バカとテストと最強の引きこもり   作:Gasshow

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自分で書いているくせにこの小説の面白さが分からないorz。
というかこの小説ってバカテス要素が少なすぎる気がする。


清涼祭準備、ついでにババア

いつもは二人で使っているお茶会用の机を今日は三人で使っていた。机には三つのティーカップに、皿の上に乗った三つのショートケーキが用意されている。

 

「えっと、僕は吉井明久。ワーメルトさん、よろしくね」

 

「さっきも言いましたが、メルで結構ですよ。長いうえに言いにくいですから。それにそちらの方が言われ慣れているので」

 

そう、新しいクラスメイトが来たので自己紹介を含めた親睦会のようなものをしているのだ。

 

「じゃあメルさんで。春咲さんとメルさんは面識あるんだっけ?」

 

「いえ、直接お会いしたことはなかったです」

 

「あれ?でも春咲さんのお世話をしてたんだよね?」

 

「はい。ですが彩葉様はいつも引きこもっていらしたので顔を会わせたのは今日が初めてなのです」

 

「な、なるほど」

 

思わずメルさんの返答に苦笑いを返してしまった。まさか顔も合わせようとしなかったとは。まぁ春咲さんなら当たり前なのかもしれないが……。

 

「ですがそこまでしていた彩葉様が私を呼んだということは、何かしらの事情があると私は推測しているのですが」

 

メルさんは春咲さんの方に体をスッと向けた。

 

「はい、メルさんが思っているとおりです。ですがそれは後でにしましょう。折角入れた紅茶が冷めてしまいますし、まだしっかりとした自己紹介もまだでしたしね」

 

そう言って春咲さんもメルさんの方に体を向けた。

 

「改めて、春咲彩葉です。これからよろしくお願いします」

 

春咲さんは手を差し出した。

 

「ワーメルト・フルーテルです。こちらこそよろしくお願いいたします」

応えるようにメルさんもその手を握った。言葉数は明らかに少ないが、自己紹介をしている二人の間には何か僕の時と違ったものを感じた。なにを感じるのかといえばよく分からないけど。

 

「では軽い自己紹介も終わったことですし、今日中に決めてしまいましょうか、学園祭の出し物を」

 

それにメルさんが疑問の声を挙げた。

 

「学園祭の出し物ですか?」

 

「学園祭が近いから、その時にやる出し物を決めてる最中だったんだ」

 

そう言って僕は文字で埋められた黒板を指差す。

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

すぐに理解してくれたようだ。

 

「メルさんが来てくれたとはいえ、時間がどのくらいかかるかまだ分かりません。一気に決めて早めに準備を開始しましょう」

 

二人目のクラスメイトがいる教室。何時もと違うその光景にほんの少しわくわくしている自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いは思ったより早く終わりそうだった。何故ならーー

 

「ではこの三つの中から決めるということでしょうか」

 

「はい、ではここからは多数決をとりたいと思います」

 

「この三つ全部いい案だから迷うね」

 

ーーもうすでに挙げられた案は三つに絞れているからだ。

 

・イタリアンレストラン

 

・召喚獣を使ったゲーム

 

・喫茶店らしきもの

 

どれを選んでも面白そうだ。

 

「ではせーのでやりたいものを指で指しましょうか」

 

どれにしようかな?やっぱり自分の得意なものを選んだ方がいいのかな?

 

「いきますよ、せーの!」

 

 

 

僕 イタリアンレストラン

 

春咲さん 召喚獣を使ったゲーム

 

メルさん 喫茶店らしきもの

 

 

 

「「「………………………………。」」」

 

まずい、綺麗に割れてしまった。なんか微妙な空気が流れている。ここは僕が引くしかない。

 

 

「えっと、僕は適当に選んだから二人で決めていいよ」

 

「特にこれがしたいという訳ではないのでお二人に譲ります」

 

「私はあくまで御二人方にお仕えしている立場ですので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「………………………………。」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしようこの空気?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このまま黙っていても仕方がなかったので、取り合えず一端落ち着くことにした。

 

 

「これでは私と吉井君が遠慮し合っていた時と変わりませんね」

 

「ほんとだね。でも人数が増えたぶん質が悪くなってるよ」

 

う~んと三人とも唸っていたらふとあるアイディアが思い浮かんだ。

 

「全部混ぜちゃうってのはどうかな?」

 

「全部ですか?」

 

「うん」

 

ちょっと想像してみよう。

えっと、イタリアンでカフェで召喚獣を使ったゲームができる場所…………なんだそれは?

 

「カオスですね」

 

「明久様、すみません。流石にないです」

 

「…………ごめん」

 

次からはもうちょっと考えてから発言しようと反省した僕だった。

 

 

 

 

そして結局、もうくじ引きで決めましょうか、と言う春咲さんの提案で結局イタリアンレストランになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的が決まったら早いもので、僕たちは本格的に準備を始めていた。やることは多い。机や椅子の調達と配置。メニューの設定。買い出しといろいろある。そこでやっと実感したけど、メルさんの仕事効率は異常だった。一人で何役もしてそれを完璧なクオリティー、しかも最短の時間で仕上げてしまう。これは千手観音と言うより分身を使う忍者と言う方が近いかもしれない。

 

そして僕は今、机を持って来てもらうように業者に電話で頼んでいた。と言うのもクラスによって使える資金も変わってくるのだ。Fクラスなんかは段ボールやボロボロの木の板、ちゃぶ台なんかを使わなくてはいけないのに対してAクラスはしっかりとした机や看板などを使って出し物を出せる。Aクラスも毎年業者に来てもらっているのだが、Rクラス程となるとその届く品の質が違う。

 

「あ~。疲れたな」

 

電話が終わって少し休憩しようと、窓側に向かった。

ついでにこの窓、ただの窓ではない。こっちからはしっかり外が見えるのに、向こうからは全く見えない。窓に目を張り付けるようにして見ても無駄だ。さらには防弾という徹底ぶり。そのメルさん並のハイスペックな窓を開けて見えたのは鉄人に追いかけ回されている雄二達Fクラスの人達だった。

 

「相変わらずだね」

 

思わず軽い笑が浮かんだ。鉄人が全員を制裁し終わったところで僕も休憩を終えることにした。窓を閉めて部屋の中に視線を戻すと、春咲さんがパソコンと話していた。いや、訂正。パソコンに映っている誰かと話をしていた。

 

「だから、その大会は試験召喚システムのデモンストレーションになってるからあんた達に出てもらうと困るってことさね」

 

そんな声が聞こえてきた。ん?なんか聞き覚えがある声だぞ。

 

この声は……。

 

春咲さんの横から覗くようにパソコンの画面を見るとそこに映っていたのはあのクソババアだった。ババアは僕の存在に気がつくとその憎たらしい口を開いた。

 

「なんだ、バカのクソジャリかい。そのバカ顔を見たのは久しぶりさね」

 

「ババア長こそ久しぶりですね。春咲さんにシワの消し方でも教えてもらってたんですか?」

 

「ほんと、お前は生意気なガキだね」

 

「お互い様ですよ」

 

雄二達をみて相変わらずと思ったが、このババアも相変わらずだ。

 

「学園長、話を戻しますよ」

 

春先さんが僕とババアの抗争を止めるために話を戻した。そこから二人が会話を進めていった。何の話をしているか横から聞いているうちに分かったのだが、まとめると学園祭に試験召喚大会と言う大会がありその優勝景品に“白銀の腕輪”と最近オープンした文月グランドパークのプレミアムチケットがもらえるという。

で、その大会は教育機関に見せる試験召喚システムのデモンストレーションになってるらしいのだ。でも、Rクラスが出ることによって大会の優勝がほぼ決定してしまう。それはデモンストレーションとしてはよくないからRクラス生徒は大会に出るなってことらしい。

 

「まぁ、そう言うことさね。わかったかい?」

 

「なるほど、学園長の言いたいことは分かりました」

 

まぁ、元々僕たちは出る気が無かったからさして問題はないよね。これで話は終わりだと思っていたのだが、春咲さんは続けざまに言った。

 

 

 

「それで、本当の理由は何ですか?」

 

 

 

それに対して学園長は黙って春咲さんを見つめ返した。僕は状況に着いていけず、黙って二人を見ることしか出来なかった。

 

「……はぁ。全く、何処までも(さか)しい奴だねお前は」

 

「そこだけが取り柄ですから」

 

「私の負けだよ。私の愚行を公開するようで嫌なんだがね、仕方ないね」

 

それから本当の理由を聞いた。実は問題は優勝賞品にあるのだそうだ。その内の“白銀の腕輪”に問題があり、それは試験召喚する時に役に立つアイテムなのだが、不備で点数が高すぎる人が使うとその腕輪が暴走してしまうらしいのだ。それが周りに知られたら試験召喚システムにいちゃもんがつけられたり、学園長の立場を退かなくてはならない可能性が出てくるそうだ。だから点数の低い生徒にその腕輪を回収に行かせようとしていたが、Rクラス生徒が出てくると優勝できるものも出来なくなるからそれを阻止しようと連絡をとることにしたのだと言う。

 

「わかったかい?だからあんた達はその大会に出てほしくないってことさ」

 

学園長と言うのもずいぶんと大変そうだ。同情はしないけど。

 

「話してくださってありがとうございます。ならその役目を私達がします」

 

その言葉に僕もババアも少なからず驚いた。

 

「春咲、あんた話を聞いてたかい?」

 

「はい、ですから腕輪が暴走しない程度の点数に調整して大会に出ます」

 

ババアは目を細めて春咲さんを見た。

 

「もし清涼祭期間中に腕輪を使うことがあっても暴走しませんし、それに回収したら私がその腕輪を調節し直すので点数が元に戻っても問題ないはずです。召喚獣の扱いに慣れている私達が出た方が圧倒的に優勝する確立は上がりますよ」

 

春咲さんとババアはしばらくにらめっこを続ける。二人の間に何とも言えないゴワゴワとした空気が流れる。それからしばらくして、結局折れたのは学園長だった。

 

「……………まぁ、いいさね。好きにしな。その代わり私にそこまで言ったんだ、絶対優勝しな。じゃないとそこのクソジャリ!」

 

「えっ、僕?」

 

「そう、そこのバカ顔のお前だよ。もし優勝できなかったらお前の部屋を潰して犬小屋に戻すからね分かったかい?」

 

絶句。言葉が出なかった。まさかあの犬小屋そのために残してたのか。僕を脅す道具の一つとして。

 

 

「てめぇこのクソババアァァアァ~!シワの数三倍にして滝壺に沈めてやらぁあぁぁ!!」

 

画面に向かってそう叫んだが、すでに回線が切れた後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って言うわけだから僕達、たびたび教室を空けなくちゃならないんだ。ごめん、メルさん」

 

「大丈夫です、明久様。世界一の称号を持つメイドとしてはこのくらい何の苦でもありません」

 

メルさんに大会に出てる間、レストランを手伝えないと言ったら快く了承してくれた。一人で四十人分の働きをするメルさんだからこそ言える言葉なのだろう。

 

「でも、春咲さんが自分から人目にさらされるようなまねをするなんて意外だったよ」

 

「まぁ、そうですね。確かに多くの人に見られることは避けたいです。でも、学園長には恩がありますから。少しでも恩返し出来たらいいなと思って」

 

そう言うことか。でもババアがそんな優しい妖怪とは思えないけど。そこを追求するのは止めておこう。

 

 

「ですが当初の予定よりずいぶんと慌ただしくなりましたね」

 

「そうですね、ここから大変です」

 

「まだまだ時間はあるんだし、大丈夫だよ」

 

その日は日が沈んでからもずっと作業をしていた。

文月学園高等部学園祭は僕が思っていたよりもずっと楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 




あまり評価を気にしていないとはいえ、高評価を貰えると嬉しいものですね。
それだけでもこの話を書き始めて良かったなと思えます。ありがとうございます。
ここからはこれからのことを少し書いていきます。実は三、四巻の終わり位まではこんな風にあまり急な展開もなく進んでいきます。黙々と進んで行く感じです。物足りなさを感じてしまったらすみません。

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