この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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北の花園(ノースガーデン)
クラハに到着


画竜点睛

これを欠くは、如何なる精巧さを出せても、如何に美しくとも、その全てに影が差す。四体目とあっても、馴れる事なく、微妙なズレを削り、修正し、完成に近付けていく。

「……………ふぅ、出来た、」

いつの間にか止めていた息を吐き出し、安堵する。心地よい達成感の余韻に浸りながらも強張った体をほぐす。……………さて、アリスは、っと、………居た、背後にビッタリと張り付いて見ていた。目がないので定かではないが、

『やっと、………待ちに待ったこの日が………!』

感極まったという感じだな、これだけ喜んでもらえれば作ったかいがあったと言うものだ。ランタンを開けると、黒い光は一直線に人形に吸い込まれていった。

 

《北川 龍登は人形師になりました。》

 

今更感が………、言いたいことはあるがまあいいか、多分何体人形を作ったかだろう、基準は、

「アリス」

「何でしょう。」

他の三人とは違い、大人びた印象になるように作った。クロエより身長は高いが、その他は平均的な体つき。後は性格だが………、スキルから見るか。

 

アリス オートマタ

機構精霊 妖艶な黒バラ

パーソナルスキル 嫉妬 魔眼

スキル 死霊術ー 完全再生ー 闇魔法7

耐性 毒・酸無効

称号 生きた人形 

 

いっぱい訳わからんわ、自己再生を強化したのだが、進化して完全再生になった。死霊術とか闇魔法を置いとくにしても魔眼、これだけは、放っておけない。

 

魔眼 内約

魔力が宿る眼、

 

おい!雑すぎ!ざっくりし過ぎだろう!もっと詳しく見るしかない。真理を魔力の項目に集中、

 

 

相手に魔力を当てる事によって異常を発生させる。

 

 

うーん、まだ少し分からんな、異常の項目に集中、

 

 

呪い、毒、催眠、麻痺、金縛り、腐食、石化、発火、凍結、精神崩壊、

 

 

ぶちこみ過ぎだろ………、原因は間違いなくこいつだ、

 

 

嫉妬 内約

羨望の眼差し 敵を拘束、弱体化させることができる。魔眼を習得する。

 

罪源 美徳系、天使系スキル保有者に攻撃が当たるようになる。

 

 

もろ書いてあった、しかし真理もとんでもない力だ、俺鑑定いらなくね?でもアレか………、鑑定ではパーソナルスキルが見えない。偽装もされるが、相手からの鑑定対策と真理ノ瞳を隠すためにも、持っておいた方がいいか、っと、そろそろクラハについて説明しよう。大きな街で運河や航空関係の物流で栄えたようだ。その分様々な業種、言葉、種族が行き交っている。これは人間観察のやり甲斐がありそうだ。荷車を牽くドラゴンみたいなのまでいるが、

「まず、宿を取って何かあったらそこに集合、俺はドラゴンの解体を依頼に行ったら、今日は宿にいるつもりだ。なにか質問、リクエストは?」

「……………先生みたいですね。」

「みたいじゃなくてそうなんだがな、藤白くん?」

 

全くもって侵害だ、

 

「ちょっとええか?………ギルドに登録ちゅーうのがやっときたいやけど、」

「全然構いませんよ。後で案内します。」

代行者ナビでな、ここのギルドとか知らんし、

 

「………………なあ、」

「何でしょう?」

「俺は自由行動でいいって言ったよな、」

「言った。」

「…………ならこの状態はなんだ?」

 

「それは当然、ご主人様を守るためです!」

 

ドヤッ!という効果音がつきそうな顔で言いきるアリス、

「わっばり、めいわふぅてふよめ、」

背中に張り付いてるクロエの声が体に響く。密着しすぎだ。これだけ近ければ守ると言うより盾ではなかろうか?両脇はアリスと向日葵が張り付いている。

「アナスタシア…………一応聞いとくが、お前の担当は?」

「…………上?」

聞くなよ、………まあ仕方ない事ではあるが、アリスが肩車して欲しいって言ったときはどうしようかと思った。見てて羨ましかったそうだが、街中で少女と言えるアナスタシアを担ぐのと、女性と言えるアリスを担ぐのは注目の度合いが違う。お陰で向日葵まで立候補する始末、人の目のない場所ならいくらでもしてやるから我慢しろと思った。言うと絶対しつこいので言わないが、

 

《目的地を通りすぎます。注意してください》

 

おっと、もう着いたか、………なんかこの辺りだけ現代の工場のような倉庫のような建物が、

「すいません。こちらは解体や素材の買い取りをする場所なのですが、どのようなご用件で?」

 

は?失礼な受付だ。と思ったが、これは俺の悪い。持ち込みなら荷車なりで現物(魔物の死体等)を持ってくる。他に依頼している場合もあるだろうが、買い取る場合も荷車が必要だろう。手ぶら………両手に、いや、四方に花で来る場所ではない。

「解体をお願いしたい。………結構大きなスペースを確保したいんだが、」

チップとして金貨を五枚程置く。

「わかりました。申し訳ありませんが、こちらは受け取れませんので、ご了承を、」

ほう、教育が徹底されているようだ。建物からも予想はしていたが何らかの形で異世界人が関わっている。送った人がこう言う人ばかりなら経済破綻から文明の崩壊には繋がらないだろう。

 

前言撤回

柱の位置がおかしい事を、代行者に相談したところ、

 

《震度3で倒壊するでしょう》

 

とのこと、これだけの大きさのものだと一人で作れる物ではない。依頼したが技術水準がこちらの人では満たせなかったのだろう。だが、確認に来れば知識があれば文句を言うなり建て直しをするだろう。建てる段階なら監督もできる。あと汚れ、床に赤茶色のくすみが大小様々な元血溜まりが転々と目につく。掃除は外部に依託しているようで、ちらほら格好の違う人が掃除しているが、臭いには効果なし、まあ消臭剤もないし、仕方ないのだろうが、

「これは、いろんな意味で大変そうだ………、」

経済的に持ち直せるか、………難しいだろう。誰が原因かは知らんが、もし、俺が企画等を依託する際、…………まあ、元の世界でもぶつかる問題だが、企画と現物のコオリティーの差がどの程度になるか?パソコン等もない。口で伝えるのも限度がある。

「この辺りでいいですか?」

「うーん、………少し不安が残りますが、取りあえず出してみます。」

大きいものを入れる際には結界で囲って一瞬とは行かないが、出すときは一瞬、カメムシ以外の魔物などを出す。ドラゴンと牛がかさ張るなー、ドラゴンの方がデカイが、

 

oh………、場が一瞬でカオス、

 

反省は全くしていない俺だが、阿鼻叫喚の騒音の中心に置かれるのは納得いかない。案内してくれた職員は、ため息を吐き、頭が痛そうだ、慣れてるみたいだな、

「解体できますか?」

「………出来ますが、お時間を、………それと竜種を持ち込む際は、受付で予め申請をお願いします。次回からでいいので………」

 

どっと疲れてますね………

 

「あっ、解体の費用は、どのくらい掛かります?かなりかかるようでしたら、素材で補填とか出来ます?」

「売値次第ですが、何処を売りますか?」

「肉を10キロ以外は全部売ってください。俺素材より金がいるんで、」

「は?…………なんで肉?」

 

呆気にとられたな、素になってるし、

 

「はい、それで、流石にこれで解体費の方が掛かった…………何て事はないですよね?」

無償の信用は高くつく、元の世界でも相手を選ぶ必要があるが、こっちは特に注意が必要だろう。何せ法律が緩い、それどころか領主などの個人に裁量が任せられるなど、その領主が無能など録な事にならない。まあ、ピンはねくらいは見逃してやるが、足りないだの吹っ掛けて来るようなら容赦はしない。その意思表示だ。まあ、素材全部売りの意味する所はこっちに干渉するな、だが、(金がいるのはホント)

「いつ頃にお伺いすればよろしいでしょうか?」

「すいません。私では判断できないので………連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「では、宿を取っているのでそこに、」

紙を差し出す。予め準備しておいたものだ。他にも何枚かある。ダミーの紙も準備してある。書いてあるのは宿の名前、後は俺の制作者名だ。

ノースガーデン

「北の花園………」

この名前は人形師になった時に設定出来るようになったものだ、本名を隠したいときや、対外的にはこの名前を使っていこうと思う。冷凍蜜柑妖精なんかも異世界から来たことを隠すためだろう。俺も名前だけなら何とか誤魔化せるだろ。会えばバレるだろうが、

「では、私はこれで、」

向日葵達は隔離して、素早くその場を離れ、脱出した。

 

「………この辺りならいいだろう。」

隔離していた向日葵達をだす。

「折角、ワタクシの出番だと思いましたのに……」

 

アリス…………お前何する気だった、隔離しといて正解だった。芦原さんを迎えに行って今度はギルドに向かおう。後は道すがら今日の晩ごはんの食材を見ながら行くとしよう。


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