楽しい楽しい合宿の時、みんな悟りを開けるかな?(白目
最近更新が穴あきなのは事故られたのでモチベーションの下がり具合が酷い為&深酒してよく分からない生物化していた為です(遠い目
黄色のセンターラインは追い越し禁止やで……。
七十四日目 合宿ー鬼さん此方
合宿初日に対局者として呼んだのは先生一号、二号は合宿の半ばから一号と入れ替わりに来る予定だ。
リムジンに乗せられて連れてこられた部長達は悟りを開いた様な目をしてたけど、無事に対局は始まった。
染谷先輩は先生一号の顔を見た瞬間『予想はしとった、予想はの……』と更に遠い目をしてそう呟いていた。
部長の『え? まこはあの人知り合いなの?』と言う質問にも『打ちゃあ分かる』と言って処刑台に登る囚人の様な足取りで席に座った。
起家は片岡、南家は部長、西家は染谷先輩、北家に先生一号、余った俺らは見物麻雀となった。
俺の麻雀のベースはこの人の物だ、何年も一緒に対局して来た咲はその事に直ぐに気が付いた様だけど、何も聞いて来なかった。
その事に俺は内心で安堵しながら先生の闘牌を背後から眺め、研究を開始する。
この人と打ち始めてもう直ぐで10年となるのに未だにこの人を超える事が出来ない、打ち筋の問題では無い事は分かっているのに何かが足りないのだ。
不思議に思いながら自分と先生の違いを考えていると、三家トビ終了で終わって居た、それも悪待ち・染め手・東場での爆発、三人の得意分野での狙い撃ちでだ。
相変わらず生かさず殺さずの加減が上手いなぁと呑気に考えては居たが、次の対局は俺達だ、しかも完全に仕上がった先生が相手と言う間の悪さ。
『打ちますか?』と何時もの笑みを貼り付けた先生の対面に俺、上家に咲、下家に和の並びで着席。
対局は……何時も以上に毟られた、全てにおいて上回られた上にまさかの焼き鳥だった。
屈辱と敗北感、何度味わっても、何年経っても消えないそれは今回最も強烈だった。
握り締めた拳と噛み締めた唇から血が滴り、どうしようもない衝動が俺の体を駆け巡る、この最近作業の様に勝ちを拾う様な麻雀しかして居ない為、敗北をすると今まで以上にその衝動が俺を襲う様になっていた。
夜になるまで何度再戦しても勝てず、鳴きを入れられたり差し込みされたりで一度も和了させて貰えなかった。
自室に戻った俺がやり場の無い怒りと情け無さに打ちひしがれて居ると、控え目なノックと共に咲が俺の部屋に入って来た。
部屋に入るなり『えっと、京ちゃん……大丈夫?』と膝を抱えて髪を掻きむしって居た俺に近寄って来た、昔よりも酷い有様に、今回こそは引かれると思って居たのに少し意外だった。
自分の情け無さと敗北を良しとする位なら死んだ方が千倍マシだと言う俺の性、この生まれ持った星の巡りをある程度は知っている咲は俺の隣に座って俺の頭を抱き締めてくれた。
昔から、其れこそ小学校の時から俺が負けてこうしていると、咲は俺を抱き締めて慰めてくれた、何時もは照れ臭いから突き放していたのに、今日はそのまま抱き付いて号泣してしまった。
昔からあの人達には負けて居た、今日だけに限った事じゃ無いのに何故か無性に泣けて来てしまったのだ。
意地でも泣き声だけは殺したけれど、その所為で涙が堪えられないほど溢れ出して咲のシャツを台無しにしてしまった。
泣いて、泣き続けている俺を、咲は更に優しく抱き締めながら俺の耳元で『私ね、京ちゃんがあの人に勝てない理由がなんと無く分かったよ』と言って一方的に話し始めた。
『京ちゃんは勝つ為に麻雀をしてる、今も、昔も、そして此れからもそれは変わらないと思う、でも京ちゃんは麻雀を楽しんで無いよね?』
『あの人は麻雀を楽しんでた、対局者同士の勝負、読み合いを楽しんでた、どう上回って魅せるかを楽しんでた』
『今の京ちゃんは〝勝つ〟って事しか頭に無いから作業的にしか麻雀を打てなくなってるんだと思うの、だから麻雀を楽しんで勝っているあの人には勝てない』
『ねぇ京ちゃん、一緒に麻雀を楽しもうよ? 小学校の時の京ちゃんは麻雀を楽しんでたよ?』
そう言って、咲は俺を押し倒して強引に寝かせ付けに来た、元々徹夜明けの所に泣き疲れが入った俺は情けない事にそのまま眠らされてしまった。
…………麻雀を楽しむ、か。
あれ? 咲さんがお母さんやってる……(困惑
今回京太郎が荒れたのは格上か格下しか存在せず、対等の相手が居ない自分の立ち位置に対するフラストレーションが爆発したのと、狙い撃ちされたごとくに放銃させられまくった上に焼き鳥ラスを喰わされた圧倒的な敗北感に自分に対する強い怒りと情け無さを感じたからです。
ですからネリーにも余裕でチャンスあるで(震え声