この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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区切りが悪かったので少し読みにくいです。あと長い。


終結とその後

「はっはははは!潰れろー!」

巨大な鉄の塊が轟音を響かせながら暴れる。千里眼で確認する限り、二人は無事なようだ。ビルの天辺(現在の)でこんな物が暴れて問題ないのか?と言うかどっから湧いて出たこのロボ。

 

《ゴルドーのスキル収納に入っていた物です。なおビルについては約五分後に南西に傾き始めます。》

 

ダメじゃん、うーん、ロボは始末したいけど、中身のゴルドーに死なれても困るしな、あとで責任を取ってもらうためにも、ロボの見た目は戦車のキャタピラを脚に変えたような感じ。ただ脚が太いし長い、運転席の上部までの距離が10メートルぐらいある。太さは立体駐車場の柱より太い。上の方には砲身も付いているが、ビルの上で打つ自殺行為は流石にしないだろう。まあまずは様子見がてら軽く攻撃する。刀に炎ではなく熱を帯びさせる。火魔法を熱の方向で発動させた物だ。

「ヒートエッジ」

眩しい程赤熱した刀で、脚を切断するつもりで斬りかかる。様子見と言っても時間がないので本気で攻撃する。

 

ジュワ!ガシャン!

 

………あっさり斬れた。輪切りになった脚部からは白い液体が漏れ出しているな。何だこれ?ER流体?

 

《違います。核竜の唾液です。燃料兼脚部を切り離し………》

 

直ぐに後ろに飛び退く。刀を追い掛けるように炎が尾を引く。代行者の言葉を最後まで聞かなかったが恐らく爆発物、または焼夷弾の類、………しかし、核竜ってどんな生き物だ。まともに食事出来んのか?

 

《口内に火打ち石の役割を果たす歯が存在し、それを打ち合わせる事で着火し、対象に吹き付けます。》

 

………それ、窒息死しない?核竜が、

 

《核竜の首には複数の………》

「何者だ!あいつ等の仲間か!」

あーもう、続きが気になる。斬れるのはわかったので一気に距離を詰め、残りの脚を斬る。続きはよ、

 

《核竜の首には複数の穴があり、そこから空気を六つの肺に……》

 

「北川さんー!」

「あー…………、えらい目に会うたわ、」

 

クソ、また良いところで、六つの肺とか気にならん方が可笑しいだろう。何でそんなにあるんだよ。………ちゃっちゃと、逃げますか、話なら移動中に聞けばいいし、

 

なんと言うか竜ってのはとんでもない生体してる。核竜は首の穴から空気を吸う。この穴は吸気専用、吸われた空気は酸素と空気中を漂う魔力とそれ以外に分けられる。ブレス等を吐く際、火が体内に入らぬように貯めて置いた窒素、二酸化炭素を口から吐き出す。肺が複数あるのはそれらを貯めておくためだ。魔力と酸素は体に吸収される。が、人とかなり酸素の吸収率が違うと考えられる。吐く分に酸素が混じってたら大変なことになる。次の時竜を狩ることがあったら解体してみよう。興味深い発見がありそうだ。

 

「………っで、これだけあれは叩けそうか?」

エドガーの前にゴルドー子爵の所から拝借した。書類がつまれている。

「これだけあれば、他国であろうと叩けるとは思うが………、」

そこでエドガーは口籠る。理由は幾つか思いつくが、これを出す事で自分の首を絞めかねない可能性があるからだ。襲撃して取ってきた物だしな、

「まあ、好きにしてもらえばいいです。こっちは打撃と回収が目的でしたので、」

「回収?」

書類を取るだけなら別に敵地に乗り込む必要は無かったが、黒魔術で使われてた髪の毛の回収、あと異世界から来たのもいたので、対話をしてどうするか決めて、ついでに会社にも打撃を加えた。そんな感じ、

「それはこっちの話ですし、気にしなくていいですよ。」

「わかった………」

察してくれたような感じになったが、聞かれない方がこちらも都合がいいのでその空気に乗っかっとく。あっそうだ、

「ケーキどうでした?」

「………娘が全て食べてしまう程ですから、かなり気に入ってると思いますよ。」

 

あー、……甘い物苦手だったか?しまったな、

 

「今日も別のケーキを持ってきたんですが………」

「おお!娘も喜びます。」

 

うん、これは、嫌いな反応じゃないな、食べられなかったのが、残念だった系だ、

 

「………それとこれは護衛の方にどうぞ。」

「こ、こここれは!?」

 

………びっくりした。そんな大声出さんでも、

 

「義手です。自動修復と水魔法強化の効果が付いてます。」

「義手ですか?!…………てっきり子爵の、」

 

そんなことしませんからね?表面は人数揃えて狩った豚の革が使われている。材料のあまりだが、これなら義手だと気付かれにくい。………外して置いとくとホラーだが、

 

「しかし、このような物まで………受け取ってもらえないかもしれませんな、」

「これは娘さんのためでもある、って渡せばいいと思いますよ?」

彼女が護衛を続けるのならだが、対外的にも見た目は気になるだろう。例え名誉の傷でも見ていて気分の良いものではない。アホはどこにでもいる、それにその傷がエリーの記憶とも繋がりが強い可能性がある。名目には事欠かないだろう。

 

「うむ………、私から出来ることはないかの?」

うん?なんか怖い、なぜだ?…………………………、あ、ギブアンドテイクが成立してない。交渉の基本の一つだ。対等に近いスタンスの人間がただ自分に情報やら贈り物を無条件に何の見返りも無く送られ続ければ不安要素になりかねない。友人とかなら問題ないが、バランスを取るしかない。

「………幾つかお願いがあります。」

こんな所で危ない橋を渡ることになるとはな、

 

「……………そんなことで?」

「ええ、お願いします。遠くについては僕の名前で、街の中の方はお願いします。」

少し手を打ち間違えたが、問題ない範囲だ。ただ藤白の育成が急務となる。芦原さんにも魔法をある程度きっちり使えるようになってもらわないとな、

 

「………で、今日は魔法について訓練してみよう。」

「ついに、魔法ですか!」

「………そんなん要らんやろ、」

「藤白はどの属性の魔法が使いたい?あと芦原さんは風魔法を土魔法に振り直す。」

風適正0だったんだよな。あのアホ神、よりにもよって使えない属性の魔法を渡してたのだ。なので適正の高い土魔法に振って置く。まあ、一回こっちで風魔法を預かって土魔法に変換して渡したのだが、この手の変換作業は俺が持ってるスキルにしか変更できない。なので、

「アナスタシア、スキルを少し借りるぞ、」

無いスキルは借りるしかない。1でも借りれば変換して渡せる。

「藤白、聖光魔法以外に取得したい魔法あるか?」

「………火魔法と水魔法をお願いします。」

「わかった。棍棒と格闘術を変換するからな、」

藤白については実験の要素もある。習得していたスキルを、再習得できるかという事、それによっては藤白の戦神の加護を利用して、鍛えた戦闘スキルからポイントを供給できる。で、こんな感じ。

 

名前 芦原 輝一

パーソナルスキル 最後の一服

スキル 剣術6 短剣術4 威圧5 土魔法6 格闘術5

耐性 物理攻撃耐性8

称号 戦い抜きし者

 

藤白 功徳

種族 人

パーソナルスキル 毒物・薬物効能操作・製造

スキル 火魔法3 水魔法3 聖光魔法3

耐性 毒無効 健康体

称号 薬殺されし者?

加護 戦神の加護

 

「さて、藤白はこれからどうする?」

「どうとは?………不吉なんですけど?その笑顔、」

「まず武器からだ、いくよ、」

「………はい。」

 

「うーん、すぐバテるようになったな、振る速度も遅くなってる。型はある程度様になったくらいのままの状態が維持されてるな。」

そしてスキルチェック、…………あー、あるある。1だけど、棍棒があった。

「次は魔法を使ってもらえるか?」

最初は叫んだだけになったが、何回か叫んで7〜8回目で発動した。それ以降は問題なく使えるようになった。5回目で心が折れたみたいだが、諦めず続けてよかったな、しかし、これから芦原さんの魔法を発動させる大仕事が待っている事はまだ知らない。

 

「おかえりにゃー!お兄ちゃん、……むふぅー、」

緑のショートカット、碧眼、甘えた高い声、宿の扉を開けると出迎えの言葉の後に抱きついて来た。ちなみに俺に妹はいない。

「クロシェット、ご飯の準備するから離れてくれるか?」

「い〜や!今日は寂しかったからー、うんっと甘えるにゃ!ね!いいでしょー!ねぇ〜、」

そんな彼女の後ろでゆらゆら動く影、尻尾である。頭には猫を思わせる耳が着いている。今回作ったクロシェットは猫の獣人をモチーフにしている。でもってこれがステータス、

 

クロシェット オートマタ

機構精霊 叡智の翠玉

パーソナルスキル 暴食 雷光ノ使徒

スキル 跳躍10 雷光魔法3 自動修復4

耐性 毒・酸無効 雷撃・突風無効 雷撃吸収

称号 生きた人形

 

暴食 内約

万物の捕食者 生物、非生物を問わず、食べることができ、それ等を力や養分に変換できる。また身体の内側からの作用を無効化する。

 

罪源 美徳系、天使系スキル保有者に攻撃が当たるようになる

 

雷光ノ使徒 内約

縦横無尽 移動速度補正、跳躍10、

 

雷ノ化身 電撃を纏う事ができ、その強さで移動速度を上昇させ、電撃の無効化、吸収ができるようになり、雷光魔法を習得する。

 

スキルの性能がいつもより一段とブチ壊れてます。全体的なスキルの数は少ないが、ここでは見えない移動速度補正が一番洒落にならない。代行者曰く、

 

《最大速度マッハ52に達します。》

 

との事、風魔法なんかで空気抵抗を減らすと更に上がるそうだ。ついでに電気まで纏うともっと上がる(纏う電撃の強さによってどんどん加速する)。

 

ガシッ!

 

「みぎゃっ!」

「はい、行きましょうね〜。」

クロエに尻尾を捕まれ別の部屋へと連行される。笑顔なんだけどなんか怖い。前からあんな圧迫感あったかなー?

「い~や~、離してー、」

「少しお話をするだけですから、」

 

あんなに力も強かったか?………見てみるか。

 

クロエ オートマタ

機構精霊 蒼い紫陽花

パーソナルスキル 調和ノ使徒 憤怒

スキル 水魔法8 土魔法3 自動修復7 変形5 飛行8

耐性 毒・酸無効

称号 生きた人形

 

憤怒があった………、

 

憤怒 内約

破壊の権化 感情の高まりによってステータスが際限なく上昇するが、強い意志や制御能力が無いと暴走する。

 

罪源 美徳系、天使系スキル保有者に攻撃が当たるようになる

 

だ、大丈夫な奴か?………暴走しないかだけ確認しないとな、後で、

 

「あむっ、」

 

ギシッ、

 

「ギャギャギャギャギャッ!」

「コラッ!さっきご主人様にもゴブリンは汚いから食うなと言われたばっかりでしょうが!」

「………いや、それもあるけど生きたまま食い千切ろうとするのもやめろよ。」

 

ギシッ、カッ!カリカリ、ボリッ!

 

あ、終わった、あむっじゃねし、何してるし、実力テストとクロエの様子見を兼ねてゴブリン狩りをしていたのだが、俺の隔離は不要だった、一直線に森に突っ込んで行き、満身創痍、または、意識のない状態のゴブリンが2〜3秒に一匹咥えて連行されてくる。音速を遥かに超えた速度で引きずり回されるとも言うが、

 

「だってー、お腹が空いたにゃ………」

で、二分毎に空腹を訴えてくる。最初ゴブリンを喰おうとしたので止めたが、原因は恐らく暴食、

 

《正解です。力を使う際には養分が必要となります。》

 

力を着ける為に食べる。力を振るうために食べる。………ただ随分燃費の悪い能力だ。それに合わせた武器が必要になりそうだ。………なんてな、

「これを使え、」

 

袋槌・千枚歯(ヘカトンケイル)

 

槌と付いているが、袋だ。殴打も出来るという程度の物。

 

「じゃあそれでゴブリンを攻撃して見てくれ、」

「はいにゃ!」

袋をまだ辛うじて息のあるゴブリンに覆い被さるように振り下ろす。その直後、

 

「ギ、ギャーー!」

バキッ!ブチュグチャ!バキッ、ゴリゴリ、

 

袋の中で籠もった断末魔の叫びを上げる何か、しかしその声も袋の中から発せられる異質な破砕音によって掻き消されて行く。袋を退けるとゴブリンどころか地面に生えていた草もその範囲だけ無くなっている。この袋は様々な場所が開くようになっており、そこから中に入れて中の刃物でいかなる物も悉く粉砕し、養分に変えて吸収出来る。表面はあの豚の革で出来ていて、焼きを入れるように様々な刻印で強度なんかを上げてある。コレの余りが義手の表面に使われたのだ。

 

「おお!これなら美味しくない物を食べなくて済むにゃ!」

やっぱ、ゴブリン不味いんだね。ちなみに収納能力もあるので物入れにもなる。もしも食料に困った際に役に立つ。まあ、食べなくても死ぬ訳ではないが、いざ戦う時に力が出せないのは困るしな、クロエには多少の格闘技を教えておく。暴走の心配は調和ノ使徒によってかなり抑えられるようなので心配なさそうだ。ただ………

 

バン!………パラパラ

 

威力が過剰過ぎる。殴られた敵がバラバラになったり、千切れ飛んだり、穴が空いたり、時頼ショットガンで撃ち抜いたりと、ゴブリンミンチを量産している。………あ、魔石はちゃっかり回収してます。しっかし、

「あはっ♡」

 

………怖い、どんどんヒートアップしてる。言葉で表すなら"笑う"では無く"嗤う"と表現した方がいいだろう。………ベースは可愛い顔立ちに作ったんだけど、なんて事を考えているとクロエと目が合う。すると一気にしおらしい普段の雰囲気に戻った。暴走とかはしてないから、スキル関係ないんじゃあ?そう仮定すると、

 

1戦闘狂

2元の、または隠している性格

3力の強さに溺れている

 

こんな所か、最後のは性格的にほぼ無いと言えるだろう。まあ、一応注意はしておこう。

「強力だな、助かるけど、無理したりするなよ。あと周りを見るのも忘れずに、」

「はい!わ………」

「おい!嬢ちゃん後ろ!」

片手の千切れたゴブリンが残った手に折れた剣を持ち、襲い掛かろうとしていた。が、回し蹴りで沈められる。そこを足で踏み、ショットガンを三発発砲した。容赦ねぇー、多分足で踏んだ段階でショック死してたと思うけど、

 

《調和ノ使徒の演算能力補正等により反応速度が高くなっています。》

 

なるほどね、それで土魔法で弾を作るショットガンの連射があり得ないくらい早かった訳だ。実際弾丸を撃つ度に魔法を使わなければならないし、あんな風には普通撃てない。

 

調和ノ使徒 内約

調停スル者 演算能力を高め、思考速度を加速出来る。

 

協調ニヨル支配 味方と距離を無視した念話ができるようになり、仲間の演算能力を補助出来る。

 

「………………」

「ん?なんか言ったか?」

「い、いえ、何でもないですよ」

そう言うとクロエはパタパタとこちらに走ってきた。だが、アナスタシアにはわかった。読心をスキルにもつアナスタシアには、聞こえる聞こえないはあまり関係ない。その声は低く小さく、

マスターと話してる時に邪魔するなよ?殺すぞ


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