ソードアート・オンライン 紅鬼と白悪魔   作:grey

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先に謝っておきます。すいません!今回タイトル詐欺気味です。また、ネタ回風です。
そして、17:00頃、まだ未完成のものを一度投稿してしまいました。混乱させてしまいすいません!


09.デュエル スカーレットvsナイト

【話したい事がある。どこかで話せないか?】

 

【じゃあ、お前のホームに行く】

 

 そんなメッセージをやり取りした後、俺は大人しくホームで待っていた。

 

 コンコン

 

「悪いな、来てもらって」

 

「いいや。あんな含みのある言い方されたら、気になるからな」

 

 目の前には白髪の少年、ナイトがいる。俺には、彼に聞きたい事がある。

 

「せっかく来てもらったから、お茶でも淹れるか」

 

「お構いなく。で、本題は?」

 

 俺は何も答えない。出来ればこちらから話し始めて、主導権を握りたかった。

 

「分かった。気を悪くするなよ。ストレートに言う。お前が、ヴァイスなのか?」

 

「……またその話か。何度も言ったろ。そんなの、俺にも分からない、って。俺がそうかもしれないし、違うかもしれない。証拠がないからどちらとも言えない」

 

「そういう答えだと、俺はお前をヴァイスだとしか思えなくなる」

 

「…………」

 

 ナイトは多くは語らない。でも、今回はそうじゃないだろ。俺は……コイツを疑わなくちゃいけないのか?

 

「じゃあさ、俺とデュエルしようぜ、レット。昔の因縁云々じゃなくてさ。攻略組同士、腕試しって事で」

 

 剣を交えれば分かる、って事か。ナイトらしい。それに、俺の力がナイトとどれだけの差があるのかも知りたい。

 

「ああ、やろう。じゃあ外に出ようぜ」

 

 

 ナイトが俺にデュエルを申請してくる。俺は《初撃決着モード》を選択し、上のカウントが0になるのを待つ。互いに武器を構え、その構えから最初の動きを先読みする。

 

 俺は刀を中段に構える。剣道では、最も基本的な構えだ。それはこの世界でも言える事で、この構えからなら、素早く色んなスキルに繋げられる。

 

 ナイトは腰を下げて剣を構えている。剣を持つ手が違うだけで、キリトさんと同じ構えだ。だが、その構えから、最初のソードスキルは読めない。

 

「ハァァァッ!」

 

 ナイトが《ヴォーパル・ストライク》の形を作ろうとする。これは、俺があの聖夜から、ずっと苦手な技だ。あの突進力に対応するため、少し下がる。

 

「なぁんてな」

 

 だが、それはブラフだった。声も構えも全てハッタリ。システムアシストなんてなく、ただ真っ直ぐ突っ込んで来ただけだった。

 

「……しまった!」

 

 俺はその動きに対応するため、ソードスキル《辻風》を使う。しかし、それをナイトは俺を飛び越える形でジャンプし、躱す。しかも、空中で一回転するオマケつきで。

 

「くそッ!」

 

「ハァァァッ!」

 

 ナイトの代名詞というか、得意技《ホリゾンタル》。その上位互換である《ホリゾンタル・アーク》や《ホリゾンタル・スクエア》もよく使っている。つまり、ナイトのそれは、攻略組トップクラスという事だ。

 

「負けるかッ!」

 

 俺は、スキル後硬直から解放されたばかりの体に鞭を打ち、刀で防御する。《武器防御》というスキルだ。だが、これをやると耐久値の減少が激しい。

 

 だが、これでお互い初撃を使い、勝負がついていない。つまり、後はHPが先にイエローゾーンに落ちた方が負けだ。

 

 俺は、最初の目的なんて、もう忘れていた。ただ、刀を振るのが、ナイトと戦うのが楽しくて仕方なかった。

 

「何笑ってんだよ、レット」

 

「いやぁ、楽しくってさ。こんなに楽しいのは、久々なんだ」

 

「確かに。俺も楽しい。じゃあお互い、ギア上げてこうぜ!」

 

 宣言通り、お互いギアを上げる。隙を見つけては攻撃。攻撃されたら躱し、受ける。ただその繰り返しだった。HPは徐々に減っていき、もうすぐこのデュエルの終わりが近づいている事が分かる。

 

 だが、今俺とナイトは同じ思いを抱いているに違いない。

 

「「俺が勝つ!」」

 

 

 今俺は、ラーメンを食べてる。いや、それには少し語弊がある。正しくは醤油抜きの醤油ラーメンを食べている、だな。

 

「どうだ、レット。ここのラーメン」

 

「不味くはない。でも、美味くもない。なんか……ため息の出る味だな…………」

 

「“ため息の出る味”っと、メモメモ。いやぁ、料理が出来る奴のコメントは参考になるなぁ」

 

 俺は負けた。最後はブラフだと油断して、《ヴォーパル・ストライク》が直撃し、HPがレッドゾーン手前まで減った。

 

 そして、俺が負けた後になって、ナイトは罰ゲームを出して来た。負けたので何も言えなかったため、俺はここにいるのだ。そう、アインクラッドで一番やる気のないNPCレストラン(ナイト談)に。

 

「それにしても、この店、水が美味いな。いや、正しくは、飯が微妙だから、美味く感じるのかも。

 絶対コレ、あのまま《リンダース》で飯屋探した方がよかったろ」

 

「そんな事言うなって。じゃあ次は《アルゲード焼き》を是非試してくれ。1万人に1人はクセになる味だ。因みに俺はもう一度食べようとは思わねぇ」

 

「ちょっと待て。1万人に1人って、この世界にいるプレイヤーの内の1人しかクセにならねぇじゃねぇか! 絶対食べないぞ!」

 

「敗者に拒否権はねぇ。黙って食え。すいませーん! 《アルゲード焼き》5割り増しで!」

 

「テメェ、ふざけんな!」

 

 

 結局、残っていた《アルゲードそば》も、誰かの嫌がらせで5割り増しになった《アルゲード焼き》も完食した。《アルゲード焼き》は……うん、絶対にもう食べない。なんか……味がぐちゃぐちゃしてる。まさに混沌の味と言える一品だ。

 

「それにしても、お前の飯は美味いな。レストラン出した方が儲かるだろ」

 

 勝者であり、今の俺のローテンションを生み出した張本人であるナイトは、俺のホームでソファーでくつろぎ、俺の作った昼食を取っていた。因みに、料理名 はお好み焼きだ。ソースはまだないが、《料理》スキルは完全習得寸前。美味くて当たり前だ。

 

「別に俺、金が稼ぎたいわけじゃないからな。ただ、リアルでも料理するから取ってるだけ。割と序盤から入れてたらこんな感じだ」

 

「じゃあ、偶には飯、作ってもらおうかな」

 

「調子乗んなよ。まぁ、食材持ち込みならいいよ。クラインさんたち《風林火山》にも、作りに行ってるし」

 

「なんかお前、すごいな女子力。俺、料理とか無理だからなぁ」

 

 今のは褒められたんだよな……。その言い方、全然嬉しくない。

 

「とにかく! ただ飯食わせるのは今日が最後! いいな?」

 

「へいへい」

 

 俺はここで、ずっと気になっていた事を聞いてみたくなった。本人に直接って言うのも変だけど、本人以外に聞く事でもない。

 

「なぁ、ナイト。覚えてるか、あの日の事。お前が俺に剣を向けた日。お前が俺にエールをくれた日の事」

 

「覚えてるさ。まぁ、俺としては、ただの挑発だったけどな。でも、あの時言った言葉に嘘はない。お前に負けるのは、結構楽しみにしてるぜ」

 

「そっか。じゃあ、早く追いついて、追い越さないとな」

 

「おう。待ってるぜ」

 

 それからしばらくの時間、ナイトは存分にくつろいで帰った。

 

 まだ、ナイトは俺との約束を覚えていた。それが何よりも嬉しく、同時に、俺を奮い立たせた。

 

 そして、今日のデュエルで分かった事がいくつかある。ナイトはヴァイスじゃないし、ラフコフとも繋がってない。だって、あいつと剣を交えても、そういう雰囲気はしなかった。それに、目を見て話しても、そういう感じはしなかった。つまり、俺のただの思い過ごしだ。最悪のパターンが回避出来てよかった。

 

 まぁ、あんな店であんなものを食べさせられたのは、頂けないけどな。




【DATA】

・no data


次回もお楽しみに!

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