夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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外伝 パンデミック後編

結論から言おう。

幼児化したメンバー、それに若返ったメンバーは皆元に戻った。

やはり一部記憶の混濁がみえたが後遺症もないであろう。

 

 

 

…それでだ

我は今、黒髪の小悪魔女とスタイルの良い茶髪の女に絡まれている。

 

「もう…プロデューサーさん。どうしたんですか?」

 

「さっきから上の空ですよ…?」

 

誰だ貴様ら、とは言えぬ。

何故ならこやつらは歳をとったアイドルの誰かなのだから。

 

縮んだ奴らを戻す際に誤って子供組も飲んでしまったようでな。我のウッカリさんというやつだ。

 

「ちっ…今日はハイファイデイズの生披露だというのに…我としたことが」

 

「もっと千枝のこと見てください…」

 

「悩み事だったら仁奈が相談に乗りますよ?」

 

千枝と仁奈だったのかこやつら!?

 

「プロデューサーくん。どうするのよ!?」

 

「はっ! 任せてください、今からサイキックで彼女達を戻します!!」

 

「えぇい、一度黙れ!!」

 

ちっ…何かいい手はないものか…

 

「あのぉ、プロデューサーさん」

 

「む、なんだ雫!」

 

ろくな案を出さない二人と違い雫まだ、マシだ。マイペース…過ぎるがな

 

「えっと…ゴニョゴニョ…でゴニョゴニョ…」

 

「貴様……正気を疑うぞ」

 

「でも、いい案だと思いますよ〜?」

 

確かにその案ならば…まだ幾分マシか…

 

「早苗、祐子! 貴様らは二十代のアイドルを集めろ!! 至急だ!」

 

「「は、はい!!」」

 

「雫、準備を任せる」

 

「はぁい」

 

奴らのプロとしての能力に頼るしかないとはな…

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

三十分も掛からぬ間に早苗を含めたアイドルが集まった。

 

「…あの、私…なにかしてしまいましたか?」

 

不安そうに声を上げるのは三船美優

 

「私は嫌な予感がします…」

 

「私もです…」

 

肩を落とすのは楓に菜々

 

「おいおい★ ホントになんの集まりだよこれ★」

 

最後に佐藤心

 

「火急の問題が起きた故に貴様らは宵乙女の力を借りる時が来た。これは事務所の…幼年組を守る為の事だ」

 

幼年組と聞き目の色が変わる。保護者か貴様らは

 

「まぁ、話はこれからしよう。まずはミルクの1杯でも飲め」

 

「及川農場のミルクですよぉ」

 

コトリコトリと一人一人の前に雫がコップを並べミルクを注ぐ。

彼女達も何の疑いもなく飲み始めた。

 

ここまで上手くいくとなるとこやつらの先が不安だが。

 

 

「それで、プロデューサーくん。どうするのよ」

 

「貴様らの中にハイファイデイズを歌って踊れる奴は居るか?」

 

ハイッと手を挙げたのは安部菜々と佐藤心。大方予想通りであったがもう1人意外な人物がいた。

 

「美優、出来るのか?」

 

「は、はい。あの子達に少しでも教えられたらなと…私もトレーナーさんに教わりましたので」

 

「ふむ、中々上々ではないか!! 楓、早苗の2人は3人から今日の夜までにハイファイデイズを教わりマスターしろ」

 

「ちょ、流石にそれは無理よ!」

 

「…プロデューサーさん、少し大きくなりましたか?」

 

喚く早苗を他所に楓が我を見上げている。

そう、縮んだ楓が我を見上げている

 

「んな!? 何ですかこれ!?」

 

「縮んじゃったパイセンも可愛いぞ★ もちろん、しゅがはもスウィーティー★」

 

「あ、あの私…小さく…」

 

「そういう事ね…えーえー、理解しましたとも。つまるところ今日出る筈だった5人の代わりに私達を縮めたわけね!!」

 

「察しが良くて助かるぞ、早苗。喚いてる暇があったらレッスンを始めろ! 時間は刻々と過ぎて行く!」

 

5人を抱え上げレッスン場へと歩を進めると早苗が一つだけ…と質問をしてきた。

 

「…この若返りの薬を大きくなった子達に飲ませれば良かったんじゃないの?」

 

「戯け、子供達が飲んでしまったのは志希が我の薬を弄って作った物だ。それを無理矢理、我の薬で戻す事も可能だが…貴様ら大人達と違い副作用が起きては問題であろう。 子供の為にカラダを張れ!!」

 

「いい事言ってる気がするけど元々の原因はお前だろ★」

 

ちっ、気がついたか。

 

「でも、こうなったらやるしかありませんね。 プロデューサー、終わったら…」

 

「楓、わかっておる。 我の蔵から最上級の酒を貴様らに振る舞おう」

 

「よっしゃー! やるわよ楓ちゃん。 3人とも悪いけど指導お願いっ!」

 

酒の話を出した途端テンションを上げる幼女。なんとも危ない光景だが今はこれに任せるしかないか…。

 

「では、夕刻に迎えに来る。仕上げるのだぞ」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時は過ぎ夕方

 

 

「えぇ…千枝ちゃん達来れないですってぇ!? ギルちゃん大丈夫なのかしら?」

 

「ふん、問題ない。既に代役としてだが最高のメンバーを連れて来た」

 

衣装合わせを終えた宵乙女…ならぬ宵幼女共がやって来る。

 

「あらぁ!! 可愛いじゃないの。 桃華ちゃん達もいいけど…この子達も可愛いわぁ!!」

 

番組ディレクターはクネクネと動き奴らの愛らしさに悶えている。こんな口調だが中々に面白い奴でもある。

面白ければ何でもOKというスタンスを持っている│漢娘《オトメ》

 

「今日はよろしくお願いしますっ!」

 

「はぁいっ、お嬢ちゃんお名前は?」

 

「「「「「「!!?」」」」」」

 

皆固まる

このまま普通に自己紹介したモノなら不味いことになるのは明白ではないか。

 

「はいっ!」

 

挙手をしたのは早苗(幼)

貴様、ドジを踏めば永遠にその姿で過ごしてもらう。

 

「言峰早苗ですっ」

 

貴様ァ!!!!!!

 

「言峰心だぞ★」

 

「こ、言峰美優です…」

 

「言峰菜々でーすっ」

 

「同じく言峰楓です。ふふ」

 

「……」

 

思い思いのポージングを取り映像映えしそうな感じなのだが…やってくれる…このバカ娘共

 

「まぁっ! 5人姉妹なの?」

 

「おい、待て」

 

「もうギルちゃんも人が悪いわねぇ…こんなにカワイイ子達を隠してるんだものっ」

 

話が纏まっているだと!?

 

「それじゃリハお願いねぇ」

 

 

 

 

「………ふっ、我の計算通りだな」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜とあるラーメン屋にて〜

 

「激辛麻婆ラーメンだな」

 

「え、いや私頼んでないけど!?」

 

「待っていろ、今作ってくる」

 

長身筋肉質の店主はに中華鍋を火にかけながらテレビを見ていた。

たしか、ギルガメッシュがプロデュースしているアイドルが今日の夜、M○テに出るとメールをしてきたからだ。

 

「…それにしてもどこの世界でもラーメン屋してるんだね…」

 

「(いやー、並行世界と言えどこんなのともあるんですねぇ)」

 

少女と喋るステッキに麻婆ラーメンを出すと腰を据え新聞を広げた

 

『それでは346プロ 言峰シスターズでハイファイデイズです。どーぞ』

 

「ブフッ!?」

 

言峰シスターズだと…?

 

「て、店長さん大丈夫?!」

 

「あ…あぁ…」

 

『明日へ JUMP♪』

 

踊っているのは目の前に座っている少女と何ら変わらぬ子供達。

 

「そうか…ギルガメッシュの子か…」

 

「本当に大丈夫!? 泣いてるよ!?」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「プロデューサーくん、正座してくれます?」

 

「なんだ、ちひろ!! 此度の我はこの事務所に貢献してやったではないか!!」

 

「えぇ、そうですね。確かにお仕事がもうそれはすごい量舞い込んできました」

 

ニッコリと笑い書類の束で我をひっぱたいた。

 

「子供になった宵乙女たちに!!!」

 

そう、あの放送を観た全国のファン達が大量のファンレターを寄越すだけでなく各局のテレビ関係者もエライ食いつきを見せたのだ。

 

「ぐっ…」

 

最初はまた奴らを縮めれば良い…と思っていたのだがやはり原液を飲ませた後遺症か子供になっていた時間が長かった為か奴らのカラダが暫くアルコールを一切受け付けなくなっていた。

楓や早苗は酒を飲めないことに泣き暴れもう二度と小さくならないとまで言われたので『言峰シスターズ』は伝説のユニットになった。

 

「また新しい伝説を作ってしまったな!」

 

「ギルガメッシュくーーん」

 

「おっはよ、プロデューサーにちひろさ……」

 

やって来た美嘉の目に映ったのはちひろがギルガメッシュに腕ひしぎ三角固めをしてるシーンであったとか。


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