大会自体は次回、女子から行くつもりです。
六十四日目 大会初日–移動中
今日は大会初日、公式の場で打つのは何気に初めての体験なので、俺は地味にワクワクしていたんだけど、咲とモモの二人が緊張して萎縮してしまっていた。
他の一年はそうでも無いけれど、この二人は他の先輩を差し置いて副将と大将に座っているからなぁ。
これは別に顧問の先生が決めた訳じゃなく、四月から通算で何勝したかと言う部内の成績と、顧問が何時の間にか製作していた個人個人の得意不得意のデータからみんなの意見で決まったものだ。
だから余計に緊張と責任を背負ってしまったのだろう、励まそうとして『俺も一緒みたいな物だし、緊張するなって』と声を掛けたら、モモに『それ、対策:無意味なきょーさんが言っても全然フォローにならないっす……』とツッコミを入れられた。
…………うん、俺だけそうなんだ。
他の人はさ、色んな得手不得手とか、顧問の視点で自分ならどう攻略するかって言う対策メモが参考程度に書かれてたりしてたんだけどさ、俺だけなんか違うのよ。
『須賀京太郎:一年生・性別男(人種は鬼?)』とか、『雀風:雀鬼』とか、『得意技:挙げればキリがない』『不得意技:敢えて挙げるなら舐めプ』『対策:無意味』『メモ:お前のちゃんとしたデータは後で渡してやる、良い意味でも悪い意味でもムードメーカーなお前は笑いの種にでもなって部を明るくしろ』とか書かれてた。
ちゃんとしたデータは後日しっかり貰ったけどさ、部員みんながコレを見たもんだから大会までの数日は何度対局しても『対策:無意味』でネタにされた、と言うよりみんなが言うには『こうでも言ってなきゃお前と打ってられん』らしい。
まぁ、俺のまともなデータが渡された日に俺以外の人のおふざけデータも張り出されてたのでおあいこなんだけどね。
……ただし顧問、あんたはダメだ『俺様:麻雀部顧問』『年齢:永遠の20才』『ルックス:スーパーイケメン』『雀風:ひ・み・つ・☆』『得意技:100円払って椅子に座るだけのゲーム全般』『不得意技:授業』『対策:新作ゲームの話題を振れ、大概やってる』『メモ:恋人募集中』、どれもこれも適当じゃねーか!!
さっきのツッコミでそんな事を思い出し、二人にウチの部活の混沌さを再確認させて今度こそ二人の緊張を解く、その代わりになんとも言えない顔をしてたけど。
二人とも周りを見渡したら先輩達が寝てたりゲームしてたり野球拳してたり色々おかしな事やってるので、緊張するのが馬鹿らしくなった見たいだ。
……てか、なんで野球拳?
部長のデータには宮永姉の飼い主とか書かれてた可能性が微レ存。