夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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小さきプリンセス

「やれやれ…」

 

今日のオーディションで見込みがあるのはゼロ人だった

まぁ、昨日は2人も合格にしたのだトントンという所であろう

 

駅前のベンチに腰を据え、ちひろから貰ったスタドリを飲み干す

物思いにフケているととあることに気がついた。

 

「……?」

 

先程から4度目だろうか右から左に消えてまた右に戻ってきてキョロキョロと視線を移す少女がいた。

 

「おい小娘、さっきから我の前をチョロチョロと鬱陶しいぞ。迷子か?」

 

「ち、違います! 迷子なんかじゃないです。すみません」

 

「見栄を張るな」

 

「う…実は…ここに行こうと思ってたんですけれど…この辺初めてで…」

 

チラシを見せてきた少女

 

ふむ…パフェフェアとな?

 

「よし、気分転換だ。行き詰まったら甘いものを食べると良いです。と愛梨も言っておったしな。ついて来い小娘連れて行ってやろう」

 

「え? あ、ありがとうございます…」

 

傍から見れば少女に声をかけている不審者だが生憎ギルガメッシュはそんなことに気が付かないのだ

 

 

 

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???side

 

目的地のお店に着いて一安心…と同時に不安になる。大丈夫、安全という確信は無かった。でもこの人は嘘を言ってないと思ったから着いてきてしまった

 

「王たる我はこれよ! ウェイター、キングパフェを寄越せ!」

 

「私は…これをお願いします」

 

「畏まりました」

 

ウェイターが居なくなり暫く無言が続く

目の前に座った金髪の男性を何処かで見たような気がした。

…テレビ…? 俳優ではないはず、でも凄いインパクトだった…

 

「あ…346プロダクションのプロデューサーさん…?」

 

「左様、我こそ敏腕プロデューサーギルガメッシュである」

 

子供の私から見ても何とも大きい態度と自信だ

 

「小娘、貴様も名乗るがよい」

 

「…たt「お待たせいたしましたー、キングパフェです」 来たみたいですよ」

 

「おお! キングの名にふさわしデカさよ。我の器には及ばんがな」

 

なんとも美味しそうに食べるギルガメッシュさん

まだかな…

 

「お待たせいたしましたー、いちごパフェです」

 

「ほぉ、貴様が頼んだのはそれか。む、名前を聞くはずが忘れておった」

 

「橘…ありす…です…」

 

「ありす、良い名ではないか」

 

「子供っぽくて嫌いですっ」

 

この人もやっぱりみんなと同じようなことを言う。

するとギルガメッシュはこっちのそんな考えを見越してか鼻で笑い飛ばした

 

「子供っぽい? ふん、さっきから見ていれば妙に大人ぶると思えばそういう理由か。 よいか小娘、貴様のような子供が大人ぶるのはダメとは言わん。しかしな今の貴様の魅力は今この瞬間しか出せん。人は必ず何処かで大人になるものだ」

 

「私の魅力…?」

 

「大人には大人の魅力。貴様には貴様の魅力がある。自らの魅力を隠し偽る必要はない。自信を持て、名を、自分を好きになれ! そうすればこれから楽しくいられるであろう!」

 

自分を好きに…自信を持つ…

そうか、だからこの人はこんなに輝いて見えるのかも…

 

「だからだ、子供ならば少しはそれらしくせよ。世の理のわからぬうちは、ただ王たる我の威光に目を輝かせておればいい」

 

「あの…ご相談があるんですが」

 

「ん?」

 

先程までとは違う真っ直ぐな瞳がパフェを頬張るギルガメッシュを射抜いた

 

 

 

 

 

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美嘉side

 

 

「えっと、ここでいいのかな…?」

 

「ん、どうしたの?」

 

撮影が終わり事務所に戻ってくると扉の前に見た事の無い女の子が立っていた。

 

「あ、えっと…こないだスカウトされてお父さんとお母さんにもいいよって言われたから来たの」

 

「あー、なんか朝ちひろさん言ってたなー…いいよ、入って入って★」

 

「失礼しまーすっ」

 

「おかえりなさい美嘉ちゃん、それと…赤城みりあさんですね。ようこそ346プロダクションへ。今プロデューサーさん呼んできますね」

 

ちひろさんはいつ見ても凄い人だなぁ…

 

っといけない、アタシも今日の報告してこないと

 

「ごめんね…えーと、赤城さん?」

 

「みりあでいいよ! あ、いいですよ…?」

 

「無理して敬語なんて使わなくていいよ、みりあちゃん。アタシの事は美嘉って呼んでくれればいいからさ」

 

「う、うん美嘉ちゃん!」

 

「よろしいっ★ アタシまだやる事あるからごめんねー。それと、これからよろしくっ」

 

バイバーイと別れを告げ上の階へと向かう

アイツの部屋は確か7階だったはず

普段あまりこないからか視線を感じる

事務所とは別に個室作っちゃうんだもんなぁプロデューサー…

というか久しぶりにプロデューサーの部屋行くかも?

 

「なんだか嬉しそうなオーラを感じます! いい事ありました?」

 

「あ、ユッコちゃん」

 

「青春かな? あ、でも悪い子だったら逮捕よー」

 

「嬉しそうですねー」

 

あー…これは…

 

「セクシーギルティお揃いだね。早苗さん、雫ちゃんこんにちは★」

 

「美嘉ちゃんさー、せっかくそんなにセクシーなんだからユニットに入らない? ほら、ユッコちゃんをそっちにあげるから」

 

「ちょ、早苗さん!? わ、私だってセクシー出来ますから!」

 

「やってみてくださいー」

 

「あ、え、えーと…あはん?」

 

プルプルと顔を真っ赤にして震えているユッコちゃんは可愛かった。というか普段の言動がアレなだけで黙っていれば事務所内でもトップクラスの可愛いさなんだけどなー…

 

「これだもんねぇ…」

 

「ひどい!?」

 

「あはは、みんなお疲れ様っ。アタシこれからプロデューサーのところ行くからさっ!」

 

じゃあ、と話を切って歩き出す

 

「あぁ、だから嬉しそうだったのね」

 

「ふふ、いいですねぇ」

 

なにか聞こえた気がするけど…そ、そんなことないもん

 

「プロデューサー、失礼するよー」

 

一つだけやけに豪奢な扉を開け中に入る。全く、職場をなんだと思ってるんだろうか…ってあれ? いない?

 

「プロデューサー? おーい」

 

部屋の中にさらに部屋がある完全に自室のプロデューサーの個室

どこを探しても見つからない

おかしいな…営業にでも珍しく行ってるのだろうか

 

「せっかく来たのに」

 

デスク周りをなんとなく見ていると一つの書類を見つけた…次のライブか何かかな? えーと、新プロジェクト…「何をしている、美嘉」

 

「うひゃぁ!?」

 

「普段ならば許さんがよい、我は寛大だならな」

 

「ご、ごごめんなさい…プロデュ…ってはだはだははは裸ぁぁぁぁぁ!?」

 

勝手に見てしまったことを謝ろうと振り向くと其処には…その全裸の変態が居た

全裸なのだが光り輝いており。い、一応隠れていた…うん

 

「照れるのも無理はない。我が裸身はこの世で最高水準のダイヤに勝る。それが生娘なら尚の事だろうよ」

 

「き、生娘って!!? そ、それに照れてるんじゃないから!!」

 

「それで、何の用だ」

 

「きょ、今日の仕事の連絡で…」

 

「ふむ…そこに座れ。茶でも飲みながら聞こうではないか」

 

「とりあえず服は着てー!!」

 

まったくもーーー!!




い、いつの間にかお気に入りが200を超えて
皆様ありがとうございます!

感想、アイドルの希望等まってますっ

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