夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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ギルガメッシュが苦労英雄王になりそうな気がしなくもないメンバーが揃いそうです
ちなみにギルガメッシュはそれなりの常識を持っています。横暴ですけど。横暴ですけど!


カリスマ?ギャル爆誕

「ただいま〜…」

 

コッソリと家に戻ってきた美嘉はどうやってアイドルの話を親に切り出そうか考えていた。

ちひろさんにでも付いて来てもらって説明してもらった方が良かっただろうか…

プロデューサー…ギルガメッシュは論外だ。話が拗れる

 

「お姉ちゃん、おかえり!」

 

「あ、莉嘉! 無事に帰れたんだ」

 

「うん、なーんにもなかったよ!

それより、お姉ちゃん。 アイドルになるってホント!?」

 

へ? なんで莉嘉がその話を知っているのだろう。

 

「あー、うん。やってみよーかなー? って」

 

リビングに入るとグラス片手に両親と…プロデューサーがいた。

 

「ハハハハ! 貴様、良く分かってるではないか!」

 

「そりゃ、もう14年も美嘉の親をしてますから!!

そういう、貴方も出会ったばかりで美嘉の魅力をしっかり分かってるなんて」

 

「我の目は確かだからな」

 

「間違いないですな!」

 

「なにこれ…」

 

パパとプロデューサーが意気投合してアタシのことを語り合っていた。

恥ずかしいし、それよりも

 

「なんで家にいるのプロデューサー!」

 

「挨拶…というやつに行けとちひろが煩くてな。来てやったぞ喜べ」

 

何故、人の家でこうも偉そうに出来るんだろう…

頑固なパパもアイドルをすることに何の文句も言わなかったし…ママもやりたいことはやらせてあげるって言ったし…

問題が論外だったはずのプロデューサーの手で解決してしまってた。

 

「こやつのプロデュース方針とやらを決めるとするか。 小娘、なにかやってみたいことはあるか」

 

方針…これからどんなアイドルとして売っていくか…どうだろ、アタシはどんなアイドルになりたいんだろうか。

 

「よし、ギャル路線でよいな」

 

「え、アタシの意見は!?」

 

答える前に決まっていた

 

「そのナリで今更何を言う。 ただのギャルではつまらぬな…そうだカリスマギャルというので行こう。出来るな?」

 

もう、無茶苦茶だった

でも、すっっっごく楽しそう!

カリスマギャルってどんなのだろう!?

 

「じょ、ジョートーじゃんこの現役JC美嘉がカリスマギャルのトップを取るから!」

 

こうして、アタシの人生を変えた1日が終わったんだ。

 

ここからは毎日レッスンや売り込みが始まった。

プロデューサー?

あー…大した仕事はしてなかった気がするなぁ…だって、アタシになんて言ったと思う?

「王たる我が仕事を道化に取ってくる? 馬鹿は死んでから言え」

ってね、今考えたら有り得ないよ。

14の女の子に仕事を自分で取れ!

って言ったんだもん

 

必死にオーディションを受けて…たくさん落ちて、たくさんレッスンしてそんな毎日が続いた

 

ある日のレッスンで久しぶりにプロデューサーが見に来てた。

 

「ワン・ツー・スリー・フォー!」

 

ステップを踏みターンして止まるっ

レッスンの難易度も上げて初めての会心の出来だ。

 

「うん、いい出来だな城ヶ崎! 上出来だ。これなら次のオーディションは間違いなく…」

 

「落ちるな」

 

ベテラントレーナーさんの言葉を遮ったのはプロデューサーだった。

 

「プロデューサー殿…今の城ヶ崎は間違いなく行けると思うのですが…?」

 

「戯け、これで受かるだと? この程度で受かるような仕事なぞ受けるな!」

 

初めて…アタシはキレた

 

「…大した仕事もしない癖に何なの!? 今のはアタシのベスト…それまで否定されちゃアイドルなんて一生出来ない!! 何が素質がある、よ! ダメダメじゃん!!」

 

辛くてもスカウトされた時に言われた素質がある。それが嬉しくて…信じたくて頑張ってきたのに…!!

 

「小娘、貴様は何を考えて踊ってる。何を考えて歌う」

 

「それは…上手くなりたいって…」

 

プロデューサーの目が今まで見たことない冷たさになった。その瞳にはアタシが映ってない。

 

「雑種がこれ以上失望させるでない。貴様は何故アイドルを始めた? 我に言われたからか?」

 

「きっかけはそうだけど…愉しそうだったから…」

 

「ならば何故、1度も愉しそうにしない! 気負うのはいい、努力も認めよう。しかし、肝心の貴様が楽しめぬダンスなど誰が愉しめる! 誰が見惚れる!」

 

楽しんでない…最近は必死になり過ぎてたからか考えなくなっていたこと

 

「踊りなぞ見本があれば誰でもやってのける。 小娘、貴様はカリスマギャルになるのだろ? ならば、型ばかりに嵌ってる場合ではあるまい。壊せ、その型を」

 

カリスマ、人々を引きつける…

そんな風になりたい

 

「ねぇ…トレーナーさん。 今度のオーディションって決まったダンスをする奴なんだけどアピールはしていいのかな?」

 

「アピール…どのような物かはわからないが多少なり売り込みは必要だし何よりも同じダンスを踊る中でのインパクトは大事だと思うぞ」

 

よし…決めた

もう、頑張るのはやめよ。

これからは

 

「プロデューサー、これからは愉しく好きにやっちゃうからね!」

 

「好きにするがよい!!」

 

このオーディションが初めての合格

初めてテレビに出たあの時の事。

今でも覚えている。あそこにいたアタシを見てファンになってくれた人の顔も忘れない。

 

プロデューサーは本当のアタシをアタシ以上に知ってるのかもしれないな~

 

 

 

 

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「プロデューサー、 受かったよ! 初めてオーディションに受かった!!」

 

「そうか」

 

「ちょっとそれだけ? 初めて受かったんだからもうちょっと何かあるじゃん」

 

「阿呆、オーディションはオーディション。本番ではないだろう。威張るなら本番を100%で終えることだ」

 

プロデューサーの言う通り…これはスタートラインに立っただけだ。

この初舞台で少なくともファンを獲得しないとアタシに先は無い

 

「そうだな…会場の9割を虜にしてみせろ。そしたら褒めてやろう」

 

「9割!? ムリムリムリ、殆どじゃん!」

 

相変わらず無茶を言う。何を考えてるんだろうかこのプロデューサーは

 

「我が直々にスカウトしたのだ、それぐらい貴様には出来る。 やるかやらないかだけであろう?」

 

アタシに出来る…?

過大評価もいいところだよプロデューサー…でも、言われたからにはやってやろーじゃん

 

「よし、そんじゃ見ててよねプロデューサー! 9割なんて言わず全員、美嘉の虜にしちゃうんだから!!」

 

「城ヶ崎美嘉さん、スタンバイお願いします!」

 

スタッフから声がかかる。

緊張するけど…啖呵をきったからにはやってみせてやろーじゃん

 

「行ってくるね☆」

 

「あぁ、愉しめ」

 

美嘉はステージ裏へと走っていく

それを見つめギルガメッシュは息を吐いた

 

「やれやれ…手間をかけさせる小娘だ。 仕事とはこういうものなのか?」

 

関係者の位置へ移動しステージを見る。デビューアイドルからベテランまで出演するこの番組では美嘉を含め3人のデビューアイドルがいた。それ以外にも中堅、ベテランといるが…

 

「ベテランまでは叶わぬが中堅以上の才覚が今のあやつにはある」

 

只でさえデビューせず、延々とレッスンとオーディションを繰り返してた美嘉はそんじょそこらの新人とは頭一つ二つ違う

 

「さぁ、魅せてみろ。 貴様の全力を」

 

スタジオ内に曲が鳴り響く

オーディションは皆同じダンスを踊り受かった者は持ち曲で番組へと出られる。

その中、美嘉はぶっつけ本番

ダンスの振り付けを自分で考えながら踊る事になる

 

曲は『TOKIMEKIエスカレート!』

 

 

「ハッ、ピッタリな歌詞だな美嘉」

 

即興のダンス

だが、観客は魅せられた

自分の魅力を全員にぶつける渾身のダンスを、デビューという心待ちにしていた瞬間の嬉しさを歌声に込め響かす音を

この会場にいた人間はアイドル、城ヶ崎美嘉のファーストステージで虜になった

 

「……褒美をやらねばならんな」

 

自らが笑顔になっていることに気がつくとギルガメッシュは正気に戻る。 裏通路に戻ると話し声が聞こえてきた

 

「城ヶ崎美嘉か…ふむ、いい子だなぁ? 味見でも…」

 

「また悪い癖ですねぇ? ぜひ私も…」

 

男2人がニタニタと下品な笑みを浮かべ画面の美嘉を見ていた。

 

「…ウチの小娘がどうしたのだ?」

 

「おや…346プロのプロデューサーかい? いやいや、こんな素晴らしいステージをしているから大きな仕事をあげようかと思いましてね」

 

「ほぉ、いい心掛けだ」

 

「しかし、なんの礼もなく仕事はあげられないからねぇ? 少々、美嘉ちゃんをお借りしたいんですよ」

 

妙に下手で出てきた男の顔を見、つまらなさそうに話を続けた

 

「何をするのだ?」

 

「何…営業というやつですよ。 私は色んなテレビ局に顔が利きましてね?」

 

「営業? 枕とかいうやつか」

 

ちひろから前もって聞かされていた汚い話だ。

 

「お互い助け合うと思って…ね?」

 

ポンとギルガメッシュの肩に手を置いたテレビ局のプロデューサーはすぐに絶叫した

腕が不自然なまでに折れたのだ

 

「下郎が触れるでない」

 

もう1人の体格の良い男に向き直る

 

「醜悪な見た目をしおって…目が汚れるわ! とっと、失せるがよい」

 

「な、なんだと? ふん、いい気になりおって…あの娘がこの先どんな目にあっても知らんぞ?」

 

「ならば、貴様をここで殺すだけだ」

 

殺意を顕にしたところで再び肩を触れられた

 

「誰だ」

 

「ギルガメッシュくーん? 乱暴はダメって言いましたよね?」

 

「ち、ちひろ…!?」

 

ここにいるはずの無い事務員が立っている。

見たこともない顔で

 

「キミ、関係者かね? まったく346プロは礼儀が…「黙ってください豚野郎」…は?」

 

「先程の会話、録音させていただきました。この手の話がだーいすきな出版社や未成年に手を出しかけた件を警察に…流してしまいましょうか」

 

「脅すのか!」

 

「脅す? いやですね…これは命令です。 2度と目の前に現れず仕事を寄越しなさい♪」

 

ニコやかに、ちひろは笑う

 

「…流石の我もびっくりだぞ」

 

「くっ…わ、わかった…だからそれは消してくれ」

 

「もう一度言いますよ? 目の前から速やかに消えてください」

 

「は、はいぃ!!」

 

デブはその場を走り去っていった。

この後、美嘉に定期的に仕事がきたり知らぬ間に収入源が増えてたりしたがそれは別の話。

 

「プロデューサーさん、ライブ成功おめでとうございます♪」

 

「おぉ…今の話の流れを無かった事にするのだな? それなら我も…おめでとうは我に言う事でない美嘉に言え」

 

「えぇ、そうします♪」

 

そうこうしている内に美嘉が控え室に戻ってきた。

 

「プロデューサー!…にちひろさん!?」

 

「美嘉ちゃん、おめでとう。 凄いステージでしたよ」

 

「ありがとね、ちひろさん☆」

 

ちらっと、プロデューサーを見やる。少し難しい顔をしていた…ダメだったかな…?

 

「何がよい」

 

「へ?」

 

「何がよいか聞いておるのだ阿呆」

 

何がなんだかよくわからない

 

「な、なにが?」

 

「貴様は我が出したノルマを超えたのだ褒美をやろう。何がよい」

 

「え!? え、えっと…どうしよ」

 

褒美かぁ…

やっぱり…あれかな?

 

「名前で呼んで…くれないかなー?」

 

「あれ? まだ呼んでなかったんですか?」

 

「まだ? え、どういうこと?」

 

何がなんだか全く分からない

 

「プロデューサーさん、美嘉ちゃんが居ないところでは美嘉って呼んでるんですよ」

 

何それ初耳

 

「それだけでよいのか、美嘉」

 

「い、今はそれでいい!!」

 

恥ずかしい!!何なのもう…


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