夢見る乙女達と英雄王は舞踏会へ   作:969

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最後の3人とタカラモノ

「くぅ…やっと終わったぞ…」

 

「そうですね…お茶でも入れますか?」

 

「うむ、美味いやつを持ってくるがいい」

 

面接を通ったのは武内のプロジェクト候補で4人、その他のプロジェクトを合わせると計24人その他は取るに足らん雑種共ばかりだった

あくまでメインは武内のスカウト

 

「まぁよい、我のところにも数人引き込めたから良しとしよう」

 

王たるもの常に三手四手先を読まなければ生き残れない。

 

「やはり、武内はヤツに話を持っていったか…特大の爆弾となるか…はたまた特大の宝となるか見物だな」

 

「島村卯月ちゃんのことですか?」

 

コトリと置かれた湯呑み

縁起よく茶柱も立っている

 

「そんな所だ。チビとデカイのはどうなっている?」

 

「杏ちゃんもきらりちゃんもバッチリレッスンしてますよ。見に行きますか?」

 

「行かん。我の管轄はオーディションから採用まで。そこから先は全てあやつの責任よ」

 

む、茶葉が変わったな…ちひろめ。やるではないか

 

「あと3人…だったか? 随分と大掛かりなプロジェクトだな」

 

「いや…ギルガメッシュくんも大差ないかと思いますよ…?」

 

「我を誰だと思っている? その辺の凡夫共とは違うのだ。出来て当たり前の事をしてる」

 

「成長しましたねぇ…初めなんて全然仕事しないし窓割って帰ってくるし…」

 

「常に進むのが人というものだ。」

 

『あの大災害から今年で10年となります◯◯です。人々の手によりここまで復興し今では…』

 

ふとテレビを観れば映し出されるのは手を取り合い助け合う人々

人類とは弱くなったものだ

 

「あー、◯◯ですね…もう10年も経つんですか…私が中学生の時?だったかしら」

 

「よくもまぁ、10年であそこまで復興出来たな」

 

「人って力を合わせると凄いんですよ。アイドルも同じですね」

 

確かに、1人では心許ないアイドルも3人で一つとなれば爆発的な輝きを魅せるものも居る。熟々面白い

 

しかし君臨せしはただ1人

それで十分なのだ

 

「最近、美嘉ちゃんも楓さんも忙しくなってあんまり会えないですね…みんなが人気になるのは嬉しい事ですが…寂しいものです」

 

「何時かは巣立つ時も来よう。今から1人で何でもやれるようにしておけば後に困らん」

 

PiPiPi PiPiPi…無機質な呼び出し音が響く

 

「すみません、電話ですね…はい、もしもし千川です…え? プロデューサーさんが…? えぇ…えぇ…本当に申し訳ございません、今そちらに向かいますので…はい、お手数お掛けします…」

 

「我か?」

 

「武内プロデューサーの方です…」

 

「どうした」

 

「警察に連れていかれたようで…」

 

「またかあの戯け者が…」

 

 

 

 

 

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凛side

 

卯月とプロデューサーに説得?されたような形でやって来た346プロダクション

そこは本当にお城みたいな所で目を奪われた。

 

「…ん?」

 

上層階の方からこちらを見つめる金髪の男の人がいた

 

「凛ちゃん?」

 

「あ、ごめん卯月。行こうか」

 

もう1度見上げてもあの男の人は居なかった…

 

「わぁ…! オーディションの時は緊張しすぎてよく見てなかったんですけど…お城みたいっ」

 

「そっか、卯月はオーディション受けてたんだっけ」

 

「あ、あはは…補欠合格…みたいなものですけどね」

 

うっ…言葉間違えた

 

「た、確か事務所は30階だったよね?」

 

「そうですね! そんな上だなんて…びっくりしちゃいます」

 

エレベーターに乗り込むと初老の男性が微笑みを浮かべこちらを見ていた…偉い人…かな?

 

「うぁぁぁぁ!?」

 

扉が閉まる直前、一人飛び込みで来る

 

「何階かね?」

 

「22階です!」

 

元気の良い女の子は一人別の階で飛び降りた

あぁいう娘も居るんだ…なんというかアイドルらしい子だ

 

「30階…ですね」

 

「緊張するね…」

 

事務所の扉の前

これからここが私達の始まりの場所になる…

 

「失礼します……誰も居ない?」

 

「へぇー、なんだかクールな感じだね」

 

あれ、さっきの子?

 

「おはようございます」

 

…あ

 

「プロデューサー、おはよ」

 

「おはようございます!」

 

「おはよー、プロデューサー!」

 

「皆さんのサポートをさせていただきます。千川ちひろです。よろしくお願いしますね」

 

年上のお姉さん…という感じだ

 

「渋谷凛です。…よろしく」

 

「本田未央!高校一年生です!」

 

本田未央…か。

 

「私と同い年なんだ」

 

「島村卯月、高校二年生ですっ」

 

え?

待って、卯月って…え?

 

「年上だったの…?」

 

「え、えへへ…17歳になっちゃいました」

 

年上に敬語使われてるって…えぇ…

 

「ふん、それが最後の3人か」

 

偉そうな…そして威圧的な声が聞こえてきた

 

「はい、彼女達がシンデレラプロジェクト最後のメンバーです」

 

奥から姿を見せたのは先程窓からこちらを見ていた金髪の男性

 

「ほう…」

 

「えっと…ちひろさん、この人は…」

 

「あぁ、言峰ギルガメッシュさん。皆さんとは直接関わりはありませんがプロデューサーさんの1人です」

 

「面接官の人だ!」

 

「は、はい…」

 

卯月が俯く…そうか、1度オーディションに落ちてるから…この人が落としたってことか。

そんなことを考えていた所為かじっと見すぎてしまった

 

「貴様、良い瞳をしているな。何処までもそれを貫け。どんな苦難にも抗う女は美しい」

 

「へ?」

 

「それに、島村卯月」

 

「は、はい!」

 

「よくぞ346プロダクションに来た。歓迎しよう。貴様の活躍、楽しみにしているぞ」

 

「え、え?」

 

「本田なんちゃら! 貴様は迷うな、迷えば迷うほど貴様は抜け出せなくなるタイプだ」

 

「未央ですっ! はいっ!」

 

「武内、よい3人を見つけたな。ちひろ、我は美嘉を迎えに行ってくる」

 

「珍しいですね?」

 

「ふっ、あやつと出会った時を思い出したまでよ」

 

スタスタと言いたいことを言い切ったかのように居なくなった。

な、なんだったんだろう…?

 

 

 

 

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「やっほー★ みんなやってるねー」

 

妹の様子を見に来たつもりがこんなに後輩が出来たとは思いもしなかった。

 

「うわ! 本物の城ヶ崎美嘉だぁ!!」

 

「本物だよー★」

 

新鮮な感覚だなぁ…!

わいわいとみんなが寄ってくる中、スタッフから撮影の準備が出来たと知らせがくる。

みんなも見てるしバッチリ決めちゃお

 

「お、いいねー! 美嘉ちゃん今日は普段以上にノッてるよ!」

 

「イェイ★」

 

パシャリ パシャリと様々な方向から撮られその度にポーズを変え、自分の一番の構図を探し続ける。撮影も自分の知らない一面を探す仕事だーなんて、昔ギルガメッシュプロデューサーに言われたことだった

 

「おっ、やってるねー」

 

「次はボク達の番…ふふん、ボク可愛すぎるから撮影長くなっちゃいますよっ」

 

「長くなったら困りますなぁ…幸子はん程々に」

 

KBYDのメンバーもやってきた。続くにように茜ちゃん、愛梨ちゃん…ブルーナポレオンに楓さんまで勢揃いだ…ってなんで!?

 

「美嘉さんばっかりズルイです。千枝達も撮りますよ?」

 

「そういうことッス。勘弁してください」

 

「いやいや、ボク達の番は!?」

 

「どーせならみんなで一枚撮っておきましょ?」

 

集合写真…そういえば撮ったことなかった

ここにいるメンバーはアタシが入った時の仲間達だ。それなのに写真一枚も無いなんて今更…

 

「スタッフさん、みんなで1枚…撮ってもらってもいいですか?」

 

「お、全然構わないよー! むしろ、大歓迎だっ」

 

「いいってさ!」

 

わいわいとみんなが集まり自然と立ち位置が決まる。近くに集まると本当の最初は一人ぼっちだったのに今じゃこんなに頼もしくて凄いライバルが増えた。

 

「あれ? プロデューサー?」

 

「あら…ギルガメッシュさん」

 

「ギルガメッシュくんも写りたいのね。わかるわ!」

 

「わからなくてよいわ!! 誰が写るか」

 

「そんな事言わずにさーっ」

 

「一緒に撮りましょうっ!! さぁ! さぁ!」

 

友紀ちゃんと茜ちゃんに…なんて言ったっけ羽交い締め? されこちらに運ばれて来るプロデューサー

 

 

うん、みんな逞しくなったなぁ…

 

「はい、2枚目、3枚目撮りますよーっ」

 

しぶしぶという形で右端に仏頂面で立ち写るプロデューサー。

 

その写真はアタシ達のタカラモノになった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ギルガメッシュくん、その写真は?」

 

「あぁ、先日美嘉達の撮影を見に行った時にな。くだらん…」

 

「へぇ…?」

 

「美嘉達にとってはタカラモノというらしい。これの何処がタカラモノだ。ちひろ、我は出かけてくるぞ」

 

「…あっ…ふふ、なんだちゃんと笑えてるじゃないですか」


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