夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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アニメ7話にあたるお話です。

お気に入りがまた増えていてビックリしており
また、嬉しいです。
皆さんありがとうございます!


本田未央、アイドル辞めるってよ?

美嘉side

 

どこで間違えたのだろうか

 

結果的に言えばソロライブは大成功。

初の試みのバックダンサーも上手くいきプロデューサーも見返せたと思ったのに

 

「あの程度で挫折するならばアイドルなんぞやらなくてよい」

 

とか言ってしばらく姿を見せないし…

 

 

何があったか…アタシもよく知らないけど莉嘉達のシンデレラプロジェクト内で何かがあったのは知っている。

 

「大丈夫かな…」

 

「なにが?」

 

「あ、周子…莉嘉の所で問題あったみたいでさ」

 

「あー、知ってる知ってる。うんうん」

 

絶対知らないって顔は言ってる

 

「ふふーん、カワイイボクのお出ましですよー! プロデューサー!…は、居ないから美嘉さん!」

 

「おはよう幸子ちゃん。あれ、今日はパンツなんだ?」

 

いつもフワッとしたロングスカートを履いている幸子ちゃんにしては珍しくスリムスタイルのパンツを履いていた。

普段あまり見ることは無いが幸子ちゃんはスラリとした脚をしているから自分に合ったモノさえ履けば脚が長く見える。

 

「今日はカワイイボクだけじゃなくてちょいカッコイイカワイイボクを目指しました!」

 

カッコイイ…の部分はアタシのコーディネートの守備範囲外だからよく分からないけどいつもは白や落ち着きのある色を纏う幸子ちゃんが青を身につけ髪も少し後ろに流す様な髪型をしていた

 

「ふひ…に、似合ってるぞ…」

 

「輝子さん、ありがとうございます」

 

「おはよーん」

 

「しゅ、周子さん…おはよう…」

 

「そう言えば何の話してたんです? ボクが来る前」

 

「あぁ…シンデレラプロジェクト内で何かあったらしいって話だね」

 

「あ、ボク知ってますよ?」

 

…?

 

「え、知ってるの!?」

 

「はい、何でも本田未央さんがアイドルをやめる…とか? まぁ、こんな業界ですからね。合う合わない…ありますよ」

 

未央が…? こないだデビューって言ってたけど…何かあったのかな、失敗しても凹まなさそうだけど。

 

辞めるって…

 

「まさか!」

 

「…ど、どうした美嘉さん…」

 

「アタシ、プロデューサーの所に行ってくる!!」

 

3人に告げるとアタシは…アタシの考えが正しければプロデューサーは!!

 

 

 

 

 

 

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ギルガメッシュside

 

 

 

 

「やはり本田未央は辞める…か」

 

予想通り

あのタイプの人間は理想と現実を履き違える

 

「プロデューサー!!」

 

「どうした美嘉、廊下は走るな」

 

呼吸を乱しながらこちらに歩み寄りバン!と机を叩きこちらを睨みつける。

 

出会ったころよりも強い目をするようになったな

 

「なんだ?」

 

「アタシを…利用したんだね…?」

 

「今更、気が付いたか。 しかし、利用…というのはいただけんな」

 

我は機会を与えただけだ。

それを奴は生かせなかった

 

「アタシのステージをダシにして…」

 

「ふん、我は奴らをステージに上げただけだ。

そのステージを自らの力では及ばない事に気が付かず、あまつさえ初めてのステージを見に来た客も見ずに客の数だけを見て理想と違う現実の違いを知っただけで心が折れる…

そんなアイドルなんぞいらん」

 

「で、でも…意地悪しすぎじゃない?」

 

「武内が奴らの太陽ならば我は北風として立ちはだかる。たまにはよかろう?」

 

武内は優しすぎる、故にあのアイドル達は挫折から最も遠い位置にいる

 

「其方にかまけてばかりで貴様らの仕事におざなりになっていたのは認めよう。明日からは美嘉、仕事について行こうではないか」

 

「え… ほ、ホント? って誤魔化されないよ!!」

 

ちっ、賢しくもなったか!

 

 

 

「用が済んだらさっさと出ていけ。我もやることがある!」

 

首根っこを掴み猫のように放り出すと

一息つく…やれやれ出会って3年…成長が早いものだ

 

仕方あるまい、奴を面接で通したのは我だ

ここで辞められるとちひろに何をされるかわかったもんでもないしな。声ぐらいは掛けに行くとするか。

 

 

 

 

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美波side

 

「すこし、昔の話をしようか」

 

静かになった事務所の中、ぽつりと語り出した

 

『昔々、ある所に、とてもまっすぐな男がいてね』

 

『男はいつもまっすぐ道を示した。

シンデレラ達が正しく進めるように。』

 

『でも、正しい道も時には息苦しく感じてしまうもんだ…

結果、何人かのシンデレラが男の元を去って行った』

 

『男はとても憶病になり

男は自分を、シンデレラを城へ送る無口な車輪に変えてしまった』

 

きっとこの話は私たちの身近にいる人の話だ。

そして、これから知っておかなければならない話

 

「男はね、シンデレラを信じている。

どんな苦難に当たってもきっと乗り越えてくれると… だけど男は何も言えない。

また間違えてしまうのではないか…

苦しい思いをさせてしまうのではないか…」

 

「あ、あのそれって…」

 

智絵里ちゃんが気がついたのか声をあげた…それを今西部長は微笑み首を横に振る

 

「だけどね、この話にはもう少し続きがある」

 

「終焉の時ではない…?」

 

 

『シンデレラが去り空っぽになったお城は数年で人々に忘れ去られた。

誰も居ないお城の中で車輪はただただ自分を責めたんだ』

 

『そんな時、空っぽのお城に王様がやって来た。

「王も姫も不在の城、我が世界最大、豪華絢爛な城にしてやろう」 なんとも大仰な事を言う青年だ。』

 

『でも、彼の目には曇などない真実の目をしていたよ。

そんな彼を見て、無口な車輪は気が付いた…

自分に足りないのは彼のような自信。』

 

『自分が不安がっているとシンデレラも安心して舞踏会には出られないと…』

 

そこまで語るとふぅ、と息をつき私たちの顔をそれぞれ見渡す。

 

「無口、無愛想…色々と言われる彼だけどね。誰よりも君たちの事を考えていると思うよ」

 

それじゃあ、と挨拶をしルームから出ていく。

部屋はまた静寂に包まれる…みんな思うことがあったみたいだった…

私はこの中では年長…こういう時どうしたらいいか分からないけど…莉嘉ちゃんやみりあちゃんを不安がらせる理由には行かない

 

「ねぇ、みんな…!」

 

「どうしたにゃ、美波ちゃん」

 

「ミナミ…?」

 

「プロデューサーを信じて…待とう?」

 

「…そうだよね。今の私たちには待つことしか出来ないし…未央ちゃんが戻ってきた時、笑顔で迎えよう? 私、ケーキでも作ろうかな?」

 

「ケーキ! みりあも作りたいっ」

 

かな子ちゃんっ…!

かな子ちゃんの後押しもあったお陰か少しずつ空気が変わってきた

 

「私は最初からわかってたし?

信じて待つってロックだね」

 

「みくも不安だけど待つことにするにゃ!」

 

「くっくっくっ…我が友との契約は既に結んでいる。今はまだ時が満ちていなかっただけの事!」

 

「ら…蘭子ちゃん? 私も…クローバー探してこようかな…」

 

言葉を絞り出しただけよかった

みんな、まだまだ一つにはなれないかもしれないけど…それでも同じものに憧れた仲間が暗い顔…してほしくないから


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