元ネタはむこうぶちの例の回(白目
？？日目 人的エラー
中学三年になり、部長の貫禄も付き始めたモモはキメラ研究所と言う渾名が付けられた麻雀部に染まった新入部員達の前で京太郎達と対局して見せて居た。
面子は自分と京太郎の他に咲と同期入部の男子が一人、起家は自分だったのだが……。
(なんて事っすか……まさかきょーさんに勝てそうっす!!)
平日のなんの変哲も無い部活で京太郎相手に絶好調、しかも安手の黙聴にせよ親番の京太郎からの出アガリまで決める始末。
(天宮先輩が理牌無しで打ってた理由がよく分かるっすね、ちょっと新入部員に私も打てるんすよー、お飾り部長じゃないっすよーって自慢するつもりだったんすけど……)
元々京太郎は相手の細かな仕草と経験則に裏打ちされた直感から相手の手を読み切って居る、つまり理牌をせずに表情に出さなければある程度京太郎の読みを外せると言う事になる。
それでも高確率で読み切られるのだが、今回はモモの頭の中は背後のギャラリーへの魅せプレイで頭が一杯になっている為、京太郎も中々読みきれて居なかった。
そんな事もあってオーラス、アガリトップにまでトントン拍子で来てしまう。
点棒は南家のモモが34200、西家の男子生徒は29100、北家の京太郎は17400、親の咲が19300。
背後で見て居たギャラリーも『凄い……須賀先輩を抑えてトップだよ!!』や『俺……今までお飾りな部長だと思ってたけど、あの人強かったんだ』とか『可愛い、お餅持ち、強い……俺ファンになるわ』などの高評価が聞こえる為モモのテンションもうなぎ登り。
配牌は索子が八枚、一索・四索が二枚・二索・三索・六索・七索が一枚づつ、残りは三筒・五筒・八萬・白・南。
しかも第一ツモも三索、東風戦な上にアガリトップな為南家ではあるが速さを優先してモモは南を切った。
その瞬間親の咲が南をポン、その後のツモも五索な為打八萬、更に次巡は八索をツモり彼女は打白。
見物組三人が怒涛の索子ツモに驚き、向聴数を数えて『一向聴かなぁ?』と相談していたが、モモは内心で得意気だった。
(ふふん、見物組は気付いてない見たいっすけどね、理牌すると嵌四筒で聴牌してるっすよ）
珍しく鳴いた咲がなんのアクションも見せなかった為期待しつつ彼女は次のツモを見る。
(ふぇっ？五索?)
アガリトップな為、清一色に染める気は無かったのだが背後の三人が『おっ? 門清か?』と期待の眼差しをバシバシ飛ばしてくる為、モモはそれに答えて五筒を切った。
染める事にしたは良いけど、何を引けば良いのか混乱して居たモモは一旦頭の中で理牌すると。
一・一・二・三・三・四・四・五・五・六・七・八索・三筒の並びになるので2345678へのくっ付きを狙う事に彼女は決めた。
(といっても鳴きの優先順位はちょーっと難しいんすよねぇ……)
と鳴きを入れるかどうかをモモは悩んで居たが四索をツモって打三筒。
(四巡で門清聴牌!! 三・六・九索待ち、高目三索で一盃口と平和の倍満っす)
天にも昇る心地で三面張に思いを馳せて居たが、この時点で彼女は重大な勘違いをしている事に気が付いておらず、そしてそのツケは大きなミスに繋がる事になる。
次巡に彼女は二索ツモ、一盃口が確定した為五索とスライドさせる。
(ふっふん、三・六・九索のどれが出ても倍満っす、どーっすか新入部員諸君、これが部長の力っすよ!! アガって理牌したら流石のきょーさんも黙る事間違いなし!!）
既にアガった後の事を考えて理牌のシュミレーションをして居たモモは、ギャラリーに分かりやすい様に一通メインにして脳内で理牌し直した。
(えーっと、一通メインに並べ直したら一・一・二・二・三・三・四・四・四・五・六・七・八索っすから……なあんだ、三・六・九索だけじゃなくって五・八索も含めての五面張りになるじゃ無いっすか)
と、此処まで考えた彼女は今しがた河に落とした五索に気が付いた。
(へっ? ぎゃー!! なんで五索切ってるっすか!? えっとえっと……さっき二索ツモって入れ替えに切ったから……さっきの時点で嵌二索でアガってるっす!? せっかくのアガリで勝ててたのにぃ)
幸い周りにはバレなかったが、京太郎には丸分かり、何とかして誤魔化したい彼女は西家の聴牌即リーに乗っかかっり、引いた生牌を抑えて聴牌を崩した。
が、一方の男子生徒も思いっきりミスって居た。
(なんで俺はノーテンリーチしてんだよ!!)
彼のリーチ宣言牌は三萬、しかし配牌は六・六・七・七・八筒、二・三・四・四・五・六・七・八萬、筒子の一盃口に釣られてのミスだろう。
彼もモモも自分と京太郎以外の和了を願っては居たが、頼みの咲はまさかのノーテン。
(うぅ……ラス親だしつい癖で対子型にする気で鳴いちゃったけど理牌したら順子の並びでの聴牌だし、モモちゃんの大連荘が長くて東風なのに南場の気分で鳴いちゃったから役がないよぉ……)
実際モモの稼いだ点棒の殆どは連荘によるもので、八連荘が確定した時にやっと彼女がノーテンで流れたのだ、しかもあっさりアガらず、15〜17巡前後でアガって居たため非常に対局時間が長かった為の勘違いである。
勘違いによる鳴きミス、一応二・三・四筒、八・八索、五・六・六・七・八萬で聴牌はしているのだが、役無しの形聴、しかし負け親なので降りれない。
さっと誰かにアガって貰えない物かと涙目になりながら咲も牌を切っていった。
そして三人が三人他家のアガリを期待した結果、京太郎が自摸和了。
『御無礼、ツモはカウントしませんW役満のみ』
京太郎が晒した手は四暗刻・清老頭、一・九萬のシャボ待ちで一萬をツモアガった。
この後の二回戦目が御無礼祭りだったのは言うまでも無い。
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