バカとテストと最強の引きこもり   作:Gasshow

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春咲だけ点数の修正をしました。(少し高くした。)
また不都合などがあったら変更しますが、今のところこの点数でいこうと思います。



明久、命の危機!

試召戦争が終わった後、僕はAクラスの教室に来ていた。と言うのも、今回の試召戦争での戦後処理をすると言う必然的な理由である。。

 

「さて、AクラスとRクラスの試召戦争は僕たちの勝ちだよ」

 

「…………分かってる。でも私たちには何もデメリットは無いはず」

 

「その通り。今回は主席の自己満足だからね」

 

僕の言葉を聴いて霧島さんは安心したように小さく息を吐く。クラス代表としての責任を感じているんだろうな。

 

「でも吉井君がRクラス生徒の一人だったなんて驚いたな」

 

工藤さんの漏らした言葉に皆同意している。普通はそう思うよね。僕もAクラス視点だけで見たらビックリしていたに違いない。

 

「まぁ成り行きでね」

 

「いや、そんな謙虚にしなくていいんだよ。佐藤さんから聞いたけど吉井君はすごい点数だったって。実力でRクラスに入ったんでしょ?」

 

「う~ん。まあ、どうだろうね」

 

全然違うが否定しても信じてくれそうに無いし、何より僕も一応Rクラスの生徒なのだからそういうことにしといた方がいいと思うので肯定しようとしたのだが、後ろめたさから曖昧な受け答えになってしまった。

 

「じゃあさ、吉井君が学年次席ってこと?」

 

「違う、違う。僕なんかが次席なわけないじゃん。僕はRクラスで一番点数が低いんだよ」

 

嘘は言ってない、全て事実だ。

 

「ってことはあのレベルの点数を持った生徒が最低四人もいるの?とんでもないわね」

 

「それに今気付いたけど麻名さんが言ってたサービスって吉井君と主席だけで戦ってあげる、って意味だったのね」

 

言いながら木下さんは肩を落とした。周りも今気がついたようで、Aクラスの生徒たちは皆少なからずショックを受けているようだ。そりゃそうだ。半分以下の戦力でコテンパンに負けたんだから。でもこれでやっと目標は達成した。いい感じに思い込んで勘違いしてるし、僕も教室に帰ろうか。

 

「じゃあね、Rクラスはあまり見かけることは少ないかも知れないけど、これからもよろしく」

 

「…………うん。またいつか。今度は勝つ」

 

霧島さんは力強くそう宣言した。

 

「また勝負する気なの?」

 

こくんと霧島さんは頷きだけで返答する。

 

「…………流石にくやしい。それに目標があった方が良い」

 

「そうよ、こっちが勝つ番よ」

「次は保健体育の勝負をしたいな」

「首洗って待ってろよ」

 

Aクラス生徒による様々な宣戦布告が弾丸のように飛んでくる。どうかな?僕としては楽しかったからもう一回やってもいいんだけど、拒否権があるからそれは春咲さんしだいだ。僕はまだ鳴り止まない声に、苦笑しながらAクラスの教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れさまです。どうでした?」

 

教室に入ると春咲さんが出迎えてくれた。そこは間違いなく自分の領域(テリトリー)であり、そんな光景に僕は思わず大きく息を吐きながら、そっと肩の力を抜いた。

 

「完璧だよ。後はこの事が広まって事態の収拾を待つだけだね」

 

「それは良かったです」

 

春咲さんはにっこりと微笑む。

 

「そうだね。春咲さんの望んだ結果になったらいいね」

 

「はい。あっ、私お腹すきました。今日のお昼はなんですか?」

 

「う~ん、そうだね。春咲さんは何が食べたい?」

 

「そうですね。私の気分的には……」

 

こんな何気ない会話しかまだ出来ないが、僕はそれで十分満足だった。

 

 

「あっ、お昼を食べたら勉強しますよ」

 

「えっ、まだあんな事続けるの?」

 

「はい、本来学校での授業分の時間はしますよ」

 

 

……………………マジで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間にしてAクラスとRクラスの試召戦争後日の午前。その時刻、Fクラスの教室は凄いことになっていた。どう凄いかというと、とにかく殺気が凄い。

 

「吉井が何でRクラスなんかにいるの?しかもすっごい美人と一緒にいるですって!今すぐ死刑よ死刑!」

 

「これより異端審問会をはじめる!異端者は?」

「「「「「「「「「吉井明久!」」」」」」」」」

 

「異端者には?」

「「「「「「「「「死の鉄槌を!」」」」」」」」」

 

「男とは?」

「「「「「「「「「愛を捨て、哀に生きるもの!」」」」」」」」」

 

 

 

 

「どうしてこうなった?」

 

坂本雄二は頭を抱えていた。原因など今更言う必要は無い。あえて簡単にまとめるなら昨日AクラスとRクラスの試召戦争があったのだが、それにより明久がRクラス生徒だということが判明した。それだけならいい、予想していた範囲内だ。何が予想外にFクラスをここまで駆り立てたのかというとそのRクラス生徒の中にとんでもない美女がいるそうだ。そう、それだけでこんな状況が出来上がってしまったのだ。

 

主戦力の姫路まで影響を受けるとはな。

 

「ふふっ、吉井君。お仕置きですよ~。大丈夫、痛みは一瞬で無くなります。すぐ楽になりますからねぇ~」

 

なんかよく分からない事をぶつぶつと呟いている。まともなのは俺と秀吉だけだ。

 

「雄二、どうするのじゃ?」

 

「…………どうするも何もこんな状況じゃ試召戦争なんか起こせるわけないだろ」

 

一週間前くらいにDクラスとの試召戦争に勝利し、Bクラスに挑もうとしたところ、いつの間にかRクラスを倒そうという風潮ができていた。そのせいで『Rクラスにしか試召戦争を仕掛けてはいけない』という暗黙の了解が確立してしまっていた。どうしたものかと考えていたが、なんとRクラスがAクラスをたった二人で撃破。これにより、全てのクラスが戦意喪失。風潮が消え、やっとBクラスに挑めると思った矢先にこれだ。頭も抱えたくなるだろう。

 

だが俺はこんなとこで諦めるわけにはいかない。何のためにFクラス代表になったと思ってんだ。こうなったら……。

 

「おい、お前ら……」

 

「死刑よ、死刑」

「「「「「「「「「異端者には死を!」」」」」」」」」

「ふふっ、吉井く~ん」

 

ちっとも聞いてないな……。

 

 

「聞けぇーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 

「「「「「「「「「「「………………。」」」」」」」」」」

 

やっと聞いたか。

 

「はぁ……。お前らの気持ちはよく分かった。なら俺たちでRクラスを、吉井明久を倒そうではないか!」

 

「「「「「「「「「よっしゃーーーーーーーーーー!まかせろぉーーーーーーーーーーー!」」」」」」」」」

 

すまんな明久。だがこれしか方法が無かったんだ。さて、FクラスがRクラスに勝てる可能性は無に等しが、何もしないまま目的から手を引くのは俺の主義じゃないんだ。あがくだけあがいてやるさ。

 

「雄二よ、大丈夫なのか?」

 

「ははっ、十中八九大丈夫じゃねえな。すまんな、巻き込んで」

 

「何を今更」

 

俺はRクラスに宣戦布告するべく教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時限目の授業が終わって僕は一人教室で休んでいた。朝の清々しい空気が僕を体の中から洗い出しているように錯覚させる。

 

「吉井君。少し来てください」

 

そんな時だ、扉が開いて春咲さんが入ってくるなり僕を呼んだ。どうしたのか?と疑問に思ったが着いてこれば分かる。と言われたので大人しくついて行った。で、どこに着いたかと言うと、この間見せてもらった研究室だった。春咲さんが初めてここに来た時のように液晶の電源をいれた。

 

「……雄二?」

 

なんとそこには僕の悪友、坂本雄二が突っ立っている場面が映っていた。というか雄二が立ってる場所ってRクラスの教室の前じゃないのか?

 

「春咲さん!どう言う事!?」

 

「くだらない理由過ぎて説明する気にもなりません。詳しくは本人に直接聞いてください。その方が吉井くん的にもいいかと」

 

「分かった。行ってくるよ」

 

なんで雄二がRクラスに用があるか分からないが、困った事があるならなるべく力になってあげたい。

 

「雄二!」

 

ゴンッ!

 

んっ?

 

「うがぁぁぁああぁぁあぁぁぁーーーーーー!」

 

思いっきり扉を開けて出たので扉の前にいた雄二が吹っ飛んでしまった。

 

「明久てめぇーーーーーーーー!」

 

「ごめんごめん。雄二が扉の前で突っ立てるから」

 

「くっ、まあいい。俺にも非があった。それにどうやって中に入ろうか迷ってたところだしな」

 

教室に入ろうにも鍵がかかってたらそうなるよね。

 

「雄二、なんか用事があるんじゃないの?」

 

「ああ、そうだ。実はなーー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーーーーーーーー?!試召戦争を申し込みにきた?何でまた!?」

 

「お前のクラスに美少女っているか?」

 

美少女?そりゃ、もちろん春咲さんがいるよ。

 

「うん、いるよ。しかもとんでもない美少女」

 

「そいつとお前はクラスメイトだろ?理由はそんだけだ」

 

いや、全く理解できないんだけど。

 

「要するにだ。お前に嫉妬したFクラスの連中がお前を殺そうとしている」

 

「何その理由!?理不尽すぎるよ!」

 

それだけ!?それだけで僕は命を狙われるの!?

 

「ああ、実にすまないがこうしないとAクラスに勝てないんだ」

 

「Aクラスに勝つ?」

 

「ああ、それが俺の目標だ。その前にBクラスと一戦交えないといけないんだが、お前への殺意でそれどころじゃない。だからお前がいるRクラスに勝って怒りを発散させた後Bクラスに挑む」

 

そんなバカなれ僕が命を狙われているというショックで立ちつくしていた時、奇っ怪な電子音が僕の携帯電話から鳴った。画面を開き見てみると、その呼び出しは春咲さんからだった。僕は雄二に一言いれてその呼び掛けに応答し、携帯を耳に押し当てる。そしてそこから聞こえる開口一番の言葉はこうだった。

 

「吉井君、その試召戦争受けましょう」

 

「嫌だよ!自殺しに行くようなもんじゃないか!」

 

流石に無理だ。命が惜しい。

 

「大丈夫です。勝負はあくまで召喚獣同士のバトル」

 

「いや、全然大丈夫じゃないよ!僕にはフィードバックがあるからね!」

 

「フィードバックじゃ死にません。それに日本史なら吉井君は負けませんよ」

 

「でも……」

 

「それに友人が困ってるのを助けなくていいんですか?」

 

「うっ!」

 

そういわれたらどうしょうも無い。

 

「では、少し吉井君の友人さんに代わってください」

 

「大丈夫なの?声を聞かせて」

 

「ボイスチェンジャーを通してしゃべるので問題ありません」

 

「…………分かったよ」

 

僕は耳に付けていた携帯電話を離して、雄二へと再び向き直る。

 

「雄二、Rクラス代表から話しがあるそうだよ」

 

「なに!?」

 

驚いた顔をした雄二に僕の携帯を握らせる。そこから三分くらいたって話が終わったようだ。電話を切って僕に携帯を返してきた雄二が真剣な様子で口を開いた。

 

「明久、お前のクラス代表何者だ?」

 

「さあね。僕もあまり知らないんだ」

 

「…………そうか」

 

まだまともにしゃべってくれて一週間くらいしかたってないしね。そういえば何を話してたんだろう?

 

「で、どうなったの?」

 

「それは教室に帰ってからお前んとこのクラス代表に聞け。じゃあな明久、生きてまた会おうぜ」

 

「不吉なこといわないで!」

 

僕は急いで教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春咲さんどうなったの?」

 

リビングでお茶を入れている春咲さんに飛びつく勢いでたずねた。僕の生死を分ける問題だ。

 

「とりあえず落ち着いてください」

 

そう言って僕の前に紅茶が置かれる。

 

「…………ありがとう」

 

少しだけ口にする。いい香りがして体が温かくなる。

 

「落ち着いたようですね」

 

「うっ、ごめん」

 

「ふふっ、試召戦争の件ですが、受ける事にしました」

 

「…………やっぱり?」

 

 

予想していたがかなり気が重い。

 

「しかも吉井君一人で♪」

 

「ちょっと待ってーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 

僕は喉が張り裂けんばかりにそう叫ぶ。しかし当の春咲さんは、何が問題なのか分からないと言った風に首をこくりと横に倒した。

 

「いやいや春咲さん!僕一人!?これじゃ本当に自殺しにいくようなものだよ!」

 

「仕方ないじゃないですか。これしかFクラスの殺意を抑える事は出来ません」

 

仕方なくない!普通は人命を優先すべきだ!

 

「さっきの電話で坂本くん、でしたっけ?その人と話し合った結果、取引をしました」

 

「どんな取引?」

 

「Rクラスを勝たせる代わりにBクラス、そしてもしBクラスに勝ったらAクラスとも試召戦争を出来る権利と引き換えです」

 

「そんなこと出来るの?」

 

「学園長に掛け合います……吉井君が

 

「え?今なんて?」

 

「いえ、何でもないです。とにかく出来ます。後はFクラスの殺気を消す事ですが、それもどうにかなるでしょう」

 

「…………なるの?」

 

「はい」

 

「ほんとに?」

 

「たぶん」

 

「春咲さん大好きだぁーーーーーーーーーーーーー!」

 

ちゃんと僕の事まで考えてくれてるんじゃないか。君は命の恩人だよ!

 

「きゃっ。ちょっと、離れてください!何で抱きついてくるんですかちょっとーーーー!」

 

感動がこときれるまで僕は春咲さんに抱きついていた。

 

 

 

 

 


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