須賀京太郎の麻雀日記   作:ACS

120 / 138

サブタイ通り、福路さんがんば!!(白目


九十二頁目

九十二日目 もう一つの顔

 

 

風越の部長の対局予定日、馴染みの雀荘で先に待っていた俺はガラの悪い三人組に絡まれていた。

 

いかにもな姿のチンピラ連中の話を聞くと、俺が中学時代に丁度この店で返り討ちにして有り金を巻き上げた連中らしい、記憶を掘り起こすとリーマンの人をカモってた三人組だったかな? 四六時中対局してるから正直忘れてる。

 

 

しかし以前の対局じゃ通しを見破った上にそれ以上のサマを見せつけて堂々と勝ったはず、明らかに格上だと教えたのに三年も復讐心燃やしてたのかこいつら。

 

 

『へ、へへっ、今回は俺たちにゃ兄貴が付いてんだ!! 妙な真似しやがったらどーなるか分かってんだろうなぁ?』

 

そう言ってリーダー格の男が指差したのは、待合の長椅子に座っているのは何処ぞの組の下っ端の様な男、舎弟が欲しくなって適当なチンピラにでも声を掛けたのか。

 

『まぁそーいう訳や須賀さん、大人しく金を恵んでくれるんならこっちも手荒な真似はしませんわ』とその男は凄んで来たが、この男正気か?

 

盃を受けていないとは言えだ、俺は代打ちとして甲斐正三個人と繋がりを持っているし、更に付け加えるなら及川老や劉大人とも交流は続いているんだ。 俺がどう思おうともうこの男に明日は無いな。

 

そんな俺の目が気に入らなかったのか、不良崩れの一人が俺の頭を店のパイプ椅子で殴りつけて来た。

 

その一撃によってかなり強烈な痛みと、額を深く切ったのか派手に出血し始めた、俺を殴った奴の腕を見ると半袖なのに注射痕を隠しもして無かった。

 

せっかく今日は風越の美人さんと和解しようと思ってたんだけどね、やりもやってくれたんだからキッチリと代償を支払って貰おうか。

 

流血した額を見てマスターが救急車を呼ぼうとしてくれたんだけど、俺は右手でそれを制して雀卓に座り、連中に座るように指示を出す。

 

そんな中で丁度福路さんが到着したようで、血だらけの俺に面食らっている、慌て人を呼ぼうとしていたがそれをマスターに止めてもらった。

 

 

『福路さん、貴女との対局はこの対局の後にお願いします』

 

丁度背後を振り向く形で彼女にそう告げると、明らかに怯えた顔で一歩その場から後ずさった。

 

構うものか、今の俺は表の須賀京太郎じゃなく裏の須賀京太郎なのだから。

 

親決めの賽を回す間に江崎に金の用意と何時もの雀荘に居る事をメールで連絡し、超高レートに備えておいた。

 

後は普段以上に入念に彼らを殺すだけ、どう言った経緯でこの三下ヤクザとチンピラ三人組が知り合ったのかは知らない、大方麻薬絡みの関係で、金を持ってる俺の話をしたのだろう。

 

少なくとも長野の裏じゃ俺の名前を知らない奴は居ないんだけどね…………そうなると他県の人間かな? まあいいや、連中の仔細なんて興味が無い。

 

 

そうして始めた東場、普段は敢えて食わせて調子付かせてから仕掛けるのだけど、今回は念入りにそれをやってやる。

 

要所要所で低目差し込みをしつつ此処ぞと言った部分で自然を装いながら高目差し込み、連中の流れを調整しながら三人まとめて垂直に落とせる様に仕込んで行く。

 

ヤクで頭のイカれた連中だ、細かな作為にも気が付けないし、堂々と背後で通しをしている三下ヤクザも理牌無しの手を読み切れていない。

 

江崎を待ってからレートを倍々に釣り上げて行き遂に三千万、彼等のツモも配牌も絶好調、途中から金を持って来てそのまま居着いた江崎もにやにやとしたあの笑顔で俺の戦術を福路さんに解説している。

『あの四人も可哀想に……須賀さんに手を出したら五体満足で死ねるか分かった物じゃないんですがねぇ』と付け加えるあたり流石江崎だ、一言多い。

 

 

彼らのツキが最高潮になった半荘五回戦目、流血で完全にダメになったシャツを脱ぎ捨て、そのツキを叩き落とす。

 

大阪の愛宕さんにやった無理鳴きからの高打点ツモで俺への流れを力ずくで作り、ロン牌見逃しの自力ツモで急速に加速させる。

 

直撃を狙わずにツモでの連荘を繰り返し、彼らに支払った全ての金額を巻き上げた後、純正九蓮宝燈で〆る。

 

 

『御無礼、ツモりました32000オールです。 それでは皆様さようなら』

 

その一言と共に後半の巻き返しに顔を青ざめていた男達が泡を吹いて倒れてそのまま死亡、薬の副作用なので自業自得だ。

 

慌てて逃げた三下も、自分の組の組長が出てきたらしく、組長に頭を下げられた。

 

自分の考え無しの結果、どうなるのかを悟った三下は土下座したがもう遅い。

 

卓上に乗せた大金、江崎に持って来させたのは二、三億だったはずなのでその金をそっくりと三下の目の前にくれてやり『どうぞお受け取りを、最早貴方の結末は変わりませんので』と言って彼らを締め出した。

 

 

『さあ福路さん、席が空きました。打ちますか?』





出血したにもかかわらず治療も無しに対局し、結果皆殺し(白目

裏モード化した京太郎対キャップやで(震え声

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。