この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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代行者は優秀。

あれから敵に遭遇することはなかった。水欲しい。小高い丘を越えた所で街が見えてきたが距離がまだまだある。車で移動する現代人にとっては、精神的にも肉体的にも苦しい。体力にはそれなりに自信があったのだけどなー、ちなみに俺は27歳だ、爺ではない、断じて!

辺りが暗くなり始めているので急がねばならない、街が見えてるのに野宿は避けたい。と言うか、足がパンパン。

 

なんやかんやで街の付近に着いた。着いたら着いたで人混みができていた状況は一人の女性と三人組が揉めているようで、そのせいで街に入れない。ライトニングを撃つことを検討してみたが、人相手にオーバーキルだし、何人巻き込むかわかんないし、考えるのが面倒になったのでやめた。そのまま人混みを突っ切ることにした。

 

 

斧を振りかぶった。人影が横切った。当たった。支離滅裂だが、目の前で起きたことだだがその人影は、全てを無視して、街に歩いていく騒いでいた周りの声は聞こえなくなっていた。助けてくれたのだろうか、そう思った女性は声を掛けようとした。それより先に一言。

「目障りだ、帰れ」

その背中は触れてはいけないものだと思った。声が出なくなった。周りの野次馬も蜘蛛の子を散らすように逃げていった。暫く、彼女はその場を動くことができなかった。

 

 

街には問題なく入れた。難民が多いらしく大きな街の割には確認は名前だけだった。

「宿ー、雑魚寝だろうがよこになるぞー、おー」

テンションがおかしくなってるな、代行者に頼もう。できるか知らんが、あ、金無いわ。

《魔石を売りましょう》

あっ、はい、高く売れることを願おう、………何処で売るの?

 

《次の角を曲がって正面の建物です》

代行者ナビは便利だ、宿も見つけてもらおう。案内通り進むと大きな建物があった。何か書いてあるが読めん。言語の習得頼む代行者。

《言語変換を実行しますか?》

最初からしてほしかったわー。疲れた。宿が見つかんなかったのは文字が読めないことが大きな原因だった。言わないとやってくれない。思い付いたことは全て言うだけ言ってみるのがいいかもしれない。看板には(ギルド)と書いてあるようだ、中に入ると人でごった返していたが、通る分には、問題なさそうだ。

《一番左の受付です》

行き交う人を適当に避けながら受付に行く。言葉通じるかなー、ひとつ咳払いをして話しかける。

「あのー、魔石を手に入れたんですが、こちらが買い取りの受付で合ってますか?」

「はい、では、こちらで確認しますので魔石の方を預からせてもらってもよろしいでしょうか?」

「はい」

大丈夫みたいだ、ズボンのポケットに突っ込んでいた魔石を机の上に出す。

「お預かりしました。少々お待ちください」

それを持って机の下にしゃがむと硬貨のぶつかり合う音がして暫くすると三枚の硬貨を持って戻ってきた。

「こちらが魔石三つの合計買い取り価格金貨三枚です」

うーん、価値がわからんなー、こんな時はー、代行者ー。

《金貨は、元の世界の円を参考にした場合、一万円に相当します。十枚毎に他の効果に両替できます。一番下が鉄貨で十円相当です。》

まあ、一泊くらいできるか、三万もあれば、

「おい」

あー、足棒だわー、宿にナビゲーションよろ、代行者。

「お前だよ」

何か騒いでるのがいるなー、さっさと行くか。

「おい! 待てって!」

あ? 俺か? 一応振り返る。こっち見てるやん、無視無視、無駄な時間は取りたくない。結界を少し分厚くする。ついでに防音とかできないかなー?

《可能です》

じゃあお願いします。宿までよろしく。完全無視できるけど、耳障りなんだよなー。

 

お待ちかねの宿、防音解除。

「おい! ふざけんなよ!」

マジか、付いてきてた、見ると折れた剣を握って息を荒くしている。テキトーに相手してやるか、

「何?」

「何?じゃねえよ! 有り金渡せば許してや………」

一瞬で間合いを詰めて顎を蹴り上げる、やっぱり無駄な時間だった。さっさと宿で休もう。あれのことは忘れて、宿に入る。

「いらっしゃいませ、えー…………、当店のご利用は初めてですか?」

「…………はい?」

「あっ、よかったです。常連の方がよく似た特徴の方が多いので」

黒っぽい髪はこちらでは、珍しいようだ。真理を使ってわかったが、彼はその客を髪色の特徴で見分けていたため、確証が持てなかったようだ。

「一泊いくらかな、後飯つきで」

「えーと、食事代と部屋代合わせて、銀貨七枚になります」

「あー、お釣貰える?」

金貨を袋から一枚取り出し渡す。それを受け取った後に、銀貨三枚と札の付いた鍵を渡された。

「ごゆっくりどうぞ」

そう言うと一礼して奥の方に消えていった。札に書いてある番号の部屋を探すとすぐに見つかった。

「あぁぁーー」

ベッドにダイブー、カビ臭い。代行者よ、三つ頼みたいことがある。

《何でしょう?》

 

一、情報収集、魔法の知識、

二、手頃な武器、刀が望ましい、(もちろん予算内)なければ棒

三、金を稼ぐ方法(効率重視)

《一と二については、調査します。三については、ギルドで魔石を換金する方法がいいでしょう》

じゃあ、できるだけ武器早く頼む。後は他の戦い方を考えないと。あと魔法、ライトニングはもう少し調べるまで使用を控えよう。ウィンドは明日街の外で使ってみよう。今日は寝る。


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