夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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形式上最終話となります。

番外 ある日のカルデアを読んでない方は先にお読みになってからの方が楽しめるかと思います。


全ての終わりと始まり

衛宮side

 

「ほら、士郎! 早く行かないと遅刻するわよ」

 

「わかってるよ、凛。大丈夫、間に合うから」

 

肌は浅黒く白髪が混じった赤銅色の髪を持つ青年は黒髪の女性に尻を叩かれ玄関へと追いやられる。

 

「こういう時は早めに行っとくものよ? 彼女達のとびきりのステージなんでしょ? 私も後で行くから」

 

「わかった、行ってくるよ凛」

 

スーツを着て、職場へと向かう。まだ勤めて2年程だが先人のマニュアルのおかげで仕事はスムーズに行えた。

 

通勤列車には慣れないけど…やり甲斐はあるし何より彼との約束、俺の贖罪だ。

 

 

「あ、プロデューサーさん。おはようございます」

 

通勤途中、プロダクションへ向かう道中で良く知る女性に声を掛けられた

 

「千川さん、おはようございます。珍しいですね…この時間に出勤なんて」

 

「はい、今日は大事な日ですから。すこし気合を入れるために色々していたら少し遅くなってしまいまして…」

 

「今日は合同ライブですからね。765に346…それに315、876、961プロまで勢揃い」

 

「はいっ、今日のライブは歴史に残りますよ! あ、事務所着きましたね…それではプロデューサーさん、今日は張り切っていきましょう!」

 

足早に事務所へ向かって走っていく彼女を見送りながら今日の事を考える。

彼女達は既に武内プロデューサーと共に会場入りしている。

 

「やっほープロデューサー★」

 

「はぁ…城ヶ崎。何故現場に行っていない?」

 

346プロダクションのある一室

そこに事務所を引っ張るトップアイドル

城ヶ崎美嘉はいた。

 

「あはは…ガラにもなく緊張してさー。久しぶりにこの部屋に来てみたの」

 

「………たしか、キミをスカウトしたプロデューサーの部屋か」

 

そう、間違いなくアイツの部屋だ

趣味が悪い金ピカの

 

「そっ、アタシがスカウトされた時、そのプロデューサーにお姫様抱っこされてビルとビルの間を飛び越えてここに来たんだ。…信じられないでしょ?」

 

それはスカウトじゃない誘拐だ

 

「3年間アイツと一緒に居て、頑張って…突然、アイツは居なくなった。アタシ達を置いてね」

 

………奴が消えたのは俺が原因でもある。だが、元から消えるつもりでもあったのだろう…

 

「でもね、アタシ達は誰も捨てられたとか思わなかった。なんでかな…最初っから最後までよく分からなかった人だけど…大切にしてくれてるっての分かってたから」

 

「キミは今年でアイドル何年目だったかね?」

 

「アタシ? えーと、14…の時にスカウトされて…今年で22だから8年目か。プロデューサーもアタシと同い年だったよね?」

 

「あぁ、そうだ。私も今年で22になる」

 

「…何でそんなおじさん臭い口調なの?」

 

「…私にも事情というものがあるんだ」

 

「へぇ〜気になる〜…ってあれ? プロデューサー…左手の薬指…?」

 

しまっ…いつも外していた指輪を見られた!?

 

「へぇ…へぇー???」

 

「ほ、ほら行くぞ城ヶ崎!」

 

はぁ…無事に終わるのか…今日1日…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

卯月side

 

「しまむー、ちょっと後髪直してー」

 

「あ、ちょっと動かないでください…えーと………はいっ、直りましたよ」

 

「ありがと! それじゃあ、未央ちゃん隊員スタンバってきまーす!」

 

「はい、頑張ってください!」

 

ライブが始まり目まぐるしく動く舞台裏

スタッフさん達も張り切っている。

かく言う私もだ。初のドームライブ…

えへへ…デビューして5年目でドームどライブが出来るなんて!

 

「卯月ちゃん。この後の曲よろしくねっ!」

 

「あ、天海さん! はいっ、島村卯月頑張りますっ!!」

天海春香さん、765プロのアイドルで同年代のアイドルとして憧れ…目標の様な人だ

 

「春香でいいよっ。ふふ、他の事務所の人達と一緒にライブ…とっても楽しみだったんだぁ」

 

「春香さぁん…はぁはぁ…先に行かないでくださいぃ…」

 

後ろから走ってきたのは765プロダクションが新しい企画でプロデュースされた女の子たちの1人…春日未来ちゃんだ

 

「あ、島村さんよろしくお願いします!」

 

「は、はい! よろしくお願いします!」

 

「春香さーーーん!! 未来ちゃーーーん!! 卯月ちゃーーーん!!」

 

あ、あはは……この大きくて元気な声は876の日高愛ちゃんですね。前に一緒にお仕事したことありましたね。

 

「はぁ…天海…お前、22歳だろ。少しは大人らしく振舞ったらどうだ?」

 

「なっ…もう、冬馬くん! 私だってちゃんとお姉さんになったんだよ?」

 

「何処がだ! お前は17から全然変わってないぞ!?」

 

「こらこら、冬馬。女の子に年齢の話はタブーだぞ! あと俺にもな!」

 

「…天道さんすみません」

 

「なんで俺に謝るんだよ! たしかにおっさんだけど!」

 

315プロダクションの天ヶ瀬冬馬さんに天道輝さん! 男性アイドルのトップに立つ2人だ

カッコイイなぁ…

 

「やぁ、全員勢揃いだね。これはボクも全力で歌わないといけないね…」

 

「玲音、ちゃんと遅れないで来たんだな?」

 

「失礼な、冬馬くん。ボクはしっかりした人間さ」

 

玲音さん…日高舞さんに次ぐSランクトップアイドル!!

まさか、そんな人と一緒にステージに立てるなんて…

 

「皆さん、準備はよろしいでしょうか。スタンバイお願いします」

 

プロデューサーさんが確認しに来た。もう、出番のようだ

 

私はこの凄いメンバーと一緒に歌ったあと、346プロダクションのみんなともう1曲ある…! 私が昔憧れたあの曲が!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

美嘉side

 

卯月ちゃん達がステージに上がっている。次はいよいよ初期の346メンバーでの曲だ。

 

気合い入れないとね★

 

「ねぇ、美嘉ちゃん?」

 

「あ、楓さん。どうしたんです?」

 

楓さんは五年経っても綺麗…というか五年経って余計に綺麗になった。ズルいなぁ…

そんな楓さんが驚いた顔をしながらアタシの胸元を指さしている…

恐る恐る自らの胸元を見ると…ネックレスが輝いていた。

 

「346プロさーん! 曲終わり次第お願いします!!」

 

「あ、はい!」

 

呼ばれた後にもう1度ネックレスを見ると輝きは消えていた。気のせい…なわけないよね?

 

曲が終わりアタシ達全員がステージへ上がる! 会場はドーム…360°見渡してもファンばかり!

 

「みんなーおまたせー!」

 

「「「「「美嘉ちゃーーーん!!!」」」」」

 

熱い声援を浴びる。

あの時アイドルになってよかったと、みんなに名前を呼ばれる度にカラダが震え心の底から思う。

アイツが…ギルガメッシュがアタシをここに連れてきてくれたんだ。

なら、アタシはこの先もここに立つだけだ。

 

「な、なんだあれ?」

 

「へ?」

 

ファンのみんながざわめき始める…

な、何かあったのかな? みんなに目配せすると楓さんが再び胸元を指さしてくれた。

 

光っている

 

「美嘉ちゃん、上!」

 

上?

 

瑞樹さんの叫びのまま上を見上げる。

 

 

 

空がひび割れていた

 

 

 

 

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王side

 

 

「フハハハハハハハ!!」

 

「お、王様!! も、もう空間が閉じます!!」

 

盾のデミサーヴァントが叫ぶ、確かに先程より窮屈になってきた…が、もう先は見えている。我が置いてきた、あのネックレスがここだと示した。

 

「貴様ら、今一度…我が宝具を放つ!! 反動で吹き飛ばされるなよ!!」

 

後ろではジャンヌ、オルタ、従者が盾子の後ろに隠れている。準備は出来たようだな!

 

「天地乖離す開闢の星!!」

 

光が指し示す時空がひび割れる。さぁて、何処に出ることか!!

 

明るい光が差し込み我らは宙に放り出される。む、ここは…!!

 

上空から落下する際に見えたのは1箇所を中心に集まる雑種共。

 

そして、真下からこちらを見上げているのは…………美嘉か?

 

すこしは成長したようだな。

 

「せ、先輩! 地面まで10秒!! 着地しますっ」

 

「オルタさん!」

 

「私を心配するぐらいなら自分の身を案じなさい!」

 

ドォォォォン!!!!と音を鳴らし地へと着陸する。 ふむ、ギリギリこのステージは壊れなかったようだな。

 

ざわめく雑種共…随分と増えたな

 

「文香、マイクを寄越せ!!」

 

「……へ? あ、は、はい!」

 

なんだこやつら…幽霊でも見たかのように固まりおって…

 

「雑種共、久しいではないか。我が来たぞ!!」

 

雑種共の中では誰? やらなんやらが聴こえてくる…この我を知らんとは舐められたものだな…!!

 

「知らないのか!? あの伝説のシンデレラの舞踏会を作り上げた346のプロデューサーだぞ!」

 

「本当だ! 俺ライブでも見たしブルーレイ買って何回も見直したよ!!」

 

「ギルガメッシュプロデューサー!!」

 

ほう…あの日からどれほど経っているかは知らないが…伝説となったか

 

「この我を知らぬ愚かな雑種の為に一度だけ名乗ってやろう!!

我は城ヶ崎美嘉のプロデューサー…ギルガメッシュだ!

此度、この様な形で現れたのは一種のサプライズというものでな…貴様らには新たな346プロダクションのアイドルを見せてやるためだ!!」

 

「「「「「新しいアイドル…!?」」」」」

 

「何故貴様らが驚く! 黙っていろ」

 

面を食らったアイドル共を一喝し話を続ける。

 

「ここに居るのが新しいアイドル…

言峰白(ことみねはく)、それにこっちが言峰黒(ことみねくろ)

 

「は、白ですか…」

 

「く、黒…安直な…」

 

ジャンヌとジャンヌオルタ

この2人のアイドル名と言った所か。即興だが良い名前だ。流石我

 

「さぁ、音響よ! 曲を鳴らせ!! 白、黒! 貴様らも加わって歌い踊れ!! 盾子と従者は我と共に舞台袖にはけるぞ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください英雄王! わ、私達が?!」

 

「歌うですって?!」

 

「安心しろ! 美嘉、貴様なら二人をリード出来るだろう!!」

 

「え……あ…うん! もちろん任せてよ★

白さん、黒さん! きっと大丈夫!」

 

ふっ…流石は美嘉だな。

 

「安心しろ白、黒! 歌う曲は貴様らが一番練習した曲だ…!!」

はっ、と気がついたような顔で頷く2人

あの、カルナのシゴキを耐えたのだ。必ず出来る

 

「我が宝たち! シンデレラ共よ!!

高らかに曲名を叫べ!

これこそが真のライブ!!

二度目の伝説よ!!」

 

我の意図を察した全てのアイドルが配置につく。音響も…ふっ、あの時のスタッフと変わっていないようだな…

 

 

「さぁ、その曲の名は!!!!!!」

 

 

 

「「「「「「「せーの……!」」」」」」」

 

 

 

「「「「「「「お願い!シンデレラ」」」」」」」




と言うことで…本編はここでお終いとなります

しかーし、たぶん後日談やら各アイドルとの出会いやらお仕事やら…書きます。というより書きたいのでお付き合い頂ければなによりです。

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