夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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城の姫達と地下の灰被り

「シンデレラプロジェクト…プロジェクトクローネ…私的にはクローネこそ346プロに相応しい姫達だが…あの男の元だしな」

 

頭痛がする…確かにあの男はかなりのやり手だ。それに加え眼は確か。彼が取る仕事と彼が揃えたアイドルは間違いがない必ず大きく成長するだろう。

 

しかし、だ。どうにも彼が選ぶアイドルは落ち着きが足りない。

 

「それでボクの出番という訳かい? いやはや、アナタには逆らえない。ボクをアナタという籠に閉じ込めてどうするつもりなんだか」

 

「ふん、せいぜい私の足を引っ張らない事ね? 私は豚の調教で忙しくなるのだから」

 

「ふぇぇ…ぶたしゃんどうするんでしゅかぁ…」

 

…大丈夫なのだろうかこのメンバー

プロフィール、それぞれの能力を考え組んだつもりなのだが…蓋を開けてみれば凄まじい個性の持ち主だった。

最後の1名を除いては落ち着きはあるものの我が強過ぎた。

ただ、1人ぐらいはあのように愛らしい娘を入れておくのも間違いではない。

 

「ほら飛鳥、くるみぐずぐずしない!」

 

「時子しゃん、すみましぇん…」

 

「行こうかくるみ、時子さん。ボク達のネクストステージへと」

 

本当に大丈夫なのだろうか…

 

 

一人、部屋で頭を抱える美城の気持ちなぞ知らずに渦中の男は事務所で高笑いをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フハハハハハハハ!!! ネクストニューカマーなぞ恐るるに足りん!!」

 

「いやー、中々侮れないかもよ?」

 

「そうだね〜アーニャちゃんと凛ちゃん…こっちからは奈緒ちゃんと加蓮ちゃんは引っ張られているわけだし?」

 

周子とフレなんちゃらの言う通り奈緒に加蓮め、我が拾ってやったというのにユニットを組むために向こうに着くとはな…

 

しかし、クローネとしての活動では奴らはこちらのモノ。

 

ならばここからはコイツらの基礎能力の向上を行い続け広報をするのみ!

 

「休憩は終わりだ、立て!!」

 

「ちょ、もう!?」

 

慌てる美嘉

 

「あら、もう限界なの美嘉?」

 

と、平然を装いながらも肩で息をしている限界の奏

 

「にゃははー…」

 

既に息絶える寸前の志希、周子、フレデリカ

 

「奏…アタシよりそこの干上がった志希どうにかしない?」

 

「今まで動いてなかったツケが…」

 

「貴様ら…ありすや文香、唯を見習え!!」

 

5人がくたばる中、離れたところでは3人が汗をかきながらもひたすらレッスンを続けている。トレーナーは長女…つまりキツい奴だ

 

「とはいっても、こっちもずっとギルガメッシュの地獄のレッスンだよ…?」

 

「美嘉、これは地獄は地獄でもまだ一丁目だ!」

 

「「「「「まだあるの!?」」」」」

 

む、5人の目から生気が抜けていくではないか…仕方あるまい

 

「次のオフにでもケーキぐらいは奢ってやろう」

 

「「「「ごくり…」」」」

 

「いや、ちょろすぎじゃない?」

 

周子だけは冷静な様だ…ちっ

 

「今舌打ちしたよね? ね?」

 

「気のせいだ。 して、シンデレラプロジェクトの方はどうなのだ?」

 

「さぁ? しゅーこちゃんは何でも知ってるわけじゃないよーん」

 

「武内に聞くとしよう、貴様らもマスタートレーナーの指示に従え。レッスン終わりも体に負担が掛からぬようしっかりとストレッチをして帰るように…解散!!」

 

解散を告げレッスン場から出て暫く歩く、無駄に広い敷地だ時間がかかる。

 

シンデレラプロジェクトのフロアへ着いた時に、楓が現れた。今日は確か…

そうだ、あの場所でのライブだったか。

 

「ライブは楽しかったか」

 

「はい。アナタと武内さんが一番初めに用意してくれた場所でのライブでしたから…」

 

「貴様と美嘉には負担をかけるなクローネとソロの掛け持ちは大変であろう?」

 

奈緒と加蓮が抜けた穴を埋めるメンバーとして楓と美嘉の参加。

ありすに文香、唯にLiPPSこれがクローネフルメンバーだ。

 

「ふふ、大丈夫です。瑞樹さんも愛梨ちゃんも…KBYDのみんなも頑張ってますから」

 

居場所を奪われない為の戦い…茜はそう言っていた。

こやつらにとって我が用意したあの場所は第2の家みたいなものらしい。よく分からんが失いたくないものの為に戦うと強いんです。とも言っていた

 

我は孤独の王故に分からぬことも多いと熟、実感した

 

 

 

 

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卯月side

 

凛ちゃんも未央ちゃんも、最近は一緒に仕事が出来ていない。

それどころか、事務所出会わない日も増えてきたぐらいだ。

 

「……よし、今日も島村卯月頑張りますっ」

 

「何をしてるんだ、貴様は」

 

「ひゃい!?」

 

恥ずかしいところを誰かに見られた!

と思うよりも先に追撃が来てしまう。

 

「渋谷凛と本田未央と仕事が出来なくて凹んでいたのか? ハッ、先が思いやられるな」

 

「そ、そんなことないですよ?

あ、おはようございます!」

 

「うむ、挨拶を忘れなかったことは褒めて遣わす。 早くルームに入れ、わざわざ地下まで来てくたびれているのだ」

 

そう言えば、なぜギルガメッシュさんがシンデレラプロジェクトのルームまで…?

戸を開けて中へと入ると今日は凛ちゃんが居た。

 

「凛ちゃん、おはようございます」

 

「あ、卯月おはよう。 それにギルガメッシュプロデューサー? 珍しいね、おはよう」

 

「貴様に話があって来てやったのだ。光栄に思え!」

 

「はいはい、それで何の話?」

 

凛ちゃんは見なかったうちにいつの間にか打ち解けていた。

また、少し遠くに感じてしまう。

 

「わ、わたしレッスン行ってきますね…」

 

逃げ出すように荷物だけ置いてルームから去る。

まただ。また逃げちゃった

未央ちゃんが来なくなった時もそうだプロデューサーに任せて私は何も出来なかった

 

私は凛ちゃんみたいに歌が上手くない

私は未央ちゃんみたいに人を惹きつける魅力もない

 

私は…私には何があるのだろう?

 

 

 

 

 

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美嘉side

 

「え? 今日は一緒に来てくれるの?」

 

「あぁ、手が空いたのでな。成長した貴様を見てやろう!」

 

久しぶりに2人で仕事だっ!

最近アイツ、クローネやら何やらでずっと仕事に着いて来ることはなかった。

ふふん、成長したカリスマJK見せてあげるんだからっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて、意気込んでいたけどあの…バカプロデューサー…

 

「どこ行ったの!?」

 

撮影が終わる夜には姿が見えなかった。

というか、撮影の途中から姿を消した

 

こんな夜道を女の子1人で歩かせるなんて…はぁ

 

「美嘉、終わったのか」

 

「なっ、このバカ! アタシを置いてどこ行ってたのよ!?」

 

「ば…貴様、我をバカと言ったか!?」

 

「言ったよ!」

 

こっちの気も知らないで…!

 

「この…! …貴様、泣いているのか?」

 

ギルガメッシュに指摘を受け頬に伝う涙に気がつく…

な、何で泣いてるんだろアタシ…

 

「ち、ちがっ! これはゴミが…」

 

何で言い訳してるんだろうか? 素直に言ってしまえばイイのに。

 

「寂しかった」

 

言葉が零れ落ちる。きっと、そうだったんだ前からずっと

コイツがアタシをスカウトしてアイドルになってスグの時は何だかんだ言いつつも傍に居た。けど、瑞樹さんや楓さんが入ってきてから徐々に一緒には居られなくなってきた…あぁ、バカはアタシだったんだな

 

「そうか、美嘉。寂しい思いをさせてしまったようだな」

 

暖かい手が頭に乗せられる。

 

「我が恋しいのも分かるが泣くではない。幼い顔が台無しだぞ」

 

「なっ、幼くないし!?」

 

「ふん、我の好みになりたくばあと8年は早いわ」

 

8年…8年後っていったらアタシは25…ギルガメッシュは…そもそも何歳?

 

「先程までどうしても会わねばならん知り合いと会ってきたのだ。さぁ、帰るぞ美嘉!

この埋め合わせは舞踏会が終わった後にしてやる!」

 

「ぜ、ぜったいだからね★」

 

まだ目がウルウルしてるけど…やっぱりギルガメッシュはアタシにとって大事な人なんだなって。

アタシがトップになるまで手を引いてくれる人だって

 


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