性を持っているんだよね・・・」
アスナはユイの傍に座る。
キリトも後に続くようにしゃがむ。
「ユイはもう、システムに従うだけのプログラムじゃないはずだ。だから、ユイは自分の願いを口にできるはずだよ」
キリトは、優しくそう囁く。
そして、ユイは、願いを口にする。
「私は、ずっと一緒にいたいです・・・パパ、ママ、にぃに、ねぇね・・・」
ユイは、その細い腕を懸命に伸ばす。
「うん!ずっと一緒だよ、ユイちゃん」
「ああ、ユイは俺たちの子供だ。みんなであの森の家に帰ろう」
そうして、ユイを抱きしめるアスナとキリト。
その光景を微笑ましく見守るソラとシノン。
だが、ソラの頭にスパイダーセンスよろしくある可能性がよぎってしまった。
「おい・・・やめろ・・・」
「ソラ・・・」
「カーディナル・・・お前・・・
「!?」
そして、ユイはそれを肯定する様に、首を横に振る。
「え・・・?」
「もう、遅いんです」
そして、ソラは、よぎった可能性を口にする。
「ユイ、お前・・・さっきの死神
「え・・・」
それでもまだ理解できないシノン。
「《オブジェクトイレイサー》というシステムです。おそらく、にぃにが考え通り・・・」
「お前が言語機能と、カーディナルのエラー修正機能でお前は記憶を取り戻した。そのせいで、
お前はカーディナルに目を着けられた」
ソラはユイが座る黒い石板に触れる。
「これは、GMが自分のアカウントを使ってシステムに緊急アクセスするためのものだ。だから、ユイは記憶を取り戻す事が出来た。それが意味するのは・・・」
「ユイが、カーディナルに見つかって、汚物として、消去される・・・」
キリトは、ありえないと思いながらも、そう紡ぐ。
「うそ・・・だよね・・・?」
アスナはユイを見つめながら、そういう。
そして・・・
「いえ、本当です」
容赦無く、肯定した。
「いや、いやよ・・・そんなの・・・」
「なんとかならないのかよ」
「だめだ・・・このゲーム自体がカーディナルの支配下だ。俺たちがどうにかできる訳じゃない」
「だからって、このまま諦めるの!?」
シノンが声を上げる。
「ありがとう。ここで、お別れです」
だが、ユイは、諦めたように笑う。
「い、いや、これからじゃない、この先・・・ずっと・・」
「暗闇の中、いつ果てるともしれない、わたしを繋ぎとめてくれたのは、パパやママ、にぃにやねぇねのお陰です」
「ユイ、行くな!」
キリトが叫ぶ。
「だめ・・・なの・・・?」
「~~ッ!」
シノンは絶望したように、ソラは悔しそうに。
「皆さんの傍にいると、みんなが笑顔になれた。わたし、それがとっても嬉しかった。お願いです、これからも・・・わたしの代わりに・・・みんなを助けて・・・喜びを分けてください」
ユイの体が、朝露の如く、消えていく。
「やだ、やだよ!私、ユイちゃんがいないと、笑えないよ・・・!」
だが、そんな叫び虚しく・・・・
「ママ、笑って」
ユイは消えた。
「あ、ああ、あああああああああ!!!」
アスナはその場に泣き崩れた。
有らん限りの叫び声で泣いた。
「・・・・カァァァディナァァァァル!!!」
ソラが絶叫する。
「そういつもいつも、思い通りになると思うなァァァ!!」
そしてソラは、石板に現れているキーボードを叩きまくる。
「システムアクセス、ID《地条 綾香》」
「え・・・その人って」
ソラは、最も名前を呼びたくない相手のIDを使用して、システムに割り込む。
――どこだ
あらゆる画面が出たり消えたりする。
――どこだ
文字列をコンマ一秒で読み、覚える。
――どこだ
元よりこの思考回路はその様にできてる。
――どこにいるんだ。
覚えて、探して
――消えるんじゃない
読んで、消して
――諦めるな、ユイ!!
そして、見つけた。
「キリトぉぉぉぉ!!!」
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
ソラの目の前に現れたウィンドウ。
それをキリトは全力で手を伸ばし、そして、掴んだ。
「うおわぁぁ!?」
そして吹っ飛ぶ。
「キリト君!」
アスナは、吹っ飛んだキリトの元に駆け寄る。
そして、アスナの目の前に、右腕を伸ばす。
アスナは従うように、手を差し出す。
そしてその手に、キリトは右手を押し込む。
「これは・・・?」
その手には、雫型のクリスタルが握られていた。
「ユイのプログラム本体をシステムから切り離して、オブジェクト化したんだ。ユイの心だ」
ソラは、アスナの傍にしゃがみ込み、そういう。
「ユイちゃん・・・いるんだね。ここに」
「ああ、本当は頼りたくない人のIDを使っちまったけど、これで、ユイは助けられた。ユイは、キリトのナーブギアに、クライアントプログラムの環境データの一部として、ローカルメモリに保存されるようにした。向こうで展開するのは、結構大変だろうけど」
「ありがとう、ソラ君・・・」
アスナは涙を流し、ソラにお礼を言った。
「ソラ、さっきのID・・」
シノンは気まずそうに聞いてくる。
「ああ、母さんも、SAOの開発に協力してたんだ。だから、もしかしたらなって・・・」
「そう・・・」
未だに泣き続けているアスナとキリトを見て、笑みを零すソラとシノン。
「よし・・・」
そして、ソラは一つの決断をしたように、ソラを仰ぐ。
「ソラ?」
「シノン、次の層、必ず勝とう。ちゃんと、生きて」
ソラはシノンを見て、そう言う。
「ユイは言ったんだ。みんなを笑顔にしてくれってな。だから、このデスゲームをクリアして、このアインクラッドにいるプレイヤー全員、現実に返して、家族に合わせてやろうぜ。それが俺たちに出来る。みんなを笑顔にできる方法だ。俺は、そう信じる」
「そうね・・・絶対に、次の層はクリアしましょう」
固い決意を胸に抱き、ソラとシノンは、上を見る。
SAOがクリアされるまで、あと、八日。