この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

51 / 86
S………だと、

あーあ、疲れたー。今日もアイスが盛況だ。暑いし、俺も食ってる。あれから三日間ベルナーの冒険者ギルドに行っては依頼をこなしている。アスメシアは依頼が少なくなってきているので、他の街に移動できるのはありがたい。まあ、理由は他にもある。

「ノルン、次の角曲がる。何があっても攻撃はするなよ」

「分かりました」

ちなみにノルンは肩車している。歩幅を変えず、身構える事なく路地に入っていく。

「よう、敵対組織がいなくなってのびのびいろんな所に手が伸ばせる筈なのに何に怯えてるのかな?ゴールドアイの首領さん、」

「………そうですね〜。いや~、三日前の混乱に合わせて行った薬の荷から火が出ましてね?今朝も密輸しようとしていた動物が逃げたり、消えたり、今も不定期の会議をしようとしていたら、突如、街を訪れた凄腕冒険者に見つかってしまいますし、いやはや、参りましたな〜」

見た目四十代、格好も綺羅びやかな物とは対象的な、俺がこっちに来たとき買った農夫が来てそうな服を少し清潔にした感じの茶色の服に、その上から胸から膝上までを覆う濃い茶色エプロンを付けている。パン屋とか言われたら多分疑わないだろう。優しそうな微笑みを浮かべている。………まあ、こいつの表の顔はパン屋なのだが、

「ゴールドアイの首領ってとこは否定しないんだな」

「今更否定してもねー……手口とか色々分からないけど、全て君が来てから起こってることだしね。………で、何の用だい?」

「新作の豆パンの試食、だろ?」

「………全く、ほら、感想を聞かせてくれないか?世間話でもいいよ。」

「………塩が効いてるな。ちょうどいい塩梅だ。………薬物からは手を引いてくれ、武器はご自由に、それと、奴隷関係だが………」

「うちは手を出してないから、その辺りはちょっと苦手でねー」

「だろうな、」

「………やっぱり君は凄いね。と言うことはあっちも知ってるのかな?」

「………見世物か?別にそれは自己責任だし、好きにすればいい。それと薬分の補填は、食糧難の所や戦争準備中の国とかの情報と、運搬関係の支援をしよう。」

「なるほど、…………では、私はどうなるのかな?」

「どうもしないよ、強いて言うなら空いた時間は、息子の相手をしてやれよ、じゃ、豆パンうまかったぞ、今度は甘く煮た豆を使ってみるのもいいと思う。………それとパン屋の店主が毒ナイフ持つのは宜しくないよ。」

透明な液体の入った容器を見せつける。食らうつもりはないが、解毒薬だ。豆パン貰う時に擦ってみた。

「正直、僕もビックリしたよ。意識を逸らすのはプロだけど、手の動きに迷いがあったからね、すぐ気付いたよ。………隠し場所には自信があったんだけどねー」

ダメ出しくらった。………まあ、犯罪だし、躊躇いますよ。躊躇わない時は基本やるかやられるの時だけだし、境界線はどんなに歪でも引くことに意味がある。今度からは隔離任せにしよう。ちなみに隠し場所はズボンのアップリケの下。多分熊、馬鹿デカイ、

「ああ、それとそっちの方で処理して欲しいものがある。場合によっては金になると思う。お前らのアジトに送っとくな。」

「プレゼントかい?」

「プレゼントだとしたら、センスを疑われそうだしな、………ま、今後とも頼むよ」

さてと、じゃあ行きますか。

 

「ボス、緊急事態です。アジトの方に………」

「ここで要件はいいよ、………死体だろ。頭と双斧の首魁の」

「え!……………ええ」

ゴールドアイのボス、モリソンは思考を纏める。報告に来た彼は幹部である。しかも顔色がかなり悪い。さっきの話だと処理して欲しい死体を置いておくだけのばず、人か?場所?はたまた状態か?思考を巡らせても答えは出ないので自らの目で確認する事にした。

 

「ふむ、………これは実験かな?」

「え?!………一体、なんのですか?」

じっくり見たところ目的もなく切り刻んだ訳では無さそうだ。共通点は眼球が無い、手の平、足の裏は焼かれ、爪と歯は全て無い。それ以外は差をつけるようにバラバラ、いや、一度バラバラにしてから付け直した。切断痕はないが、腕の長さが左右違ったり、肘や膝があったりなかったり、二の腕が異様に長かったりする。十三体の異形が転がる中をモリソンは一体ずつ観察して回る。開腹したままの物もあれば、縫合された物もある。見えないところは臓器を上下にずらし、違いを探る。

「なるほどね。解剖練習か、それと一部たけど、腎臓とか、肝臓とか摘出されてるのがあるね、こっちの頭部に至っては脳だけ抜いて、元通りにしてある。…………上達とかそんな言葉で片付く次元じゃないね。ほら」

モリソンは脳が抜き取られた頭を呼びに来た幹部に放る。

「うわ!ちょっ、……やめてください!心臓に悪いですから!」

「…………全く、何故私が解剖医の真似事なんかを」

そう言いながら手を洗いに部屋の外に出ると胃酸の酸っぱい臭いが立ち込めていた。

「…………情けないね~」

 

「お、お帰りなさいませ。マスター」

今日はクロエが出迎えてくれた。不安な気持ちになる。何故?理由は簡単、アナスタシアとノエルは街に行く時は必ず連れているから、料理を生ゴミ製造機ズの担当になるのではないか?という。それとアナスタシアの付き添いは当番制でサイクルしている(今日はクロシェット)。

「「食事の準備が出来ました。ご主人(様)」殿」

………迎えが来てしまった。

 

「お待ちしておりました〜、旦那様ー」

ウサ耳を生やした控えめな印象のメイド服(スカートとかが長いオーソドックスな奴)で迎えてくれたのはレアだ。ちなみにギフトは毒という意味がある。それとこれはレアのステータスだ。

 

レア・ギフト オートマタ

機構精霊 真実の紫水晶

パーソナルスキル 真摯 啓示ノ使徒

スキル 家事7 医術6 技術6 跳躍4 自動修復3 探知2

耐性 毒・酸無効

称号 生きた人形 魔術師

 

家事 内略

料理6 掃除8 洗濯8 催淫8

 

技術 内略

罠・工作10 鍛冶6 裁縫4 解体4 

 

啓示ノ使徒 内略

戦士ノ守護者 毒や呪いを退け、戦う味方を強化する。戦闘を中止したり、前線から後退すると強化が消えるが、支援や回復の効果が上がる。なお、支援や回復は受ける場合も上がる。

 

原初ノ秤 調合の量を測り間違えない。少し先の未来が見える。

 

真摯 内略

弛まぬ努力 技能系スキルの成長を早め、新しいスキルを習得し易くする。

 

絆の加護 人望や人間関係の繋がりの強さや多さに応じて妨害効果を防ぐ。

 

……………記憶のコピーを渡しただけのはずなのだが俺に無いスキルがある。攻撃スキルは罠くらいしか期待できなさそうだが、支援と防御に特化している。そしてしれっと家事の中に紛れ込んでいる催淫、それと魔術師、これ何?魔法系のスキルは持ってないのに何故付いた。

 

《それは魔法ではなく、器用さを向上する称号です》

 

あー、なるほどね。………いや、何となく分かってたけどね、視線を横に逸らせば台車(配膳用、三段式)に乗ったクロッシュが目に入った。

 

………………いや、中身見えないって怖い。この流れはレアが作ってくれたんだと思うけど、まだ見た訳じゃないからね。うん、と言うかいつ作ったクロッシュ、

「お席にどうぞ〜、」

「ああ、うん」

レアが引いてくれた椅子に座ると、目の前のクロッシュが開かれる。……………ん?

「これは?」

……………いやね、何かはわかるよ。でもこれクロッシュに入れる?作り方はわかるよ、でもどうやってこっちで作ったのこれ、

「メロンパンです」

そう言って持ってこられたバスケットの中にはおかわり用と言わんばかりに、ドーナツや焼きそばパンのような惣菜、菓子パンが大集合。…………ただ不安なのはまだクロッシュがある事と、メロンパンの横にスープがある事。間違えなく味噌汁(スープ用の平たい皿に入ってる)、

 

結果だけ言おう。レアは味覚音痴ではなかったが、アホだった。俺の記憶のコピーから好みを探し、完全再現するまでは良かったものの、これでは再現しているだけだと思い、オリジナリティーを出そうと迷った挙句、美味しい+美味しい=超美味しいの理論で組み合わせ始め、こうなった。現在は合わせる前の段階で個々に食べている。なのでデザートで石焼きビビンバとシュークリームが一緒に出てきている。シュークリームはいいとして、石焼きビビンバはデザートじゃないだろ。

「まあ、知識と腕はあるんだ。………基礎から練習すればいいからな」

一つ先のテクノロジーをなんのノウハウも無く導入すれば、それに至るまでに必要な基礎が足りず、丸ごと崩壊なんてパターンもありうる。一歩一歩進む事は大切だ。

 

あれからなんやかんやあって冒険者のランクがBになった。一人で自由に動けると思っていろんな依頼をこなしてたらランクアップから一週間後に、Aランク昇級試験受けろと言われた。………いや、目的だけ考えて忘れてたが、デカい牛(食料確保)を三匹程倒したり、ゴブリン2、オーク1、オーガ1の集落を潰したり、派手にやり過ぎた気がする。依頼ではないが二匹ほどドラゴンも狩っている。解体はレアに頼んでいるが一人なのでいつまで掛かるか、

「………で、試験っていうのは?」

「来るまでに大半終わっておるんじゃがな…………、まあよい、この者と戦ってもらう」

…………道中は基本すっ飛ばしてる。ギルドに入った時の殺気のない(手抜きとも言う)奇襲ぐらいしか覚えないぞ。そうこうしていると、三メートルくらいの大男、いや、オーガよりがたいのいい巨漢と言った方がいいか?手足が木の幹のように太く、下から見上げれば飾りのようにポツンと頭が乗っかっている。

「戦闘試験を担当するウォーレンだ。条件としては、実力を示しせ………では、いくぞ!」

 

いや、早い早い、迫る拳の軌道を手を添えて逸しながら懐に潜り込む、………こいつ、速いな、正面から迫る膝を見ながらどうするか思案する。なんせこれは避けられん、両手で正面から受け止めるように手を前に突き出す。そのまま迫る攻撃に反発することなく受け止め、体に引き寄せ後ろに飛ぶ。それに合わせて膝に触れた手を押し返すように突き返し、空中で衝撃を殺す。代わりに結構後ろに飛ぶが、まともに喰らうよりはマシ、

 

「オラオラ!どうした、打ってこいや!」

 

………当然、追撃が来る。さっきの方法では一定以上の質量が乗った攻撃は防げない。よりによって下からすくい上げるようなフック、受け流しにくい。着地と同時に上体を反らし、バク転の容量で肘を蹴り上げ、距離を取り直す。強制的に最大まで拳を突き出させられれば重心が崩れる。本人の意思なら制御できるだろうが、ただこの隙を逃してはならない。拳を振り上げ突撃する。

 

「らあっ!」

 

迫る拳を横に飛び避けると、回し蹴りで横っ腹を捉える。効果は薄そうだ。

 

「うーん………硬いな」

手応えとしては壁を蹴った感じ。トーキックでこれだ、普通に殴ってもダメージは期待できない。距離をとっても仕方ないので更に距離を詰め、超近接短打をメインにする八極拳に切り替え、まずは急所、と行きたいが金的以外の効果が薄そう。なので内側からの破壊を目的とする。発勁や鎧通し、投げや運動エネルギーを使った攻撃の方が有効だろう。様子見に横っ腹に寸勁をプレゼント、

 

「おわっ!」

 

効いてるようだ。捻りをもっと加えてみよう。後ろに回り込み貼山靠、………よろけはするが、まだ決定打に欠けるな。発勁には練習法から抜粋すると三つある。最もシンプルな移動、推力を威力に変える、当。捻り、震え、体のバネを利用し威力を増幅させる、震。呼吸と機、全てを最大効果に合わせ、脱力から放つまでの攻撃を整える、零。………まあ、それ以外にも武術別でいろんなのがあるのだが(正直知らん)、震は体の使い方が重要になってくるが、威力重視で体を使うと、予備動作が大きくなる傾向がある。ならどうするか、絶対当たるタイミングを狙う。もしくはカモフラージュするだ。

 

「さて、終わりにしよう」

 

両手をペタリも付けるようにして、双撞掌を叩き込む。この技、防御しても半分はダメージが通る技なのだ。

 

「………ほら、Sランクのカードだ。無くすでないぞ」

 

……………どうしてこうなった。いや、俺が悪いのか、少し考えればわかる事だ。Aランクに上がるだけの実力を持っている者をテストするのに、現Aランクの者を使う訳がない。ウォーレンは現役のSランク冒険者だった。そして、冒険者登録の際に剣を使うと書いていたのが災いした、俺の方は武器を使っても良かったらしいが、そんなもん後の祭りだ。

 

ー要するに実力を見るだけで、勝てない相手と戦ってもらう予定が普段刀使ってる奴が素手で勝った。

 

「あの、Sですか?Aじゃなくて」

 

最終確認だ。多分どうやっても上げられるけど、

 

「当たり前だろ!俺に勝った奴をAランクにして置けるか!」

 

……………勝った地点で、駄目だったか。なんか頑張ったのに損した気分。見届け人となった魔法使い(ここのギルマス)は、慰めるように教えられた。

「何を気を落としているか知らんがの、ランクが上がれば、いい仕事も回ってくる。受けられる者も限られておるから、そうそう取られたりはせん」

まあ、メリットもあるがデメリットもある。俺が一番気にしているのは面倒くさい貴族だ、王族だのだ。ここのギルマスの話だと、強引な勧誘や、権力を振りかざす等には断固として対抗するそうだが、それ以外は個人の裁量に任せられるそうだ。やり過ぎなければどう料理してもいいそうなので、肩の力を抜く。

 

そのままさっさと帰ろうと思ったのだが、周囲の様子に違和感を感じたので、視線を走らせてみる。………あれか、

「その依頼、僕も同行してもいいかな?」

朗らかな笑顔………のように見えるだろうが、その内では冷徹に三人組(一人は女)の一挙手一投足、表情の機微を逃す事なく捉える。距離が近いと見逃すので、大きな身振り手振りを加えて近寄られないよう、不信感を持たれない位置と距離を保てる、もう一人のまだ少年と言える年齢の子供の少しに後ろに立って、

「誰だよ!」

早速噛み付いてきたな。でも君、騙されてるからね。そのまま付いてったら、攫われるからね。

「あー………、これパーティーの集団行動に慣れる為の練習みたいなもので、討伐と採取はおまけなんですよ」

 

ふーん、そんなのあんの?やったこと無いな。俺が飛ばしてるだけかもしれんけど、まあ、歓迎してないのは隠せなくていいけど、目が泳いでる。が、それより話すペースが予め決めておいたという感じだな、最初のためより先がスラスラと出すぎている。

「それに分前が減るんだろ」

「この人数では、一日の飲み代にもなんねぇしな」

「そっちの娘たちも来るの?くっついてるけど」

「ん?ああ、この子達かい?街に残ってもらうよ、ほら、これで帰ってくるまで遊んでなさい。あんまり買い食いすると晩御飯が食べられなくなるから程々にね。」

「「はーい」」

金貨と一緒にメモを渡す。隔離空間内で代行者に書かせたものだ。この間に男の表情を千里眼で確認する(後ろ向いてるから)。あー、………これは黒だな。気持ち悪いよ、その下卑たスマイル。女の方は金の算用をしているようだ。何が楽しいのやら、

「子供に金貨一枚とか………、結構金持ち?」

「まあ、それなりには、飲み代くらいなら奢るよ、依頼の後にね………あ、君も好きな物を飲んだらいいよ、お酒以外で」

これでまあ、世間知らずの、またはカモに見えるだろう。

 

「………行った」

「お父様も大変ですね。お父様の手を煩わせるお馬鹿さんは居なくなればいいのに」

「うん、………ところでそれは?」

「これですか?これはお父様が作ってくれた武器です。なんでもー、S&W M19をモデルにした。真理の銃(トゥルースマグナム)だそうです」

「………?」

首を傾げるアナスタシア。銃はクロエが使うので知っているが、何故ノルンには作った銃を与えたのか、

「………気になりますか?」

「………大体分かった」

読心が使える二人にとって言葉はいらなかった。ノルンは銃を時空間魔法のクローゼットに仕舞うと、行動を開始する。

 

さてと、どう出るかな?いくつか思いつく手は、戦闘で疲労した所を、信用を得てから不意打ち、人目のない場所で脅し、または実力行使、仲間を潜ませて奇襲なんてのもあるな、まあ、俺が警戒する必要なあるのは至近距離の不意打ちと、もう一人の連れてこられた獲物、この子をどう守るかだが、千里眼やら真理で調べたが、回収要員のようなのがいる。信用を得てからの不意打ちをすると言うことまでは分かったので、未来視で仕掛けてくるポイントを探る。この先に落とし穴があるな。ここか、結界で穴を塞ぐ。ついでにや落とし穴の下を確認にして方法を決める。

 

「うわっ!」

少年が落とし穴に落ちる。下には柔らかタイプの結界が貼ってある。俺は本来なら落ちる落とし穴の上に、………まあ、結界の上なんだが。

「ギルドの冒険者でも無いのに、新人教育とは、頭が下がるね」

「…………なんだよ、バレてたのかよ」

「………お前、何者だ」

「いや、なに、たまたま怪しい奴が目について、暇だし、捕まえようかなーと、丁度いい荷車もここに来るみたいだし」

木の棒を隔離空間から引っ張り出して、落とし穴の範囲から出ると同時に迫ってくる剣を弾き、短剣を叩き、一人に胸部の中心から腹部に一直線に三段突きを放ち、棒をクルクルと回して、二人の間を抜けるすれ違い様に後頭部に棒を当ててもう一人の意識を刈り取る。最後に距離が遠い女の喉元に棒を突き付けて終わりだ。その後、落とし穴の中の少年を引き上げて荷車を待つ間に状況の説明をする。

「何故、二人とも荷車に………」

アリスが荷車を引いてきた。俺の人選なんだが………、基本的な身体能力のスペックはアリスが一番高い。向日葵やクロエ、クロシェットは身体能力は高いが、それはスキルの影響、クロエの攻撃力は今のところ際限無く上がっている。少しなら速度も上げられるが、防御力は据え置き、むしろ攻防のバランスが偏るので脆くなる傾向にある。向日葵は強欲系の特性で、腕力以外は強化されていない。クロシェットは完全なスピード特化、しかし、スキルを抜きにした場合はアリスが最も高い身体能力を有している。そんな荷車には縛られた小汚い四人の男とそれを踏み、仁王立ちして風を切る二人の姿が、………まあ、アナスタシアとノルンだな、

「よし、あとはこれ積んで…………よし、帰るぞ」

「あの、あなたはギルドの冒険者………ですよね」

 

………まあ、売り飛ばされそうになってた訳だしな、未遂だけど、少年の不安を解消するために、カードを渡す。

 

「S………ランク」

あっ、さっき上がったんだった、Bのつもりで出してた。そこから少年は一言も発する事はなく、帰り荷車の上で固まっていた。こう言うのも突き出せば報酬とか出るのだろうか、なんて考えながらアリスの横を歩く。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。