夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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ある日のカルデアも次回がラストです
読んでいただければ分かると思いますが…このギルガメッシュも実は…?


番外 ある日のカルデア 3

ぐだ男side

 

「ワンツースリーフォー」

 

カルデアにある、隠された部屋

そこには無機質なカルナの声が響き、そのリズムに合わせ笑顔で踊る聖女と魔女

 

「ストップ。ジャンヌ・ダルク、テンポが少しずつズレていく。ダンスと歌の一節置きに呼吸を忘れるな」

 

「は、はい!」

 

「ジャンヌ・オルタ、疲労か? 後半に連れて指先がダレてきている」

 

「気をつけます」

 

彼女らは最初の頃とは違う。汗はかけど呼吸は上がらず数曲通して踊れるようになっていた。2人の中では尊敬と畏怖を込めてカルナを鬼のカルナなど呼んでいたけど

 

「それでは通しでもう一度行ない今日は終了にしよう」

 

「「はい!」」

 

曲が始まる

聴いたことがない曲だ。ギルガメッシュ王の要望から出来た曲って聴いてたんだけど…

 

「アマデウス、これ何ていう曲?」

 

「んー、これかい? ボクにも分からないね。でも王様の要望通り…いやそれ以上に描いたつもりさ!」

 

「うん、確かにいい曲だ」

 

まるで2人がお姫様になったような感じに見えた。アマデウスはまだ舞踏会用の曲も描かなければならないと言い部屋を後にした。

 

 

そう言えば、ギルガメッシュ王に頼まれていたことがある。

王、曰く

 

『貴様にしか出来ん仕事だ』

 

らしい。サーヴァントの様な力も無ければなにか特別秀でた特技もない自分が役に立てることがあると聞けて嬉しかった

 

えーと…渡されたメモは…

 

「ジャンヌ、オルタ。レッスンが終ったら採寸するから隣の部屋に来て!」

 

メモを読み上げた瞬間、踊っていた2人がズッコケた。

 

 

あれ、なにか凄まじいことを言ってしまった気がする。

 

 

「今日のレッスンはこれまでにしよう。マスター、2人を頼む」

 

「ま、待ってカルナさん!? 置いてかないで!」

 

我関せずと部屋から出ていくカルナに縋るように叫ぶが時すでに遅し…

ガシッっと両腕が白と黒に掴まれる

ギギギと軋む首を捻り左右を見、腹を決めた

 

「ま、マスターなら…主も許してくれるでしょう」

 

「そうですね、マスター。早く済ませましょう」

 

「令呪を持って命ずる! オルタ、ジャンヌの採寸をしろ!!」

 

「「令呪の使い方雑ですね!?」」

 

逃走から数分後半泣きのジャンヌからメモを渡された。数字を見て推測するに同じ人物な筈なのにジャンヌの方が…こう…一部…ほんの少し大きかった所為で色々やられたんだろう…

 

「お疲れ様…」

 

「はい…」

 

とぼとぼと自室に向かうジャンヌを見送りこのデータをある2人に持っていく。

採寸をしたのも勿論衣装を作る為だった。

 

カルデア内に居ては誰かに見つかってしまう可能性が高いので…もちろんこの人もこちら側の人間だ

 

「必要なものは揃ったかな? レイシフトの準備は万全さ! 男性スタッフ一同頑張っているからね」

 

「ありがとう、ドクター!」

 

場所は城の建設予定地…の近くにある仮宿舎

 

「必要な物は持ってきたかねマスター」

 

「はい、これっ」

 

宿舎2階に拠点を構えた彼の串刺し公

彼がドレスを仕立てあげるのだ。

 

「うむ、では余も全身全霊で紡ぐとしよう!」

 

「それと…俺にも作り方教えてくれないかなヴラドさん」

 

「ほう、どなたかに贈り物か?」

 

「その…何時も守ってもらってるからさ。贈り物がしたくて…ギルガメッシュ王から見本のドレスも貰ってきてるんだ」

 

紫が似合う彼女に贈るドレス

ギルガメッシュ王に相談したら王の財宝からパープルを基調にして薔薇をあしらった大人っぽいドレスが出てきた。

 

『む…? 何故、我の宝蔵からこのような女物のドレスが出てきた? よい、我には必要の無いものだ持っていけ!』

 

とか言っていたけど…

 

「ふむ、然らば赤きアーチャーも交えた後に製作を開始するとしよう。マスターは建築予定地の方を見回ってくるといい」

 

「ありがとう、そうするっ」

 

宿舎を後にするとスグにわかりやすい声が聞こえてきた。あれはクーフーリンのものだ。

 

「またドラゴンが出やがったぞ!? アサシン共は何してやがる」

 

「いっそのこと、森ごとルーンで焼いちまうか?」

 

「愚図が、圧倒的な力で引き千切ればいいだろ」

 

「おいおい、年老いたらオレはこのうちのどれかになるってのか? 勘弁してくれよ」

 

クーフーリンのもの…というかクーフーリン達の声だった

 

「そこの槍バカ共!! さっさとドラゴンを撃滅してこい! マーリン、貴様もサボってないでさっさと石を積み上げろ! よいな、納期は1日たりとも遅れてはならん」

 

「いやいや、太陽王。そんな事言われても積み上げる石がないからね。小休止ってやつだよ…というか何故、マーリンさんはここに引きずり出されたんだい」

 

「戯け、英雄王も余と同じ事を言うだろうが敢えて言おう…!!

働かざるもの食うべからず!!!!!」

 

「はっはっはっ、これは夢かな? まさか働かされるなんてね!!」

 

あ、マーリン逃げようとしてる…

 

「石…持って…きたよ!」

 

「■■■■■■■■■■■!!!!!」

 

あ、アステリオスとヘラクレスに捕まった

 

「労働基準法違反だ! というか、あそこにもう1人の働かない最弱の最悪サーヴァントがいるぞ!?」

 

「1章から5章までまともな働きをしなかったのだ。ピックアップなどという期間限定なのだから今だけは身を粉にして死ぬがよい!」

 

「いやー、悪いね! オレってば最弱英霊だから重いものとか持てなくて!! ま、アヴェンジャーの後輩が何とかしてくれるさ」

 

全身に刺青が入った青年が屋根の上でゲラゲラ笑っていた。あんなサーヴァント…ウチに居たか?

 

「オジマンディアス王!」

 

「来たか、見ての通り工事は着々と進んでいる。これも余の手腕とバーサーカー共の剛腕、石を剣でスパスパと斬るセイバー…それとバベッジが用いた機械とやらの力だ」

 

「それじゃあ、この分だと…」

 

「うむ、余裕で間に合う!」

 

流石は建築王!

 

 

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英雄王side

 

「舞踏会…か」

 

どうにも懐かしい響きがする

かつて、どこかで似たような催しでもしたか…? あのドレスもそうだ、我にとてもかかわり合いが深かった女の物か?

 

ならば、何故覚えていない?

 

「ちっ! 奥歯に何か挟まったかのような気持ち悪さだ」

 

「英雄王、こちらでしたか」

 

カルデアの厨房

一昨日夜から何も食べていなかった為、贋作者に何か作らせようと立ち寄ったのだがあやつは今、ドレスを作っているのだったか。

そんな時だ、思いもよらない珍客が来た

 

「珍しいではないか、セイバー。貴様が我に話しかけてくるなんてな」

 

「気の迷いですよ。 貴方にしてはらしくない顔をしてましたから」

 

かつて我に刃を向けた敵に心配されるなぞ我もわかりやすくなったものだ

 

 

………刃を向けた敵…だと?

 

「セイバー、我は貴様と手合わせしたことがあるか?」

 

「? 何を言っているのですか、聖杯から得た知識…私自身の記憶ではないですが我々は幾度か死闘を繰り広げたではないですか。聖杯戦争でも月でも」

 

何たる事か、我からはその記憶が丸ごと抜け落ちているとでも?

 

いや、しかし…

 

「おや、顔の迷いが消えましたね。良い事です。さて、ご飯にしましょう! たまには共に夕餉を囲うのも悪くないはずです」

 

「ふむ、そうだな。腹が減ってはなんとやらだ!」

 


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