「あんまりかわいくない。」
エドガーの前にいる少女の人形に対する第一声はこれだった。これは仕方のないことだった。作った本人も初めて作ったのだそれにカラフルな物はあまり受けないかもしれないと思ったためにシンプルなものにした。そのため可愛さより品よく見えるようになっているのだ。
「…………うむ、それは防御式を織り込んだ人形なんじゃが、」
「えっ?これで?」
明らかに不安そうな顔をする。防御式を織り込んだ持ち物は、護符と呼ばれ、貴族の間ではよく送られる物なのだが、日用品が多く、式も決して小さくないので、丈夫だが金属は重いため、必然的に布製品や木製の家具やコップなどになるが、子どもに贈るものだと人形や服、本など限られてくる。その中で人形は小さい物になるのだが、しっかりとした式を織り込めば、人形とは言えないくらい。びっしりと織り込まれており、かわいいどころか不気味である。しかもそれだけしても火魔法の類いを完全に防げない。防ごうと思えばそれこそ子どもより大きな、それこそ着ぐるみサイズ、だが見た目重視の物はそれこそ容易く燃える。目の前の人形は明らかに後者だが、エドガーは前者よりも上であることを知っている。
「そんな顔をするな、火も防ぐし、水魔法も防ぐ、刃物まで防ぐ、性能は本物じゃよ。」
「ふーん、」
信じてないな、と思いながらそれでいいと思った。こういったものが役に立つ時は、この子に危険が降りかかったときだ。そう思い、機能の説明だけに留めた。
「な、なんやこれ!うまいやないか!」
エーデルワイスに幾らか金を預けて料理を作って貰ったのだが、あっちでは食べたことのないくらい絶品だった。素材は元の世界に比べると少し劣っている(多分異世界から渡った者が少し改善を加えたのだろうが)が、総合的な料理になったら上回るのは、エーデルワイスの腕だろう。この世界のスキルは不思議である。まあ、幼女に金を渡して食材の調達から調理まで任せる光景は何とも言えないが、うまい飯の前では細事だったらしい。藤白も気にせず食事をとっている。こっちは無言でがっついている。
「マスター」
「ん?どうした?」
服の裾引っ張られて振り返るとエーデルワイスが上目使いでそのあと言い淀むような仕草を交えて視線を外す。ちなみにこの間催淫を発動させている。お陰で昨日、精神攻撃耐性が1つ上がった。
「わ、私名前、欲しい………。」
そう来たか。まあ、みんな一応は決めてあるんだが本人が望まなければ、付けるつもりはない。
「アナスタシア、それがお前の名前だ。」
寒いところにちなんで決めた名前だが、ぴったりだ。白銀の髪、陶器を思わせる白い肌、向日葵は天真爛漫で活発、健康的な見た目で、向日葵を動とするならエーデルワイス、いや、アナスタシアは静の魅力だ、催淫なんて使わなくても二人とも別の魅力を持っている。ただまあ、催淫も家事に統合されてるのはよくわからんが、その上MAXの10だしな、
「アナスタシア………うん、いい名前、ありがとう。」
喜んでもらえたようで何よりだ。アナスタシアの頭を撫でる。
「お前はどうだ、向日葵?」
「えへへ、」
素早く俺のところに来ると、顔を近づけてくる。理解しかねていると、アナスタシアから一言、
「撫でて欲しいんじゃあ………」
仕方ないな、少し呆れながらも頭を撫でてやる。顔を近づけられた時見とれていたのは、心の中に閉まっておこう。
「…………んっしょ、と」
何故、膝の上に乗るアナスタシア、そこからの上目使いと催淫のコンボ止めなさい。お前俺の心読んだな、
「うん、」
うん、じゃないよ!これは心の中でも変なことは考えられないな。それに今は二人だからこそ、手が足りてるが(頭撫でる事)似たようなのが増えたら、俺の身が持たないな。
次バトルあり、