夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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前もですがちょいちょいと作品内の時期が飛んでいきます

時間があればその間のサイドストーリーも書いていくつもりです


ファーストプロジェクトとプロデューサー

「プロジェクト…だと?」

 

ちひろが綺麗にまとめた紙の束を渡してきたのでパラパラと内容を眺めた。

正直言えば面倒な案件だ。

というか我にやらせる前に自分でやるか他の者に当たるかすればよ「ギルガメッシュくーん?」

 

「あいわかった。この我が手がけるのだ成功するに決まっておろう!」

 

こやつ、令呪でも持っているのだろうか

 

「しかし…我はこういったモノはてんでわからん。貴様がアイデアを出せ」

 

「…ホント、プロデューサーさんって何処で育ったのかしら…大丈夫です、私も手伝いますからっ」

 

「当然だ、王の職務を手伝うのが従者の務めよ」

 

手近な資料を捲っては捨て捨て…ライブ何ぞ美嘉と楓、瑞樹の3人が小さいながらも成功している。知名度も言峰が知るぐらいには有名になっていた。

我のおかげでな!

 

「ふふーん、可愛いボクですよ。おはようございます」

 

「煩い雑種」

 

何処からかやって来た雑種に万能な収納箱、【王の財宝】から不要なものを投げつける

 

「ふぎゃー!? い、いきなり雑誌を投げないでくださいプロデューサー! というか、毎回思うんですけど、どうやって投げてるんですか…こう…振りかぶってるところも見えないんですけど!?」

 

「そうだ、ちひろ。ユニットを作ろう」

 

「ゆ、ユニットですか?」

 

「あと2人、この後に来た奴で良いだろう」

 

「あ、この雑誌! こないだ取材受けたヤツですね!? やっぱりボクって可愛いですねー! ねープロデューサー!」

 

鬱陶しい

 

「おっはよー、プロデューサー! いやー、昨日はキャッツが快勝してさー!」

 

野球娘…と

 

「おはようさんどす~、今日はええ天気そやし早う来てしまいました~」

 

それに、どすえ

 

「よし、ちひろ。ユニットが出来た、ボク・野球・どすえ…だ!」

 

「せめて頭文字にしましょうか。B・Y・Dですね。わかりました」

 

うむ、プロジェクトの一つとして組み込もう

 

「可愛いが抜けてますー!」

 

「それじゃあ、KBYDですね?」

 

「お、何々? 仕事? え、幸子ちゃんと紗枝ちゃんとユニット! 面白そー」

 

「よろしうお願いします、幸子はん、友紀はんっ」

 

勝手に盛り上がっている事だし我の仕事はここま「まだ終わってませんよー」

 

「なに、茶を取りに行こうとしただけだ。案ずるでない」

 

席を立った英雄王はニコニコ笑顔の女帝に見送られキッチンへと移動する。

 

 

 

ええい、なんだあやつは…我の考えを読み取っているとでも言うのか…

 

「あ、プロデューサーさん。いい所にーお菓子でも食べませんかぁ?」

 

キッチンの冷蔵庫からアップルパイなるものを取り出し笑顔を向けてくる女…確か名は十時愛梨…だったな。

…美嘉から楓まではよい

 

「いつの間にこれ程のアイドルが増えたのか…」

 

「えぇー、プロデューサーがスカウトしてきたんじゃないですかぁ」

 

「そうであったな…」

 

そう、あれからというものの自称可愛いを始め野球やどすえ、脱ぎ女にボンバー…様々な奴を片っ端からスカウトをした。

その話を覚えているかと問われれば忘れたと答えるしかない。

 

「アップルパイを寄越せ」

 

「はい、どーぞっ」

 

受け取ったアップルパイを頬張り思案する。

どうせだ、こやつら全員をステージに上げてやろう。

 

 

「ちひろぉ! プロジェクトの内容を決めたぞ!」

 

 

 

 

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《美嘉side》

 

(時は過ぎ夕方)

 

 

「え、全員ですか?」

 

「左様、美嘉を始めとする3人は既にステージ慣れをした。ならば他の連中を牽引させ一気にステージに上げてしまおうとな」

 

「え、アタシ達がリーダーなの?」

 

 

プロデューサーがまたとんでもないことを言い出した。アタシは別にいいけど大丈夫なのかな

他のみんなの顔は緊張や驚き…よりも喜びで染まっていたけどね

そりゃそうだよねぇ、アタシみたいにオーディション落ちまくってひたすらプロデューサーの地獄のレッスンを受けてたんだもん。

 

 

「ついにデビューですか! うぉぉぉぉ、凄いです!!! 走ってきていいですか!?」

 

「うーん、わくわくするねー! 特大のホームラン上げちゃうよー」

 

「ふ、ふふん! き、緊張なんてしてませんよ?」

 

茜も友紀さんもさっちーも嬉しそう…?だしアタシも事務所のみんなと舞台に立てるのはすっごいワクワクする。

 

「黙れ」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

静かにしかし怒りを込めた一言が事務所を凍らせる。

怖い、こうなったプロデューサーは毎回怖い

 

「話は終わっていないぞ。 まずは紹介しよう、来月から我のアシストとして配属されることになったもう1人のプロデューサーだ。入れ」

 

「…はい」

 

静まった部屋に戸が開く音が響く

そこから現れたのは三白眼の据えた目つき、ほとんど変わることのない無表情、そして貫禄すら感じさせるような重低音な声…

 

「ひっ」

 

あ、さっちーが震えてる

 

「来月付けでこちらに配属されることになりました武内…という者です。よろしくお願いします」

 

「「「よ、よろしくお願いします」」」

 

「こちらのプロデューサーさんは次期プロジェクトの総括として抜擢された凄腕なんですよー。ギルガメッシュくんとは大違いです」

 

「おい、ちひろ。我とてこやつら全員のプロジェクト総括だぞ。今西からもそう言われた」

 

今西…って部長さんじゃん!? 何呼び捨てにしてるの!?

そう思いながら聞いていると武内…と名乗ったプロデューサーが申し訳なさそうに話に割って入った。あれ、顔に似合わず気が使えそう…?

 

「あの…ギルガメッシュさん、私はとりあえずどうすれば」

 

「む、そうだな。来月からいきなりというのもの大変であろう。仕事が空いてる時でよい、美嘉や楓の仕事について行け」

 

「はあ…」

 

え、マジ?

 

「それとだ、貴様らのライブ用に新曲を用意した。曲名は未明だ…が! 貴様らで決めて良いらしい。1週間以内に決めろ。連絡は以上だ」

 

スーツを脱ぎ捨てスタスタと部屋を出て行った、おそらく上の階に勝手に作った自室に向かったんだろう。

いつもの事だった

 

…にしても、この人と仕事かぁ

 

「…城ヶ崎美嘉さん…ですよね。よろしくお願いします」

 

「…え、あ、うん★ よろー」

 

やり辛いなぁ…


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