この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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この話は、少し面白くないかもしれない。


ハイリスク、安定のリターン

《洗浄に成功しました。》

その言葉の後、意識が戻った。空を見る限りあまり経っていないようだが、何があった?確かドラゴンを倒した後………

 

《一定以上の存在値を吸収したため、自浄可能な量を超える精神汚染を確認、意識を遮断し、洗浄しました。》

 

ナニソレ怖い、代行者、前吸収したオークと半裸の分も浄化してくれ、それと浄化しなかった場合はどうなる?

 

《放置された場合、最悪自我の消失、軽度のもので、情緒不安定になります。現在の汚染率は5%です。》

 

それも洗浄して!許容範囲とかそんなんいいから汚染しないようにして!

 

《ではこちらでバックアップを作成して………》

 

それは無し!他は?どうせコピーのトレースだろう。それを俺と呼べるか?

 

《正解です。では、こちらで預かって洗浄して渡します。》

 

嬉しくない正解だ………、それで頼む、少し体が重いが、身体を起こす。

「ご主人殿!だいじょうぶですか!!」

「ああ、大丈夫だ………」

とにかくドラゴンの死骸を隔離、したかったのだが上手くいかない。

 

《一定以上の大きさの物を収納する場合、結界ではなく障壁を張り、それを窓として移動させて、収納します。この場合物以外収納できません。》

 

わかった。じゃあこんな感じか、頭の辺りに張ってそれを尻尾の先まで動かす。するとみるみるうちにドラゴンが消えていく。

「………さて、行くぞ」

「はい、」

結界を張ってそこに残りのメンバーを出す。

「わぁ!今度はなんですか?!」

「ん?………おう、無事みたいやな、あんさん強いやろうとは思ってたけど、………龍はどうしたんや?」

「ああ、隔離してある。まあ、異空間に仕舞ってるって感じだ。」

「ドラゴン、倒したの?」

「ああ、倒したが、俺に解体は無理だし、並みの刃物じゃ解体できないし、どの部位が価値があるとかわかんないし、プロにやってもらうよ、」

まあ、ドラコンの素材の価値はそれとなく聞けばわかるだろう。勿論下調べはする、代行者が、とにかく出発しよう。

 

人形の中枢がだいたい完成したところで、ミレの街に着いた。少し離れたところに降りて、ギルドに入る。

「買い取りをお願いします。盗賊がらみの物もあるので、」

「わかりました。では、こちらに………」

「お、少し見ない間に人数増えたな、」

「ちょうどよかった、直接相談したいことが………」

「いや、少しは驚いてくれよ、」

この人毎回背後に現れる。ギルマスのクラインさん、どうせ来るだろうと思って千里眼で背後も確認していたのだ。

「…………そうだな、取りあえずー、話せる部屋と、ドラゴン一匹解体できる場所を手配してくれないか?」

「うん?………話から聞こうか?」

 

「………これは随分と忙しくなりそうだな、え?魔石の換金はいい、盗賊の財宝の仲介も大仕事だが、ドラゴンの解体なんぞ、ここで出来るか!」

「………どこでなら出来る?」

「あのな………はぁ、もういい…………」

ため息を吐くと、クラインは机の中から地図を出し見せてくれた。なんと言うかグニャグニャだ、紙が、とかではなく、書いてある地形がだ。位置関係は代々合っていが、見にくい、かなり遠いな、クラハって街らしい。代行者ここからクラハまでの距離は?

 

《北に直線距離で170キロです。》

 

ゲロ遠い、某検索サイトの音声検索みたいになったが、負けず劣らず便利だ、俺らの場合徒歩か結界で調べないといけないが、

「じゃ、残りはよろしく、」

「ああ、わかったよ、…………それと、指導の件だが、」

「それか、街が遠そうだし、しっかり準備するつもりだ、それに盗賊の財宝の件もあるし、その間なら問題ない、」

「そうか!じゃあ、明日から頼む。」

そこからはいつ頃に行くか等、打ち合わせをして、部屋を出た。さて、ここからだが………、

「向日葵、この紙に書いた物を揃えてくれ、これは料金な、」

「はい!わかりました!」

魔石の売値の大半を渡し、見送る、代行者に監視も命じておく。

「私は?」

「武器の使い方、戦い方を教える。芦原さんの戦い方も見せてください、藤白は素振りして、そこからダメなところを指摘する。それを直しながらやろう。で腕が疲れたら持久走な、」

まあ、それで走れる距離があまり長いと全身を使って武器を扱えてないのだが、前回以外と走れたので改善が必要だろう。まあ、代行者に計算させておいたのだが、

「………しかし、何故筋肉痛になってないんだ?」

ここ最近ほとんど一緒にいるが、それらしい素振りは見てない。それはそれで鍛えやすいしいいか、

 

はい、やって来ました町の外、

「わしの力ぁ、見る言うとったけど、どうやって見るんや?」

「必要なものは向日葵に調達させてるから大丈夫です。向日葵が戻ってくるまでは好きに過ごしてください。言いますのから、」

藤白の方にメイスを投げて、素振りを見ながら思案する。考える内容は二つ、一つは振り方の指導、もう一つはアナスタシアに持たせる武器についてだ、決めてはいるが、出来るかなー?

「………その状態でストップ、まず足も動かせ、棒立ちじゃあ威力が出るものも出ない、それと腰も落とす、あと肘を伸ばしきれ、一つづつでもいいからやってみてくれ、」

「はい………」

もう辛そうだな、三回しか振ってないぞ、まだ、

「次回は実戦形式でやるから、頑張れよ、必要ならメイスも預けるし、」

「…………僕、死ぬんじゃないですか?」

「大丈夫だ、お前は好きなようにすればいい、俺は素手で行く、………なにか条件があるなら聞くけ………」

「攻撃しないでください!!」

なんでそんな切羽詰まってるんだ。

「…………それじゃあ、実戦練習にならない。」

色々言いたいことはあるが、サンドバッグを打っているだけでボクサーになれる訳ではない。試合に出て(その前にライセンスの取得)戦ってこそだろう。こればっかりは本人の経験の集積、それに勝るものはない。

 

《向日葵の買い物が終了しました。すぐに呼びますか?》

 

ん?ああ、頼む。

 

「…………へ?さっきまで街の中にいたのに、………あ~!ご主人殿!」

「買い物が終わったみたいだからすぐ呼んだんだ、」

「ありがとうございます。」

向日葵から頼んでいた物を一つづつ受けとる。細剣、大きさの違う三つの扇、そして、刀と短刀、細剣は俺が使う予定なので隔離、刀と短刀を芦原さんに渡す。

「これを………好きなように使ってください。」

「ほんで、どないするんや?」

初めは適当にゴブリンでいこう。この辺いっぱいいるし、

「多分勝てると思いますが、ゴブリンを出しますね。」

お手並み拝見と行きますか、と思ったが、ゴブリンと芦原さんの追いかけっこを見る羽目になる、これでは実力もわからない。

「…………向日葵、魔石の回収頼む。」

魔石は心臓や脳と同じで魔物にとっては急所になる。生きているオークから取り出して貰ったが、暫く間を置いて絶命した。ただ俺には霞のように見えているが他の人からはどう見えたのだろう。ゴブリンが、

 

《いきなり胸部に穴が開いたように見えます》

 

あー、そうなりますよね………

 

「別の出しますね。」

 

観察してわかったのは、我流で、攻撃特化、結構ヤバい時は、突貫して、一か八かの攻撃を出す。思い切りの良さや、度胸があればこそのものだ、あまり捨て身になり過ぎるのも問題だが、

「問題なさそうですね、」

「おう、当たり前やないか、」

さて、ここからだか、扇である、どうしよう。だって知らないだもん、………仕方ない奥の手を使うか。

 

《扇のスキルが6になりました。》

 

ドラコンを倒した時の存在値のほとんどを注ぎ込み、これをアナスタシアに与える。この状態で実践形式で教えるしかない。

 

あー、疲れた、宿のベットに飛び込むとステータスの確認をしようとしていたら黒い光が近づいてきた。

「アリスか?」

『はい!お疲れの所申し訳ありませんが………』

「構わない、それよりなんだ、」

『今お作りになっている体は………』

「紫陽花のだな、………すまん、期待してたよな、」

『いえ、………』

ん~、次は出来るだけ早く作ろう。だが、今刻印関係で少し行き詰まっているのだ、案を代行者に提案したが、中々難しいらしい。そのため今出来る所から作っているのが、今日は特に疲れた。その為に、人形作り以外のことをして気分を変えようと思ったのだ。それに一度始めるとすぐ明日になっていることもあるし、今日は疲労を回復する意味でも、ステータスの確認に留めることにしたのだが、

 

名前 北川 龍登

種族 #%5*;¥

 

パーソナルスキル 真理ノ瞳 万能結界 冒涜

 

スキル 芸術10 指導8 鑑定5 武芸4 隠密1 風魔法10 火魔法4 人形作成10 義体・義肢作成10 飛行8 頑丈5 体力自動回復3 魔力自動回復2

 

耐性 炎熱無効 低温耐性5 雷撃・突風耐性6 衝撃耐性7 闇魔法耐性5 聖光魔法攻撃耐性6 精神攻撃耐性6

 

称号 爆死 稀代の人形師  害虫ハンター

 

剣術7 体術8 棒術3 格闘術2 斧2

 

火40水1風19土2聖ー闇ー

 

使えないスキルは予め還元して、耐性は統合して強化されている。まず土魔法適正を上げてくれ、それと土魔法や水魔法が使える魔物なんかも探してもらえるか?

 

庭と言う名の演習場に刀を携え、立ち尽くす。………暇だ、空を仰げば、雲がゆっくりと動いている。その視線を地面に落とせば、死屍累々と表現すればいいのか?五人一組のパーティーが力なく倒れている。浅く激しい呼吸を繰り返す者。仰向けでピクリとも動かない者、大の字で寝転がる者、反応は様々だが、全滅である。五分程時間を遡って説明すると、

「お前が、俺たちを指導するのか、あいつがうるせぇから来てやったが、………おらぁ!」

昨日、頼まれた戦い方の指導のため、前にギルマスと、手合わせ的なことをした庭で待っていると、参加を希望していた五人組と思われるパーティーのリーダーの言葉のあとの不意討ちから始まった。当然避けた、会ったときから攻撃の意志があったのだから、これで対処出来なければ恥ずかしい。ただ攻撃の意志を持っていたのはリーダーだけではない。後ろに回っていた短剣使い(まあ、ずっと意識してた)が一撃、連携は上手いが、

「考えが甘いな、」

手に持った刀のその鞘の先、小尻を短剣使いの胸部の中心(これが大事)に叩き込む。千里眼で見ながら打ったが、本気でやったせいなのかか、かなり遠く20メートル後方の壁にめり込んで、倒れ付した。こいつらにはノールックでやったように見えるだろうが………、暫く間を置いて正気に戻ったリーダーが放った一撃を避わして、刀の柄を胸部の中心に叩き込む、そして逃げようとした奴らには、鞘で一撃、鞘で一撃、首に当てて締め落しで、現在に至る。刀を抜く必要もなかった。苦労したのは刀の小尻を短剣使いの胸部に叩き込む事だろうか、千里眼で視点が変化するため、体の動きもそれに対応させなければいけない。ここは要練習である。後は………

「ギルドマスターも暇なんですね………」

皮肉たっぷりに声をかける。わざわざ入り口付近にいるのだ、声をかけない方がおかしいだろう。

「………明日からは大丈夫だろ、」

「頼みますよ。今日は帰ります。」

 

代行者よ、情報収集は順調か?後刻印の方は?

 

《情報はまだ時間を要します。刻印は明日には完成するかと》

 

明日か、ここからは狩りに出て、金を稼ぐか、背伸びをしてからふと思ったが、他のメンバーは何をしているのか、

 

《芦原は街を散策、藤白は素振り、残りは宿です。》

 

残りって………、まあいい、とにかくゴブリンを血祭りにあげてくるか、


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