夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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王の謁見、オーディションとも言う

「はぁ、ダメだな。よい娘が一人もおらん」

 

「プロデューサーさん、気を落とすの早すぎですよ…まだ10%も終わってないんですから…」

 

現在オーディションを終えた女達は約50名、それでもまだ10%にすらなっていないほどの数が参加したオーディション

 

しかしここまでイマイチしか現れていないのだ

 

「次の組! 入って来い!!」

 

 

 

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遡ることオーディション締切日

 

 

川島side

 

あの放送の翌日から恐ろしい程の書類が届いた。中には他者推薦などもあったほど

あまりの書類の多さにギルガメッシュくん、ちひろさん、武内くんが続けてダウン、結局私や他のプロジェクトのプロデューサーさん達まで書類選考を手伝い始めた

 

「お、コイツ…中々…ギルさん。コイツら、こっちで受け持ってもいいっスか?」

 

声を上げたのはアッシュに染めた髪、唇にピアス、サングラス、派手ながらのスーツというヤ○ザ…よくてホストといった見た目の男だった

 

「大和亜季に松永涼…? 構わん」

 

「あざっす!」

 

確か、美嘉ちゃんよりも少し早くデビューした…そうそう、向井拓海ちゃんのプロデューサーさんだ

 

「こ、こっちもいいですか!」 「この娘も!」と次々に声が上がっていく

 

「ええい、貴様ら! 手伝いに来たのか邪魔しに来たのかわからんぞ!!」

 

一蹴するギルガメッシュくんの背後に何枚かの書類が上がっていた。

 

「あら、それは何かしら?」

 

「これか? 教えん!」

 

ササッと隠したそれは確かにアイドル候補の書類

何か隠してるわね…

 

みんな一通り目を通し終わった様で休憩に入った

 

「して、残ったのは何人だ?」

 

「えーと、ざっと350…ぐらい?」

 

「アホか!! せめて70程まで削れ」

 

「いやー、この子いいこかも? とか思っちゃうとつい残しちゃいまして…」

 

「1日70人オーディションして5日ですか…」

 

やれやれだわ…

 

 

 

 

 

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面接一日目

 

「面接官を務める言峰ギルガメッシュだ」

 

「千川ちひろです」

 

「こ、小日向美穂です」

 

よろしくお願いしますっと声を揃える少女達を目の前に私は震えていた

き、緊張する…たぶんあの子達よりも緊張している

 

「では、57番から始めろ」

 

「はい、57番…」

 

あぁ、この人可愛いなぁ

元気も良くて…チラりとプロデューサーの手元を見ると既に×が描かれていた。

 

えぇ、ダメなんですか!?この人が!?

さっきからこれの繰り返しだ

私がいいな、と思う人は尽くダメのようで…

 

「58番、双葉杏です」

 

次の人は小柄…というよりは小学生の様な体躯の人

 

「…16歳?」

 

「よく言われるよ、でも正真正銘16歳の高校生だからね」

 

「何故アイドルになりたいのだ?」

 

「んー、取り繕っても意味無いから言うけど印税生活の為かな? ほら、杏ってこんな見た目だしさ刺さる人には刺さるって思うんだよね」

 

い、印税生活…

 

「なるほど、よく分かった次!」

 

えぇ…今ので終わりなんですか…

 

「59番、諸星きらりです☆ 」

 

お、大きい人っ

180ぐらいかな? スタイルもいい…私は…

 

「ふむ、貴様は何故アイドルに?」

 

「きらりんのきゅんきゅんぱわーでみ~んなをはぴはぴしたいからだにぃ☆」

 

「次ぃ!!」

 

食い気味に言葉を切ったプロデューサーさんは少し怖かった。

諸星さんもしょんぼりして座ってしまう。

でも、私は見た。プロデューサーの口に薄らと笑みが浮かんでいたことに

 

 

 

 

 

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「ちひろ、58番と59番に連絡しろ。面接会場に忘れ物があるとな」

 

「忘れ物…ですか? わかりました、連絡してみます」

 

 

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「うへぇ…めんどくさー…」

 

せっかく面接も終わって帰ってきたってのにまた行かなきゃならないなんて…というか杏、何忘れたんだろ

 

グダグダしていても仕方が無いのでさっさと行くことにした

 

 

346プロダクションに着く頃には日も傾きすっかり夕方だった。

まぁ、何というか綺麗な事務所だなぁと感想を抱きながら中へ向かうと面接前に話をしたあの子、諸星きらりが居た

 

「あれ、どーしたのさっきぶりじゃん」

 

「あ! 杏ちゃんだぁ☆ んっとー、忘れ物しちゃったみたい…面接ダメダメだったのに忘れ物もしちゃうなんてぇ…」

 

「元気だしなよ、きっといいことあるって。杏も忘れ物したみたいだからさ一緒に取りに行こ?」

 

「うんっ…」

 

きらりの手を引き先程の面接会場へと向かうことにした

 

 

 

「あ、やっほー★」

 

「ど、どうも…」

 

城ヶ崎美嘉、今じゃ人気アイドルの1人

そんな彼女が挨拶をしてきた。実は凄い経験をしているのではないかと思う。

 

「失礼しまーす」

 

「お、おにゃーしゃー☆」

 

「来たか…さっさと座れ」

 

金髪のプロデューサーに促され二人並んで座る

黄緑色のスーツ…たしか千川ちひろという女性だ

その人が茶を置き奥へと消えた

 

「まず貴様らの忘れ物だ。受け取れ」

 

杏ときらり、それぞれに数枚の紙が渡された…これってまさか

 

「そこに、名前と誕生日…住所電話番号…趣味特技etc…全て書いて提出しろ」

 

「にょわ!? こ、これって?」

 

「貴様ら2人、合格だ」

 

「いやいや、ちょ、え? ダンス審査とかあるって杏聞いたんだけど」

 

たしか、最初の説明だと面接、ダンス審査、ボーカル審査…とか言ってた

 

「黙れ、我がルールだ」

 

「えぇー…ま、合格したならしたでいいか…やったね、きらり」

 

「 」

 

驚きの余り固まっていた

 

「きらりー? おーい」

 

「はっ! き、きらりが合格?」

 

「あぁ、そうだ。不満か?」

 

「そ、そのぅ…きらりの番を早く終らせてたから…ダメだったのかなぁ…って」

 

「…は? 何を言っているのだ? 我は貴様ら2人を見てすぐに契約の話に移りたかったからさっさと終わらせただけだ」

 

「なんていうか…凄いねプロデューサーさん…」

 

この人にプロデュースされてる人大変そうだなぁと思いながら書類を書き終わった頃には日も沈み夜になっていた

 

 

 

 

「ねぇねぇ、杏ちゃんっ 一緒にご飯食べに行かない?」

 

「おー、杏もお腹減ってたしお祝いだね」

 

「きゃー☆ うれすぃー☆」

 

双葉杏、アイドルになりました

あぁ、プロジェクトが始まるまではアイドル候補生としてレッスンばかりみたいで面倒くさそうだけど…

 

「何食べゅ?」

 

…新しい友達と頑張ろうかな




きらりの口調難しぃぃぃぃ!!?

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