この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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強さの謎が一つ明るみに!………|ロ゜)ハッ!


医術を追加


更にチートを!………あっ、ケーキ屋初めました。(試験的に)

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、他にもあるが前の世界ではよく聞いた言葉だ。俺としては芸術の秋だな、ただ、これは前の世界での話だ。

 

ブブブブブブ………

 

飛び回る黄色と黒の警戒色、ボーダーとも言うか?恵まれ余裕があるからこそ読書もスポーツも出来るのだ。冬眠する魔物からすればこの時期は蓄え、冬に備える季節だ。このあたりの危険な魔物はあらかた駆除したつもりだったが、それが災いしてか蜂型の魔物が大量発生した。ミツバチに近いやつだと有り難いのだが、残念ながらスズメバチ寄りだ(デカい)。仕方ないので隔離空間越しに殺虫剤を撒きまくった(提供芦原さん)。最後は隔離で纏めて火魔法で駆除したが、ギルドに出る依頼も桁違いに増えたがあまり纏まった金になりそうなのはない。でも、大丈夫!(通販風に)前から温め、準備していたものに取り掛かるとしよう。

 

「………卵の補充、お願いします」

「おう、任せい」

芦原さんに足りない材料の情報を伝える。

「マスター、ゴミ箱が溢れそう」

「わかった」

ゴミ箱に山ほど入ったゴミを隔離、森の方で焼き、肥料として畑に蒔く。

「この注文はどうしたら?!」

「そこの家族連れだ、焦らなくていいから確実に頼むぞ」

パニック状態のクロエに客を教え、落ち着かせる。現段階で8回こけている。キャッチとフォローはしているが、なかなかキツい。では何故、クロエにこの役割、もといフロアスタッフをさせているかと言えば人選の問題だ。

 

ー6時間前

 

場所は、異世界NGOアスメシア支店。

「ほうー、それで場所がいるんか?準備でいるもんあったら、用意しとくで」

「芦原さんには材料関係を頼みたいんだ。スキルをまた強化するので、それで卵とか材料を出してもらいます。主に補充ばっかりになると思いますけど、足りなかったら使ってください」

錬金術で作ってきた金塊をテーブルに置く。

「い、いやええて、ホンマに………」

「いえいえ、予備みたいなものですよー(棒)」

「予備て………こんなん預かりたないわ!」

「藤白、計算は出来るか?レジやってくれ」

「………僕もですか?」

「あー、…………やっぱ、いい。ここのトップって事になってるのに働かせるのは不味い」

 

あっ、ターザンは戦力外だ。もう一人は今出てるみたいだ。手紙の配達依頼を受けたのでしばらく戻ってこない。それと向日葵とアリス、ルシアは居残りだ。あっちを完全に開ける訳には行かないし、不安もある。名目としては留守とルシアの事を頼んだのだが、

「アナスタシアとレアは厨房を頼む。ノルンはレジを、クロエとクロシェットはフロア、俺は手の足りない所を埋める」

「……………これで、いいの、デスカ?」

「普通は無理ですよ。普通は、ですけど北川さんが足りない所を埋めると言ったら、どんな手段を用いても埋めるでしょうね………」

 

何その表情、藤白はどこか遠くを見つめている。そんなに大変な事をするつもりはない。前に言ってたケーキやお菓子を売る店を(実験的に)ここに構える事にしたのだ。まあ、多少問題も発生する。クロシェットの動きが速すぎて生クーリムやイチゴが置き去りにされたり、壁に叩きつけられたりと、客に不気味がられたので、間に合っていないレジに早々に回ってもらったりした。ただそのせいで、フロアがクロエだけになってしまったので俺がそこを埋め、現在の状況に繋がるのだが、

「おい!あんたじゃなくてあっちの嬢ちゃんが持ってきてくれねぇと」

 

―とか露骨に言われる。男性の客はケーキなんかより美人の方が目当てだ。仕方ないので、ちょっと前に買っておいた。ローラブレードを履き、なんとか文句を減らせるようにパフォーマンスする。勿論仕事もするし、転けたクロエのフォローもする。某ネズミの遊園地のキャストのようにスタイリッシュに各テーブルを回る。危険が伴うので本家はやらないと思うが、………俺も教師としてオススメしない。

「oh!fantastic!………あ、あの人って、hmm………何シテル人なの?」

「…………何と言われても」

「aha、元々の………職業のお話ネ」

「本人曰く教師だそうです。あ、ティーチャーです」

「teacher?ニッポンのteacherはスゴイネ!」

「………………多分あの人だけです」

「当たり前や、堅気の人間があんなんばっかりやったら、たまったもんやないど」

なんか聞こえるけど無視、今はそんな余裕はない。後で戦闘訓練をするからその時にゆっくり話そうか?

「ひゃっ!」

短い悲鳴、またか、滑り込んでクロエをキャッチして、持っていたお盆に落下するケーキを受け止める。逆さま向いてるのが一個目で良かった。皿の方から触れて引っくり返してワン、ツウー、お盆が埋まったので紅茶の入ったカップを反対の手でキャッチ、続けて前腕、肘、………うわ、ポットまであった。仕方ないので結界を解いて(あったら確実に割れる)頭でキャッチ、痛え、………取り敢えず表情から笑顔は絶やさないのは大事だ。目が開いてるかどうかわかんないとか言うなよ?

「本当にすいません!さっきから転けてばっかりで」

「気にしないの、クロエはもっと肩の力を抜く。そしたらいつも通り出来るよ。えーとこれは?」

「へ?!あっ、………えーと、ごめんなさい、忘れちゃいました」

 

代行者ー?これ何処のテーブル?

 

《13番のテーブルです》

 

「じゃあ、持っていとくよ。13番だろ」

 

確か男の客しかいなかったとこだな、届けるのは問題なかったが、視線がなぁー、

「おい!砂糖が無いぞ!」

「は、はい!すぐ持ってきます」

パタパタと厨房に駆け込み、直ぐに替わりの砂糖を持っていくクロエ、砂糖は貴重だが、ここではセルフ、好きなだけ使えるのでたくさん使う人が多くて結構減りが早かったりする。その後13番テーブルの客は大量の塩を喰らうことになった。

 

「またのお越しをお待ちしておりますにゃー」

後半はノルンが計算に疲れていたのでクロシェットがレジを打ち、その計算結果を言ってお代を受け取り、また計算してもらい、釣りを渡す感じだった。と言うか藤白(自主的に来た)もそれだった。まあ、その辺りはクロシェットが超速でレジを打っていた。自分の分も含めて、それと食い逃げ確保もクロシェットの仕事だったりする。現行犯を教えてくれるのは代行者なので俺は一言声をかけるだけで済む。大体直後に確保されている。ただ、レジから一瞬クロシェットが消えるのがネックだが、次の瞬間に戻ってくる。きっちり相手をしていた客の対応を終えてから、次の客がレジの前に来るまでに………えげつない技だ。

「ありがとな、これは給料だ、またやるからその時は頼むな」

「え!?わ、私受け取れません!」

「ありがとにゃー、管理はお兄ちゃんの方でお願いするから、持っておいて欲しいにゃ」

「マスターは必要な物はみんなくれるから、大丈夫」

「私の保護者はお父様ですし、私はお金いりませんし」

「私もいらないですね。頼まれ事でしっかり頂いてますし」

「一応受け取っとけ、何かに使えるかも知れないし、もしもの時のためだ」

 

何か壊した時に弁償しろとか言われたとしよう。その場に俺がいなきゃ完全に無一文は駄目だろう。改めて思ったので、強制的に持たせるために個々に言いくるめる。それにぞれぞれ自由に出来る事がある方がいいに決まっている。それと芦原さんにショバ代………施設の利用料を渡し、材料費(芦原さん提供と錬金術以外)諸々を引いたが、かなり手元に残った。…………これはちょっとやっちまったかも知れん、仕方ないので素早く市場に流すべく、宴会を催すことになったが、食料を芦原さんが提供してくれたので無意味になってしまい。結局人形用の材料を買い足し、いつもの材木屋や石材を買い求めるべく走り回った。これで酒屋なりが2次的に潤ってくれればいいが。

 

最近、なかなか布団から出られない。なんてことは無いが、倉庫ばっかり増えてる。………なんか他のものを作らせないといけない。

「先生!」

「先生ー!」

「主よ!」

「どうした?ウィルは主って言うのやめろ。何回目だ」

一人は倉庫を作ってたものづくりチームのドワーフ。覚えがいいし、技術もすぐ自分の物にしている子だ。見た目はちっさいおっさんだが、俺より若い。名前はエレク、もう一人はサラマンダーの少女、裁縫以外には精力的に顔を見せている子だ。裁縫に出ないのは糸を導火線の如く燃やした事があるため、名前は、タージャ、最後は俺を主と呼ぶ事でお馴染みのウィルだ、

「先生!僕たちに自動人形(オートマタ)の作り方を教えて欲しいんです」

 

あー、遅かれ早かれ来ると思っていたが、来てしまったか、

 

「教えてやりたいのは山々なんだか、危険だから教えられないんだ、俺のやり方は」

「お願いします。教えてください」

「私達には到底及ばない神のみわざである事は重々承知しております。ですが……」

 

いや、そこまで大層なものじゃないから、前提として炎熱無効、それと加工に関するスキルがいる。人形作成と義体・義肢作成がこれに当たる。………はずだ。

「…………一回見てから、やるかどうかは決めてくれ、少し見せるから待っててくれ。」

最近手に入れた。金属を試すいい機会でもある。そうと決まれば炉に火を入れる。今回はミスリルと合金で作ろう。木目模様にも見える金属の塊をミスリルと一緒に入れ、最近作った二本の型に流し込む。後は型から取り出し、……なんか微妙な色合いになったな。茶銀?に球体の関節を用意、暫くは刻印を描く地味な作業となる。関節に関してはもとから刻印が施されているが、ここはアダマンタイト製だ。その間にアダマンタイトを溶かしておき、薄い膜のようにしておく。万能結界に炎熱無効を付与し、薄くする。後は補強の意味もあるが芯にアダマンタイトとオリハルコンの合金で覆い、整形、仕上げにアダマンタイト泊を巻き付けて熱で貼り付かせて完成。継ぎ目もないリアル(今は真っ黒だけど)な腕の完成。多少金属は変わったりするが、関節と表面のアダマンタイトは一緒だ。ただ泊と言っても振ろうが押そうが、撓むことのない鉄板なんだよな。

「少なくとも炎熱無効と結界は必要になる。後は刻印を使う知識も必要になる。どうする?」

 

「あの………」

「どうした?エレク」

「先生は他にもスキルがあるのでは無いですか?やっぱり職人として隠しおきたい事だと………」

「ちょっと待ってくれ、どの辺りがそう思ったんだ?」

 

別に俺は何かを作為的に隠したつもりは無い。他の要因とは何か?自分の視点だけでは気づけないことがある。

 

《芸術10の影響です》

 

そうだね、お前も居たね。でも今は黙っといてくれる?代行者、

 

「まず、描かれた刻印の意味が解らないのと到底真似出来ない細かさと正確さで書かれている所です。重複陣なのは確かですけど、それだけでは無いですよね。………それと、いつも使っている魔法もそうですけど、精密ですし、異常に発動が早いです。」

 

なるほど、では代行者説明頼む。

 

《魔法陣については、同じ部分を共有して複数の魔法陣を繋げて円柱状になるようにしました。それでも開いた箇所には魔法陣を複数重ねた重複陣を入れています。描く技術については芸術の絵画と彫刻の影響でしょう》

 

………え?もしかして、武芸と同じパターン?統合されてる感じ?ちょっと待って…………………10だよね。内約は?

 

芸術10 内約

絵画10 色彩10 造形10 彫刻10 陶芸10 庭園10 鍛冶10 工芸10 華道10 書道10 建築10 演劇10 裁縫10 舞踏10 茶道10 作法10 医術10 料理10 パティシエ10

 

《芸術に人形作成、義体・義肢作成が統合されました》

 

《北川 龍登は類稀なる表現者の称号を獲得しました》

 

「…………………」

「先生?」

驚く気力もない。何か待ってましたとばかりに、増えたけど、嬉しくないし、何?類稀なる表現者って、

 

《芸術に関連するスキルを極めた者に贈られる称号です。芸術に連なるスキルの効果を大幅に向上させます》

 

更にか、次作ったらどうなる事やら。……………はぁ、わかった事を掻い摘んで説明したが、更に意欲を湧かせていたので必要なものだけでも教えて行けばいいか、ただ芸術関係のスキルは全て完成度補正と言うものがあるらしいので同じようなものを作ろうとすると四つのスキルとレベルを習得、カンストしないといけないそうだ。まあ、それ以上取っても完成度補正は限度一杯なので変わらないみたいだ、あとこれだけのスキルだ。日常生活や戦闘においても何らかの影響を与えている可能性がある。その辺りも後々調べていかないといけないだろう。

………吐いたため息が白くなるにはまだ早いようだ。


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