この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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新年あけましておめでとうございます。
今回はあとがきにifっぽいものを加えてみました。予約投稿は初めてなのでうまく行けば良いのですが………



………えっ、思ったよりバトル要素がない?(すいません(心の声)


ケーキとバトルと魔改造

ヒュゥゥーー………

 

ナニコレ、辺り一面、雪の絨毯が広がっている。この辺りは中心部に近いので風は比較的弱い、今は風自体は弱いままなのだが四方八方から吹く風が雪を高く舞い上げている。冬はまだ先の筈だが

 

《気候龍の特徴です。周囲に漏れる魔力が天候に影響を与えています》

 

だいぶ強力な奴みたいだ。とにかく敵さんの様子を見ますか。まだ到着してはいないんだよな?

 

《はい、現在西南西から接近しています》

 

隔離空間から防寒目的のマフラーを3つ出して、後ろの二人に2つ、自分の首に1つ巻く、このマフラーは防寒の刻印を真似たものを糸状の緋緋色金とミスリルで編み込んでいる。この距離でこの温度だ、近付いただけで凍死もあり得る。

 

《マフラーがない場合、パフォーマンス30%低下、また、戦闘継続可能時間は30分でしょう》

 

まあ、戦えたからと言って十全に動けないのはなかなか痛い、それに長引けばどんどん動きは鈍くなるだろうし、自力で飛べないし、何が致命傷に繋がるか分かったもんじゃない。だが、龍というものには興味がある。こっちの世界では最上級生き物、自分の力がどのくらいか計る目安としてはこれ以上大きな定規は無いだろう。無理なら逃げればいいし、追い返すだけなら、魔法乱発でも十分な筈だ、周りに目をやると雪にはしゃぐ子供と対象的に血相を変えた親と思わしき人物がバタバタしていた。…………少々遅過ぎないか?

 

《それについてはこの辺りの合成獣(キメラ)を減少させたためでしょう》

 

………何としてでも守るしかないな、体の筋を伸ばして入念に準備する。………代行者、ふと思ったのだが、あんなしょぼい奴で龍みたいな奴を止められるのか?あれで何とかなるとは思えないんだが、

 

《戦力ではなく撒き餌、囮に近いものだと考えられます》

 

えー………撒き餌?囮?……………なんか忍びねえな、要はあれですか?うまい餌を撒けば食料を求めてやって来る魔物はそっちに群がるからその隙に逃げると、

 

《そして、食料難に陥った際は、住民の食卓に並びます》

 

………ですよねー。合理的に行けばそうだわな、まあ、人間なんぞより魚の方が旨いのは事実だし、アレルギー体質とか魚嫌いとかじゃない限りは、そんなことを考えながら刀の状態を確認すると、鞘に刀を戻す。

「あっ、今回の龍は氷や水系の魔法主体だから銃は使い物にならなくなると思う」

銃器にはかなり厳しいな、魔法と物理法則の関係を把握するのは諦めているが、凍りついて撃てなくなる可能性が高い。特に自動拳銃(オートマチック)や機関銃のような細かい(可動部)パーツの多い物は特に………グロックみたいなのも欲しいところだな、さて、そろそろ行きましょうか。

 

結界の上に立ち、龍の様子を見る。見た目は蛇の胴体に手足のある、某まんが日本昔話でお馴染みのアレと形の構成は一緒、ただ、

「これは………凄いな」

凛々しい顔に威厳を象徴するかのような逞しい角。全体的には青というより黒に近い、色合いとしては鱗等の根本は濃い蒼で尾の方にかけて黒くなる。後ろを見るとその圧倒的な存在感に二人も気圧されているように思える。まあ、俺も今は若干浮足立っているというか、何というか、若干落ち着かないのだ。だが、これでは全力で戦えない、気迫に対抗するには気迫だ。その形はなんでもいい。

「………北川 龍登、押して参る」

無駄に殺気を向けても気取られるので纏うのは純粋な闘気、英雄の覇気も併用する。刀を抜き放ち、構える。すると遠くに魔法陣のようなものが複数見える。それに続くように俺とクロエとルシアの足元にも魔法陣が現れた。クロエは魔法陣の外に出ると飛びながら銃撃を加える。俺は取り敢えず冒涜で干渉する為に魔法陣を踏み砕く。ルシアは魔法無効で防ぐ。傍目からは直撃だが、効果は全くない。

「ルシア、正面から来るのも頼めるか?浮いてる都市ごと落とされたら意味が無い」

「了解でありゅ………あります

「………頼む」

こういうのは触れない方がいい事がある。しかしこの距離は遠いな、クロエはライフルがあるからあまり気にしなくて済むが、弾が予め作っておいた分しかない。地上なら土からでも作れるが、空中では氷くらいしか選べないが、強度的に撃てない。多分粉々だ、それにもし撃てても相手は氷魔法を使う龍だ。到底通じない。俺も取り付いて能力を欲しい所だが、確実に凍死する。有用そうなスキルだけを選り抜いてちょっぴり拝借する位にしておこう。

 

豪雪龍ブリード

種族 蒼龍

 

パーソナルスキル 龍王の威厳 賢龍の眼

スキル 絶対零度の吐息8 自己再生7 体力自動回復6 魔力自動回復7 結界ー 凍結魔法6 旋風魔法5

 

耐性 炎熱耐性2 低温耐性9 風圧耐性6 衝撃耐性4 毒耐性6

 

称号 魔導の探求者 氷の覇者

 

いろいろ厄介そうだが、低温は無効になるまで欲しい。これさえ取れれば戦況は一変する。弾幕の如く飛んでくる魔法を掻い潜りながら接近する。あっ、ヤバイ口開けてる。足元の結界を解除して未来視で見えた加害範囲から逃れる。それと真逆にそのド真ん中に移動するルシア、空中都市にも射線が被っている為だ。………ん?

「おい!それブレスだぞ!」

 

ゴオオオオ………!

 

寒!避けたのにこの温度か、俺自身の耐性とマフラーありきでコレだ。直撃したら間違えなく死ぬ。後ろを千里眼で確認するとルシアの前には障壁が貼られていた。なんとか間に合ったか、まあ、こっちも見ながら移動しているのでなんとか刀の届く距離まで来た。挨拶代わりに下顎の裏に一閃、が結界に阻まれた。まあ、固くなさそうな所や急所は警戒するわな、反撃として迫る牙を躱し、目を狙って動きに合わせて添えるように刀を置いたが、結界のせいで外側に弾かれた。なら探すのと反応できない速度を試すために刀を逆手に持ち、龍の頭から尾を目掛けて全身を駆ける。………手応えはない。

 

《対象は全身を結界で覆っているようです》

 

………今言われてもねぇ、さてどうしたものか、っと思案していると空中か数発の弾丸が結界に穴を開けて爆発した。………なにアレ、クロエに火魔法は使えなかった筈だ。となると………

 

《レアが開発した銃弾です》

 

そうか、作り置きは別に今の分以外もあるか、今のは指図め徹甲榴弾か、ただ、結界は貫通しているが鱗まで辿り着く頃には貫通力が無くなっているので致命傷を与えられない。爆発力も小さくないが、相手が大き過ぎる、俺なら結界を侵食して突破できるが、時間掛かりそうだな、まあ、尻尾のあたりに取り付いてるんだが、普通の人なら爆風の煽りを受けるが、俺には炎熱無効がある。火そのものは魔法であろうと何とも無い。風圧の耐性も多少あるので問題ない。

 

《低温無効を獲得しました》

 

おし、これでよしっと、マフラーを外して投げる(隔離で回収)。………あっ、バレた。尾から手を離し、流れに身を任せ、距離をとる。他にも幾つか拝借させて貰ったが、まだスキルは残っている。粗方有用そうなスキルは貰ったが、まあ、止めでいいか、

「クロエ!さっきの徹甲榴弾と予備の弾をくれ!」

「は、はい!」

二発の弾丸が放り投げられる。それを………軌道が違うので隔離して手元に出す。

「ルシア!注意をそっちに引いてくれ!クロエは止めの一発を撃つ準備をしてくれ!」

意識がルシアに向いたのを確認して、足元に結界を出し、そこに腰を据える。弾丸に刻まれた刻印を分析する。緻密な刻印は高い技術が要求される。使い捨ての一発の弾丸に刻まれるには勿体無いと思える程だ。ただ所詮一発の弾丸、刻める面は狭い上に曲面だ。正確に刻むのも難しい。特徴としては弾体の先端に結界が貼られる刻印と残りは爆発。弾体の先端に軽金属等の物で覆う事で弾体の保護と食い付きを良くして貫通力を維持する、先端の結界はそのための物だと考えられる。代行者、刻印の案を頼む。

 

《分かりました………完了しました》

 

仕事が早いね。そのイメージを読み取り、素早く書き込む。ここなんか空いてるから薔薇でも彫っとくか、隔離してクロエにパス、クロエの狙撃の腕なら当てるのは問題無い筈だ。上空に発射炎(マズルフラッシュ)を確認した直後爆発が起きる。龍の真下で、すごい爆発。当たったら真っ二つに出来たはずだ。

「クロエ!もう一ぱ………」

『おぬし!待つのだ!』

 

ん?

 

『一体何者じゃ?!そのステータス偽装は傲慢に属するスキルを持っておるな、しかもさっきの魂を直接侵食するのは………冒涜じゃな?』

「なんだ、話通じるのか、流石賢龍の眼を持つだけあって頭は良いらしいな」

『なんだ、ではないわ!死ぬじゃろ!あんなもの!貫通したからいいものを身体の中で爆発しとったら千切れ飛ぶわ!』

 

あっ、当たってたんだ、少し結界を強くし過ぎたか、当たったと思わしき場所を見ると再生で塞がっていたが、鱗に微妙なズレがあった、それと自己再生とか持ってる敵には銃はあまり有効的ではないかもしれないな。何か他の手を考えないと、

『おぬし、聞いておるのか?』

「いや?それよりなんであの街に向かってたんだ」

『聞いとらんのか?!………はぁ、ただ美味いものがたくさんあるらしいから来てみたのじゃ』

威厳もクソもねぇな、と思ったがそれは口に出さないでおいてやろう。

「ああ、それはこの街を防衛する為の囮だな、トカゲの尻尾切りみたいなものだ。人間なんぞより美味いものがあればそっちに行くだろう?」

『うむ、そうだな』

 

おい!コイツ人食ったことあるのか?!疑いの眼差しを向けていると、

『………わしは人は食わんぞ』

と言われた、まあいいか、

「飯が食いたいだけなら食ったら帰れよ」

『ぬう、仕方あるまい』

ふぅ、物分りのいい奴で助かった。結界から要らなそうな魚を出してあと都市周辺から見繕ったのを混ぜて龍の前に出してやると、暫く食事をした後、反対方向に飛んでいった。………さて、帰りますか、

 

昨日はよく寝た。一応大事をとって授業だけに済ませた、なにせ今日はまたケーキを売り出す日だ。昨日はアナスタシアとレアが作り置き分を準備してたし、材料は足りなければ芦原さんに調達してもらう。まあ昨日は昨日でちょっとした実験をしたので魔力が少なくなっている。まあ、それを見越して魔力自動回復を10になるまで吸収したのだが、まだまだ魔力が足りない。

『『おはようございます。ご主人様』』

魔力が制御出来るようになってから改めてランタンを改良して、新たな機構精霊を作った。それで魔力を二つの機構精霊に半分づつ魔力を与えた。代行者曰く、俺の魔力の半分が機構精霊を作れる限界の量らしいので、魔力切れ時の実験も合わせて行った。魔力切れになると頭痛、吐き気、倦怠感に襲われ、暫く、身動きが取れなくなる。っで魔力切れが落ち着いて来た時に出来た機構精霊を確認するといつもの眩い光がしっかりとした形を持っていた。片方はひし形のクリスタルを思わせる赤とキラキラの粒子のようなものを周りに放出しているように見える。もう片方は剣の形しており、淡い青の光とこっちの光の粒子はスノードームの雪を思わせるように狭いランタンの中を彷徨っている。そんで昨日要望を聞いたのだが………

『姫は身長は向日葵やレアくらいで、胸は………クロエやクロシェットより少し、少しだけ小さいくらいで』

『小生は………アナスタシアやノルンくらいの身長で、クロエやクロシェットぐらいの胸で』

 

 

 

………お前ら滅茶苦茶バランス悪いな。

 

「朝日はともかく、月夜はバランス悪いから、胸少し小さくか、身長伸ばすか選べ」

『…………………じゃあ身長』

といった感じで胸にはかなりの執着が見られる。他にも細かい要望を詰めていると、

「あの……休憩に紅茶はいかがですか?」

クロエが紅茶を持ってきてくれた。有り難い、アナスタシアとレアは店の準備に追われているので二人の手が空いてないときは大概クロエが身の回りのことをしてくれる。向日葵とアリスは俺が絡むと思考が斜め上に行くので何かとやり過ぎる。……うん、落ち着く。

『やっぱり、姫も同じ大きさにしてもいいですか?』

「…………わかった」

このタイミングで言われるとクロエの胸元にチラッと向いた視線を読まれた気がする。男だから仕方ないでしょうに、

『やっぱり大きい方がいいと小生も思った。ペタン娘は無い』

「あのあのー、なんか〜ディスられてる気がしたんですけど〜、気のせいですかー?」

ゆらりとした動きで部屋の入り口に現れたレアがぱあ、と言う笑顔とは裏腹に天使系とかに関係無く殺気を出してる。だが、部屋の入り口に留まるのは良くなかった。廊下に響く足音がこちらに向かってきている為だ。

「お兄ちゃんー!助けてほしいにゃ!」

 

ドン!ズザー……

 

正しく跳んできたクロシェットの胸がレアの顔面に当たった。柔らかさ故に衝突時の衝撃は少なかっただろうが(スローで見たら水風船みたいだった)、反発力も合わさった総合的な運動エネルギーで廊下から玄関までぶっ飛ばされた。吐血する辺りがやたら芸が細かい。ちなみにこの血は血糸・無形(ティルフィング)と同じ物だ。レアの内部に少量だが使用されている。床に吐いた血も本人の意思でも回収できるし、一定距離離れると回収される仕様だ。駆け寄ってやりたいが、多分駆け寄ると死ぬ前に〇〇したかった、みたいな要望を言われそうなので安定のスルー、少し間があって、クロシェットに続いてアナスタシアが入ってきた。

「マスター………ちょうど良かった、聞いて」

アナスタシア曰く玄関、風呂場、キッチン等のマットで寝られるのがかなり迷惑らしい。クロシェットのスピードだと検知出来ないし、さっきまで居なかったのに次の瞬間にいる事があるので回避が難しい。………という話をしている間、クロシェットはと言うと………

 

シュバババ………

 

………部屋の中を縦横無尽に駆け回っている。

 

「クロシェット」

「にゃ!」

俺の前に止まるクロシェット。

「迷惑になるようなところで寝るなよ、眠くなったら部屋にベットだってあるんだし」

寝る必要とか無いのだが、部屋は各々あり、その部屋に何も無いのは味気ないのでベットを置いている。後は本人の好みでいろんなものを飾っている。

「わかったにゃ!」

「もうやめてよ」

「ごめんなさいにゃ」

「…………何のマネ?私の方がお姉さん」

「にゃー?頭が撫でやすい位置にあったからつい、にゃは」

「………………もげろ」

クロシェットの胸にアナスタシアが飛びついた。ガッシリと双丘を両手で掴んでぶら下がっている。微笑ましく見てると、入り口付近からウサ耳が見えた。

「ひっ」

すごい殺気、多分俺の知識をコピーしてるから、素で出せる経験は持ってる。主に殺気はクロエの胸に向かってる。短い悲鳴をあげたクロエは逃げ道を探すが、この部屋にそんなものは無い。がその空気を完全に無視した言葉聞こえる。ヒソヒソとだが、

こわーい、姫あんなふうになりたく〜ない

小生も右に同じ

まあ、レアにはヒソヒソ話の意味は無いのだが、あのウサ耳は飾りじゃない。殺気が俺の左隣に向く。

「聴こえてますよ〜?」

 

ニコォ……、という擬音が合いそうな笑顔で嗤う。こわーい、部屋から飛び出していく2つの光とウサ耳を見送ると、後ろでクロエがほっ、と胸を撫で下ろしていた。

 

 

ーてな、訳でね、全く準備が出来てねぇのよ。

「…………いや、無言で見られても分かりませんよ」

目は口ほどに物を言う。なんて諺があるが、自分が伝えたくない事ばかり語り、肝心なときに黙るんだよな、解せね、

 

シャカシャカシャカ……………

 

「あの、無言で生クリーム作らないでくれなす?」

まあ、俺にも料理とパティシエのスキルがある。なんとかなるだろう。というか………

「パティシエって職業だろ」

 

《職業に菓子職人が追加されました》

 

この世界大丈夫か?まあ、残念神達(あんなの)が統べる世界だ。忘れてたとか今作ったとかありそうだ。

「そっちの飴は少し色が変わったら言ってくれ、時間との勝負だからな」

ケーキにつけるのに普通の飴は硬い。なので糸飴用に溶かしてもらってる。あと芦原さんにキッチンペーパー、割り箸、麺棒その他諸々いろいろ用意してもらった。あっちにいた頃よりも道具が充実しているのは皮肉な話だ。

「芦原さん、ベースに業務用アイス出してください。バニラで三つ、それとラズベリー、さくらんぼ、あとナッツを追加でお願いします」

レアはあっちの方でチョコの湯煎をしている。あれ以降スイーツ関連の店がこの街に来てるらしいのでその牽制も兼ねて、俺が大きなスイーツを作ることにした。

「飴、変わってきた」

「お、ありがとう」

小さめの容器に入れて、麺棒に垂らす。暫くしてからそれを引っこ抜くと飴のトンネルが出来る。残りは箸に垂らしとく、

「あのあのー、チョコも多分いい感じ〜?っになってきましたー」

「そっちは一回見本見せるからあとはその通りにやって冷蔵庫に、残りは俺が書く」

「はいー」

前もって膨らましておいた小さい風船(ちゃんと洗いました)を結び目を持って、適当なとこまでチョコに沈める。風船が見えなくなるまで沈めてはいけない。次はキッチンペーパーに網目状にチョコを垂らして、あとは適当に………

「………結界って型に使えるかもな」

イメージで作った結界にチョコを入れて………冷蔵庫に入れて待ってる間ずっと使いっぱなしは面倒なので前に会った豪雪龍から拝借した。凍結魔法で一気に凍らせる。これで後からドライヤーとかで溶かして付けるみたいな事はしなくて済むな、後は生クリームを量産する。………あっ、ドライヤーだが芦原さんのスキルを強化して知ってる物だけの制約を取り払った。そんでもって発電機を買った。ただ、初めはスキルを使う際に使う魔力が完全にオーバーしてて失敗した。なのでそのあたりを弄って、金額が増える方向にした。ルールとしては体積、重量に左右されるようだが、結構無理やり弄ったのでイマイチ全容が掴めていない。総合的に金塊を30本位使った。………騒音がなんとも言えない。さてと、後は一気に仕上げるか、

 

「「すっごーい!」」

「あれ、全部お菓子なの?」

「…………大きい」

ふうー、キツイわ、もう少し飴で遊びたかったが、土台は業務用アイスだがらな、生クリームやフルーツなんかで四角いのを誤魔化しているが、なんかこう………こういうのは1から作らないとモヤモヤする。上にはチョコの装飾を高く塔のようにした。網は適当にそこら辺にブッ刺す。結界のお陰で曲線も美しい艶が出ている。飴は透明感が神秘的な印象を作り出している。余った分は纏めて菓子として、風船チョコと一緒にケーキの上に配置した。風船についてはチョコを凍らせてから針で風船を割って取り出してある。これでドーム型の空洞チョコが出来る。後は表面に(風船を割る前に)スプレーなんかで色を付けたり、粉砂糖を眩したり、後は好みで配置する。でムースでチョコの根本付近に池っぽいものを作る。食べるのが勿体無いと思える位には装飾は完璧だ。

「これは………凄いじゃないですか!」

 

………あれ、この声は、

 

「これはこれは、エドガーさ………」

丁寧に応対すべく、挨拶をしたのだが、俺の挨拶を最後まで聞くことなくエドガーは俺の手を掴んだ。

「この素晴らしいケーキは何方が!?」

 

 

 

 

………まず落ち着こうか?

 

後ろのエリーはケーキに釘付けだ。まあ、みんなケーキを見てるんだが、客寄せ目的なので目的は達成している。今回は店頭で売るスタイルに変えた。プリンは準備した分しかないので数量限定にしておいた。エドガーは………応接室を借りるか、

 

貴族の話は長い。要約すると、あのケーキは素晴らしい。今度のパーティーにケーキを作って欲しいとか、主にはこんな感じだ。その間切り分けたケーキを親子でつついていた。まあ、気軽な感じなので、ただケーキを食べに来ただけだろう。なので、

「あ、プリン作ってきますね。それとここの代表の藤白も支援して頂いているお礼を言いたいでしょうし、私はこれで」

親睦を深めるのも仕事だ。それにプリンは俺の能力で時短できる筈だ。まずプリン液を準備して、小型の容器に入れる。次に液体から熱を冒涜で奪い、凍結魔法で少し冷やす。ここから隔離して時間を経過を早める。完成予定時間は?

 

《2分です》

ー2分後

 

チョイ凍りすぎだな、次は途中で出だして様子見………いや、未来視で狙った結果を探るか、

 

ー5分後

 

「これ、応接室に持っていってくれ」

「わかりました」

クロエの持っているお盆にプリンをちょこんと乗せる。………お盆の殆どは胸に占領されていたので当たらないようにするのに苦労した。その背中をコケないか心配しながら見送ると、冷蔵庫を開ける。

「芦原さん、卵とチョコ、砂糖の補給を」

「おう」

向日葵は複数の手を伸ばして泡立て器を使って生クリームを量産している。アリスは接客を任せたが、計算がまだ駄目なのでクロシェットに計算結果を耳打ちして貰っている。この状態なら姿勢は全く問題にならない辺りはビジュアル部門一位は伊達ではないということか、

「さて、俺も落ち着いたし取り掛かりますか」

なんて言いながら各種金属を隔離空間から取り出した。

 

 

 




プリンを届けてもらう編



向日葵の場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「わかりました」
向日葵は満面の笑みでプリンを受け取ると、パタパタと走り去る。
「スプーン、忘れてる!」


アナスタシアの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「わかった」
お盆を掲げるアナスタシアのお盆にプリンをちょこんと乗せる。とてとて走る姿を微笑ましく見送る。


アリスの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「わかりましたわ」
優雅にプリンを受け取ると、その後ろ姿を見ていると急に止まった。
「スプーンの事を思い出したか?」
「………どちらに届ければ宜しいのですか?」
「……………」


クロシェットの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「わかったにゃ!」
クロシェットの持っているお盆にプリンをちょこんと乗せる。………片方だけでも凄い存在感だ。
「届けてくるにゃー」
一瞬で戻ってきた。多分俺くらいしか分からん速度だ。プリンに関しては千里眼で確認した所グチャグチャだ、あとスプーンは俺の足元にある。


ノルンの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「承りました」
ノルンは持っていたお盆にプリンをちょこんと乗せる。……………数歩で息切れを起こしプリン落下、すかさずキャッチした。


レアの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「わかりましたー」
レアの持っているお盆にプリンをちょこんと乗せる。……………
「何か失礼なこと考えてません〜?ふふふ………」

………気のせいです。はい、


ルシアの場合
「これ、応接室に持っていってくれ」
「了解であります」
ルシアが差し出してきた盾の上にプリンをちょこんと乗せる。……………
「………それはお盆じゃないぞ」
「も、申し訳ありませんでした!」

べちゃ、ぴちゃ、

頭を下げるルシア、ただ盾特有の曲面に乗せられたプリンがルシアの服に付く。
「「……………」」

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