夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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運命の歯車 灰かぶりの娘達

「さて、ライブ当日となったわけだが…」

 

ライブ前の最終ミーティング

アイドルの面々がステージ裏で顔を揃えている。

 

「貴様ら、なぜ震えているのだ?」

 

「ここ、これは! 武者震いですっ!」

 

「幸子、時間はあまりない。さっさとメイクを直してこい。野球、どすえ貴様らもついでだ行ってこい」

 

「むー、そろそろ名前で呼んでくれてもいいじゃーん。 ほら、幸子ちゃん行くよ」

 

ズルズルと引き連れられていく幸子を放っておき、あの普段煩い日野も今では無口だ

 

ちっ、コイツらときたら

 

「ぷ、プロデューサー」

 

「なんだ、美嘉。貴様も何かしらあるのか」

 

「そ、そうじゃなくて…この会場…いっぱいになるんだよね?」

 

「たった2000人ではないか。気にするな」

 

「いやいやいや! 2000人って! ふ、普段の小ライブだったら良くて500…とかじゃない?」

 

「流石に…緊張するわね…」

 

「はい…」

 

「ふん、この程度の客を満足させられなくて何がアイドルか! この我を満足させる結果を持ってきたくば、この10倍は持ってこい!! このライブは貴様らにとって先駆けに過ぎん。 ここで降りるならば降りろ」

 

我がここまで言っているというのに未だに顔が晴れん奴がチラホ「私、楽しみです!!!」 む?

 

「初めてのステージが! 皆さんと一緒になんて凄い楽しみなんです!! だから楽しみましょう!!」

 

「あ、茜ちゃん?」

 

「貴様、緊張して喋れなかったのではないのか?」

 

「はい? 緊張…ですか? 私はただ今夜の晩御飯は何かなと考えてただけです!」

 

「貴様は楓かァ!!!」

 

「ちょっと待ってください、それでは私が普段から変なことを考えているみたいじゃないですか」

 

「「「「その通り」」」」

 

「えぇ!?」

 

先程までの緊張感が一瞬で消し飛んでいたスタッフまで笑っている

あいも変わらずムードメーカーとしては一級だ。あとはもう少し落ち着きがあればよいのだが

 

「トラーーーーーーイ!!!」

 

無理か

 

 

 

 

 

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幕が上がると其処は光の海の中だった

 

まるで夢の中

 

でもこれは現実

 

これから先 みんなで歩み続ける光景なんだ

 

 

シンデレラの夢は夢では終わらない

 

みんな一歩ずつ輝く日に向かっていくんだ

 

歓声が聞こえる

みんな笑顔だ

ステージのみんなも会場のみんなも!

 

 

 

 

 

 

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ちひろside

 

(ステージ裏)

 

「出だしは大丈夫そうですね」

 

「出だしはではない。全て大丈夫だ。今のあヤツらなら心配などする必要もない」

 

「信頼…してるんですねっ」

 

「さぁてな…」

 

肩を竦め画面から視線を移す

ギルガメッシュくんの瞳に映るのはもう1人のプロデューサー

 

「さて、武内よ。貴様のプロジェクトの第一段階はこれで完了した」

 

「どういう…事でしょうか?」

 

首に手を当ててる時は困っている時だと最近、気がついた

 

「貴様のプロジェクトは様々な女がアイドルになれるチャンスを作る…そんな内容であったな?」

 

「は、はぁ…まだ決定ではないですが」

 

「元キャスターに元モデル、現役学生…我がプロデュースをしているアイドルもそうだ」

 

ギルガメッシュくん、美嘉ちゃんこそ強引なスカウトだったけど他の皆さんはちゃんとスカウトしてましたもんね…

 

「このライブはとある局のツテを使ってな、後日ダイジェストなるものではあるが夜のニュース番組に流される」

 

「…」

 

「察しの悪い奴め、ならばこれで解るだろう。シンデレラプロジェクト、346プロにてアイドルデビューを目指す女子オーディションを開く…という一言も流す」

 

そ、それって!?

 

「ぷ、プロデューサーさんまさか!?」

 

「左様、既に我以外のプロデューサーもスカウトに回っている。多くのアイドルも居る。武内も実はしているのだろう?」

 

「そ、それは………はい」

 

あぁ…だからこないだ警察に…

 

「だがな、スカウトに行ける距離は限られている。 目先の宝石に目を盗られ遠くにある巨大な原石に気付けないなど三流のする事だ」

 

「原石…」

 

「よって、自信がなくとも『オーディションだけなら…』という奴もおるかもしれん地方の女子を集めるため! シンデレラオーディションを開催する事を決めた!」

 

シンデレラオーディション…シンデレラプロジェクト…全て武内プロデューサーさんの為に手を回してたんですね…成長しましたねギルガメッシュくん…

 

 

 

……って

 

「完全に独断じゃないですかーーー!?」

 

「案ずるな、今西と美城に話は通してある」

 

「え、え? 部長と常務に…?」

 

「やらせろ。と言ったら許可をくれたぞ」

 

「その…お気持ちは嬉しいのですが…」

 

「全員が全員オーディションで選べとは言わん。貴様が自ら見付けた原石を磨け。…我は美嘉達の様子を見て来るぞ、たるんでいたら喝を入れてやろう」

 

控え室の方へと姿を消すギルガメッシュくんを何時までも武内プロデューサーは見つめ口を開いた

 

「シンデレラ…プロジェクト…」

 

 

 

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???side

 

夜の街、いつも通り先生に別れを告げ歩き出す。

 

何の気なしに大画面を眺めていた

そこには輝くステージに立つ少女が映し出されている

 

『先日、舞浜アンフィシアターにて行われた346プロダクションによるライブイベントは大盛り上がりの様子を見せました。』

 

『人気沸騰中の城ヶ崎美嘉ちゃんを始め、新たにデビューをした可愛いく綺麗なアイドル達、そして私の元同僚である川島瑞樹ちゃんもアイドルとしてファンを沸かせました!』

 

『いやー、あの川島くんがアイドルとはねー。聞いた時はびっくりしたけど…似合ってたね! 私も見に行ったのですが楽しかったですよ』

 

『ここでその346プロ、アイドル部門のプロデューサーからファンそして皆さんに向けた告知があるそうです。VTRどーぞ』

 

 

 

『雑種共、御機嫌よう。アイドル部門プロデューサーをしている言峰ギルガメッシュ、という者だ。我々346プロは来年度の春に向けて一つ大きなプロジェクトを行おうとしている。』

 

 

『シンデレラプロジェクト! それが次のプロジェクトだ。このテレビを観ている冴えない雑種共! 人生がつまらないと思ってる雑種!自らの人生を変えるために我の元へ集え!! オーディションを行う!』

 

「シンデレラプロジェクト…」

 

少女達の歯車が廻り始める

 

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「あ、お姉ちゃん! こないだのライブニュースになってるよー!」

 

「ホントだ。う、嬉しいけど恥ずかしいなぁ」

 

「父さん、絶対ライブのブルーレイ買うからな!」

 

は、恥ずかしい…家族がライブを見に来た時もそうだけど日に日にアタシ関連の物が家に増えてきている。

 

『雑種共、御機嫌よう』

 

「はぁ?!」

 

「お姉ちゃんのプロデューサーくんだ!」

 

「何度見てもカッコイイ人ねー」

 

「オーディションかぁ! アタシも受ける!」

 

「ちょ、莉嘉!?」

 

莉嘉までアイドルになるの!?

 

「いいでしょー?」

 

「あーもう…好きにしたら?」

 

「やったー! カリスマJCになっちゃうかんねー☆」

 

「いや、アンタまだ小学生でしょ…」

 

「来年の春には中学生だもんっ お姉ちゃんも再来月16じゃん? 来年からカリスマJKだよねー」

 

そっか、もうアイツと出会って2年近くか…




ここから話の時間の流れがスローになります
アニメに沿うので

あとお気に入り100以上も…ありがとうございます!!

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