この世界、あと5年で文明が滅びます。   作:白紫 黒緑

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新年、あけましておめでとうございます。(早々説明回ですが)


一方その頃

ミレ、変わってないな、………まだ、着いてないけど、俺からすればいつでも千里眼で見れるんだよねぇー、数日の間だし、懐かしさも感じない。かなりの高度を飛んでいるが、結界内の空気は地上に張った結界から隔離して持ってきているのでそこは気にしない。ただ結界が透明なので二人は落ち着かないようだが、………俺?人形作ったり、向日葵と話したり、エーデルワイスと遊んだり至って平和です。とは、言ってもここが平和だから周りも平和とは限らない。さっきまでいた街、アスメシアだったか?何でも昔の勇者の名前の一部が付いた名前らしい。どうでもいいが、そんなこんなでミレ到着、とは行かないので、暫くは空の旅を満喫しよう。

 

こちらは所代わって、エドガーの屋敷、主人は首飾りを眺めて、物思いに耽っていた。異様な力をもつ異世界人、他の世界から来たその意味を込めて渡来人と呼ばれる彼らは、特殊なスキルを持ってこの世界に来る。伝承に残る悪魔系や天使系に近い、またはそれに準ずるスキルを手にするものや、奇怪なスキルを手にするもの、どれも強力だが、それは必ず"一つ"なのだ。彼の能力はおそらくは音を消すものだろう。だとすると、他が説明がつかない、簒奪や略奪の類いのスキルを手にする事はよくあるらしいが、それだと風魔法や剣術をどうやって習得したのか?既存のスキルに簒奪、音を消すスキルは聞いた事がない。

「………しかもあの人形、」

彼がに付いてきていた人形を思い出しながら、熊の人形を見る。話している限り自分で作っているのだろうが、あり得ない性能だ。魔法の効果を付与するには魔方陣を彫ったり、刺繍を入れたり、書いたりと様々だが、材質の影響を受ける。木材は火に弱い。紙は水にも弱い。それは布や綿も同じ、対火魔法の刺繍に絞ったとしても少し焦げたり、最悪失敗して効果が出ない。だが、焦げ跡もない、それどころかさっき、使用人に水魔法を使わせたがそれも防がれた。そして、ナイフも逸らされた、つまり火だけでは無いのだ。値段を付けるとしたらいくらになるだろうか、それこそ国の宝物倉にあるようなものだ。

「………それより、あの辺境のガキだ、どうしてくれよう。」

あれはどうしようもなかった。状況が見えていない。その上、彼が出た後の失礼極まりない態度や質問の数々、何とか帰ったが、勿論行動を監視するように使いをやったが、

「失礼します。」

「入れ、」

連絡係が来たようだ、届いた報告は予想より悪い。当たり前のように犯罪行為を行っている所から考えて常習犯だ、証拠を集めるように指示し、窓の外を眺める。

 

「………そっちはどうだった」

「ダメだ、いない」

「こっちもだ、」

「情報屋もダメだ、揉めた相手をボコボコにしたってくらいだ」

路上裏の四つの人影は、有力な情報がないか、話し合っていた。だが、痕跡は街中で忽然と消えた。分かっているのはそれだけ、しかし、

「街を出たという情報が一つもない」

それが一番おかしい。街の出入りは門が東西に二ヶ所、それと列車乗り場とヘリポート、そこには門兵や係員が必ずいる。そこを抑えれば何かしらの情報が入る。しかし、蓋を開けてみれば完全に空振り、残された手は自分達の立場を危険にする手しか思い付かない。

「どう報告する?」

だからこそ、見つからないターゲットは諦めて依頼主をどうやって誤魔化すかを考えることにした。依頼主のクリホードは、顔立ちは整っているが金遣いが荒く、よく偽物を掴んだりする上に、性格も悪いことで有名、前の代から貴族としての力は弱り始めていたが、クリホードに代わってから急速に衰え、複数の商人に借金をしている。今年で23歳になるのに、縁談の一つも来ない。貴族としてはあり得ないことだ。何が言いたいかと言えば、騙しやすい、騙したとしてもこちらの受ける損害は少ない(得るものも少ないが)。鴨ネギだ、ただ一応貴族なので、進んで使いたい手では無いが、それが一番いいだろう。

「それじゃあ俺が行ってくる。………っよ、と」

会話に参加していなかったクライスラが立ち上がる。彼にとってこの仕事は反対だったが、自分以外の反対に押されて引き受けた、元々気乗りしなかったのだ。そもそも彼は情報屋である。この中では一番適任だろう。四人は彼を見送ると、闇の中に散っていった。

 

 

青生生魂アポイタラカ

違いが生じる理由はわからないが、青い緋緋色金で、金属というより宝石を思わせるような透き通るような青で、不思議な金属である。それがミレの近くの街で価値が暴落、手持ちの金で買えるだけ買う。まあ、休憩の意味合いもあるが、

「なあ、………どうやって儲けたんや、それ、」

モンスターの魔石を売る簡単なお仕事ですよ。(解体を除く、したこと無いが)

「コブリンやオークから魔石をとって売ったり、懸賞金の懸かってる人を捕まえたり、色々ですよ。」

言って思い付いたが、千里眼と代行者があればどこにいようと容易に発見出来る。情報収集も同時に出来る。あまり気が進まないが、異世界人探しもしなくてはならない。まあ、こっちに連れ来られて迷惑している奴等のためと思ってやることにしよう。

「僕全然戦えるイメージが湧かないんですけど、」

「まあ、何とかなるやろ、」

「そこら辺は俺からも力を貸す、だけど過信はするなよ。」

真理で、スキルを細かく見て気づいたのだが、存在値を振り分ける事で能力を強化したり、進化させることが出来る。藤白のパーソナルスキルは進化させることが出来ないが、芦原さんの方は進化を促す事が出来る。まあ、吸った事のある煙草の制約が消え、追加で酒も召喚できるようになる程度だが、酒は武器になる、寒い場所等では、身体を暖める他、火を付けることも出来る。存在値を貯めてからだが、

「それは助かります。」

「いや、そっちの力も借りたいし、お互い様だよ。お前らも期待してるぞ。」

「はい!!」

「うん………」

いい返事だ、そろそろ出発しよう。


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