あのオーディションに落ちまくっていた頃が嘘みたいに仕事が舞い込んできた。
歌番組や雑誌の取材、ラジオの収録…色々あって毎日大変だ。
プロデューサーが何かしたのかなと思って聞いてみたけど…
「美嘉の実力だ。我は何もしておらん」
しか言ってくれないし…
「仕事…頑張ったら何かくれるかな…?」
デビューしてもう半年…そろそろ今年も終わる時期が近付いてきた。
「っと、収録に遅れちゃう! ちひろさん、行ってきます★」
「はい、気をつけてね美嘉ちゃん」
最近はよく1人で仕事に行くようになってる
プロデューサーを見返してやる!と意気込んでいるようだ。
「ギルガメッシュくん」
「なんだ、守銭奴。 金ならないぞ」
「ん?」
「なんだ、ちひろ。我に用事か?」
やり直した
それは置いといて、美嘉に関して思い浮かんだ不安を伝える事にした。
「美嘉ちゃん、最近寂しそうなんです」
「寂しいだと?」
何を言ってるんだこの金…もとい、緑の女帝は。と怪訝な表情をしちひろの目を見る。
「えぇ、プロデューサーは放任主義ですし、それに美嘉ちゃん…ここには同じアイドルが居ませんから。競える相手はテレビ局に行けば沢山います…でも、支え合う事が出来るライバルはいないじゃないですか」
真剣な表情でこちらに伝えてくる
なるほど、彼女はこう言いたいのか
「つまり、この部署の売り上げが増える様に美嘉の為という名目で新しくスカウトしろと言うのだな?」
「美嘉ちゃんの為です」
…悪魔め
-----テレビ局-----
美嘉の迎えという事もありとりあえずテレビ局まで出迎えに来たが不満な顔をし歩いていた
「この我を顎で使うなぞ未来永劫あやつだけだ…我は英雄王なのだからな!」
「あら? あまり見ない顔だけれど…局内で迷ったのかしら?」
「なんだ貴様」
声をかけてきたのは20代…前半ぐらいの女だった
「自己紹介が先ね…コホン
川島瑞樹、25ちゃいで〜す」
「」
絶句、それがピッタリな程に言葉を失った
「…何とか言ってくれると嬉しいわ」
「あまりの衝撃に言葉を失ってしまったぞ」
驚きの表情のまま固まっているギルガメッシュが精一杯口を開いた
「やっぱり無理があったかしら?」
「我にこれ程の衝撃を与えた…素質はあるし問題無さそうだ…よし、貴様アイドルになれ」
「喜んでなるわ」
「は?」
「え?」
すんなりと二人目の加入が決まった
なんだ、スカウトとはこんなに楽なものなのか。そう思う英雄王なのだがその考えが一癖も二癖もある人物達を引き寄せてしまう事になるとはこの時、気が付きもしなかった…
「困惑するとかは無いのだな」
「誘ってくれたのはそっちでしょ? ならその誘いに乗らないと失礼じゃない?」
川島という女を連れ美嘉が撮影をしているスタジオへと向かう最中、もう1人面白そうな女を見つけた
「貴様、何をしている?」
通路で俯き考え事をしていたのだろうか通路に置いてある小道具を見てからこちらを見つめボソッと呟く
「このステッキ、とても素敵ですね」
「「………」」
「今のはステッキと素敵がかか「えぇい、わかっておるわ! 説明せんでいい!!」 あ、よかったです」
「行くぞ、女」
「瑞樹ちゃん、って呼んでもいいわよ?」
「誰が呼ぶか阿呆」
先ほどのオヤジギャグをかましてきた女を無視しその場を去ろうとした。のだが何故か着いてくる
「おい、女2号。何故ついてくる」
「面白そうなので…あと私は高垣楓です。女2号ではありません」
「女1号、コイツをどうにかしろ」
「瑞樹ちゃんって呼んでくれたら何とかするわ」
「どいつもこいつも…!」
声をかけたのは失敗だったか
いや、違う。思い返せばこの2人から声をかけてきたのだ。
「ぷ、プロデューサー…? その人達は?」
スタジオへの道半ばで収録を終えたばかりの美嘉がこちらに気が付き寄ってきた
「むっ…そう言えば美嘉を迎えに来たのだったな。すっかり忘れておったわ」
「ちょ、酷くない!?」
スタッフが行き合う廊下では邪魔になるのでとりあえず美嘉はギルガメッシュと謎の女性を外に出し急いで帰る支度をしテレビ局を飛び出る
「人の気も知らないで…プロデューサー!!」
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「遅いぞ美嘉」
「ぜー…ぜぇ…これでも……急いだんですけど…」
「我が遅いと言ったら遅いのだ。覚えておけ」
相変わらず横暴だ
「それで…その人達は……って、片方はアナウンサーの川島瑞樹さんじゃん!? それにモデルの高垣楓さん!?」
「あら、最近の若い子はニュースとか観ないと思ってたけど知られているのね。嬉しいわ」
「美嘉ちゃん、お久しぶりです。前に1回一緒に撮影しましたよね」
「あ、その説はありがとうございます……で、どういうことなの!?」
相変わらず外回りの仕事の時だけちひろさんが用意したスーツをちゃんと着ているプロデューサーはさも当然かのように言い放つ
「新しいアイドルだ。喜べ」
「へっ? あ、やっ、やったー? いや違うでしょ!?」
「あ、プロデューサーくん。私は辞表だしてくるわね!」
「うむ、さっさと済ませて来い。貴様もだ女2号」
「わかりました。ふふ…」
川島さんと高垣さんは二人して足早にテレビ局の中へと戻っていった。
「え、えぇ…それでいいのかなぁ…」
「奴らが構わんと言ったのだ。我は知らん」
という訳で、わかるわさんと25歳児(この頃は22児)が介入しました。あと数人すぐに合流します