夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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連続投稿気味です




不思議な人

その方はとっても不器用で、無愛想だけれども

私に最初の魔法を掛けてくれた王様の様にどこか強い心を持った人に思えました

 

「高垣さん、次の仕事ですが……すみません、少し休憩を挟みましょうか」

 

「大丈夫ですよ。プロデューサーさん…それにもっとフランクでいいです」

 

「いえ、やはり礼儀は必要かと…」

 

同じプロデューサーと言えど彼は王様みたいな人ではなく従者…みたいな人でした

 

むしろこれが正しい方…なのかしら?

 

「次はラジオの収録ですよね?」

 

「はい、時間には余裕があるので休んでいきましょう」

 

「はい」

 

アイドル皆を気遣ってギルガメッシュさんの手伝いもして、ちひろさんの書類も処理して…休憩が必要なのは貴方な気がしますけど。

美嘉ちゃんも最初は苦手意識を持ってたみたいだけれど今はなんとかやってるみたいだし

 

「あの…高垣さん」

 

「なんですか?」

 

普段、業務連絡以外行わない彼が珍しく口を開いた

珍しく…珍しい…!

 

「大した事では…いえ、貴女達にとってはとても大切な事でした。ギルガメッシュさんが行おうとしているファーストライブですが…どういうものになるかお聞きですか?」

 

仕事の話だった

 

「ほとんど聞かされてないです」

 

ありのままを伝えると彼は普段無表情な顔をギョッとした顔に変えた

今日は珍しい事だらけ

 

「そ、そのライブはもう…」

 

「来月ですね」

 

「だ、大丈夫…なのでしょうか…」

 

あぁ、彼は私達アイドルを心配してくれてるのだ。私や瑞樹さん、美嘉ちゃんは初めてじゃないにしろいつもより大きめのステージ

茜ちゃん達にとっては初めてなのだ。

どんな広告を使ったかは知らないけれどもチケットはソールドアウト。

 

正直、不安で仕方がない

 

 

 

 

だけれども

 

 

「大丈夫です」

 

「…え?」

 

「だって、何となくモデルをやっていた私が今こんなに楽しくアイドルを出来てるのはギルガメッシュプロデューサーが見つけてくれたから…あの人が大丈夫と言うなら大丈夫なんです」

 

「信頼…しているのですね」

 

「もちろん、武内さんもちひろさんも信用してますよ。ラジオのお仕事、取ってきてくれたのは貴方ですから」

 

「は、はぁ…そろそろ時間です行きましょうか」

 

照れているのかほんのり顔が赤くなったプロデューサーは背を向け扉に手をかけた。

 

いつもは1人の楽屋、移動、現場

そこに彼が一緒に来るようになった

 

仕事でわくわーくするようになるのも増えてきた。

貴方は不思議で不器用な魔法使い…なのかもしれないですね

 

 

 

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(日は変わり)

金ピカside

 

 

「曲名が決まった…だと?」

 

あの何を考えているか分からん楓が朝イチ、会議室に皆を集めた

 

「くだらん洒落だったらクビだぞ」

 

「楓ちゃんが決めたの…? 大丈夫かしら」

 

「か、楓さんが?」

 

瑞樹も幸子も戸惑っている

わからんでもない。我も戸惑っている

普段から仕事中に晩飯なぞ考えている奴が決めたというのだからとんでもないに決まっている

 

「といっても曲のワンフレーズ目をそのままタイトルにしたらいいと思って」

 

「ワンフレーズ目…? それって…」

 

「はい…私達はある意味そうだと思うんです。自分で言うのも恥ずかしいですけれどギルガメッシュプロデューサーやちひろさん、武内プロデューサーに今西部長さん…色々な人に助けてもらって、引っ張ってもらって夢みたいじゃないですか。だから…」

 

「お願いシンデレラ…なんてどうでしょう?」

 

「「「「「おおぉー!!!」」」」」(楓さんがまともだ!)

 

「よろしい、では曲名が決まったな。ライブのセットリストは…我が決める」

 

「ちょ、プロデューサー? 大丈夫なの?」

 

「美嘉、貴様は何の心配をしているのだ? 我を誰だと思っている!!」

 

「あー、はいはい英ゆ「アイドルマスターだ!!」 ごめん誰!?」

 

フハハハハ! よし、そうとなれば早速考えなければな!!

 

バァァァァァァン!!!! と盛大な音を立てて部屋を意気揚々に出て行った

 

 

 

 

 

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(現場にて…)

 

昼休憩中、朝の件をなんとなーく思い出した

 

「お願いシンデレラかー…アタシ達がシンデレラ…そしたらあいつは魔法使い?」

 

「うーん、王様じゃないかしら?」

 

瑞樹さんの言う通り、魔法使いなんてタマじゃない

というか、魔法使いなんて言ったらキレる

 

「楓さん、理由は言ってたけど…きっかけとか?」

 

「きっかけ…えぇ、ありました」

 

「あら、恋かしら?」

 

「え、ええ!? だ、ダメだよ楓さん!」

 

そ、そりゃ楓さんは素敵な人だからいつかそういうこともあると思う…けど!

い、いまはアイドルだし!

 

「美嘉ちゃん、慌て過ぎです。 瑞樹さん、そういう冗談は程々にしてくださいね?」

 

いつに無く真剣な楓さん

なかなか迫力がある

 

「私達は少しだけですけど…みんなより先輩だから頑張らないと…って」

 

「わかるわ。私達人生の先輩でもあるしね。若い子を引っ張るのは年長者の勤めよね」

 

いや、アタシまだ15なんだけど…

 

「美嘉ちゃん、アタシはまだ10代って顔してるわね?」

 

「え!? い、いやーそんなこと…あはは」

 

鋭い…

 

 

そうこうしていると一つのラーメン屋を見付けた。瑞樹さんと楓さんは入る気まんまん。

うぅ…カロリーが…プロデューサーには「貴様がダイエット? まだ早いわ戯け!」って言われたけど気になるんだよね…

 

「…いらっしゃいませ、何名様でしょうか」

 

「「「……!?」」」

 

現れたのは身長190はあるのではないかという程の大男で半袖から伸びる腕は筋肉質でとてもじゃないがラーメン屋の店主とは思えなかった

 

「…3名だな」

 

答える前に答えられた

 

「え、えぇ…」

 

「ちょっと、あのプロデューサーに似てますね」

 

「う、うん…でもあそこまでマッチョじゃないね…」

 

カウンターに案内され腰をかけるとメニューを開いた。開いたのを後悔した

 

「「「激辛麻婆拉麺…?」」」

 

「激辛麻婆拉麺3つ、畏まりました」

 

「え、頼んでないんですけど!?」

 

聞く耳持たず

体現したかのような対応でラーメンを作り始めた

こういう所はギルガメッシュに似てるかも?

 

「激辛麻婆お待ち」

 

「え、ラーメンは?」

 

「麻婆豆腐だが?」

 

「と、とりあえず食べましょ美嘉ちゃん」

 

「「「いただきますっ…」」」

 

 

 

 

 

 

「「うぐっ!?」」

 

「あ、美味しい…」

 

お、美味しい!? こ、こんなの殺人級だって!!! 楓さんどんな舌してるの!?

 

「腸から胃が超辛い…ふふ」

 

「あ、アタシ無理かも…」

 

「私も…」

 

レンゲを置こうとした時、視界に入ったのは物凄い形相でこちらを睨む店主

 

「ほぉ、私を目の前にして残すとはいい度胸だ。ダシにとる骨が無かったな。食事の代金は文字通り体で払っ……む?」

 

包丁をこちらに向けていた店主がキョトンとした顔になった

 

「…城ヶ崎美嘉、川島瑞樹、高垣楓…か?」

 

「そ、そうですけど…」

 

「むぅ…ギルガメッシュの知り合いならば今回の件は許そう。だが食べ物を粗末にするのは許さんぞ」

 

「ぎ、ギルガメッシュくんと知り合い…?」

 

「私は言峰綺礼。今はラーメン屋をやっているがこう見えて神父でな、ギルガメッシュとは共に暮らしていた」

 

「「「ええええええええ!?!?」」」




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