《戌の十二神皇》と《巳の十二神皇》もその内出します。
「暇ね……」
天界に住む天子は相変わらず暇を持て余して、木の上で考え事をしていた。
(あれから衣玖を叩き潰しているけど、全然気持ちが晴れないし、つまらない。)
天子は人間である瞬に負けてから、瞬に勝つ為にデッキを色々調整した。
(やっぱり、あの人間に勝たないとスッキリしないわね。)
天子は考えることを止めて、地上に降りる為に衣玖を探そうとした。
「衣玖~衣玖~」
しかし、天界中を探しても衣玖の姿は見つからない。
(おかしいわね。いつも呼べば、すぐに来るはずなのに…)
その時、突然、天子は真後ろに青いドームが発生したのに気づいた。
天子は嫌な気がして、青いドームが発生した場所に急いだ。
☆★☆★☆
「はあ…はあ……」
衣玖 ライフ1
「………………………………」
男 ライフ4
天子が青いドームの場所に来ると、そこには衣玖と見知らぬ人間の姿があった。
衣玖のフィールドにスピリットはなく、手札も0。
対して、相手のフィールドにはタコのような生物が存在していた。
「衣玖!これはどういう事なの!?」
「総領娘様!?お逃げ下さい!この人間はー」
衣玖は最後まで言う前に、タコのような生物のアタックを喰らってフィールドから吹き飛んだ。
衣玖 ライフ1→0
「衣玖ー!」
天子は衣玖の元に駆け寄る。衣玖の体はボロボロになっていた。
「衣玖……」
「総…領娘様……」ガクッ
衣玖は初めて体験したバトルで、ボロボロになり、そのまま気絶した。
「……君が《亥の十二神皇》を持つ者か?」
「…そうよ。」
天子は衣玖をボロボロにした張本人を見る。顔はフードを深く被っていて見えないが、声からして男だと分かった。
「あんた…衣玖をこんなボロボロにして、やられる覚悟はできているんでしょうね!」
「……ああ。俺には成し遂げならなければいけない事がある。
…その為にも、君の《十二神皇》を奪わせてもらう!」
男は【ソウルコア】を取りだし、空に掲げた。すると、【ソウルコア】が光り、男の体を光が包んだ。
光が収まった時、男の体には青色のバトルアーマーが装着されていた。
男は天空に舞い、デッキを左手に装着した。
「へぇ…。随分、面白いわね!」
天子は男の真似をして【ソウルコア】を空に掲げた。すると、男の時と同じように光が体を包んだ。
そして、バトルアーマーが装着されると、天子も天空に舞った。
「ふぅん…。悪くないわね。」
「……始めよう。ゲートオープン!界放!」
男が開始の言葉を言うと、衣玖の時と同じように青いドームが発生した。
☆★☆★
「……先攻は俺がもらう。」
男 手札5 リザーブ【4】
男は腕に付けられたデッキからカードを1枚ドローする。
「…バーストセット。そして《アシカモシカ》を召喚。」
フィールドにアシカとカモシカを合わせたスピリットが現れた。
アシカモシカ(1)LV1 BP3000 コスト【3】
「…召喚時効果発揮。バーストをセットしているとき、ボイドからコアを1つこのスピリットに置く。」
アシカモシカ(1→2)LV1 BP3000
「…ターンエンド」
男
手札3 リザーブ0 トラッシュ【3】ライフ5 バースト
アシカモシカ(2)LV1 BP3000
「私のターン!」
天子 手札5 リザーブ【5】
天子は男の真似をしてカードをドローする。
「《ウリマジロ》と《癸の爆獣バビレーサー》を召喚!」
小さな猪のスピリットと、小さなアルマジロが現れた。
ウリマジロ(1)LV1 BP2000 コスト0
バビレーサー(1)LV1 BP4000 コスト【3】
「《バビレーサー》でアタック!《バビレーサー》の効果で相手デッキから2枚を破棄!」
破棄カード
↓
①グラント・ベンケイ
②メカニック・コーギー
「…ライフだ。」
男 ライフ5→4 リザーブ1 デッキ33
男がライフで受けると、男のバーストが紫色に光った。
「…ライフ減少でバースト発動。《妖華吸血爪》。2枚ドロー」
男 手札5 デッキ33→31
「ターンエンドよ。」
天子
手札3 リザーブ0 トラッシュ【3】ライフ5
ウリマジロ(1)LV1 BP2000
バビレーサー(1)LV1 疲労
「……俺のターン」
男 手札6 リザーブ【5】デッキ30
(こいつ、まるで氷みたいね…。まあ、氷でも何でもいいけど)
「…バーストセット。そしてもう1体《アシカモシカ》を召喚。」
2体目の《アシカモシカ》が現れる。
アシカモシカ(1)LV1 BP3000 コスト3→2
「…召喚時効果、コアを追加。」
アシカモシカ(1→2)LV1 BP3000
「…さらに《獄海勇士スキッドメン》を召喚。」
フィールドに槍を持ったイカのスピリットが現れた。
獄海勇士スキッドメン(1)LV1 BP3000 コスト4→【2】
アシカモシカ(2→1)LV1 BP3000
「…《アシカモシカ》2体でアタック。」
鳴き声をあげ、《アシカモシカ》2体が天子のライフを狙いにフィールドを滑る。
「両方ともライフよ!ぐっ!」
天子 ライフ5→3 リザーブ2
「…ターンエンド」
男
手札3 リザーブ0 トラッシュ【4】ライフ4 バースト デッキ30
アシカモシカ(1)LV1 疲労
アシカモシカ(2)LV1 疲労
獄海勇士スキッドメン(1)LV1 BP3000
(いつものバトルと違って、痛みが普通じゃないわね。
それに手札が悪い……ここは)
天子 手札3→4 リザーブ【6】
「《巨人王子ラクシュマナ》の【アクセル】発揮!デッキから2枚ドローして2枚破棄する!」
天子 手札4→3→5→3
巨人王子ラクシュマナ→コスト1
『アクセル』コスト3→1
「さらに!《辛の異獣クロヒョウザン》を召喚!」
黒いヒョウがフィールドに現れ、咆哮する。その姿は獲物を狩る狩人のようだ。
辛の異獣クロヒョウザン(3)LV2 BP10000 コスト5→【2】
「召喚時効果発揮!デッキから5枚オープン!その中の《神皇》スピリットとブレイヴカードを1枚ずつ手札に加える!」
オープンカード
↓
①ワイルドクラッシュ
②ウリマジロ
③絶甲氷盾
④No.47 オフィングロープ
⑤亥の十二神皇カラミティ・ボア
「《カラミティ・ボア》を手札に!」
「…なら、相手のスピリットの召喚時効果発揮でバースト発動。《キングスコマンド》!
…デッキから3枚ドローし、1枚を破棄する。」
男 手札3→6→5 デッキ30→27
「関係ないわ!《バビレーサー》でアタック!アタック時効果で2枚破棄!」
《バビレーサー》から青色の光線が放たれ、男のデッキを2枚破壊した。
破棄カード
↓
①絶甲氷盾
②双翼乱舞
「…アタックはライフだ。」
男 ライフ4→3 リザーブ1 デッキ27→25
「ターンエンドよ。」
天子
手札3 リザーブ0 トラッシュ【3】ライフ3
ウリマジロ(1)LV1 BP2000
バビレーサー(1)LV1 疲労
辛の異獣クロヒョウザン(3)LV2 BP10000
「……ドロー」
男 手札6 リザーブ1→【6】デッキ24
「……時は満ちた。」
(っ!?この感じ、何か来る!)
男は静かにカードを選び、フィールドに出した。
「……今こそ出でよ、究極の闇を纏いし海の王よ!深海より現れ、世界の全てを洗い流せ!アルティメット召喚!
《獄海の四魔卿イル・イマージョ》!!」
突如、フィールド全体を波が襲いかかった。フィールドのスピリット達は苦しそうに鳴き声をあげる。
少しすると、波が引き、《イル・イマージョ》が姿を現した。
獄海の四魔卿イル・イマージョ【4】LV4 BP12000 コスト5→3
アシカモシカ(2→1)LV1 BP3000
「これが…あいつの切り札…」
禍々しい。天子は《イル・イマージョ》を見て、そう思った。
【ソウルコア】が乗っている《イル・イマージョ》から邪悪な力を感じたのだ。
「…バーストセット。《イル・イマージョ》でアタック!」
《イル・イマージョ》が己の大量の足を動かし、天子を攻撃する体制に移る。
「来るなら来なさい!」
「……ハアアァァァァァァァァァ!」
《イル・イマージョ》に乗っている【ソウルコア】が男の頭上に移動する。
「<封印>?アルティメットにも<封印>効果が!?」
「……【ソウルドライブ】!発揮!」
その時、頭上に移動した【ソウルコア】の後ろに魔方陣が出現し、そこから現れた巨大な手が【ソウルコア】を粉々に砕いた。
「っ!?」
「…【ソウルドライブ】の効果により、俺は手札から『バースト』を好きなだけ発動できる。」
(瞬も壊れカード使っていたけど、こいつもヤバイカード使うわね……)
手札のバースト全てを発動できることは、色を問わず、全色の効果を発揮して相手を追い詰めることができる。
「…まずは 《七海大名シロナガス》
のバースト効果を発動し、互いのスピリットを全て破壊する。」
《イル・イマージョ》が奇妙な鳴き声を響かせる。すると、再び波がフィールドのスピリット全てを巻き込んだ。
そして、波の中からクジラのスピリットが姿を現した。
アシカモシカ(1)LV1 破壊
アシカモシカ(1)LV1 破壊
獄海勇士スキッドメン(1)LV1 破壊
ウリマジロ(1)LV1 破壊
バビレーサー(1)LV1 破壊
辛の異獣クロヒョウザン(3)LV2 破壊
七海大名シロナガス(1)LV1 BP10000
「くっ…!私のスピリット達が…」
「…まだ終わらない。2枚目、《千獣の王者ドス・ダイモス》のバーストを発動して、このカードを召喚!」
今度は、空から大きな角を生やしたミノタウロスの様なスピリットが現れた。
千獣の王者ドス・ダイモス(3)LV2 BP10000
(《ドス・ダイモス》…手札が2枚以下ならダブルシンボルになる効果を持つスピリット。
でも、今の私の手札には《リミテッドバリア》と《絶甲氷盾》がある。このターンを防げば…)
「…そして、3枚目のバーストは《レゾナンスバースト》を使用。相手はこのターン、マジックカードを使えない。」
「……嘘でしょ…」
ここに来て、マジックを封じられた天子はガクッと項垂れた。
(フィールドを全滅されて、マジックまで封じるとか、やるじゃないの…)
天子 ライフ3→2 リザーブ6
《イル・イマージョ》の攻撃を受けて、天子は後ろに吹き飛ぶ。
「…俺の手札が2枚以下になったので、《ドス・ダイモス》はダブルシンボルになる。
《ドス・ダイモス》でアタック」
《ドス・ダイモス》が咆哮し、天子のライフを全て破壊しにフィールドを走る。
「この借りは…必ず返すわ…。
ぐわああああああああああああああ!!」
天子 ライフ2→0
天子は今までの中でも一番の痛みを受けて、フィールドから弾き飛ばされた。
「……前途洋々、我が行く手に敵はなし。」
男は天子がいなくなったフィールドで静かに、そう言った。
☆★☆★
バトルが終わり、バトルドームが消滅する。すると、天子のデッキに入っている《亥の十二神皇カラミティ・ボア》が男の元に向かった。
「……………………まず1枚」パシッ
男はそれを手に取り、気絶している天子と衣玖に背を向けて歩き出した。
そして、ポケットから水晶玉を取りだした。
「……次は、この子か」
男が取り出した 水晶玉に映し出されたのは、金髪の魔女。『霧雨 魔理沙』だった。
次回『《獄土の四魔卿マグナマイザー!》』
この男ですが、前回の最後に出た『シオン』です。
勘のよい人なら、何か気づくと思います。