この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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ギルドマスターに目を付けられた。

はぁ~、寝てないときついわー、そんなときの強い光は特にきつい。今日はこのまま寝てやろうかと思ったが、それを許さない者が。

『朝~』

『朝~』

『おはようです?』

『おやすみです?』

『マスター朝~』

『ご主人様です。』

『マスターです。』

『ご主人様です~!』

騒がしいー、頭に声が響くー、眩しいんだよこいつら。完成した機構精霊はランタンだった。術式に魔力を流し、中に火を灯す。これで完成したのだが、めちゃくちゃ明るいのだ。それが四つ宙を舞っている、寝れるか!

 

笑顔の向日葵

雪解けのエーデルワイス

蒼い紫陽花

妖艶な黒バラ

 

できた機構精霊のアイテムとしての名前がこれだ。全て花の名前が付いている。目立つので今は隔離してある。

「眠い………」

ギルド目指して、足を進める。今持っている魔石を全部、換金して、隣街に行こうと思っている。列車が通っているのでそれに乗っていきたいのだが、金貨30枚と高い。街でも買い物をするので、手持ちの金を増やしておきたい。目立つの覚悟で、さっさと受付を目指して歩くと背後に違和感、誰かが立っている気がした。

「中々腕のいい奴がいるな」

「これのことか?」

振り返り、刀の柄を向ける。ついでに威圧する、

「………只者じゃないな」

「お前は誰だ、俺は北川。金がいるから魔石を換金してもらいに来た」

シンプルに自分の目的を告げる。

「ここのギルドマスターのクライン、最近魔石を持ち込む奴がいるって、聞いてどんな奴か見に来たんだ」

「へー」

何かあるな、顔色を見る限り頼み事だろう。換金と移動に制限のかかること以外なら受けようと思う。

「魔石は魔物を倒して手に入れてるんだよな。だったら、戦い方と解体の方法を他の奴らに教えてくれ、頼む」

「解体は無理。戦い方は、どの程度か見ながらになるけどいいか? だだ一回隣街に行きたいからその後でいいか」

解体はしたことがない、だって纏めてライトニングだもの。

「隣街か、そりゃ金がいるか。往復考えると一ヶ月掛かるな」

「列車なら二日と聞いたが………異様な差があるな」

「列車かー、まあ、大差ないか。実は領地を移動する時に税を取られるんだが、貴族とかが道をわざわざ領地出入りするようなクネクネした道を作るように、袖の下を渡した………何て話がある、実際無駄に長くなってるから十中八九事実だろう。そのせいで列車でも歩きでも掛かる金が大して変わらん。しかもそんな作りだから、奇襲しやすい場所も多い、俺としても列車がおすすめだな」

地図とかがなきゃ分からんだろうな、どんだけ欲望剥き出しだよ。まあ、貴族とは、関わらない方がいいだろう。

「貯めてた魔石を全て換金してほしい。大体80個ほどある」

袋を受付に置く。周りが静かになった気がする。

「………」

「おいおい………明日まで待ってくれないか、そこまでとなると………」

黙る受付と呆れるギルマス、まあ銀行でも100万円近い金額をいきなり出すのは難しい。ATMだと一回では、出せない所もある。

「わかった」

「………助かるよ、今から時間あるか? 少し手合わせを頼む。実力を疑う訳ではないが、自分で確かめたい」

決意を持って見られると無下にはできない。

「場所は?」

「あそこの奥に訓練所を兼ねた庭がある、そこでどうだ」

「おう」

適当に返事をしてギルマスを鑑定する。

 

クライン

種族 人

スキル 剣術6 体術3 投擲1 罠1

耐性 火熱耐性6

 

俺大丈夫か、剣術とか体術とかないぞ、精々武芸3だ、

《武芸は五つ以上の戦闘スキルを統合したものです。尚、武芸のレベルは統合された物の平均によって決まります。》

 

武芸4 内訳

剣術7 体術7 棒術3 格闘術2 扇1   

 

よかったー、何か4になってる。ゴブリンが原因か? 扇とか使った記憶無いんだけど、あと体術と格闘術の違いがわかんない。

《体術は多くの戦闘スキルに関連する体捌きなどです。格闘術は相手を殴るなどの素手で攻撃するスキルです。》

なるほど、回避、移動が体術、格闘術が攻撃、こんな認識で大丈夫だろう。

 

目の前のクラインは剣を抜き、構える。こっちは刀に手を掛ける。

「抜かないのか?」

「わかってるだろう?隙を作りたいなら何か投げてみたらどうだ?」

恐らく間合いに飛び込めないのだろう。スキルに投擲があったので、それを勧める。何が飛んでくるか知らんが、

「そんなことで崩れるとは到底思えないが………」

「なぁ、何で真剣でやるんだ? 替わりの物とかないか? 峰打ちぐらいするけどさ」

「その方が本気でやってくれるだろう」

「そりゃそうだ」

「行くぞ!」

一気に距離を詰めて体を間合いの外に残し、突きを出す。それを抜刀し跳ね上げ、一歩踏み込みクラインの首筋に刃を添える。

「これでいいか?」

「………想像以上だ」

刀を鞘に納める。それと同時に光の塊が飛んできた。

『すごーい』

『パチパチー』

『………』

『ご主人様大丈夫ですか?』

一応見学させてみたが、………どうなんだろう? 参考になるレベルの戦いだとは思うが知識を先に与えた方がよかっただろうか? まあゴブリンでは技を見せる的くらいにしかできない。

「何か思ったことがあったら言ってほしい」

『はーい、かっこよかったー』

『はやい』

『私達には、とても真似できない、素晴らしい技術です。』

『あっという間で、凄かったです。』

少し個性が出てきたような気がする。ランタンの動きを見てもよくわかる。明るいオレンジの光を出す向日葵は今はぐるぐる俺の周りを回っている。定位置は俺の右側、白い光を出すエーデルワイスは頭の上に乗っている。蒼い光を出す紫陽花は俺の正面、移動中は後ろにつく、黒い光(禍々しくないよ)を放つ黒バラは左側を飛んでいる。

「また明日来ます。魔石の方をよろしくお願いします」

金と言うのは生々しいし、頼み事をするので一応敬語を使う、今更だが。今日は眠いのでさっさと宿に行く。勿論オートマタ製作の勉強は怠らない。


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