はりまり   作:なんなんな

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お待たせ致しました。こちらデジタルノベルになります。
久々でまた文体が崩れてるかもしれないです。
今回はいつもの誤字脱字主述の捻じれ呼名ミスに加えて表現技法の指摘もお待ちしております。


十七話 クリスマス、夜

 信仰も感慨も無いが、ともかく魔理沙はクリスマスを大いに楽しんだ。

 膨大な数のプレゼントの確認が終わって大広間に向かうと、見計らったようにブランチが出揃ったところだった。七面鳥のロースト、ポテト、チポラータからメットヴルストまで各種ソーセージ、豆のバター煮、肉汁や果実のソース……どれもこれも素晴らしい見た目、匂い、そして圧倒的な量。ここに居るみんながみんなクラッブとゴイルのように手当たり次第に掴んで口に投げ入れても、まだまだ次食べるものを見つけるのに一切苦労しないだろう。

 もちろんそれをただ座って大人しく食べるわけではない。スリザリンの貴族さん方も居ないし、行儀にうるさい先生たちはワインを飲んで赤ら顔。切り分けなんて面倒なことはせず、好きなトコから齧りつける。料理といっしょに用意されていたクラッカーが何の脈絡も無くひっきりなしに放たれた。飛び出した光と金銀のテープは空中に舞ったまま落ちないし、クリスマスプレゼントの追加とばかりに踊り人形やその他細々とした玩具も特典で出てくる。そして何故かハツカネズミも飛び出して、チューチュ賑やかに鳴きながら走り回った。これには猫のクセにいつも飼い主に似た湿気り顔のミセス・ノリスも機嫌を良くしていたようだった。

 魔理沙と双子が撃ち合ったクラッカーの煙のせいでまるで雲の中にいるようになり、おまけも膨大な量になってそれぞれ両腕に抱え込んでも持って帰れない程になった頃、無限に思えるほどおかわりされていた料理はやっと打ち止めになった。しかし魔理沙たちはまだまだ撃ち足りない。ハリーとロン、それにバカ真面目に「新学期の予習をする」などとたわごとを言っていたパーシーも引っ張って雪合戦に向かった。

 

 

「全く、魔法も少しくらい使えばいいのに『魔法禁止』なんてルールを律儀に守っちゃってまぁ」

「僕らが『ぴゅーん、ひょい』してたのに気付かなかったのかな?」

 

 雪合戦は猛烈なものだった。始まったとたんにあちらへこちらへ玉が飛び交い、いちいち注意していてはすぐに目を回してしまっていただろう。ビーターの双子はもちろん狙って当てるのが上手かったし、魔理沙はパーシーを盾にした。スリザリン生であることと、年下の女の子であることの間で揺れるパーシーの目の前で素直にお願いするそぶりを見せれば天秤は容易に傾いた。そしてハリーもシーカーらしい俊敏な身のこなしで玉を掻い潜った。その代わり雪の地面を転げまわって結局ぐしょ濡れだったが。

 フレッドはいつのまにか前から後ろから集中狙いされて雪だるまになったパーシーからハリーたちの方へ目を向けた。

 

「つい昨日か一昨日まではバカ真面目がもう二人居たよな」

 

 ジョージがニィッと笑い、魔理沙も「歴史……だったよな。誘ったのは私たちだが、雪合戦なんてしてていいのか?」と瞳を怪しく輝かせた。始めは魔理沙と双子で争っていたはずなのに、パーシーに続いてハリーたちまでも結託して襲うつもりだ。

 

「えーっと、まぁ、一通りやったし……」

「おっほん! では、これよりテストを開始します」

 

 雪の弾丸のハンターたちは、マクゴナガルのマネをして言った。

 

「答えられなかったり間違えたりした場合は罰として一発当てますので、そのつもりで」

「第一問」

「中世の魔女狩りでワザと何度も火あぶりになった人物と言えば?」

 

 ハリーとロンは顔を見合わせた。答えられない。「フラメル」という文字を探してページをめくり続けていただけで勉強していたわけではないのだから。パンっと二人の後頭部に雪玉が弾け、おまけにその反動で額をぶつけ合わせそうになった。

 

「第二問」

「小鬼の反乱で本部となったのは?」

 

 パァンッ

 

「第三問」

「1932年、ドラゴンがマグルを襲ったのは『何事件』か」

 

 このままではパーシーと同じ結末を迎えてしまう。ロンが脳味噌から冷や汗といっしょに言葉を絞り出した。

 

「ま、ママレード事件」

「それはウィーズリー家のパーシーとビルとの間で二週間続いた喧嘩のことですよロン・ウィーズリー」

 

 バシーン

 

「第四問」

「ホグワーツ創始者四名のファーストネームを全て言いなさい」

「ゴドリック、サラザール、へ、へれ?」

「たぶん、ヘルガだったと思う」

「そう、ヘルガ! レイブンクローは……」

「……」

 

 べしゃっ

 

 バシッ

 

 パンッ

 

 ………

 

「おいおい、本当に何やってたんだ?」

 

 六問目辺りから三人は試験官らしい演技をするのをやめ、十問目には完全に飽きてしまっていた。魔理沙はともかく、勉強嫌いな双子の方は質問のネタも切れかけだ。

 

「じゃあサービス問題だ」

「みんな大好き、今朝のパーティーでも陽気で奇怪な冗談をかましてたダンブルドア校長は何で有名?」

「何って……」

「ホグワーツ校長として……」

 

 ハリーとロンは、一問目とは全く違う理由で顔を見合わせた。これは紛れもない本当のサービスだ。

 

「ホグワーツ校長、近代の魔法使いの中でもっとも偉大だと言われている、グリンデルバルトを破ったこと、ドラゴンの血液の12種類の利用法の発見、ニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究で有名!!」

 

 ハリーにとっては自分を魔法界へ誘った人物の姿を初めて教えてくれた印象深い品、ロンにとってはコレクションを妨げるように何度も現れる厄介な品、ダンブルドアの蛙チョコカードの文面。二人は一目散に図書館へ駆け出した。

 

「あ、おい! ……どうしたんだ?」

「さぁ? あのハーマイオニーとかいうマジメちゃんと付き合うようになってから変なんだ」

 

今度は魔理沙たちが顔を見合わせて首をかしげる番だった。

 

 

「ばぁっかばかしいぜ!」

 

 ダンブルドアの伝記を机にたたきつけながらロンは盛大に悪態をついた。「ダンブルドアの知り合い」という手掛かりしかなかったのに、どうして自分たちはダンブルドアの周りを調べようとしなかったのか。この本を見れば、前書きから錬金術師、ニコラス・フラメル云々と書いてある。

 

「どうしてこんなこと、質問されるまで思いつかなかったんだろう」

「言われてても気付いてなかったよ」

 

 ハリーはため息をつきながら「マグルですら知っておくべき超偉大魔法使い50人」を閉じた。

 ニコラス・フラメルは665年前生まれの錬金術師で、「賢者の石」によって不老となった。しかも活発に活動していたのは彼の人生の初めの方であるため近代"生まれ"の魔法使いを扱った書はもちろん、最近の出来事ともあまり関わりが無い。

 

「近代ってことに拘らなければ、どんな歴史書にも載ってるよ」

 

 ロンはまた嘆いた。マダム・ピンスが迷惑そうに睨んできた。

 

「僕たちは勝手に『ダンブルドアの秘密の友達』だと思ってたんだ」

「700年前生まれの超有名共同研究者だったね。ばっかばかし」

 

 ハグリットが隠したことから勝手にダンブルドアが秘密にしている、つまり「ダンブルドア」という言葉と並んで名が出てくることは無いと決めつけた。そのくせダンブルドアの知り合いなのだから最近(生まれ)の人と決めつけた。思い返せば進んで避けていたようなものだ。

 

「でも四階の廊下の先にあるものが何か分かったよ」

「賢者の石、『永遠の命と黄金の源』だね。そんなの誰だって欲しい」

 

 ハリーは学用品を買い揃えにダイアゴン横丁へ行った日、銀行でハリーの両親の遺産を取り出すついでに付き添いのハグリットが何やら小さな包みを取り出すのを見ていた。そして新聞にその金庫に盗みが入ったという記事が書かれ、しかし小鬼たちがなにやら含んだ返答をしていたことを思い出した。あの大きさ、まさに石ころだった。あの日、ハグリットは魔法界の案内をすることと同時に重要な秘密の任務を行っていたのだ。

 賢者の石。それさえ手に入れてしまえば、いくら裏切者の盗人としてホグワーツから追われることになっても最悪負けはしないし新しい手下も作り放題だ。野心的で非常識、そしてチャンスが有る人物なら狙う価値は十分に有るだろう。そしてスネイプはその全てに当てはまっているように思えた。

 

「それで、どうするのさ。この先7年どころか永遠にグリフィンドール生が虐められるかもしれないと思うと、僕は何としてもスネイプを止めなくちゃならないとは思うけど」

「そう言われると……どうしよう」

 

 二人はやっぱり行き詰まってしまった。ハロウィンの夜の怪我についての証言だけでなく、クィディッチ場でスネイプの怪しい行動を直接見たハグリットでさえスネイプの肩を持つ。それほど一年生と教授の力の差は大きい。もちろん直接戦ってもそうだろう。

 

「とりあえず、クリスマス休暇のうちにフラメルは誰なのか分かったんだ。予定よりは良いんじゃないかな」

「そうだね……ハーマイオニーが戻ってきたら、何か方法を考えてくれるかもしれない」

「それか、ハグリットがまた何か口を滑らせてくれるか試す?」

 

 

 善は急げと言う。少し遅くて膨大だった朝食のおかげで昼食が不要だったために開いた時間で、二人は早速ハグリットの小屋を目指した。少し先に見える開けっ放しの大扉からあと数歩も進めば真っ白の校庭へ、というところで横の細い通路から声がかかった。

 

「お、用事は終わったのか」

 

 二人の背筋がビクッと跳ね、さらに振り返った瞬間凍った。メリッサの隣には事も有ろうにスネイプが居た。

 

「この寒い中どこへ行こうと言うのかね?」

「えっ、ええっと……」

 

 スネイプの顔でぎゅぅううッと皺が深くなり、二つの目がギラリと動いた。ああ、まただ。今スネイプの頭の中ではグリフィンドールから減点する屁理屈が高速回転しているに違いない。しかしハリーは真っすぐ見返した。自分を殺そうとした奴、その野望をどうにかして壊そうとしている自分。今や明確に敵どうし。嫌がらせなんて当たり前だ。先生の立場を乱用するなら勝手にどうぞ。

 そうして覚悟を決めたハリーだったが、スネイプの声より先に魔理沙が割って入った。

 

「な~んか面白そうだな? 私も混ぜてくれよ」

「い、いや。丁度メリッサたちの雪合戦がまだ続いてるか見に行こうと思ってたんだ。それで見たところ終わってるみたいだね。僕たちは談話室に帰るよ」

「は~ん? あやし~ぞぉ?」

 

 魔理沙は猫のように、或いは蛇のようにハリーに纏わりついた。女の子にこれ以上ないほど近付かれて、カァッと顔が熱くなったが同時に悪寒が。「いや本当に何でもないから」と押し退けて、なんとか篭絡されずに済んだ。

 

「ちぇー、いじめかー? 先生に言うぞー。なースネイプ先生」

「バカバカしい」

「うわ酷でえ四面楚歌。……って、もう居ない。小芝居くらい見て行けばいいのにな」

「私の言葉は全く本心だ」

「雪玉よりよっぽど冷たいぜ」

 

 

 夜。ディナーとクリスマスケーキが腹の中で完全に溶け切った頃、魔理沙はまるで彼女自身が目覚まし時計になったかのようにパッと跳ね起きた。そのまま杖を引っ掴み、いつもの服を魔法で黒く染め上げて足音も無く地下通路を抜ける。おもむろに床へ手をかざすと、埃のような白いものが微かに道を描き出した。

 校庭への大扉前の通路……昼間ハリーたちと鉢合わせたところだ。

 光の筋は魔理沙が進むにしたがって次々とその先を示した。

 いわゆる、お化けキノコの一種である。一定強度の魔力に反応しておできみたいな小さな子実体を生やし、さらに胞子も魔力によって僅かな光を発する、ただそれだけのものである。この瘴気も水分も少ない石床の上では撒かれた胞子も弱っていって徐々に光りにくくなり一日も経てば死んでしまうが。

 ……つまるところ探偵ごっこに最適だ。散らばり方でその場に留まった時間が分かり、強弱でいつ通ったかが分かる。魔理沙は数時間前のハリーの後を尾行しはじめた。

 自分たちと別れて速足……曲がった角で少し立ち止まり、走り出す。そのままグリフィンドール寮前へ。交差点のように道が重なっている。魔理沙は眠りこける太った夫人の前で、一番古い道を選び出した。光が細く微かだが、前後の密度が高い。歩く速さは普通だが、元の格好より何か上に羽織っていったのだろうか。ともかく、さっきの道のすぐ横を通って、また大扉前へ。さらに前後がつまり、そろりそろりと忍び足だったことがうかがえる。……にしても、ちょっと不覚をとった気分になる。別れてから本当にすぐだ。まだこのタイミングなら私とスネイプはすぐそこでバカ話を続けていたはずだ。キノコくっつけて慢心していたか、忍者稼業はまだまだ未熟なようである。

 雪明かりに難義し地面に顔をくっつけて反応を探りながら進むと、今度はハグリッドの小屋に着いた。スープでもご馳走になりに上がり込みたい寒さだがこの夜中では説教を喰らうことになるに決まっている。道は折り返して、再び校舎へ。石畳に上がったところの様子を見ると、それなりに長い間外に居た(つまり小屋に居た)ようだ。一度寮へ戻って、ディナー。また戻って、数時間後に出かけている。

 

「ハリーも規則破りか」

 

 もう一本、一時間前くらいの道が有るから、ハリーはもう戻っているのだろうが……いやはや、ドラコにそそのかされたでもなく。英雄殿の自主校則違反はどんな顛末だったのだろうか。

 道はそろそろと階段をなぞり、四階へ。更に奥へ奥へ……そして扉に突き当たった。

 

「おいおい、ここは……」

 

 魔理沙はさすがにたまげた。

 

「禁じられた廊下……ってやつじゃないのか……!?」

 

 しかも、ハリーはこの中に入りさえしたようだ。取っ手に手をかける。鍵がかかっているようだ。ハリーが鍵を……? まさか、な。魔理沙は杖をそっと揺らし、「アロホモラ」と囁いた。こっちの方が「まさか」だ。こんな簡単な呪文で開いてしまった。

 中では、黒々とした巨大な三つ頭の犬が待ち構えていた。スネイプの話から想像してたより巨大で俊敏。何かワケ有りで置いてるモノとやり合うワケにもいかない。すぐに跳び退いてドアを閉めた。

 しかし……離れる道を見れば……ハリーはさっきの自分よりずっと長いことこの中に居たようだ………。

 その後、ハリーはフラフラと夜の散歩を楽しんだようだ。塔と塔をつなぐ頼りない渡り廊下や壮大なタペストリーの前で立ち止まってみたり、長い長い螺旋階段の途中で引き返したりしていた。何かに追われたのか、そこから走って走って――

 そして再び、扉へ突き当たった。

 さっきのこともあって、少し緊張しながらノブを捻る。今度は何事も無く開いた。端に寄せられた椅子と机、埃が溜まらないようにひっくり返された屑籠……殆ど普通の空き部屋だ。

 しかし、魔理沙を拍子抜けさせはしなかった。

 夜宙を映した絵画だ――。魔理沙は引き寄せられるように、部屋の真ん中にぽつんと置かれたその前に足を進めた。輝かしい満天の星空を描いた薄っぺらいものじゃない。虚空が見える。"本物"かもしれない。無意識に手を伸ばした。無情、冷たく堅い感触が宙と魔理沙を隔てた。絵画でも本物でもない、いつかどこかで見かけたテレビジョンのようなものだと解釈した。そうして初めて魔理沙はその金で飾り立てられた枠に目を移した。

 

    ERISED STRA EHRU OYT UBE CAFRU OYT ON WOHSI

 

「『私はアナタの顔ではなく心の望みを見せる』か」

 

 再び夜空に視線を向ける。

 確かに、この闇の向こうに言いようの無いほど惹きつけられる。が、何故だろう? 少なくとも「世界は無に還るべきだ」とかの物騒な考えは持っていないはずだが。

 

「望みが無いヤツにはどう見えるんだろうな……」

「そんな人が居るかというところは怪しいが、そのときは、ただの鏡じゃろうのう」

 

 魔理沙の体はビクリと固まった。浮かれていたのか、声をかけられるまで気付かなかった。それも目の前に『望み』が映し出されているこんな時に。だが、体が動かなかったのをいいことに、全く動じていないふりをした。

 

「鏡なのか。その辺に有る魔法の絵の仲間かなにかかと思った」

「大抵はその秘密に気付かずとも鏡だとは思うものじゃが……あべこべの珍しい例じゃな。君の姿は映っておらぬのか」

 

 ダンブルドア……ホグワーツ校長にして、変身術から決闘、錬金術まで、占い学以外のあらゆる分野に名を残す近年で最も優れた魔法使い。

 そして、クィレルという危険人物をあえて野放しにしている喰えない男。……それが悪いとは言わない。が、優しいだけのおじいさんでは決してない。

 私の見ているモノが見えていないようなのは少しだけ救いだけど……。

 

「能力は上に書いてあるんだから簡単だろ。嘘じゃなけりゃ、の話だが」

 

 ダフネの謎のアラブ推しのおかげで、文章を右から読む発想は割とすぐに浮かんだ。鏡ということも加われば、なおさら反対読みには納得できる。

 

「タチの悪いものだらけだな、ここは」

 

 魔理沙は尚も鏡の方を見たまま言った。

 

「いつでも新しい発見が有る」

「こんなに次々吹っ掛けられても困るんだけどな」

「しかし君自身も積極的に探しておるじゃろう。気づかずに過ごしてしまう者のほうが多いよ。君に、いつ思いもしなかったような質問をぶつけられるかもしれないと身構えている先生も居るくらいじゃ」

 

 ダンブルドアは呑気に「ほほほ」と笑い、同じ調子で質問を投げかけた。

 

「君の素晴らしい感性は、このイタズラモノをどう見るかね」

「『何が見える』じゃないんだな」

「レディに対してそれはちと不作法かと思うての」

「ならこれそのものが不作法だぜ。『鏡よ鏡』って呼びかけられてから応えるのが礼儀ってもんだ」

 

 魔理沙はやっと調子を取り戻して冗談をひねり出した。しかしやはり目の前の鏡は鏡の仕事を放棄していて、うまく表情も解せているか確かめることはできなかった。

 

「まぁ、ちょっとした話のタネにはなりそうだがな」

「他の者に教えるのは禁止じゃ」

 

 変わらず穏やかながら、少し厳格さを含ませてダンブルドアは言った。

 

「発見を発表できないのはもどかしいことじゃが、夜間徘徊のバツとしては軽い方じゃろうて」

「そうかもな」

 

 魔理沙は踵を返して真っすぐ部屋を出た。流石にもうハリーの尾行をする気にはなれない。それどころか廊下を何メートルも歩いても、何となく視線で追われている感じがする。

「流石に格ってもんが有るか」とぼんやり反省しながら、魔理沙はベッドのやわらかさに意識を沈めた。




勝手にたまげてろ

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