さて、スッキリしたし、改めて作業を開始しよう。少し眠いが、………っと、その前に、
「クロエ、索敵頼めるか。」
「は、はい!」
前、ドラゴンに遭遇したからな、何回も同じことを繰り返すつもりはない。レンズの役割を果たす水がクロエの前に3つ重なる。千里眼に比べれば劣るだろうが、もし、俺が能力を使えなくなった時、誰もできませんでは済まない。今は人形を作っている最中だ、索敵に割ける集中力はない。役割を与えた方がいいのだ、簡単な話この移動は安全だが、凄く暇を持て余す。芦原さんは酒飲んでるし、藤白は顔色悪いし、向日葵とアナスタシアは、ずっとこっち見てるし、………一番は自分の趣味なり、やりたいことを見つけてくれるといいが、
「何だ!このっ………!ぐっ!」
「うぐっ!………かっ!」
「誰だ!………ぶっ殺してやる!何がなんでも探………!うぶっ、」
三ヶ所で上がった声は直ぐに、呻き声か嗚咽に変わる。
オールブレンドカメムシは聴覚を除く、全てを徹底的に攻撃する。特に嗅覚を徹底的に破壊しているのは言うまでもない、彼らの屋敷の機能は何日も止まった。
中継地点を通過してからも特に何もなく飛行していた。藤白と芦原さんが時々リバースすること以外は、勿論、吐瀉物については結界の外に出るようにしてあるが、臭いと音はどうしようもない。今は換気中だ。
「飲み過ぎですよ。」
水の入った瓶を芦原さんの前に隔離で出す。
「ほかにすることないねんから、しゃーあないやないか、」
そう言ってから水を飲み干す芦原さん。確かに暇だ。俺は人形作りがあるし、時間はいくらあっても足りない。今度はタバコを吸う芦原さん。基本的にこのローテーションだ、不健康過ぎるし、いくら好きなものでも飽きる。
「降りて狩りでもしますか?」
作業を中止し、道具やらを纏めて隔離すると、代わりに刀を出す。
「もうちぃと、手応えのあるの戦いたいしな、………水、もう少し貰えるか?」
酔いは抜けてない筈だが、スイッチが切り替わった感じがする。藤白は………まあ、いいか、そんなこんなで着地、水も出す。狩りの対象を探す。千里眼で、…………えっと、野うさぎ、鹿、馬鹿デカイ蜂、例のカメムシ(赤)、いっぱいいるわ。蜂はマジ無理、野うさぎは鑑定してみる。
毛玉
毛皮が人気、が肉は少ない。乱獲で数が減っている。
耳長
足が早い、二つの意味で、その場で調理を推奨。
玉
肉が硬いが、ペットとして人気、
白
数が少ない。非常に美味、臆病で罠でしか捕まらないとまで言われている。
黒
毒があるが、美味。毒抜きをして燻製にすると旨味が増す。
兎だよな、何故毒?白いのをてきとうに一匹捕まえて、毛玉も何匹か捕まえる。勿論黒も、さて、狩りの対象はなにがいいか、
「何か要望とかあります?」
「うーん、………酒の肴になりそうなもんであるか?」
………それはちょっと無理、加工しないと、……………辛いもの、がいいのだろうが、胡椒の効いたもの、塩辛いものは大体加工済みだろう。海なら塩辛ぽいものがあるかも知らないが、代行者、別で準備しといてくれ、
「燻製や干したりするとして、肉行くか、」
尻尾の辺りが蛇みたいな鶏、トラック並みの牛、豚はオークでいいか。後鹿も(少しでかい)、
「こんなもんか、」
てきとうに隔離して呼び出す。
「どれにします?俺、余ったので、」
「………豚か、鳥で頼むわ、牛は頼む。」
「藤白は?」
「遠慮しておきま………」
「よし、牛でいいんだな?」
「………鹿で」
「芦原さん、どっちも行けそうならお願いします。」
「おう、任しとき、」
あまりにも呆気なかった。約三十秒のロデオを楽しんだ後、周りを見れば一撃で、角をへし折り頭蓋を粉砕された鹿とメイスを持つ藤白、切り捨てられたオークと、逃げる鶏と追う芦原さん。あっ、藤白また吐いてる。
「待たんか、コラァ!」
それは無理じゃない?殺すつもりなんだもの、相手も必死に逃げるわ、………首ちょんぱした。みんな終わったか。
「これも解体して貰いましょう。」
障壁を動かし、まとめて隔離する。
「マスター………、石化、」
は?石化?どう言うこと?体を見回そうと動いたとき、右足がぎこちないのに気づいた。膝から下が石になってる。なんで?…………もしかしてあの鶏、コカトリスなのか?
《正解です》
いや、もっと早い事言わんかい!!どうすんのこれ!
「ディスペル」
あ、治った。…………解呪の魔法だよね、それ、アナスタシアの聖光魔法がなんかおかしい。
「状態異常を解くのは一緒、」
魔法はイメージだ、出来たんだしできるものなのだと言う認識でいいだろう。あと平然と心の声と会話しないでくれるかな、
狩りをした後、移動を再開する。芦原さんには風魔法の練習を提案した。藤白については前より青い顔で吐いてる。うちの人形達は介抱してやる気はないようだ、ずーと、こっち見てるし、こう言うとき心が読めてるなら行ってやって欲しいが、視線を送ると目を逸らすアナスタシア、………かわいそうな奴だ、藤白。かく言う俺も人形作りに勤しんでいる訳だが、代行者あとどのくらいで目的地に着く?
《5キロ先斜め左方向です》
ナビみたいな言い方だな、まあもう暫くか、ゆっくり移動したので6日掛かった。人形の方も後は組み立てるだけだ、今回は何ヵ所か失敗するぐらい難しい刻印もあったからな、要望出したの俺だけど、さて、今日最後の仕事に掛かろう。
ほんと、ゲロばっかですいません。