この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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暫く編集するので内容がよく変わると思います。


運命の歯車()を切り裂いて

夕食を終えた後、今日は定期的に行っている資料作りをしていた。………キーボードで打ってコピーした方が腕の負荷も少なくて済むし、文字も手書きだと整えても限度がある。パソコンとプリンター(魔力で動く)は俺の味方だ。ただあの辺りは技術面の遅れが何とも深刻で俺から見たらノスタルジックを通り越して、アンティークなタイプライターが現役で売られている。魔法関係が進んだ弊害とも言えるだろう。その反対に科学が進んだ街では魔法の技術が廃れていたりする。

「あーあ、今日も疲れた………」

パソコンを触る理由は基本的に資料作りが多いが子供を引き取った時も触る。今回は後者だ。少し前にエドガーに申告したが、変わらずといった感じだ。

しかし下手に手を貸せんのよなー、一時的に助けられてもそこから自分達だけでという方法で安定する方法が無い。農業は気候の影響をモロに受けるので、不作が続くことだってある。俺が伝えられる事は伝えていくつもりだが、新しい事は失敗が付き物、現状首の皮一枚と言う所だ。破綻に追い込みかねない。………難しい所だ。もう手が無いと言うなら話は別だが、

「お茶をお持ちしました」

「ありがとう」

 

………渋い。かなり長い時間茶葉が浸かってたみたいだな、多分これは………

 

「ルシアだな、これ淹れたの」

「すごいです。どうして分かったんですか?マスター」

持って来たのはクロエだが、お茶がクロエが淹れたものでは無い為だ。日々の努力が現れてるからな、

「………二回目に頼んだ時淹れた紅茶が、これに近かったからな」

「お、美味しくなかったですか?」

「今のクロエのお茶と比べるとね。まあ、誰だって最初は上手くできないし、どんどん上達してるしね」

「はぁ………、少し自信があったんですけど」

 

………なんでそっち行くの?部屋の隅になんか置いといたほうがいいかな、行けないようにする為に、

 

「クロエは色んな事に挑戦して出来ることを増やしてるし、気を落とさなくてもいいんだよ?」

「いいんです………。アナスタシアやレアが淹れた紅茶には勝てませんから」

 

………三角座りで小さくならないでください。

 

「お茶は奥が深いんだよ。みんなが淹れてくれたお茶を一番飲んでるから分かることだけど、みんなそれぞれの個性がある。アナスタシアが淹れてくれたお茶は渋みがほぼ無いけど、レアはいろんな茶葉をブレンドして出してくれる。クロエのお茶は疲れてる時とか落ち着きたい時に飲むとリラックス出来るんだよ」

 

まあ、向日葵とアリスはあんまり上達してないんだよなー、クロシェットは意見を聞いてよく試行錯誤している。こちらも日々の頑張りが伝わってくる。ノルンはまあ、………普通だ。朝日と月夜は二人で淹れるため手際よく早いが、色付きの白湯みたいなのが出てくることが多々ある。………俺も久し振りに淹れてみるか、

「20分後くらいにみんなを共有スペースに集めてくれるか?クロエ」

「わかりました」

俺はパソコンに向き直る前に紅茶を飲み干す。

 

では、まずティーセットを暖めながら説明しよう。水は軟水で酸素含有量が多い物がいい。茶葉は細かく切られたものより大きい物、ティーパックなんかに細かいのが入ってるのは早くお茶を抽出する為だが、一緒に渋みの原因も出やすくなる。ただ茶葉が大きいと抽出には時間が掛かるが、適切なタイミングで引き上げれば、渋みは残らない。それと酸素含有量とか言われてもこっちでは無理なので隔離空間内でいろいろしてるが、別に普通の水道水でも某刑事ドラマの方の様に高い位置から注ぐ事で空気を含ませることが出来る。

「………まあ、それぞれに合わせるしかないけどな」

酸素含有量が多い水の場合は沸騰手前、100以下90以上がいい、普通の水なら沸騰させてから高い位置がちょうどいいだろう。後は三分蒸らす。ミルクとかも温めておくといい。

「どうだ?不味くはないと思うが………」

「ふぁ………、落ち着く」

茶葉はありふれた(こっちでは)ものだが満足してもらえたみたいだな、………これで向日葵とアリスのお茶が美味しくなればいいのだが、

 

「………フッ、は!」

「職業を付与してから、動きがさらに良くなったな」

四人同時はキツいからな、連携も上手くなってるし、一撃も受けないというのはもう無理、牽制目的の攻撃は急所を外して、わざと受けて距離を詰めたりしてた。だが、四人で試行錯誤している事あって、もう勝つのは連携ミスが生じた時のみだ。後は負けないけど勝てない膠着状態に陥るのみだ。もうそれぞれの連携は十分と判断して個々の能力を高める方に集中する事にしたのだ。………と言うのは建前で、

 

名前 ハルト

 

種族 獣人(赤狼)

 

パーソナルスキル 二秒支配

 

スキル 格闘術10 体術6 火炎魔法4 剣術5 解体4 剛力2 料理1 体力自動回復2 魔力自動回復1

 

耐性 衰弱耐性2 時空間制御

 

称号 勇者 天賦の才 英雄の弟子 魔王候補 終わりにして始まりの環(ウロボロス) 刀神の弟子 龍騎士の素養

 

職業 拳闘士 剣士 魔法士 獣戦士 勇者 0愚者 ⅩⅦ星 ⅩⅪ世界 

 

二秒支配 内約

二秒だけ時間の操作を行い、巻き戻しや停止を一日三回まで使える。

 

こんなスキルや称号が増えた状態で戦ったら、俺の身も危ないが、連携する側ももしもの事故が発生する可能性がある。まあ要するに慣らしていこうって事なんだけどさ………

「せやぁ!」

ギリギリまで引きつけて、躱す。行きがけの駄賃に剣の腹に肘を叩き込んで折る。前に踏み込んで腹に膝、続けて、後頭部に遠心力を味方に肘を後頭部に叩き込む。

「や、やっぱりすごいな………先生は」

「いやいやいやいや、俺は確かに二秒間巻き戻せる能力があるとは説明したよ?ただ一日三回であって、それ8回目の巻き戻し」

終わりにして始まりの環(ウロボロス)、これが原因だという事は分かっている。この称号の権能は終わりを始まりに戻す、という事で………まあ、回数制限付きのスキルを使い切ったとしても三回なら三回に戻るし、一回ならまた一回に戻る。しかし、美味い話ばかりではない筈だ。だからこそ実際に使ってしばらく様子を見ることになった。

「やっぱり魔力が消費されてるな」

「たまに滅茶苦茶魔力が減るときがあるけど?」

「全体から見ると………4割か、少なくは無いが魔力回復薬との兼ね合いを考えると多用は出来ないが、計画的に使えば問題ない筈だ。ただ今日は終わりにしておいたほうが良いだろうな。それとあと一回は、三時間開けるまでは使うなよ」

「わかったよ、先生」

ハルトは元通りになった剣を鞘に戻す。時間の巻き戻しによって、剣を元の状態、折れる前に戻した剣を担いでそのまま筋トレついでに手伝い回りに行った。二秒過ぎると元に戻らないが、二秒以内なら自分の外傷や毒なども消せるし、治せる。ただ痛みなどによって受けた精神的負荷は消えない。多少の無茶をしても戦闘経験を積めるようにはなったが、危機感が薄れないかが心配だ。

 

「僕の調整はまだかな」

「あ、悪いロザリー」

「もう、仕方ないなぁ」

車椅子に座る少女、髪は緋緋色金とオリハルコン、体は青生生魂とオリハルコン、それとアダマンタイトで表面を覆っている。それと目隠しをする様に巻かれた包帯。あの下にも………

「もしもしー、………もう、僕達のお父様は急に耳が遠くなるね」

「ごめん、いろいろともう少しの筈、なんだけど、………足動くか?」

「…………うん、大丈夫だけど、ここからだよね?」

「ああ」

目元に巻かれた包帯を取り、目を入れる。

「…………どうだ?」

「うご、かない、………ふー」

やっぱり無理か、頭に手を置き念じる。

「あっ、うごっ………!」

「おっと」

スキル付与なしでも動かせるようにしたかった。元々付与ありきのものだが、それに一人で歩くには力が足りない。

「取り敢えずはこれに座れ」

抱き上げたロザリーを車椅子に戻す。

「僕はもっとお父様の近くに居たいのに………」

「わかってるよ、ちょっと動くなよ」

ロザリーには前もって作っておいた十字架付きをあしらったチョーカーをつける。それとさっき付けたスキルは寵愛ノ使徒(ハニエル)、内約は見ル者、我ガ下ニ栄光アレ、この2つだ。他は複数の属性魔法だけ、

「………ありがとう、ござい、ます。」

「あっ、そうそう、これひいてみてくれないか?」

差し出したカードにロザリーが触れると、一枚のカードが飛び出す。………絵柄までついてるな、

「………節制か」

『TAMPERACS』って焼き付いてるしな、このカードは意外と簡単に出来ることがわかったのでいくらか作ったついでに、人形でもひけるのか?という実験で見てもらったのだ。

「僕にも見せて、ね?」

といっても暫くすれば燃え尽きて消える………渡す。

「お父様?このカードにはどん………ひゃぃ!?」

「ぶっ……ははは」

びっくりした表情で固まってるな、上手く行った。少しするとむくれているので頭を撫でてやろうと………

「この髪型は潰さないでよ?」

リクエストにインテークと言われた時はなんと事かと思ったが、パソコンで髪型だと知ってどれだけ苦労したか、流行りを知った父の気持ちとはこんな感じなのだろうか?

天辺に癖をつける為に世界樹の柾目材を使っている、ただ全部同じ素材だと朝日の様に癖がキツくなり過ぎるので、苦肉の策だが、重りとして毛先を緋緋色金と青生生魂、オリハルコンをまぜて、世界樹の柾目材を芯に薄く塗る様に付けたので………髪型は維持できてるが、全体的に紫、天辺赤紫になった。

「じゃあ撫でなくて良いか?」

「〜〜っ!意地悪だぁ!」

「喧しいわ!」

 

ドカッ!

 

「おい………、人がボイトレやってる横で騒いでんじゃねぇよ、集………」

「………すまん」

同時期に作っていたこの子はアリア、壁を突き破るくらいの力はあるが、本領は妨害と支援にある。

「………………」

「どうかした、アリア?」

「ロ、ロザリー!だだ、だ旦那様がいる、いやいや、いらっしゃるならオレ、じゃない!ワタクシ!………」

「言葉遣いは気にしなくていい………それより壁」

「もう、仕方ないな、ほら直ったよ」

壊れた壁がビデオの逆再生のように元の状態に戻っていく。アリアの見た目は何処のロッカーだよといった感じだな、左のこめかみ辺りから伸びた茶髪は三つ編みにされている。革やベルト、指輪などかなり尖った感じだが、声や時より見せる仕草はとても可愛らしい。

「次から気を付けなさい」

「はいっす!」

素直な返事である。………さて、今日は外から来客があるようだし、丁度いい魔物(きょうざい)も来ている。掃除ついで実践練習と行きますか、

 

積もる程ではないがちらちらと降る雪の中、シロクマが木々の間を縫うように走っている。

「獣の相手をした事がある者は知ってると思うが、体毛に覆われてるっていうのは結構厄介だ」

特に刃物はキツい。だが銃で仕留めるのも難しい。キッチリ仕留めるなら熊相手に9ミリ弾は心許ない。それに絶命するまでに意外と時間があるのだ。距離によっては一撃貰うこともあるだろう(あったら何針か縫う)。

「クロエ、支援は任せた」

「はい!」

「………それと四人とも、無茶はしちゃ駄目だからね」

「「「「はい!」」」」

近接戦闘は前世なら即、死である。全力で逃げればいいと考える人もいるかもしれないがそれこそアウト、背を向ける者を追っかけてくる。時速60キロくらいで、自動車と競争するようなものなのだ。体が大きいから遅いと言うのは当てはまらない。むしろ熊は大きいほど速いと考えたほうが良いだろうな、心構えとして、まあ、実際遭遇したら背を見せずジリジリ後退が正解らしいが、100%助かる保証はない。

「………そう考えるとステータスの恩恵は大きいな」

不本意ながらSに昇格する時に相手をしてくれた筋肉さん(ウォーレン)は戦車をその肉体をもって砕いたり、持ち上げたりしたそうだ。………基本は回避してたが、戦闘中に受け流しとか最小に抑えたが、防御もしてた。んで、入念に検証した結果、

 

「この世界の人間は猛獣でも素手でねじ伏せる奴が結構いる」

 

そんな訳で試してみた所。シロクマと握手(爪全開)、もといお手(フルスイング)ができてしまった。…………なんというかアレだ、全然嬉しくない。立ち上がった状態なので腹部にトーキック、そこを足場に反対の足で顎を蹴り上げ、1回転(連環腿モドキ)でひっくり返す。間髪入れずに真上に隔離で開いた窓に銃を突っ込み、熊の口の中に銃口ねじ込み三発、

「旦那様えげつねぇー………」

そう言ったレアのウサミミとウサミミの間を弾丸が通過、弾丸は近くの岩で跳弾して熊の脳天を穿つ。

「ク〜ロ〜エ〜さ~ん…………無言で人の付近撃たないでー………怖いよ、漏れちゃったよ〜

殆ど絞り出すような感じだったな、ガクガク震えてるし、目や鼻からも液体、口元からは血が垂れてる。………下は大丈夫だと信じよう。

「レア」

「うぅー………はいー」

レアは血糸・無形(ティルフィング)を投げる。六個の箱が開き、飛び出した血は赤い糸となり、木々の間を縫うように張り巡らされていく。何本かはレアの周辺を囲い、漂っている。

「さて、みんな一応厳重に注意はするけど怪我のないように」

 

………と、言ったは良かったが、

 

「………ありのまま、今起こった事を正直に話すぜ、何を言っているかわからないかもしれないが、あいつらの前に立った熊が瞬殺されたんだ」

俺は千里眼を持っている。これの応用で瞼を透視する事で一瞬の隙も消す事ができる(戦ってる時だけにしないと疲れる)。観えた事をそのまま説明するだけで済むが、それが滅茶苦茶だ。

ハルトには秒針だけの懐中時計(セカンドオンリークロック)と言う時計を渡した、ハルトは少しずつだが時魔法を習得している。だが本人に操作できる時間は極僅かな為に魔力を込め、一秒の停止の効果を与える魔法のアイテムを作った。貯められる魔力の限界は60秒分、残量に応じて針が動くようになっている。そして時間というルールは最も上位の物理法則とも言えるだろう。

ハルトがまずやったことは三本のナイフを投げた。そしてそれに続く様に走り、敵の目前で止めたナイフを足場に熊の視線振り切ると、多方向から斬りつけ、止まっていたナイフが動き、熊の背中に刺さったその隙を付き火炎魔法で燃やした。火炎魔法は火を付ける魔法だ。ブレイズとかは確かに燃えてるが、熱の塊をぶつけるだけで、衝撃の方が強いし、紙とか燃料とか燃えやすい物にしか火がつかない。逆に火炎魔法で習得する、フレイムは纏わりつく炎だ、その代わり射程が短い。

次にウィル、聖魔法で回復しながら熊と殴り合いをしてた。ウィルが15発目に踵落としを打ってとどめとなった。この間2秒だ、

キリエは魔法で凍らせてからの滅多打ち、エグい。………一番敵に回したら怖いタイプだな、

ロイは植物魔法で足を引っ掛けて、目から細剣を差し込んで脳を掻き混ぜて、ウインドで距離をとる。

残りのシロクマは一目散に逃げ出したが、レアの糸とクロエの狙撃を逃れられるものはいなかった。死体は隔離に収納、あとで解体する。掃除が終わる頃には一団も森の外からなら見える位置にいるだろう。

「旦那様ー、お見えになりました〜」

「ああ、今行く、じゃあみんなは戻っててくれるか?」

「「「「はーい」」」」

「はいー」

「な、何か必要なものはありますか?」

「大丈夫だ、ありがとう」

街から出てくるところから見てるから知ってるけどテストラの軍だ。用意しておいた白のコートを羽織り、身嗜みを整える。

「あっ、ロイとキリエは型の茶碗乗せ維持、ウィルとハルトは腕立て、腹筋、背筋十回と二十メートル五往復ダッシュの繰り返し、俺が戻ってきたら実戦練習」

 

兵士達は最初のうちは戸惑っていたが、食事を振る舞ってからは緊張とほぐれ、各々仲間と談笑している。軍の編成としては機動部隊という感じで車両とかは森の茂みに隠してある。多少木を斬らなければならなかったが、少し前に森一帯を買い上げておいて良かった。

「………と言う訳で、この辺りにも戦火が飛び火するかも知れないと言うことと、何卒お力添えを賜りたく、お伺いした次第であります」

 

………全く分からんが、とんでもないのが二人程いる事はわかった。どうも遠征をしたのだが、砦に籠もられて、攻めきれない所があるらしい、なんとか取り囲んで、補給線と退路を断ったにも関わらず、だ。しかもこちらの経済状態、市場がいきなり苦しくなってきた。ただその前後で同じ物を売り買いを繰り返している者がいたそうだ。前者は運搬に関するスキルだな。後者はかなり迷惑なスキルで悪意があるので早急に〆る。

「少し席を外します。15分程で帰ってきますので………ノルン」

「承りました」

部屋を出でて即テストラのポイントにゲートで飛んで即確保、剣を抜いたので避けるギリギリまで惹きつけて回避、もう少しで当たりそうと言う認識で焦らせて粗が出た所でその場で踏み込んで飛び蹴り、片手を地面に付いて逆さまのまま左手で銃を抜く。

「動くなよ?お前の値下げ値上げ交渉(ディスカウント&プライスアップ)は街の経済に大打撃を与える、その意味は分かってるだろ?」

 

値下げ値上げ交渉(ディスカウント&プライスアップ) 内略

複数購入の際に最大五割引きに持ち込める。また、複数売却時にも最大五割値上げできる。

 

人の計算や思考に干渉するスキルで、単品では効果を発揮しない。ただこれだけ減れば怪しまれるのは当然、だがそこらへんを闇系魔法の催眠状態にするマインドを使う事によって曖昧にしているのだ。ここまでやっておいて偶然だ悪気は無かったとかが通る訳がないよな?何か言えや、

「………スティールメイト、だろ?ほらチェックメイト」

回転して姿勢を戻したら銃口をグリグリしてみる。

「やめろ!危ないだろうが!」

「じゃあ、俺の目を見ろ」

一回目があったのを確認してから切り出す。別に制約は無いが何でもお見通しと言うのは逆に気味が悪いし、間違った情報ならいくらでもくれてやる。保険を掛けとくに越した事はないしな、

「………事情は把握した。上着を脱げ」

契約魔法、奴隷なんかを服従させたりする闇系魔法、その式に冒涜で干渉して消す。掛けた相手の魔力を使えば正規の解除ができるが、この程度なら冒涜で魔力として分解したほうが速い。どっちにしても冒涜ありきでないと出来ないが、

「帝国側には俺の方から掛け合ってみる。どういう扱いになるかは分からんが、どうする?」

「佐田………」

「お前を縛ってた奴の名前か」

「頼む、あの………悪魔を………殺してくれ」

隔離して金や物は元に戻してさっさと戻り、部屋に入るとクロエが対応していた。

「砦の攻略に協力したいのですが、提案があります」

 


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