話は変わりますが、日曜日に「オーディナル・スケール」を見て来ました!ホントマジで面白かったです!ラストバトルのアスナのあれは反則です。
来場者特典のポートレートは、シリカとリズのやつをもらいました。直葉とシノンが良かったなぁと思いつつ、もう一度行くか悩んでます。お金ないしなー。そして、自分が行った所が良かったのか、例の小説がまだ残っててもらえました。もらえないと思ってただけに嬉しい!
オーディナル・スケール編、めっちゃ書きたくなりました!
「あいつのやって来た事に目を瞑って助ける? 冗談じゃない。あいつのせいで失われた命がいくつあると思ってるんだ」
アクアは、俺達に向かってそう言い放つ。冷たいようだが、ナイトの今までの行いを考えれば、間違った事を言っているのは俺達だ。
「……でも、僕は助けたい。あいつのやって来た事に、目を瞑るつもりはない。助けて、ちゃんとあいつに罪を償わせるんだ。土下座でも、アイテムを渡すでも、形は何でも構わない。僕は、《白悪魔》ナイトではなく、攻略組《白騎士》ナイトなら、これぐらいの事、やってもおかしくないと思う」
驚いた。アクアは、ナイトを助けると言う。さっきの反対意見は、俺の全ては終わった後という所だろう。アクアは、俺と違って、今後の事までしっかりと考えていた。多分、あの言葉の奥には、ナイトに攻略組に戻って来て欲しいという思いが隠れているに違いない。
「僕達の言う事に従えない者は、この部屋から出てくれ。これは、攻略組にとっては、リスクの方が高いからね。本当にナイトを助ける気がない奴は必要ない」
アクアが、こんな言い方をするのは珍しい。こんな言い方をされて、部屋から出れる者なんていない。そして、その言葉に反応して、動く者はいなかった。
「オッケー。じゃあ全員だね。アルゴ、もう一度ナイトの作戦を教えてくれ。それを元に、15分で作戦会議だ」
「……と、言うわけさPoH。それと、スファレって言ったっけ? お前ら二人共、ここで終わりだ」
俺は、スファレという少女の鎌を受け止めながらそう言う。彼女は悔しそうな顔をしているものの、PoHは実に楽しそうにしている。
「……随分余裕そうだな」
「そうでもないさ。だが、俺は嬉しいんだ。お前の方から俺の所に来てくれたんだからな」
「あいにく、俺が会いに来たのはナイトだ、お前じゃない」
「嫉妬しちまうじゃないか」
「勝手にしてろ」
こんな言葉を交わしながらも、俺の後ろのプレイヤーは、ジリジリと距離を詰める。アクア達も徐々に近づいて来ている。
「だが、ちょっとマズいのは確かだな」
魔剣《
「……ねぇ、PoH。私に任せて。その代わり、上手くいったら……ね」
「……はぁ、わかったよ。頼りにしてるぜ、スファレ」
そう言うと、スファレは鎌を持ち上げ、再び振り下ろす。まだ下にはナイトがいるため、剣を動かす事が出来ない。
「くッ!」
「《黒の剣士》キリト。PoHはまだ忙しいの。だから、私と遊びましょ」
続いて回転斬り。それも、《エリュシデータ》で受け止める。
「……ッ! 何だよ、その鎌! そんなの、SAOにあったか?」
「ウフフフ、《エクストラスキル》だよ。そして、これがソードスキルッ!」
スファレの持つ鎌が青黒いエフェクトと共に襲い掛かってくる。
「ウアッ!」
何があったのか、ほとんど動こうとしないナイト。そのナイトを庇いながらのせいで、思うように動けない。
「さぁ、キリト。私ともっと、イイコトしましょ」
普通にマズい。
「俺たちも続くぞ!」
「「おう!」」
《聖竜連合》のプレイヤー達が俺の後ろから来る。
「ウフフ、隙だらけだよ」
再び、鎌をライトエフェクトが包む。《暗黒剣》とは違い、痛みはないが、威力が桁違いに思える。
「はあぁぁッ!」
ソードスキル《バーチカル・スクエア》。十字に交わった俺とスファレの得物は、金属音と共に後方に弾かれる。だが、俺の攻撃は終わってない。剣をそのまま下まで持って来て、切り上げる。
「キャアッ!」
更に、そのまま2回の斬り下ろし。
だが、スファレは逆に距離を詰めて来る。そして、体術スキル《水月》。
「……ッ! なぁスファレ、そんなに強いなら、攻略組に入ればいいのに。君なら、実力的には申し分ないんだけど」
「フフ。まさか、攻略組のトッププレイヤーから、口説かれるなんて……」
お世辞抜きで強い。俺が鎌相手に戦い慣れていないというのも、少なからず影響はあるだろうが、それ以上に、スファレのプレイヤースキルは高い。
「でも、ゴメンなさい。私の心は、PoHだけなの。あの日、私を滅茶苦茶にしてくれた、あの人だけの物。あなたの気持ち、嬉しいけど受け入れられない」
うっとりした表情で返して来る。どこか、誤解を招くような返し方だ。
やっぱり、スファレのリズムに持って行かれている。スファレは、常に倒れているナイトに攻撃出来る位置にいる。そして、俺や、後ろにいるプレイヤーが救出出来ないギリギリの位置でもある。尚且つ、援護してもらうにしても、鎌のリーチで阻まれる。
「キリト君ッ! スイッチ!」
後ろから、閃光が駆け抜ける。細剣カテゴリー基本技《リニアー》。
「お次は《閃光》のアスナさん? 私、大ファンなんですよー」
「あんまり、嬉しくないファンね」
一度だけスファレから離れる。そんな俺の横にクラインがやって来る。
「キリト、大分苦戦してんじゃねぇかか」
「当たり前だろ。あいつは、別の意味で変態さ。鎌なんて、もうちょい下の層の雑魚Mobしか使ってこなかったからな」
そのMobでさえ、ソードスキルなんて使って来なかった。もしかしたら、今後出て来る可能性もあるんじゃないかとは思うが。
「細剣なら、防御し辛いと思ったんだがなぁ。アスナさんでもキツそうだ」
「クライン、俺がもう一度行く。隙が出来たら、ナイトを頼む!」
俺は、もう一度剣を構え、向かって行く。そして、
「スイッチ!」
この言葉と共に、アスナと入れ替わる。
「やっほー、おかえり~」
「随分と、余裕そうだな」
「当たり前じゃん。殺す気がない奴に、負ける気がしないよ。だからさ、キリト。さっきの討伐戦みたく、殺す気で来てよ」
あれは、やりたくてやった事ではない。誰が好きで、人を殺すもんか。
「少なくとも、レットは何の躊躇もなく、オレンジを殺してたよ。よっぽど、恨んでたんだね。それとも、最初からそういう人間だったりして」
「……ッ! レットはそんな奴じゃない!」
微笑みながら、「どうだか~」なんで言いながら、鎌を振り回してくる、
それでも俺は、仲間をそんな風に言われて、カッとなる。そして、時折感じる加速感が訪れる。
「はああぁッ!」
「フフ、やっと本気出してくれたねッ!」
次第に戦いはヒートアップする。徐々に、俺の視界は狭くなる。
「じゃあ、もう1つ教えてあげる。レットの妹のメグミ。あの子を唆したのは私。全ては、レットを堕とすため。彼女の思いを、殺意に変えたのは私。期待される事に疲れて、大事な物を見失った彼女を、殺人者予備軍に仕立て上げたのはこの私よ」
じゃあ、こいつがレットを苦しめた元凶なのか。あいつに、一生背負い続けなければいけない十字架を背負わせたのはこいつなのか。
「……スファレッ!」
もう誰も殺そうとなんてしない、そう思っていたのが嘘のようだ。殺してやりたい。今は強くそう思う。そんな事を、平気で実行し、それを楽しそうに話す姿を見て、許しちゃいけないという気持ちが高まる。
「ウフフ、良い顔になって来たじゃん。さぁキリト、私だけを見て。思う存分、殺し合おう!」
激しい金属音響く。時折、クライン達が援護や救出を試みるも、俺達の間に入る事が出来なかったり、スファレがそれをさせなかったりする。
「うおぉぉぉッ!」
戦略とか、何も考えられない。ただ、本能の赴くままに、俺は剣を振る。怒りで、俺は何も見えていなかった。このままでは、俺はスファレを殺していたかもしれない。でも、
「キリトッ! しゃがんで!」
後ろから聞こえた少女の声。彼女の身長と同じぐらいはありそうな大剣を全身の力を使って振るう。
「……ッ! うそ……ッ」
その剣を受け止めた鎌は、柄の部分からポッキリ折れて消滅した。
「キリト! 何でキリトがそんな怖い顔して戦ってるの! ナイトを助けるんでしょ! キリトがするべき事は、それだけなんだよ!」
レモンの言葉で目が覚めた。確かに許せない。でも、そのせいで俺は、1人の仲間の命がかかっている事を忘れそうになっていた。
「私が楽しんでるのに、邪魔しないでよ!」
新たに片手剣を装備し直したスファレ。狙いをレモンに定めた。ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》。
「させるか!」
ナイト、システム外スキル《
「キャアッ!」
「もう終わりだ! 監獄エリアで、お前の罪を償え!」
持っていたロープで縛り、完全に動きを封じる。
「大丈夫か、ナイト!」
クライン達がナイトを救出する。HPも既にレッドのため、Potを飲ませておく。
「サンキュー、レモン。お前のおかげで助かったよ。ナイトも無事だ」
「……別に、ナイトを助けたかったわけじゃないし。ウチはただ、ナイトに乙女の体に傷をつけた罪は重いんだって事を言いたかっただけだし」
レモンはこんな事言っているが、助けられたナイトをチラチラ見ている。口では言っていても、やっぱり本当はナイトがまだ仲間であってくれて嬉しいんだろう。
◆◆◆
「手応えがねえな、流水。狐に、援軍に行かせるべきじゃなかったな」
既に、3人の被害者を出してしまった。PoHを逃さないように足止めするだけで、ここまでやられるなんて。
「じゃあな、流水。俺はここで逃げさせてもらう。今度は、お前の大事な女と一緒に殺してやるから、楽しみにしてな」
僕は負けた。カッコつけて助けに行くと言っておきながら、自分の役目を何一つ果たす事が出来なかった。遠のく意識の中、僕はただ自分の無力さを呪った。
「……! ……い! スイ!」
「……レモン?」
「スイ! 良かった!」
目が覚めた僕の目に飛び込んで来たのは、涙や鼻水でグチャグチャになったレモンの顔。
「……そんなに泣くなよ。華の女子高生が、そんなんでいいのか?」
「ううっ、そんなのどうだっていい! ウチが、キリトの援護に行ったから……」
「そんなわけないだろ。僕らの目的はナイトを助ける事。あいつには悪いけど、PoHを捕らえるより、命の方が大事だ。
既にナイトは目を覚ましていた。彼もまたロープで縛られいる。
「だから、お前らは甘ェんだよ」
ナイトが口を開いた。しかし、その口から出た言葉は、予想を裏切るものだった。
「誰が、オレを助けろって言った? お前らは、なぜPoHを殺さなかった! どうしてオレを殺さなかった!」
誰もが、その言葉に驚く。別に、「ありがとう」と言ってほしかったわけではなかった。でも、これが終われば、ナイトが攻略組に戻ると思っていた自分がいた。
「な、何を言ってるんだよ、ナイト。お前を、殺す事なんて、出来るわけないだろ!」
「そうよ、ナイト君。みんな、ナイト君の事助けようとしたんだよ」
キリトとアスナが言う。
「だから、それが余計だって言ってんだよ! オレなんか、見捨ててよかったんだよ。PoHさえ殺せば、それで全てが終わったんだ」
「そんな事言うなヨ。みんな、ナー君のためにやったんだゾ……」
「だったら、もう楽にさせてくれ。オレを、殺してくれ」
ナイトの様子がおかしい。口調に激しさはある。だが、どこかおかしい。「殺してくれ」と言っている本人から、生気を感じさせない。
「……ナイト、お前……何があったんだよ」
「……ナイト」
レモンも、そんなナイトの姿を見て何も言えない。
その後の事は、僕の口からも言えない。ただ一つ言うとすれば、敵だった頃のナイトの方が、数倍マシだったという事だ。
あんな状態では、ナイトが何をするかも分からなかった。僕らは、スファレ、そしてナイトを監獄エリアに送った。
もう1つの討伐戦が、今終わった。PoHという一人のプレイヤーを除いて、大体は捕らえる、または討伐する事が出来た。今後は、PoHの捜索に、より一層力が入るだろう。僕らはそのために、多くの犠牲を払ってしまった。
【DATA】
・no data
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