バカとテストと最強の引きこもり   作:Gasshow

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まず始めに、せっかく感想をくださったのに返信が恐ろしいほど遅れてしまいました。作者は作品を投稿する時にしか殆どこのサイトを開かないので自然とそうなってしまいました。次からは細マメに確認します。
か~ら~の~更新遅くなってすみません!恐らくここから一年間は同じこと前書きで毎回言うかもしれません。笑
しかもこんなに待たせたのに本編内容が少ないと言う事実……もうどうしようもないですねこの作者。
取り合えず、これでやっと本編が始められます。詳しい話はあとがきで。


始めよう本編を

夏季合宿で僕が無事に教師の仕事を全うして、一週間ぼどたった。あの合宿を経て、Rクラスの絆が強くなったように僕は感じていた。ただ単に重ねた時間がそうさせたのかもしれないが、夏季合宿で僕たちの距離が縮まったのは間違いないだろう。だがそれはあくまで、Rクラス内部での話だ。僕が春咲さんの脱引きこもりを目標としてから、それはあまり進歩しているとは言えなかった。それでも、僕はこの三人で過ごす時間が好きで、もうずっとこのままで良いのではないかと思ってしまう自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きて、三人で朝食をとっている時に、春咲さんが話があるから早めに教室にきてほしいと、僕達に告げた。そう言われたので、今この場に、全Rクラスの三人が集まった。そんな僕たちの前には目の前にケーキの皿と紅茶のカップが一ずつあり、それはお茶会の延長線のような集まりだった。

 

「それで、クラス代表がここに僕達を集めたってことはまた何かやるつもりなの?」

 

僕の正面の机に座っている春咲さんに言った。

 

「いえ、何かをするつもりはありませんよ。ただの報告です。それもかなり重大な」

 

春咲さんがこうして、僕達を集めると言うことは余程重大なことなのだろう。

 

「今日、ここに新たなクラスメイトが来ます。」

 

「クラスメイトですか?」

 

かなり急な話である。メルさんの時ほどではないが。

 

「私が呼んだRクラス最後の一人、来るのは男性の方です」

 

男の人か、なら男女比は一対一でちょうどいい感じになる。なんてどうでもいいようなことを考えるほど余裕があったが、次の春咲さんの言葉でそれが一気に消え去った。

 

「はっきり言ってしまえば、彼はおそらく私より頭が良いです」

 

「は、春咲さんより!?」

 

驚きすぎで思わず席から立ち上がってしまった。世界でも若くして天才と言われた春咲さんより頭がいいなんて、どんな人なんだ?

 

「はい、彼の論文や発明を見て私はそう思いました」

 

そう言う春咲さんの顔はどこか強ばっていた。

 

「そしてそんな彼は、『悪魔の発明家』と呼ばれています」

 

その時、メルさんの眉が一瞬ピクッと動いた気がした。

 

「どうしたのメルさん?」

 

「………………いえ、何でもございません」

 

メルさんが言うならそうなのだろう。しかし、メルさんの纏う雰囲気が何か少し、鋭くなった気がした。が、気にしていても仕方がないので、僕は会話に戻ることにした。

 

「なんか、随分と恐ろしい名前だね。何でそんなふたつ名が?」

 

春咲さんは、珍しく真剣な赴きで僕の方を見た。

 

「武器や破壊兵器を多く開発した発明家だからですよ」

 

「………………それって」

 

「ええ、多くの人が彼の兵器によって亡くなっています。だからそんな名前が付いたのです。もっとも、今はもうその手の研究はしていないようですが」

 

な、何だかかなり不安になってきた。そんな、凄くも恐ろしい人がここに入ってくるのか。

 

「私が彼を呼んだ理由は簡単です。単に『試験召喚システム』の開発に参加してもらうためです」

 

「そのためだけにその人をここに呼んだの?」

 

「はい」

 

昔から春咲さんと面識(?)のあるメルさんなら分かるが、恐らく直接合ったこともなく、そんな物騒な二つ名まで持っている人をこの教室に入れるとは、春咲さんは余程『試験召喚システム』の開発に力をいれているらしい。もしくは、これも学園長に対する恩返しの一つと言うやつなのかもしれない。

 

「彼とは事前にメールのやり取りをしていますから、初対面と言うわけではありません」

 

…………春咲さん、それは初対面というんだよ。

 

「それで…………その…………なんと言うか、メールをした感じではかなり怖かったので吉井君とメルさんにフォローをしてもらえると助かるのですが…………。」

 

それは、そうだろう。流石の僕もそれは言われなくてもするつもりだった。

 

「うん、分かったよ」

 

「お任せください。春咲様には指一本触れさせません。…………殺してでも」

 

メルさんがいるなら安心だ。後半、何か不穏な言葉が聞こえた気もするが……。

そして僕達がそんな話をしていたら、急にゆっくりと教室の窓が開いた。

 

「Rクラスってのはここで合ってるよなぁ?」

 

そして、聞こえてきたのは歪んだように聞こえる透き通った声。見えたのは面倒そうに頭の後ろをかている白髪の少年だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも僕達がお茶会をするために使っている少し大きめのガラス張りの机。そこに今、僕と春咲さん、そして高峯聖と名乗った少年が座っていた。メルさんは高峯君が来たときに飲み物とケーキを取ってくると言ってどこかへ行ってしまった。

 

「それで、お前が俺を呼んだ春咲彩葉か?」

 

僕の腕にひしりと引っ付いている春咲さんに向けて、高峯君は言った。

 

「は、はい。そ、そうですよ」

 

明らかにビビっていた。無理もない。高峯君の顔つきはかなり怖い。顔は整っていて、いわゆる美少年なのだが、その表情は常に険しく、突き刺さってくるような存在感がある。

 

「…………おいバカ(づら)のお前。こいつ本当に“春咲彩葉”か?」

 

「バカ(づら)って僕のこと!?」

 

「いいから答えろ」

 

なんと失礼な人だ。僕がバカ(づら)って呼ばれたことなんか…………結構ある。

 

「そうだけど、それがどうしたの?」

 

僕がそう言うと、高峯君は訝しげな視線を僕達に向けた。

 

「SNS内でのやり取りでキャラが違う奴はごまんと見てきたが、その中でもこいつは群を抜いてるな」

 

「そ、そんなに違うの?」

 

「ちくわとちくわぶ位違うな」

 

なにその比較の仕方。

 

「これでも頑張ってる方なんだよ。普通なら話しもしないと思う」

 

「………………最近は少しましになったと、自分でも思っています」

 

春咲さんは、伏せ目がちでそう言った。

 

「………………まぁいい。とにかく、俺がここに来たのは『試験召喚システム』とか言うものに興味を持ったからからだ。そこにいる奴にのせられてな」

 

高峯君は春咲さんに一瞬だけ視線を向けた。春咲さんはそれに気付いてきゅっと肩をすぼめた。

 

「春咲彩葉。俺の試験召喚獣は用意してあるって、メールで言ったよな」

 

「た、確かに言いましたし、すでに用意もしてあります」

 

「そうか。なら、俺と試験召喚獣を使った勝負をしろ」

 

「勝負…………ですか?」

 

春咲さんは、高峯君の方へと視線を向けた。

 

「ああ、『試験召喚システム』による召喚獣の利用法。それがどうなのか、身をもって確認したいんでな」

 

「…………分かりました。でも、なぜ私を?」

 

「いや、隣の奴はどうもバカなようだからな。なら、残りはお前しかいないだろ」

 

会って数分程度でバカ扱いとは…………。

僕ってそんな風に見えるのかな?

 

「テストは既に受けたはずだが、データは送られてきてるのか?」

 

「はい、問題ありません」

 

「ならとっととやるぞ、俺は早く終わらして寝たい」

 

そう言って、高峯君が席から立ち上がろうとした時に、居住スペースに繋がる部屋の扉がバンと開けられメルさんが入ってきた。高峯君の分の飲み物とケーキを取りに行くと言って、しばらくいなかったのだ。高嶺君は目を細目にしながらメルさんを見て、そして何かに気付いたように顔を上げた。

 

「おいおい、このクラスにもう一人生徒がいるのかと思ってたら、使えない役立たずメイドかよ。まさか、こんなところにいたとはガフッ!」

 

「「…………………………。」」

 

そんな高峯君の言葉は途中で途切れた。何故ならそう、メルさんが手に持っていたケーキを高峯君の顔面へと投げつけ、それが見事命中したからだ。そんな光景を見て、僕と春咲さんは絶句した。だって考えてみて欲しい。たとえどんな悪態をつかれたとしても、メルさんなら華麗に受け流したり、ジョーク混じりな返しをして相手を黙らせたりしそうなのに……。

まさかの全力ケーキ投擲(スロー)である。高峯君の顔にへばりついたケーキが時間と共に重力に従って下へと落ちていく。

 

「………………カ、カカ……。……昔にも役立たずな奴だとは思ったことはあったが、ここまでくるともう救いようがねぇな……なぁ、ワーメルト・フルーテル!」

 

高峯君の怒号が教室を揺らした。

 

「……まさか、ここに貴方が来るとは思いもしませんでした。私に殺される為にここに来たのですか?随分と特殊な性癖をお持ちのようで」

 

あのメルさんが、喧嘩腰だと…………。いつもの華麗で完全なメルさんはどうしたんだ?

 

「どうやらお前の目はこぼれ落ちるほどに、腐ってるようだな!そもそも、お前に何をされようとも俺はピクリとも反応しねぇよ!」

 

メルさんの頭に怒りマークが浮かんだ気がした。

 

「あら、それはそれは失礼しました。貴方は女性に何をされてもピクリともしない変態同性愛者でしたか。まぁ、どちらにしてもこのRクラスには相応しくありません。そんなグズは私に殺されるか、屋上からヒモ無しバンジージャンプを決行するかどちらかにしてください」

 

「カカカッ、言うじゃねぇか!だが、ここに相応しくないってんならお前の方がそうだろ?ろくにコーヒーの一つも淹れられなかったお前が、こんなところにいていいのか?あぁぁ?」

 

その言葉が起爆剤だった。メルさんが手に持っていたティーカップを構え、高峯君が机の上にあった僕のティースプーンを構えた。それから数秒間対峙した後、それらが各々に向かって投擲された。

 

「くっ!『展開(スウェイト)』『試獣召喚(サモン)』!」

 

僕は不味いと思い、召還フィールドを出現させて、メルさんと高峯君が投げたティーカップとティースプーンを試験召喚獣に受けとめ、キャッチさせた。そこでメルさんは、はっとしたようで僕に向かって深く頭を下げた。

 

「申し訳ありません明久様」

 

「いや、いいよ。それより何て言うか……。」

 

僕はメルさんと高峯君の二人を交互に見た。すると何故か高峯君が面白そうに僕の方を見ていた。

 

「………………へぇ。腐ってもRクラスって訳か」

 

腐ってもって…………随分と不名誉な言い方だ。そしてそんな僕が二人を見ているのに気付いて、高峯君は僕の疑問を察したようだ。

 

「んっ?…………ああ、俺とこの駄メイドとの間に昔、何があったのかって思ってんのか?止めとけ、聞くだけ下らねぇぞ。まぁ簡単に言うと、俺が善意で拾ってやってたのにこいつときたら家事の一つもまともにできなかったんで、俺がクビにして外に放り投げたってだけの話だ」

 

なんと、メルさんが家事の一つもできなかったと?僕はメルさんと出会ってからほんの少しの時間しかたっていないが、メルさんの家事はすべて完璧で、僕達が手を出す隙もなかったはずだ。

 

「…………何時の話をしているんですか?随分と時代遅れな方ですね」

 

「いやいや、あの様子ならお前がババァになっても全く成長してなさそうだと思っただけだ」

 

バチッとまた二人のにらみ合いが始まった。

 

「ちょ、ちょっと!二人とも止めてください。高峯君も、私と召喚獣を使ったバトルをするんじゃなかったんですか?」

 

春咲さんが、急いで二人を止めに入った。

 

「…………分かった、分かった。確かにこんな奴に時間をとられてても仕方ねぇ。さっさとやるぞ」

 

その言葉を最後に、第一次Rクラス内戦争が幕を閉じた。ただこれからも、この二人のぶつかり合いは続いていくのだろうと思うと、自然と僕の口から溜め息が漏れた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ということで男性の新キャラです。恐らくここからは主要な新オリジナルキャラクター出てきません。オリキャラ出しすぎても話が分かりにくくなるだけなので(文章力的な意味で)。ちなみにこの高峯聖、とあるの一方通行をイメージして作りました。オマージュキャラクタであって、一方通行とは全くの別人なのであしからず。容姿も一方通行と同じと思って貰って構いません。本編が始まったというのは、自分の想定しているRクラスが全員揃ったと言う意味です。それでは修正は後日に……。

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