この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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稀代の人形師だそうです。

あー…………、栄養ドリンク欲しい、何がキツいって髪を付けていく作業が地獄だ、精神的にも肉体的にも、植毛とかよく知らないが、同じくらい大変ならやる方もやられる方も勘弁して欲しいだろう、昨日の夜から始めたが、今は太陽が沈み始めている。そして今最後の作業を残して一体の人形が完成した。

『こちらは誰の体になるんですか?』

後は機構精霊を宿して完成、なのだが、実は少し材料不足で小さくなった。一応まだ金属はあるが、全部使うと次に差し支える。その為、体格が中学生位になった、顔は美形に作ったので、表情がない今、非常に神秘的な雰囲気を漂わせている。見た目は普通の人と変わらない、中身は球体関節なのだが、その表面を膜状にしたアダマンタイトと緋緋色金で覆って一部を塗装してある。今の説明を聞いてわかったと思うが、目の前に全裸の女子がいる。服どうしようか、

『早く教えてー、誰のー、』

『私ですか?』

『………』

「今回は向日葵の体のつもりで作った、次は材料が入り次第………かな?後これがみんな用に作った目だ、」

『『わぁー!』』

『綺麗ですね、』

綺麗だけど単体で見ると気持ち悪いな、目が合うとギョっとする。さて、オレンジの光を出すランタンを開く、そこから出た光は真っ直ぐに人形の胸の辺りに吸い込まれていく。

「どうだ?」

手を握って見たり足を上げてみたり、体を確認し、その後満面の笑みで、俺に飛び付いてきた、

「ありがとうごさいます!」

若干赤っぽい金髪を撫でる、今は結んだりしていないのでストレートで、長さは少しバラバラ、これについては切り揃える。その前に服だ、店に行くにしてもそこまで裸は不味過ぎる。汗臭いだろうが、シャツを貸してやる。何せこっちに来てから全く洗ってない。ついでに俺の服も買うか。

 

「これでいいですか?」

 

………何かもっとヤバくなった気がする。他に着られる物もないな、ん?何か忘れているような………?あー、賊突き出すの忘れてた、…………ん、賊の中に三人女がいたような、そいつのズボンだけ出すとか出来る代行者?勿論サイズの合うやつ

《了解しました》

手の中に黒いズボンが現れる、少し汚いが………まあいい、一時的なものだし、服もある程度欲しいし、自警団に突き出すか、

 

馬子にも衣装という言葉がある、どんな者も身なりを整えれば立派に見えるという意味だが、今の俺達は周りにどう写っているのだろうか?現在シャツを貸している俺は、下に着ていたタンクトップとジーパン、土木工事のオッサンみたいな格好だ(つるはし持てば炭鉱のオッサン)、向日葵は俺が貸したシャツと賊の煤けた黒いズボン、髪は長さが疎らで俯きながら歩いている。下着はなし、賊から剥ぎ取るのも考えたが可哀想なのでやめた。後、変な誤解を生まないためにも、

《着きました》

小屋じゃん、汚ねぇ!辺りに漂う馬糞臭、最初の話が悪かったかなー、馬小屋来ちゃったよ、20人も入んないよこれ、

「ふぅー…」

ため息を一つ吐いて馬小屋の扉を開く。三人のオッサンと青年一人が絵札を使って遊んでいる。…………仕事しろよ、

「あ?何のようだ、今忙しいんだ、用がないなら帰った、帰った、」

三人とも笑っとるし、かなり弛んでるな、喝入れるか、

「列車を襲った賊を引き取れ、」

苛立ちを込めて、声は低く抑揚を抑えて言う。みんな固まってる、一人は気絶してる。俺そんなにおっかない?

《悪魔系スキルの影響でしょう》

 

悪魔系?………思い当たるのが冒涜しかないがこれか?

 

《それです。悪魔系のスキルの保有者は威圧で生物を殺せます。ある程度の力等を持つものは死にません》

 

怖!結構いろんな奴脅した気がするんだけど、

《今の所、死者が出る程強力なものは出していませんので、問題ないかと》

加減すれば大丈夫なのか?後ブチギレたら大変な事になるんじゃないだろうか?

《そうですね》

他人事~、俺結構短気なんだけど、対策とかないの?

《現時点ではありません》

 

断言しないで欲しい。あんまり固まってるから忘れてたわ、刺激で戻すか、隔離から取り出した生首をテーブルの上に叩き付ける。

「なっ、」

「おいおい………」

「こいつは………」

三者三様の反応、気絶は除外だ、

「こいつがボスで残りは小屋の外に出してある、いくらくらいだ、報酬としては?」

「………」

「こいつは……こいつには懸賞金が懸かってる、ただ、今すぐ用意できる額じゃない二日待って欲しい。頼む………」

あの顔色悪いよー、威圧効きすぎ、それとも首のせい?俺?全然平気、昔から肝も据わってるし、常に冷静、テレビで放送される手術の映像も直視出来る俺、このくらい………うぷっ、………ん、あぁー、喉が熱い。触るのは精神的にアウトでした。逆流してきたものを胃袋に戻す。ここは気合いだ、

「その他の賊はどうだ?………20人いる。」

水欲しい、マジで、喉が燃えているようだ、あっ、お茶?ありがとう、熱っつ!猫舌は耐性があっても健在のようだ。

「状態にもよるが死んでるなら銀貨五枚、生きているなら金貨一枚が基本だ、」

代行者曰く、大体が奴隷墜ち、一部を処刑が一般的な処理らしい、恐らく処刑は国の力を示すためだろう、不幸な生贄にはなりたくないものだ、小屋の外に出たオッサン達を見送り戻ってきたオッサンから金を受け取る。

「金貨十五枚だ、死んでないが、状態がな………」

「ああ、受け取る、」

服と宿だ、まず服、代行者安いところで頼む、

《了解しました》

 

安い所でも、三着程揃えると金貨二枚程になった、女性は高いので向日葵の分はさっき受け取った金貨の残りで買うことにしたが、流石に付いていくの気か引けるし、回りの目も痛いし、店員にさっき受け取った金貨の入った袋ごと渡した、勿論、別の店だ、さっきの店は安いだけあってシンプルなもの(農民風)が多く、似合うものがないためだ、暫くして、綺麗に着飾って………と思ったら、店に入ったときと同じ格好で紙袋を提げて戻ってきた。

「着替えて来たらよかったと思うんだが………」

「イヤです!着てるところはご主人様に一番に見て欲しいんです!それに、ご主人様も着替えてないですよね?」

「そうか………」

まあ、俺は何でもよかったし、店で着替えられる場所がなかったせいでもあるが、

「じゃあ、宿行くか、」

「はい!」

 

結果を言うと鋏が三つ駄目になったが、向日葵の髪を切り揃える事ができた、切った髪はまた緋緋色金として使う、

「どうです?似合ってますか?」

着替えてきたようだ、ん?ドレス風の服だな、スカート等が短いのは、前に渡った人のデザインのせいだろう、

 

アイドルのステージ衣装みたいなんだが………

「可愛いけど、それ普段着?」

「はい!他の服も着るので見てください、」

ハキハキ明るく笑顔を絶やさない。向日葵の印象はそんな感じだ、ちなみに向日葵は戦闘用である。真理と鑑定を併用して、能力をみる。

 

No name オートマタ

機構精霊 笑顔の向日葵

制作者 北川 龍登

パーソナルスキル 強欲

スキル 火魔法7 風魔法7 自動修復5

耐性 毒・酸無効

称号 生きた人形

 

パーソナルに強欲入っとる!何で?生きた人形って何?魔法は目に使った魔石、自動修復は体に刻んだ複数の魔方陣(刻印)、耐性は人形固有のもの、名前は付けていないのでわかるが、

《強欲は自力で獲得したものです。生きた人形は制作者が、【称号 稀代の人形師】を持っている影響です。》

 

はい?………ステータス、

 

名前 北川 龍登

種族 #%5*;¥

 

パーソナルスキル 真理ノ瞳 万能結界 冒涜

 

スキル 芸術10 指導8 鑑定5 武芸4 風魔法10 人形作成10 義体・義肢作成10

 

耐性 炎熱無効 低温耐性5 雷撃・突風耐性5 衝撃耐性5 闇魔法耐性5 聖光魔法攻撃耐性6 精神攻撃耐性5

 

称号 爆死 稀代の人形師

 

稀代の人形師 人形作成10 義体・義肢作成10 

この称号の保有者が作る人形は生きた人形の称号を得る

 

いつ付いた、この称号、聖光の耐性も一つ上がっとるし、ステータスが変化したら教えてくれる?

《了解しました》

 

あー、後冒涜と強欲の効果を教えてー、

《了解しました。解析結果は後日になりますが、よろしいですか?》

 

ん?時間が掛かるのか?なんか嫌な予感がするが、知らなければ、対処も予防もできない、とにかく今日は明日に備えて寝る事にした。


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